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水に溶出せずに藻の発生を防ぐ技術を企業と共同開発

[2010年2月4日]

平成22年2月3日(水曜日)発表

この成果を繊維技術講習会において発表します

 愛知県産業技術研究所三河繊維技術センターは、ティビーアール株式会社(豊川市)及び出光テクノファイン株式会社(東京都)と共同(シーズ提供型共同研究:平成20年度)で、観賞魚の水槽に藻※1が発生するのを防ぐ、環境に優しい防藻繊維製品を開発しました。
 本共同研究では、これまで主流であった薬剤等が溶出する方式に代わり、藻を防ぐ機能のある抗菌剤を繊維の表面に高濃度で付けた糸に水中の藻類を接触させ、薬剤等が溶出することなく藻の発生を防ぐ繊維を開発しました。
 防藻効果を大きくするために、2層構造(芯鞘構造)の細い繊維を製造し、これをモール状に加工して、観賞用水槽向けの防藻繊維製品を開発しました。
 この成果を2月5日(金)に蒲郡商工会議所で開催する「繊維技術講習会」において発表します。

 

1.開発の背景

 観賞魚分野では、水槽のガラス面に藻が発生すると外観が悪くなるため、藻の発生を抑える目的の様々な対策商品が市場に出ています。各種防藻剤が水中に溶出して働くものや、水中のリン成分、窒素成分を吸着することによって藻類の繁殖を抑えるものが主流ですが、飼育している生物へ悪影響が懸念されるほか、時間経過とともに防藻効果がなくなります。
 このため、環境に優しい非溶出方式で、防藻効果の長い製品が求められていました。

 

2.開発の内容と特徴

 開発した防藻繊維は、水に溶けない抗菌剤を繊維の表面に高濃度に練り込み、この繊維の表面に水中の藻類を接触させることで藻類の増殖機能を阻害するものです。この防藻技術を応用した観賞用水槽向けの防藻繊維製品を開発しました。

(1)防藻繊維の開発
 出光テクノファイン株式会社が開発した、カビ239種、菌類105種、藻類28種への抗菌効果がある有機・無機複合型抗菌剤を繊維に添加しました。
 接触型防藻方式では、水中の藻類との接触効率を高めることが非常に重要です。このため、三河繊維技術センターの紡糸技術を応用し、直径約50μmの芯鞘構造のマルチフィラメント※3の鞘側に抗菌剤を配し、表面積が大きくて接触効率の高い防藻繊維を開発しました。これにより、抗菌剤使用量を抑え、低コストで、高効率の防藻繊維を開発しました。

(2)鑑賞用水槽向け防藻繊維製品
 開発した防藻繊維を用いて、ティビーアール株式会社において高い接触効率が得られるモール状の防藻繊維製品を作製しました。

(3)防藻効果
 幅60cm水槽を用い、開発した製品を水槽上部の循環ろ過装置内に配置し、循環水を接触させ防藻効果を実験しました。
 水槽のガラス面および水槽中に設置したプラスチック板への藻類付着状況により、藻類の発生が少ないことを確認しました。
 また、プラスチック板に付着した藻類のクロロフィルa※4量を測定すると、15日を経過した時点で1/2、45日後には1/6となり、藻の抑制効果を確認できました。

 

          抗菌剤添加なし

          抗菌剤6%添加

      試験開始後19日後の藻の付着状況

3.今後の展開

 共同研究企業であるティビーアール株式会社において、商品化に向けた開発を行う予定です。また、観賞魚の分野だけでなく、水産関係はじめ他の分野へ活用する検討を進めます。

 

4.繊維技術講習会

 この研究成果を、2月5日(金)に蒲郡商工会議所で開催する「繊維技術講習会」において発表します。

開催場所 蒲郡商工会議所(蒲郡市港町18-23)
日  時 平成22年2月5日(金) 午後1時00分から
申込み先 愛知県産業技術研究所三河繊維技術センター 加工技術室

 

5.共同研究者連絡先

(1)ティビーアール株式会社(油吸着など環境浄化用繊維資材としてモール状接触材を製造)
 担 当 環境事業部 山下
 所在地 豊川市小田渕町4-63
 電 話 0533-88-2171  FAX 0533-88-6219

(2)出光テクノファイン株式会社(有機・無機複合型抗菌剤を製造)
 担 当 営業部新規商品販売グループ 三塚
 所在地 東京都墨田区横網1-6-1 国際ファッションセンタービル9階
 電 話 03-3829-0934  FAX 03-3829-0963

 

【用語解説】

※1 藻
藻類は植物の一種であり、原核から真核までの幅広い生物群が含まれており、沿岸域や湖沼でしばしば発生して問題となる、赤潮やアオコの原因も藻類の一種の植物プランクトンです。植物プランクトンは光合成によって二酸化炭素と光から有機物を合成して生活する独立栄養生物で、藻類の成長・繁殖にも一般植物と同様に窒素・リン酸・カリウムが必要です。

※2 モール(状)
組紐の芯部分に複数の細かい繊維をループ状に組みこんだ形状で、飾り紐に似た形状をしています。この特徴は、空隙率が大きいため水との高い接触効率が期待できます。

※3 芯鞘構造のマルチフィラメント
マルチフィラメントとは、複数の細いフィラメント(連続した糸)を束ねることで形成される糸のことです。今回開発したフィラメントは、特殊なノズルを用いることで、断面が芯鞘型の2層構造になっています。(写真参照)

         芯鞘構造マルチフィラメント

※4 クロロフィルa
クロロフィル (Chlorophyll) は植物が光合成の明反応で光エネルギーを吸収する役割をもつ集光色素で葉緑素ともいいます。水中のクロロフィルaを測定することにより,藻類など植物プランクトンの相対的な量を推定できます。
JIS K 0400(水質-生化学的パラメータの測定-クロロフィルa濃度の吸光光度定量)で水中の植物プランクトンの量を評価する試験方法として規定されています。
この試験方法は、試験水中の藻類からクロロフィルaをエタノールで抽出し、抽出液の吸光度を測定して計算します。

お問い合わせ

愛知県産業技術研究所 三河繊維技術センター
担当 加工技術室 原田、佐藤、加藤
電話 0533-59-7146

愛知県産業労働部地域産業課
担当 技術振興・調整グループ 加藤、木津  
内線 3360、3362
(ダイヤルイン)052-954-6340


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