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直下型地震と活断層

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I 活断層と地震
   兵庫県南部地震は、淡路島北部及び神戸市付近の活断層が引き起こした「内陸直下型地震」である。本県内にも、多くの活断層が存在している。

1 地震の原因とタイプ
(1) 地震の原因
      地震の原因は、岩盤に蓄積されたひずみエネルギーであり、地震は、このエネルギーが岩盤の破壊強度を超えたときに断層を動かし、破壊の過程で放出された衝撃波が地表にまで達して地震動(揺れ)を起こす現象である。
   地震の発生には、断層の活動が大きく関わっており、「活断層が動くことによって地震が起きる。」と表現することもある。

(2) 地震のタイプ
    日本付近で発生する地震は4タイプに分けられる。

海洋部
     深部のプレート内地震  ・・・  
     浅部のプレート内地震  ・・・  
     プレート間地震        ・・・  

内陸部
     プレート内直下型地震  ・・・    

 最近の大地震の震源分布と地震のタイプ

 
   海洋部の地震は、海洋のプレート注1が内陸のプレートに沈み込む際に発生する地震であり、は釧路沖地震(1993)、は北海道東方沖地震(1994)、は三陸はるか沖地震(1994)・想定東海地震などである。 の内陸部の地震は、内陸部のプレートの浅い箇所で発生する地震であり、震源域が都市部に近接している場合は、直下型と通称される。兵庫県南部地震(1995)、濃尾地震(1891)、三河地震(1945)、福井地震(1948)などがある。  


注1 プレート
   地球表面を覆う板状の地塊で、地球表面を約20枚で構成する。それぞれのプレートは相互運動をしている。海嶺、海膨と呼ばれる海底の山脈で生成され、海溝で地中に沈み込む。
最近の大地震の震源分布と地震のタイプ
最近の大地震の震源分布と地震のタイプ
(朝日新聞社、1995)

(3) 活断層と地震断層
   活断層とは、第四紀(約200万年前)から現在までの間に動いたとみなされ、将来も活動することが推定される断層のことをいう。
   地震は、震源で破壊が発生し、断層が成長しながら破壊領域が広がっていく。この破壊領域全体を震源域といい、この断層面を震源断層と呼ぶ。地震断層(地表地震断層)は、地震の際に地表に現れた断層のことをいう。震源断層が地表までに達していないが、その上の堆積層が曲がった撓曲(とうきょく)などの形態となる場合もある。

(4) 活断層と地震の規模
  内陸地震の規模(マグニチュード=M)と活断層の長さ(L)には対応関係があり、地震の規模(M)と活断層のずれ(D)にも対応関係がある(松田、1975)。
logL=0.6M-2.9
logD=0.6M-4.0
  ただし、L:活断層の長さ(km)
     D:断層の地震によるずれ(m)
     M:地震の規模(マグニチュード)

 これによると、活断層とマグニチュード、ずれの大きさには、概ね次のような対応関係がある。
活断層の長さ km 80 40 20 10
マグニチュード 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0
断層のずれ m 6.3 3.2 1.6 0.8 0.1




2 断層及び活断層の種類
  断層とは、一つの面を境に二つの岩体が相互的にずれている現象であり、この境界面を断層面、断層面が地表に現れた線を断層線という。
  断層の変位は、断層面の走行方向(横ずれ成分)と傾斜方向(縦ずれ成分)の2成分に分けられ、縦ずれ成分が大きければ縦ずれ断層注2、横ずれ成分が大きければ横ずれ断層注3と呼ばれる。
 活断層、活動的な撓曲注4・傾動などを総称して活構造という。


縦ずれ断層
 
横ずれ断層
 
断層の種類(松田、1995)


縦ずれ断層
 
横ずれ断層
  断層の種類
注2 縦ずれ断層  正断層:断層の上盤が相対的に傾斜方向にずり下がったもの
 逆断層:その逆で、断層の上盤がずり上がったもの

   
注3 横ずれ断層  左ずれ断層:断層をはさんで反対側のブロックが左へ動いたもの
 右ずれ断層:その逆向き、つまり右へ動いたもの

   
注4 撓曲(とうきょく)    地表が厚く水平に堆積した地域で、基盤が上下に変位した場合、その境界にそって断層が生ぜず、地表がたわむ現象     


3 活断層の確実度・活動度・活動間隔
(1)  活断層の確実度とは、活断層の存在の確かさをいい、空中写真判読の結果をもとに、確実度I(活断層の存在が確実なもの)、確実度II(疑いがあるが基準地形がないなど、決定的な理由がないためにIよりは確実度が低いもの)、確実度III(活断層以外の地質現象も考えられ、可能性が小さいもの)の3つに区分する。
(2)  活断層の活動度とは、活断層の活動の程度をいい、過去の平均変位速度(s)で表し、1,000年間あたりの変位量を、1mと10cmを境に、A,B,Cの3ランクに区分する。
平均変位速度による活断層の活動度の分類(松田、1975に加筆)
活動度の分類 第四紀の平均変位速度s(単位はm/1000年)
10>s≧1 1>s≧0.1 0.1>s≧0.01
根尾谷断層 養老断層 深溝断層
変位地形 明瞭 明瞭 不明瞭
(3)  活断層の活動間隔、すなわち地震の発生間隔(再来周期)は、平均変位速度が早いほど間隔は短く、平均変位速度が同じならば、断層の長さが長く、発生する地震の規模が大きいほど活動間隔は長くなる。A級、B級の典型的な活断層の平均活動間隔(地震の再来周期)は、次のように推定される。
ランク 長さ 平均変位速度 活動間隔 (マグニチュード)
A級 80km 5mm/年 1,300年 (8.0)
B級 20km 0.8mm 2,000年 (7.0)

(活断層研究会、1991より作成)

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