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植物由来の断熱・吸音材を実用化!

[2009年9月9日]

9月8日(火)発表

-低環境負荷の住宅用建材として活用します-

1.研究の背景

 住宅などに用いられる断熱材には現在、グラスウールやスチレンフォーム※2などを一般的に利用しますが、住宅などの解体時には、木質のものと分別して回収する必要があります。またグラスウールを壁の中に充填した場合には、グラスウールが自重で圧縮され綿状の形が崩れることにより、壁の中に隙間が生じ、断熱や吸音性能が低下する等、長期的な性能の維持が懸念されていました。
 愛知県産業技術研究所は、従来から、環境負荷の低い木質系材料の利用拡大を図るため、圧密木材※3や木材由来のプラスチックなどの高強度材料や、植物系繊維等を用いてマット状に柔らかく成型するための様々な技術を考案し、普及に努めてきました。一方、㈱明城は、名古屋大学の協力のもと、柱等の住宅部材の加工時に排出される鉋屑を袋詰めして、断熱・吸音材として有効利用し、環境負荷軽減を図ることを検討してきました。しかし、袋詰めした鉋屑は、自重により変形するため初期の形状を保つことが難しく、長期の使用が求められる住宅の壁の中には適用できないことが課題でした。
 今回、愛知県産業技術研究所、名古屋大学、㈱明城の3者が協力し、断熱・吸音材を想定したマットの成形方法および性能評価を検討したところ、芯鞘型繊維を応用した熱成形法を用いることにより、初期の形状を長期間安定して保つと同時に、良好な吸音性能と断熱性能を有するマットを製造することに成功しました。

 

2.開発した技術と特徴

 優れた吸音性と断熱性を得るためには、密度を低く、通気性を有する形状に成形する必要があります。一般的な木質材料のように接着剤を混ぜて成形する場合は、密度が大きくなる傾向があり十分な吸音・断熱性能が得られません。
 それに対し、今回開発した断熱・吸音材では、接着剤の代わりに「芯鞘型繊維※5」を数%添加しています。これにより、クモの巣状に網目を形成した芯鞘型繊維を介して、鉋屑や植物繊維をゆるやかに連結することによって、極めて軽量なマットを成形することができました(写真参照)。

開発した断熱・吸音材の拡大写真

クモの糸状の繊維:芯鞘繊維の芯の部分
        (鞘部分が加熱融解し網目を形成)
もやしのような繊維:ケナフ
面状の物質:かんな屑

 さらに、繊維材料を効率的に開繊※4し、形状・特性の異なる鉋屑と均質に複合することがもう一つの課題でした。今回、集塵機などに用いるエアーブロアを応用することにより、安価かつ効率的に繊維を開繊し、相互を均質に混合する手法を考案しました。また、マットは、試料の中に熱風を通過させるための送風機構を持った簡便な装置を用い、5分程度の加熱により成形することが可能になりました。
 開発した断熱・吸音材は、住宅部材の製造時に生じる鉋屑を原料としているため、廃棄物の削減効果が期待できます。さらに、植物由来の材料を用いているため、住宅解体時の分別処理も極めて容易で、環境負荷が少なく今後の普及が期待されます。

 

3.波及効果および今後の応用計画

 試作したマットは、吸音・断熱性能が良好であり、また植物由来の材料を用いているため吸放湿性にも優れているため、住宅用の断熱・吸音材としての利用が期待できます。
 また、鉋屑を原料として利用しているため、廃棄物の削減に寄与します。さらに、植物原料を主体としているため二酸化炭素の排出削減効果につながり、社会的なニーズにも適した素材として従来の石油資源由来の材料からの代替が期待できます。
 将来的には、諸物性のさらなる向上を目指すことにより、緩衝材としての応用も検討していく予定です。

開発品の性能
材 料断熱性吸音性吸放湿性住宅壁体などへの施工性
(開発品)
グラスウール×
ウレタンフォーム
スチレンフォームなど
××

4.問い合わせ先

愛知県産業技術研究所
工業技術部
〒448-0013 刈谷市恩田町一丁目157番地1
電話:0566-24-1841   FAX:0566-22-8033
担当:応用技術室 福田、太田

 

5.共同研究者連絡先

 名古屋大学大学院生命農学研究科
 生物材料工学 准教授 山崎真理子
 〒464-8601 名古屋市千種区不老町
 電話:052-789-4146  FAX:052-789-4147

 株式会社明城
 代表取締役社長 榊原勝己
 〒444-1202 愛知県安城市城ケ入町団戸173-16
 電話:0566-92-0233  FAX:0566-92-0160

 

用語説明

※1 グラスウール
 建築物における断熱・吸音材として広く用いられる、短いガラス繊維でできた、綿状の素材。吸音材としてもスピーカー等や防音室の素材として用いられています。

※2 スチレンフォーム、ウレタンフォーム
 スチレンフォームはいわゆる発泡スチロール。ウレタンフォームは、ウレタンを発泡スチロールのごとく発泡させた類似の素材。

※3 圧密木材
 スギ材などの軟質、軽量な木材を主な原料として、熱プレスなどによって圧縮することにより高密度、高強度に加工された木材。

※4 開繊
 束になった状態の繊維をほぐすこと。

※5 芯鞘型繊維
 下図(上)のように、芯の部分と鞘の部分で、異なる種類の樹脂を複合させた合成繊維。鞘の部分のみが融解する温度で熱処理することによって下図(下)の様に網目状に相互を結合することができます。ここではその性質を応用し、鞘部の融解によって植物繊維や鉋屑を連結させています。一般的な用途としては、紙おむつの一部や、障子紙、自動車の内装材の原料に用いられています。

 

芯鞘繊維の加熱による連結(模式図)

お問い合わせ

愛知県産業技術研究所 工業技術部
担当 応用技術室 福田、太田
電話 0566-24-1841
産業労働部 地域産業課
担当 技術振興・調整グループ 加藤、木津
内線 3360、3361
(ダイヤルイン)052-954-6340


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