安城市高棚町自主防災会(あんじょうしたかたなちょうじしゅぼうさいかい)

安城市高棚町自主防災会は、平成18年度より発災型対応防災訓練を行っており、平成22年度には、災害時要援護者マップを作成するなど、地域の防災力向上に努めています。

そんな、安城市高棚町自主防災会会長の江川さんにお話を伺いました。


 (写真:中央が会長の江川さん)

高棚町自主防災会の組織について教えてください。

高棚町自主防災会は、高棚町だけで組織されているため、1町内会しかなく、町内会長が自主防災会会長を兼任しています。

総務部、防火部、救出復旧部、救護部、避難誘導部の5つの部から構成されており、総務部は、町内協議会の協議員と協議員OBが自動的に入ります。協議員の任期は2年となっており、2年間は総務部に所属し、OBも入っていますから、職を辞してから5年間は、総務部の部員になっています。防火部は、消防団と消防団OBで構成されており、消防団全員が防火部の実働部隊で、消防団を降りた方が、消防団OBとして入っています。毎年、5人入れば、OBの中の一番古い人が5人抜けていくというかたちです。救出復旧部だけは、消防団OB、営農組合、建設関係、一般となっており、本人の申し出がない限り続いていき、大きなメンバーの変更はありません。救護部も同様に大きな変更はなく、避難誘導部は町内会のブロック長が兼ねており、任期は2年です。

地域の特徴を教えてください。

高棚町は碧海台地上にあり、周辺に農地があって、村として固まっていたので、塊になっている塊村(かいそん)といわれており、地域、住民の結びつきが非常に強いところです。昔から1町1個。高棚町で、高棚小学校、JA、保育園、駐在、郵便局が1つでした。今は2つありますが、病院も昔は1つと塊村の中にまとまっています。

いい点としては、まとまる時には、すぐにまとまります。地域の結びつきが強いので、何をやるにしても、何を作るにしても応援してもらえます。

昔と比べての変化等がありますか。

住人は、もともと地元の人が多数です。その中に新しい方たちが転入してきて、家を建てられますが、100%近く、町内会に入っていただいています。町内の役員は自分が退く時に新しい人を選びますが、新しく転入してきた方を勧誘して、最初に入ってもらうようにしています。そうすると高棚のことがよくわかってもらえるからです。例えば、消防団が典型的な例で、転入してくる人は30台前後の若い方が多いので、まず、消防団に入ってもらい、高棚の住民の中に溶け込んでもらえるようにしています。消防団に入った方は、最初は嫌だなと思っても、やってみると皆さんとよく知り合え、町内のことがよくわかって良かったという方がほとんどだと思います。

防災マップについて教えてください。

防災マップは平成18年度に作りました。どのようなものかというと、どこの家がどこから出入りができて、消火器がどこにあって、一次避難場所となっている集合場所がどこか示したものです。これをラミネート加工して全家庭に配布してあり、一次避難場所まで、防災マップを持って皆さんが集合することになっています。

平成22年度からは、この防災マップの中に要援護者がいる家には要援護者マークをつけるようになりました。

町内自主防災訓練について教えてください。

防災訓練自体は私が知っている限り平成14年度から行われていましたが、現在のような発災型対応防災訓練を高棚小学校で集まって一斉に行うようになったのは、平成18年度からになります。平成22年度は8月29日に行いました。

発災型対応防災訓練とは、ある程度、けが人も搬出方法等の状況を設定した上で行う訓練です。通報をもらって、そこから実際に出動して、救護部が、けが人が発生した場合の搬送訓練、救出復旧部が、倒壊家屋の救出訓練、防火部が消火訓練を行いました。

    


(写真:けが人の搬送訓練)   (写真:倒壊家屋の救出訓練)


(写真:災害対策本部)     (写真:バケツリレー)

                    


(写真:放水訓練)          (写真:炊き出し)

この訓練は町内会独自で行っているものであり、他の団体と連携等は行っていません。

住民の参加率については、各世帯に配布されている防災マップにある班別集合場所までの参加率は、持家の人1,036軒のうち88.8パーセントにあたる920軒であり、ブロックによっては100パーセントのところもあります。班別集合場所までの避難訓練、安否確認、要援護者の安否確認は町民の全員に参加してもらいますが、班別集合場所から高棚小学校までは、総務部や防火部、救出復旧部、救護部の役員を始め、避難誘導部となっている各ブロックの班長や有志が参加することになります。小学校では、消火器の使用訓練、バケツリレー、AEDの使用訓練を行いました。

特に、各ブロックの班長は毎年変わっているので、小学校での訓練には初めて参加して、訓練を体験することになります。

この訓練を行うことで、どのような効果がありましたか。

訓練の効果は継続することだと思います。毎年多少訓練内容を改善していますが、同じことを繰り返し行っています。毎年やっていくという訓練の継続に大きな意義があると思っています。

それぞれ人が変わっていって、1回訓練を経験した人は記憶に残っていくと思うので、町内の自主防災力の継続という面でも大きな意義があります。

この訓練から、どのような課題が出てきましたか。

どういうものを訓練に取り入れて、改善していくかという工夫が課題です。また、全員が毎年訓練を経験できません。各班13人から14人いますから、それぞれ班長の時に1回経験するので、13年から14年で1回は経験できます。

毎年訓練を行うことで、新しい経験者が生まれ、10年やれば町内のほとんどの人が訓練を経験したという姿を狙っています。レベルとしては低いかもしれませんが、自主防災力のアップになるのではないかと思っています。皆が無関心ではなくて、1度やった、今度はあなたたちの番ですよと反省しながら、改善して、新しいものを追加して訓練を行っていこうかと思っています。

その他、防災に関して何か取組をされていますか。

中学生防災教室を年2回行なっています。平成22年度は、8月11日と12月19日に高棚町公民館で行いました。今年度で3回目になりますが、中学校1年生が部活動の試合などで来られない生徒を除き全員の40名と2年生のうち出席希望の4名を含めた44名の参加がありました。昨年度までは1年から3年までの参加希望者のみで、主に3年生が中心でした。

内容は、消防署の方を講師に招き、普通救急救命講習を行い、その後自主防災会が担当して、非常食を中学生に昼食として食べてもらうというものです。

参加した生徒には、講習受講者証を配布しました。

また、ホームページを作成しており、その中で「高棚町内ニュース」を発行しています。平成22年9月1日号では、自主防災訓練の様子も紹介しています。

ホームページのアドレスはこちらです。

http://www.katch.ne.jp/~takatanatyo/PAHP/PAHP.html

自主防災会の平常時の活動として、救出復旧部は防災資機材の点検を行っており、救護部については、毎月定例で第2火曜日に救護部会を行なっています。救出復旧部も、安城市の防災危機管理課の人に来てもらってDVDを見るなどの講習を行っています。

総務部は訓練を行うための打ち合わせが全体で2回ぐらい行うほか、あと各部で講師を呼んで研修等を行っています。

自主防災会としての課題、今後の活動の力点、抱負等についてお聞かせください。

新しい資機材も取り入れた訓練も必要かと考えています。2年前からAEDの講習も行っていますが、平成22年度に小学校へ簡易トイレも入ったので、簡易トイレの組立訓練を行うことも考えています。

避難所開設訓練も前から話題になっていて、やるべきだと考えていますが、自主防災訓練の日に同時にやることはなかなか難しいので、避難所開設訓練を小学校や安城市と一緒になって行えたらいいと思っています。

大地震の発生で、ライフラインが損傷した場合、まず復旧するのは電気で、水道の復旧は後になると思っています。以前に、町内で井戸のある家庭を調べたら、かなりあることがわかりました。今は使っていませんが、それをどのように活用したらいいか、これから考えていければと思っています。

(平成23年1月18日 高棚町農民センター)

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