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リハビリ支援ロボットを開発しました

[2010年1月7日]

平成22年1月6日(水)

「あいち次世代ロボットフェスタ2010」に出展します

 愛知県産業技術研究所では、肘を対象としたリハビリテーション1)(以下「リハビリ」)動作を、理学療法士に代わって実現する「リハビリ支援ロボット」を開発しました。現状のリハビリ支援機器と比べ、動作を自由に設定できるため、リハビリを行う理学療法士のように動くのが特徴です。
 今回開発したロボットは、1台のカメラと力センサ(6軸力覚センサ2))で理学療法士3)によるリハビリの動きを覚え込み、同様の動きをロボットに代行させるものです。リハビリを始めるにあたり最初に理学療法士がロボットに動作を教える作業(教示作業)を必要としますが、一度教示すれば以後は理学療法士によるリハビリと同じ動作を繰り返し再現します。産業技術研究所がこれまでに開発したロボットの要素技術を応用し、高齢化社会において予測されるリハビリが必要な患者の増加に対応するロボットの開発に取組みました。
 このリハビリ支援ロボットを、平成22年1月8日から9日までウインクあいち(愛知県産業労働センター)にて開催の「あいち次世代ロボットフェスタ2010」にて展示紹介します。

1.開発の背景

 高齢化が進む中、機械やロボットを利用したリハビリの研究が、国内外の大学や企業等で行われています。中には病院等での実証試験により有効性が確認されたものや一部製品化されたものもありますが、広く利用されるに至ったものはありません。現在、リハビリ支援機器として市販されているものにCPM装置4)があります。これは膝や肘の曲げ伸ばしなど一定の決められた動作を繰り返すだけの機器です。
 こうしたことから、より個々の患者に応じたリハビリ動作を行うため、理学療法士の動作に近いリハビリが可能な装置の実現を目指して本ロボットを開発しました。

 

2.研究内容と特徴

(1)開発装置の特徴
 本装置は、理学療法士によるリハビリの動きをカメラと力センサで検出し、同様の動きをロボットに行わせることにより理学療法士に近いリハビリを実現するものです。ロボットを動作させるためには動く経路を教示する必要があります。本装置ではカメラに取り込まれたデータからロボット軌跡データを計算するため、理学療法士はカメラの前でリハビリ動作を行うだけで教示することができます。

(2)開発装置の構成   
 本装置は動作を計測するためのカメラ、力センサと認識マーカを取り付けた装具、リハビリ動作を再現するロボット本体(マニピュレータ5))と計測およびロボット制御に用いるパソコンで構成されています(図1)。

図1 リハビリ支援ロボット

〔ロボットによるリハビリの手順〕

STEP1 教示作業

患者は装具(図2)を手に装着します。患者が椅子に座った状態で、理学療法士が装具を持ち、患者の症状に応じて肘の曲げ伸ばしや捻じりなどのリハビリ動作を行います。この動きをカメラが認識マーカを追跡することにより計測し、この情報からロボットの動き方を決定します (図3)。このとき、患者の腕に加えられる力も力センサで同時に計測します。

STEP2 リハビリ動作の再現

理学療法士に代わってロボットと装具を接続して、理学療法士の動作を再現します。

 

図2 装具

図3 リハビリの手順

(3)開発内容
 今回、ロボットに動作を教える教示方法について重点的に研究を行いました。一般的な産業用ロボットの教示にはティーチングペンダントという専用の装置を使います。これはロボットの移動先の位置を指示するもので、比較的単純な動作の教示は可能ですが、教示作業に時間がかかります。しかしリハビリ患者に応じた動作の教示にはロボットの動き方を指示する必要があり、大変な教示作業になり利用することはできません。そこで、ロボットの専門家ではない理学療法士でも簡単に、しかも短時間で教示できるカメラによる光学式教示機構を新たに開発しました。
 通常、空間的な動きを認識するためには人の目と同じように最低2台以上のカメラが必要となります。しかし、本リハビリロボットでは、使いやすさを向上するため、1台のカメラで計測可能にしました。これは図2に示すように、腕とロボットを連結する装具に認識マーカを数枚取り付け、複数のマーカからカメラがもっとも見やすい一枚を随時切り替えて計測することで実現しています。
 患者が装着する装具も新規開発しました。この装具には認識マーカ以外に患者にかかる負荷を測るための力センサを取り付けており、患者に加えられる力と腕の動きを同時に計測することができます。
 また、安全対策として、過大な負荷が患者に作用した場合など患者とロボットの接続を解除するための電磁クラッチ機構を接続部に内蔵しているほか、ロボットの表面に人と接触した場合にロボットを停止させるための接触センサを多数取り付けています。

(4)今後の課題
 医療の現場で実際にリハビリ支援ロボットとして使用していくには、安全性や使いやすさの改良、ロボットのコストダウンなどが求められることから、今後も引き続き研究を行う予定です。


3.波及効果

理学療法士の負担軽減を目的としたリハビリ支援ロボットを開発しました。また、ロボットと切り離して計測部だけでも利用可能です。加えられる力と肘の曲がり方やリハビリ前後の肘の曲がり方など、従来、理学療法士が感覚的に捕らえていた状態を角度や力の強さといった数値で表現でき、こうしたデータの変化をリハビリ前後で比較することにより、客観的な評価の難しいリハビリ効果の検証にも役立つと考えられます。(図4は計測結果からリハビリ時の腕の動きと負荷をアニメーションで表示した解析ソフト)

 

図4 リハビリ動作の解析ソフト

4.成果普及

 「あいち次世代ロボットフェスタ2010」(愛知県主催)にて展示紹介します。
 (1)日時:平成22年1月8日(金)~9日(土)10:00~17:00
 (2)場所:ウインクあいち(愛知県産業労働センター 6階展示場)
 (名古屋市中村区名駅四丁目4-38 電話:052-571-6131 )

 

用語解説

1)リハビリ(リハビリテーション)
 リハビリテーションとは、能力障害あるいは社会的不利を起こす諸条件の悪影響を軽減させ、障害者の社会統合を実現することをめざすあらゆる措置を含むものです。

2)6軸力覚センサ
 x、y、z各軸方向の力3成分、各軸まわりのモーメント3成分を同時に連続的にかつリアルタイムに高い精度で検出するセンサです。

3)理学療法士
 病気やケガのために、日常生活に支障をきたした方々に対して、基本的身体運動機能を回復させる、身体的なリハビリテーションに携わる専門職のことをいいます。

4)CPM(Continuous Passive Motion)装置
 持続他動運動装置のことです。主に膝関節の術後早期より用いられます。装置に下肢を乗せ、ゆっくりと持続的に設定された角度での屈伸運動を他動的に行うものです。関節機能回復のための治療法における有効な手段として病院などで用いられています。

5)マニピュレータ
 ロボットアームとも呼ばれます。産業用ロボットの一種で、単に産業用ロボットと言えばこのタイプを指します。人間の腕の構造に似ているため、人間の代替作業をさせる装置として最も合理的な形と言えます。 軸数が4軸、5軸、6軸のものがあり、軸数が多いほど汎用性が高くなります。

 

 

 

お問い合わせ

愛知県産業技術研究所 基盤技術部
担当 酒井、牧、山本
電話 0566-24-1841
愛知県産業労働部地域産業課
担当 技術振興・調整グループ 加藤、木津
内線 3360、3362
ダイヤルイン 052-954-6340


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