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福祉製品開発で産業技術研究所が一宮養護学校、FDCと連携しました

[2008年11月12日]

平成20年11月11日(火)発表

福祉製品開発で産業技術研究所が一宮養護学校、FDCと連携しました

柔らかい布製のセンサ織物で尿漏れ等の検知に成功

センサ織物

センサ織物

愛知県産業技術研究所尾張繊維技術センターは、愛知県立一宮養護学校、財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター(以下、FDC)プランナー協議会1)と連携し、尿漏れ検出用のセンサ織物を開発しました。

柔らかい布製の尿漏れ検出用センサ織物は、紙オムツや尿取りパッドに組み込むことにより交換時期を介護者に知らせることができます。さらに小型無線装置と組み合わせネットワーク化することにより複数の患者の状態を検知することができます。

今回開発した福祉向け繊維製品は、平成20年11月12日~14日に開催する尾張繊維技術センターの研究・試作展において展示します。

介護・福祉分野に関心があり、実用化を目指し共同研究を希望する企業を始め、多数の皆様の参加をお待ちします。

1 開発の背景

少子高齢化が急速に進展する中で、福祉・介護に関する様々な新しい取り組みが進められています。

医療や介護の現場において、オムツ交換は、患者の精神的なストレス、作業の効率性、経済性も考慮し、適切なタイミングで行うことが必要です。現実のオムツ交換は、患者の状態を考慮しながら行っていますが、タイミングが悪くなり患者に不快感を与えることもあるため、患者が抵抗なく装着できて、正確な交換時期を知らせてくれるようなセンサ機能を持つオムツ製品が要望されております。

そこで尾張繊維技術センターでは、自己が保有するセンサ織物の技術を尿濡れ等の検知に応用する研究開発に取り組みました。


2 研究内容と技術的特徴

開発したセンサ織物が尿濡れ等を検知する仕組みは、使用する糸にあります。今回、銀とアルミニウムの2種類の金属処理糸2)を織り込んだ織物を開発しました。この2種類の糸は、尿等の液体に浸すとボルタの電池3)の原理により起電力4)を生じます。この電圧を検出し処理することにより、オムツの交換時期を知らせる信号を発生させます。

濡れたことを感知するセンサは、これまでにもいくつかの方式が開発されています。今回開発した尿漏れ検出用センサ織物は、織物の形態であることから、柔らかく通気性もあるため、長時間、身に着けたり、肌に触れた状態で使用するのに適しています。尿取りパッド等に取り付けても装着感は殆ど変化しないことが大きな特徴です。

類似技術との比較
 方式長所  短所
 今回開発した方式

金属処理糸の電位差を検出

 柔軟性が高い

目視チェックする必要無し

 検出用の電子装置が必要
電気抵抗方式(従来)

金属シート間の電気抵抗を検出
 目視チェックする必要無し

 検出用の電子装置が必要

柔軟性が劣る

 特殊染料による方式(従来)

水濡れ時に変色して知らせる
 装着時の違和感は無し 目視チェックする必要あり
小型無線装置付き尿漏れ検出用センサ織物

小型無線装置付き尿漏れ検出用センサ織物

ジグビーセンサネットワークによる尿漏れ検出システム

ジグビーセンサネットワークによる尿漏れ検出システム

開発したセンサ織物を用いて、おむつ交換時期を離れた介護ステーションに知らせるシステムを試作しました。センサ信号を伝送するための小型無線装置を取り付けたセンサ織物を写真1に示します。この小型無線装置には、ジグビー5)と呼ばれる極めて省電力で無線ネットワークを構築できる電子モジュールを採用しました。ジグビーは、複数のセンサと通信したり、中継器を設置することにより使用範囲を拡大することも可能なため、介護ステーションに設置した親機で複数の患者の尿漏れ信号を検出できます。また、小型無線装置は、ワンタッチで着脱可能な構造となっているため、容易にセンサ織物の交換や洗濯が可能です。写真2に開発したセンサ織物を取り付けた尿採りパッドとよだれかけの試作品、及び、尿漏れ検出システムの画面を示します。

尿採りパッドへの装着

尿採りパッドへの装着

よだれかけへの装着

よだれかけへの装着

尿漏れ検出システムの画面

尿漏れ検出システムの画面

3 センサ織物の活用が期待される分野

この織物は次のような用途が考えられます。

(1)医療や福祉の現場で:小型無線装置と組み合わせ、病院や福祉施設の要介護者の衣類に使用して、オムツ交換時期を知らせることができます。

(2)福祉施設や家庭の中で:障害者や赤ちゃんのオムツやよだれかけに使用して、オムツ交換や健康管理に利用することができます。

(3)近未来の社会で:発生する電力を利用して、非常災害時の電源や、携帯電話やウェアラブルコンピュータなどの電源としての利用も期待できます。

4 技術の普及

尾張繊維技術センターの研究・試作展6)

日時   平成20年11月12日(水)~14日(金)

会場   財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター

(一宮市大和町馬引字南正亀4-1)

展示内容 尿漏れセンサー織物などの福祉向け織物始め研究成果等に基づいた試
作織物(11点)

 

5 問い合わせ先

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター

担当  安田、山本

所在地  一宮市大和町馬引宮浦35

電話    0586-45-7871   FAX 0586-45-0509

URL http://www.owaritex.jp/

(11月12日(水)午前8時からホームページに掲載)

 

用語解説

1)FDCプランナー協議会

平成12年度からFDCが主催し、愛知県産業技術研究所が技術指導する研究会。会員は地元繊維業界の企画者や技術者、さらには川下業者の縫製関係者で、社会的な関心ごとの中からテーマを選定し、共同で研究開発を行っている。

 

2)金属処理糸

電気を通す糸。ステンレス線、カーボンを練りこんだ糸、メッキ糸などがある。織物では従来、主として、静電気除去、電磁波シールドの用途で使用されてきた。

 

3)ボルタの電池

銅と亜鉛を電解液となる希硫酸や食塩水などに入れると、銅は原子がほとんど溶けず反対に亜鉛は原子が溶け出して電子が残る。 そのため銅は(+)極に亜鉛は(-)極となり、この2つを導線でつなぐと銅から亜鉛に電気が流れる。現在の化学電池の原型であり、イタリア人のボルタが発明したのでボルタ電池と呼ばれている。

 

4)起電力

発電機や電池などの電源装置における、電流を流そうとする力の強さのこと。単位は電圧と同じボルト(V)を用いる。

 

5)ジグビ-(ZigBee)

ZigBeeとは、Bluetoothと同種の短距離無線通信規格である。Bluetoothよりも低速で伝送距離も短いが、省電力で低コストという利点がある。1つのネットワークに最大で65535ノード(端末)が接続でき、単三乾電池2本で2年間程度の稼動をさせることもできる。家電や各種センサーを組み合わせたホームオートメーション、ビルディングオートメーション、ファクトリーオートメーション等に適している。ちなみに、ZigBeeという名前は、フィールドをジグザグ(Zigzag)に飛び回るミツバチ(Bee)をイメージした造語である。ミツバチが蜜を求めて飛び回り、仲間と情報交換するさまが、端末同士が自在にネットワークを構築して情報交換するZigBeeに似ている。

 

6)研究・試作展

尾張繊維技術センターの成果を繊維業界に紹介するために開催するもので、研究開発コーナーと試作コーナーで構成される。研究開発コーナーでは、最近の研究成果や企業と共同開発した織物をパネルとその成果品を展示して紹介する。また、試作コーナーでは研究成果等に基づいて試作した織物を展示する。なお、この展示会は、FDCが主催する尾州テキスタイルエキシビションと同時に開催する。

 

お問い合わせ

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
担当 開発技術室 安田、山本
電話 0586-45-7871
愛知県産業労働部地域産業課
担当 技術振興・調整グループ 加藤、木津
内線 3360,3362
(ダイヤルイン)052-954-6340


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