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平成22年度 人にやさしい街づくり賞 講評

ページID:0038716 掲載日:2011年2月18日更新 印刷ページ表示

総評
 
第16回人にやさしい街づくり賞には、41件の応募がありました。審査委員一同、応募いただいた皆様に感謝申し上げます。
 まずは、今回特別賞に選ばれた2件を紹介します。「生協のんびり村」は、介護を要するお年寄りの住まいと人々の交流スペースなどが、何気ない地域の日常生活にとけ込むようにつくられた意欲的な取組みです。「福祉工房あいち」は、障害を乗り越えて活躍する加藤氏の信念により、困難が故に引き受け手のない自助具製作を可能にしている地道な活動です。ことさら、人にやさしい、あるいは特別という形容詞をつけるのもおかしいくらい、ごく自然な施設であり活動なのです。こうした住まいのあり方や自助具制作がなかったことが不思議なほどです。実現までの困難をものともせず、並々ならぬ苦労と努力で希望の道筋を示している点で特別賞にふさわしいものです。
 次に活動に関する受賞です。障害などで外出のままならない人々に対する出前の散髪を行なっている「福祉理美容」、災害時の要援護者への支援に備えて安全・安心な街づくりに寄与する「安城市ボランティア連絡協議会」は、日常、非日常の違いはありますが、人と人のつながりのあたたかさを思い起こさせてくれる頼もしい活動です。
 そして、ハードの整備に関する受賞です。休館となった旅館に手を加え、誰もが気兼ねなく宿泊できる温泉旅館として再生した「吉良の庄」は、これまでにないタイプのプロジェクトです。リハビリ機能を盛り込んだ公園「リフレッシュパークみらいあ」は、お年寄りの機能回復を目指したユニークな地域公園のモデルとなっています。「あいちリハビリテーション病院」は、社会復帰のための病院を「回復の丘」と見立てた本格的屋上庭園を特徴とする建物です。「西部福祉会館」は、ワークショプを積み重ね市民の意見を十分に採り入れた地域施設を実現しています。いずれも物理的環境のあり方が、お年寄りや市民の生活を快適にし、豊かさをもたらしている点で優れた取組みです。
 「安城更生病院小児医療センター」と「豊橋市保健所・保健センター及びこども発達センター・みんなのもりクラブ」は、ハンディのある子どもたちに対するやさしい眼差しを感じるプロジェクトです。小児患者の不安を軽減しながら療養生活を支援する、あるいは心身に障害をもつ子どもたちの発達環境を多様な人々の合意で形作る先駆的取組みです。
 審査のプロセスを通じて、様々な試みが着実に「街づくり」の輪となり、「人にやさしい」形や気持ちが広がっていることを強く実感しました。皆さんの「人にやさしい街づくり」リーダー役としての取組みに、あらためて敬意を表します。
(鈴木 賢一)

平成22年度 人にやさしい街づくり賞
特別賞生協のんびり村東海市
特定非営利活動法人 福祉工房あいち岡崎市
安城市ボランティア連絡協議会安城市
医療法人 仁医会 あいちリハビリテーション病院西尾市
NPO癒しの宿 福の神 吉良の庄吉良町
JA愛知厚生連 安城更生病院 小児医療センター安城市
日進市西部福祉会館日進市
特定非営利活動法人 全国福祉理美容師養成協会日進市
豊橋市保健所・保健センター及びこども発達センター・みんなのもりクラブ豊橋市
リフレッシュパークみらいあ蒲郡市

人にやさしい街づくり特別賞

生協のんびり村

生協のんびり村

              全景                        食堂でくつろぐ人たち        村民の手づくりの品が置かれた廊下

データ
所在地 東海市加木屋町栗見坂12-1
施設 地上2階 木造
延べ面積 1,365平方メートル
竣工 平成21年3月
設計 株式会社 三橋建築設計事務所

講評
 最寄り駅から歩いて数分、みかん畑や竹やぶと民家が混在する丘陵地に、無垢の木と塗り壁とウッドデッキが印象的な建物群が現れる。「生協のんびり村」である。敷地に入ると、いくつかの建物と、庭や農園などが、つかず離れずの程よい距離を保ちながら配されていることがわかる。認知症対応の「グループホームほんわか」、デイサービスやショートステイの「小規模多機能ホームおさぼり」、高齢者から若い人まで入居可の「多世代共生住宅あいあい長屋」、地域交流を促す「地域交流館おひまち」「喫茶ちゃら」「せいちゃん農園」である。
 建物の内部も無垢の木がふんだんに使われ、木組みの吹き抜けや木部の納まりなどに、地元大工さんの手仕事が活かされている。どの部屋からも、庭と周辺の風景が眺められ、時の移ろい、季節の移ろいを感じ、人も自然の一部、ともに生きるいのちであることを実感できる。部屋の壁など、あちこちに、村人の手書きの書が貼られ、手づくりの品が置かれている。この空間で、村人は、その人らしく、それぞれの生き方で、個性を生かし能力を生かして、のんびりといきいき暮らしている様子である。
 開村に至るまでには、多くの人々の協力・協働があった。生協職員と組合員と設計者によるワークショップ、組合員による木部のワックスがけ、ウッドデッキ組み立て・塗装、庭造り。そして、村人やスタッフの募集等々。さらに、開村後の地域交流を通して、多くの地域住民の方々がボランティア活動に参加している。こういった人々のつながりが、スタッフや村人をサポートする貴重な戦力となっているという。
 生協組合員のネットワークを活かしつつ、その枠を超えて、地域と一体にならんとする「まちにとけこみ、まちとふれあう」村づくりのコンセプト。その歩みとこれからの可能性を大いに評価したい。
 (松原 小夜子)

特定非営利活動法人 福祉工房あいち

特定非営利活動法人 福祉工房あいち

       万能ホルダーをつけた加藤氏 

データ
所在地 岡崎市牧平町コタラゲ13-89
発足 平成12年1月
    平成22年9月(NPO法人化)

講評
 福祉工房あいちは、自助具の制作を行なう非営利活動団体である。
 さまざまな障害を抱える人からの自助具制作の依頼に対して、事情に応じた個別の対応を積み重ねている。制作する自助具は「はしホルダー」から「衣服着脱機」まで、日常生活の何気ない場面をカバーするものばかりである。依頼者にとっては幾度となく繰り返される日常動作だからこそ、些細なことが「できなかった」辛さが、適切な自助具により「できるようになる」うれしさは想像以上に大きいに違いない。
 それを可能にしているのは、「制作できない」という常識を、「制作できる」に変えてしまう三河のエジソンこと、加藤源重さんの体験と熱意である。加藤さんはNPO法人福祉工房あいちの代表を務める。
 加藤さんは、1991年仕事中に大型機械に右手を巻き込まれ、5本の指を喪失した。つらい思いの中で「自分の右手で箸を持って食事をしたい」と、自助具を自ら考案し図面を持ち込むも、対応できる制作者がいない。それにもかかわらず自らの自助具「万能ホルダー」の制作を成し遂げる。同じような境遇に苦しむ人々に自分が体験した悔しさを味わってほしくないという制作動機は、当事者にしかわからない経験と、アクシデントと辛いハードルを乗り越えた気力によって強く支えられている。
 加藤さんによる自助具制作の特徴の第1は、障害のある当事者が活動の中心にいることである。健常者には知り得ない配慮ができることだ。そして第2の特徴は、障害にあわせて丁寧にものづくりを行なっていることである。障害克服のための自助具制作のための対話を惜しまず、つねに改良を重ねている。そして第3に、この体験と活動を通じて得た知恵を、若者に語り継ぎ、ボランティア活動として展開することで多くの人に勇気を与えていることであろう。
 一人の障害者の発するエネルギーが人にやさしい街づくりの波紋を広げており、特別賞としておおいに敬意を表するものである。 
(鈴木 賢一)

人にやさしい街づくり賞

安城市ボランティア連絡協議会

安城市ボランティア連絡協議会

  サポートブック編集会議                                  古井団地出前講座

データ
所在地 安城市赤松町大北78-4
発足 昭和62年

講評
 
本協議会は昭和62年に設立され、安城市社会福祉協議会ボランティアセンターに登録している団体のうち任意加入する48サークルで結成されている。
 本協議会においては日頃のボランティア活動を通じ、災害が起こった場合に高齢者や障害のある人など自力での避難が困難な災害時要援護者へのサポート体制が日頃と違い機能しづらくなることが予測されることから、要援護者の方々には大きな不安となっていることを把握された。
 そうした災害を乗り越えるためには、まず、要援護者の身近にいるご近所の方の支援が欠かせないとの視点から「地域で支え合うための災害時要援護者サポートブック」の作成に取り組まれた。
 作成にあたっては障害当事者の方々と何度も話合いを重ね、障害別の身体的・精神的特徴や支援にあたっての留意点のほか、地域や避難所における支援方法などボランティア活動の中で培った支援のノウハウについて、イラストを交えた丁寧で分かりやすいサポートブックにまとめられた。 
 平成22年度からは、サポートブックを活用して町内会や自主防災会等へ向けた出前講座を実施し、要援護者の支援技術や内容を分かりやすく地域へ伝える普及、啓発活動も行われていることを高く評価したい。
 これらの活動は、安城市ボランティア連絡協議会代表の太田氏を始めメンバーの方々の地域福祉活動に取り組む熱意によるものであり、今後もサポートブックの普及の他、地域での支え合いの活動が広がることを期待したい。
(野村 道朗)

医療法人 仁医会 あいちリハビリテーション病院

医療法人 仁医会 あいちリハビリテーション病院

  全景                            ホスピタルストリート                     屋上庭園での夏祭り

データ
所在地 西尾市江原町西柄1-1
施設 地上3階 RC造
竣工 平成22年3月
設計 株式会社 佐藤総合設計

講評
 あいちリハビリテーション病院は、患者が自宅での日常生活に戻り、職場での仕事に復帰できるようサポートする機能を担っている。リハビリテーションの一連のプロセスが、「回復の丘」という建物と仕組みに具現化されているのが特徴である。1階が診察とリハビリ、2階が入院病棟、最上階には屋上庭園を配置し、少しずつ家庭や職場へ復帰する過程を立体的にゾーニングしている。
 1階は、中央部を貫くホスピタルストリートを軸として、左右に診察部門とリハビリ部門をわかりやすく配置している。診察部門は、回遊性のある動線により、患者のスムーズな移動が確保された平面構成だ。2階病棟では、木のインテリア、障子を用いた間仕切り、縁側を模した通路空間を設けることで、生活する患者に安心感を感じさせるあたたかで家庭的な雰囲気を造り出している。
 さらに、最上階の屋上部分は全面的に庭園として整備しており、この施設の最もユニークな特徴となっている。菜園は、患者のみならず地域住民も栽培に参加しており、リハビリと憩いの場として機能している。地域住民も参加する夏祭りなども開催しており、特別なイベント会場として使われ、地域に開かれた病院となっている。
 日常への復帰を目指しリハビリに励む患者と、地域の人々とをつなぐ「回復の丘」は、治療から日常生活への人にやさしい架け橋として、これまでにない地域施設の姿を示している点で、街づくりに新しい風を吹き込んでいる。
(鈴木 賢一)

NPO癒しの宿 福の神 吉良の庄

NPO癒しの宿 福の神 吉良の庄

  外観                           家族風呂                      障害のある方々の作品が展示された室

データ
所在地 幡豆郡吉良町大字宮崎字寺ノ上30-1
施設 地上4階 RC造
竣工 平成22年10月
設計 伴 政廣建築事務所

講評
 
元和風旅館を改築した建物に入ると、幅広でけあげ(・・・)の低い階段とスロープが出迎えてくれる。大広間の舞台にもスロープが設置され、誰でも宴会の主役になれる。また、客室や浴室は、利用者それぞれの要望に応えられるよう、バラエティ豊かなバリアフリーの仕掛けが施されている。障害のあり様が、人それぞれ異なることに配慮したやさしさを感じる。
 とりわけ、家族風呂には工夫がこらされている。まず、浴槽は、入浴事故の危険を防ぐことができ、かつ、不意の排泄にも対応できるよう、お湯の入れ替えが容易な一人用の適度な大きさとなっている。家族はその横にある少し大きめの浴槽でゆったり入浴できる。また、車いすから浴槽へ移動するための回転椅子も用意されており、介助する人の労力が大幅に軽減できる仕組みになっている。浴室は、介助・介護する人、される人が共に癒される空間を形成している。家族風呂のうち、このようなタイプが3つ、あと1つは車いすごと入浴できるタイプである。
 さらに、館内には絵画教室や障害のある方々の作品の展示場も設けられており、それらの販売も行う予定だという。ここにかかわる人々すべてが、お互いを認め合い、育ちあうことができる場を提供したいという設置者の強い思いが感じられる。
 ハード面の整備に支えられた、やさしさを紡ぎ合う心を育てる試みが大きく広がることを期待している。
(森田 優己)

JA愛知厚生連 安城更生病院 小児医療センター

JA愛知厚生連 安城更生病院 小児医療センター

  子ども達が大好きな動物を描いた病室の扉            森のともだちをコンセプトにしたアートワーク

データ
所在地 安城市安城町東広畔28
施設 地上9階地下1階 RC造
竣工 平成22年2月
設計 株式会社 久米設計名古屋支社
    株式会社アートナウ関西オフィス

講評
 
平成22年に新設された安城更生病院小児医療センターは、中に入ったとたんにワクワクするような別世界にいざなう魅力をもっている。たくさんの動物たちや森を描いた大胆で生き生きとしたアートワークは、患者である子どもたちがつらい療養生活の中でも頑張る力を引き出すことにつながっている。窓の外から差し込む日差しをも計算に入れたアートワークは見事で、子どもも家族も癒される気持ちのよい空間となっている。その他にも、小児医療センターでは、病室をMy Roomととらえ、子どもたちが大好きな動物を目印に描いた扉、夜間眠れない子どもたちが利用できる多目的室、手術を受ける子どもたちを見守る動物キャラクター“のりぞう”、つらい処置にも動物たちがエールを送ってくれる天井など、スタッフたちの声を取り入れた丁寧できめ細やかな療養環境の改善が随所にみられる。
 “森のともだち「一人じゃないよ,一緒だよ」”というテーマのとおり,子どもたちの療養生活を家族やスタッフみんなで支える暖かな環境となっている。こうした意欲的な子どもたちの療養生活における改善事例が,他の医療機関に対する刺激となっていくことを期待したい。
(坂本 真理子)

日進市西部福祉会館

日進市西部福祉会館

  円形の中庭を配置した特徴的な建物       日本舞踊の練習をする市民サークル    

データ
所在地 日進市赤池町下郷222
施設 地上1階 RC造
竣工 平成19年3月
設計 株式会社 NTTファシリティーズ

講評
 
この福祉会館は、日進市西部にある「むつみ会館」の老朽化に伴い、高齢者の憩いの場と児童の居場所づくり、そしてそれらを含んだ世代間交流施設として隣地に建て替えられたものである。本会館の建替え計画を進めるにあたっては、市民参加型のワークショップを開催しており、特徴的なこととしては、福祉会館に対する想いを語り合うところから、基本計画・基本設計・実施設計さらに運営計画に至るまで市民、行政、設計事務所の3者によりさまざまな課題に対して継続的に検討を行っている所である。その間には、意見のぶつかり合いや、実現が難しい要求など、さまざまな場面に直面したとのことだが、参加者が納得するまで話合い、最終的には地域住民による地域住民のための福祉施設として実を結んだという印象を受ける。
 これは、岩崎台香久山の福祉会館以降、全ての福祉会館の建設において市民参加型のワークショップを取り入れるなど豊富な経験を有する日進市だからこそ、質の高い議論が実現できた結果であるだろう。
 具体的にはこのワークショップで、三角形の建物の中央に中庭を配置した特徴的な平面プランや土足による利用形態などを市民の総意により決定している。
 その他にも、カラオケルームや音楽練習室など多様な趣味に応じた部屋を配置する他、図書の貸出・返却ポストの設置や、市主催の親子教室の開催など、全ての世代の市民がこの福祉会館を利用するきっかけができるような配慮がされている。
 管理については市が行っているが、このワークショップに参加した市民を中心に、ボランティアによる草取りや、イベントの手伝い等運営面でのごく自然な連携が図られている。
 こうしたワークショップによる施設整備とその後の運営の延長として、今後も市民と共に歩み、市民に愛される地域コミュニティーの核を担う施設となっていくことを期待する。
(金田 健)

特定非営利活動法人 全国福祉理美容師養成協会

特定非営利活動法人 全国福祉理美容師養成協会

  身だしなみ講座                          ビューティーキャラバン

データ
所在地 日進市香久山1-2809
発足 平成7年
    平成19年11月(NPO法人化)

講評
 このNPO法人の代表者は、美容師の下積み時代に発展途上国からの農業研究生の髪をカットするボランティアに参加したことがきっかけで地域福祉活動に興味を持ち、理美容室を開業した1994年から、休日に高齢者施設等を訪ね、低額でカットするボランティアを始めた。そこでお年寄りと関わるうちに、きれいになりたいという想いは何歳になっても変わらず、きれいになることで自信が持て、前向きに生きられることに気づき、加齢や障害によって外出が困難な方たちのために、施設や病院への訪問理美容事業を始めた。介護現場では医療、看護、介護の専門知識が必要となるため、専門知識を持ったスタッフの育成にも取り組んでいる。平成19年11月にNPO法人化し、訪問理美容事業、訪問理美容師養成事業の他に、介護施設で働く職員に向けた整容ケア等の研修事業、障害者の就労に向けての身だしなみ講座等を実施している。
 訪問理美容の部門では、子育てをしながら働きたいと願う有資格のお母さんと、介護の場であってもプロの手で髪をカットして欲しいという現場のニーズが一致し、ワークライフバランスに配慮した働き方ができる場となっている。
 そのほかにも、地元の企業や大学と連携し実施している介護の現場でおしゃれを楽しむイベント(ビューティーキャラバン)等では、専門家、企業、学生等、多くの者と協働することで、質の高いサービスを提供できるだけでなく、そのイベントを通して協働する者がそれぞれの立場において学ぶことができる場となっていることも評価できる。このNPO法人は医療、介護、理美容のプロフェッショナルの集まりであるという自負からも、常に質の高い事業を行っていこうという意気込みが感じられ、まだNPO法人が設立されてから長い年月は経っていないにも関わらず、多くの成果を挙げており、今後のさらなる発展が期待される。 
(村居 多美子)

豊橋市保健所・保健センター及びこども発達センター・みんなのもりクラブ

豊橋市保健所・保健センター及びこども発達センター・みんなのもりクラブ

  ワークショップにより作り上げたみんなのもり         プレイルームと交流スペース

データ
(もの)
所在地 豊橋市中野町字中原100
施設 地上2階 RC造
    延べ面積 12,540平方メートル
竣工 平成22年1月
設計 安井竹中設計共同企業体
(活動)
発足 平成22年3月22日

講評
 豊橋市の保健所・保健センター、休日診療所及びこども発達センターの施設を集め、「保健・医療・福祉」の機能が一体となった「ほいっぷ」が平成22年4月にオープンした。
 市民の健康拠点づくりをコンセプトに、「つながる:市民が連携する、関係機関が連携する、情報に出会う」、「ひろがる:利用者がふえる、健康への意識が広まる、活動が始める」、「つづける:活動が継続する、施策・システムとして維持される」市民のための施設づくりが行われたものであり、様々な場面で市民が参画し協働した施設づくりが行われている。 
 その一つとして、芝生広場の「みんなのもり」において、計5回のワークショップにより広場のデザインやシンボルツリーの決定等を行い、「みんなのもり」が完成した後も「みんなのもりクラブサポーター」として約50名が登録し、花植えや水やり等に参加するなど、市民が継続して守り育てている。
 建物に関しては、こども発達センター内にあるプレイルームのあり方やおもちゃの選定等について専門家や患児の家族らが参加する検討会で議論され、障害のある子どもも遊びを通して楽しむことができるプレイルームの他、子どもの様子を目にしながら、親の相談にのることができる交流スペース等が実現されている。
 さらに保健センターで乳幼児検診を受け、こども発達センターにおいて相談や診断、さらには療養支援等のサービスを連続的に受けることもできるような機能的な配置となっているうえ、壁面に動物の絵や図形を描くことで、無機質な空間となりがちなところを、親 しみやすく和やかな時間を親子で過ごすことができる配慮がされている。
 このように、施設整備にあたって多くの市民が関わり、数々の市民の声を反映させた施設づくりが実現されている点が評価できる。
 今後の運営においても現在のサポーター制度の拡充を図るとともに、市民参加による手法を新たに取り入れるなど、市民に愛され、守られていく施設となることを期待する。
(金田 健)

リフレッシュパークみらいあ

リフレッシュパークみらいあ

  歩行訓練に役立つ飛石                  整備された公園で語らう高齢者

データ
所在地 蒲郡市栄町1190
施設 公園面積 0.38ヘクタール
竣工 平成22年4月

講評
 
この公園再整備工事は、昭和47年の海岸埋立造成に伴い設置された都市公園に隣接する蒲郡厚生館病院を運営する医療法人北辰会からの寄附行為により行われたものである。
 再整備にあたっては、地域住民や医療機関、市の担当部局、学識経験者が参加したワークショップを開催し、全参加者が平等な立場から意見を出しあい、この公園に求められる役割について検討を重ね、(1)リハビリテーション機能、(2)地域協働、(3)環境への配慮をコンセプトとしている。
 特に、(1)リハビリテーション機能は、従来の子どもの遊び場としての機能を重視した公園から、高齢化に対応し屋外でのリハビリテーションの場とすることに重点を置いたものであり、歩行訓練に役立つ飛石や砂利園路、昇降運動をするための階段や手すり、車いす利用者対応のテーブル設置等がされていることが特徴的である。
 また、(2)地域協働として、ネーミングライツやアダプトプログラムの導入により約100名の会員がボランティアでゴミ拾いやトイレ掃除、植栽管理を行っている。(2)環境への配慮として、伐採した木をチップにして再利用する他、公園内の落ち葉をエコスタックとして積み重ね、腐葉土とし公園内の花壇等で再利用がされている。
 さらに、この整備により、親子連れやペットの散歩、高齢者の散歩や近隣住民グループのグランドゴルフでの交流等、また、公園に隣接する共同住宅の住民がガーデニングスペースの樹木の手入れや花植えなどを楽しみながら手入れをする等、多様な利用がされるようになっている。
 これらのワークショップでの検討、そこで決定されたコンセプトの実現化、さらには地域住民との協働による公園運営等、地域協働型の公園整備と運営の手法は大変評価でき、これらの手法が各地に広がっていくことを期待する。
(金田 健)

問合せ

愛知県 建設部 建築担当局住宅計画課 街づくり事業グループ
電話:052-954-6590
E-mail: jutakukeikaku@pref.aichi.lg.jp