知多市岡田防災会は、平成24年度防災貢献団体として表彰を受けました。


−知多市岡田防災会が結成された経緯を教えてください。

 昭和53年に行政の指導のもとに、行政区単位の自主防災会組織が結成されました。平成17年になり、小学校区単位の岡田コミュニティと合流し「岡田コミュニティ防災会」として活動することになりました。平成22年度に「岡田防災会再編」をテーマとして知多市コミュニティ活性化委託事業へ申請し、採択されました。早々に検討委員会を立ち上げ、”将来にわたって機能する組織”に改善するための検討をし、平成22年9月に再編した岡田防災会の発足会を開催しました。
 主要な改善点としては、防災専門委員会の設置、隣組毎に防災係の新設、防災台帳を整備して防災チェックカードを作成するなどです。以降、現在まで再編された新体制で試行錯誤しながら改善を積み重ねている状況です。


−活動されている地域にはどのような特徴がありますか。
 岡田地区は知多半島の伊勢湾側に位置する知多市の中央に位置し、世帯数約2,800戸、人口約8,000人の地区です。 
 400年前の文化、寺社等が残り、近年には知多木綿の産地として栄えた歴史に溢れ、地形的には四方が丘陵地に囲まれ起伏に富み、街中を石小川が流れる美しい景観のあるまち並みを有しています。反面、坂道が多く道は狭く崖が多いという居住環境とも言えます。一方公共交通はバスのみで、近くの名鉄駅までバスで行く事になります。従って外部との交流は近年になるまでは少なかったですが、その分隣近所との繋がりがとても強くゆったりとした静かで安全な住みやすい街でした。近年は経済活動の拡大に伴い都市化の波が岡田にも影響しております。宅地の整備や農地の改良整備が進展し、人口の流入現象が顕著になり、住民の生活環境は大きく変化しています。昔からの行政組織である“隣組”の構成員も様変わりし、コミュニケーションの場を積極的に増やしていく事が必要になってきたと思われます。現在岡田地区には約100の隣組があり、隣組長を中心にしたコミュニティ活動を展開しています。
 災害が発生した場合の自主的相互支援活動を推進する力はこの隣組の団結力に頼るところが大きく、平常時よりおまつりや、盆踊り大会、運動会などの各種コミュニティ活動(防災会活動もその中の一つ)を通して隣保共同の精神が醸成されています。


−岡田防災会にはどのような組織がありますか。

 平成22年に再編成された組織を以下に示します。岡田コミュニティの役員が会長、副会長、書記、会計などの本部役員を兼任しております。各地区防災会の防災長には、各地区選出のコミュニティ役員が就いています。岡田は行政上7地区に分割されており、防災会も同じ7地区に分割して活動しています。防災係は隣組単位に、15〜20世帯に1名の割合で選出され(総数約150名)、各地区の専門分野を担当する事としています。災害発生時は地区防災長の指示で活動を行います。
 岡田防災会の特徴の一つである防災専門委員会は、防災専門委員長と地区防災長(7名)、防災分野責任者(6名)の計14名で構成されています。役員会委託事項(防災計画等)の検討と関係機関との情報交換・交流により防災・減災知識の普及を図る職務を担当しています。防災専門委員長、防災分野責任者は、各分野に精通した人を選んで防災会会長が指名し、任期は2年のコミュニティ組織とは分離して複数年とし、退任後も2年間は後任の支援をする事にしており技術の伝承と向上を図っています。隣組防災係では、任期は1年間ですが後任者支援のため1年間協力をお願いして、防災会活動の継続性を保っています。
 再編時に設けた仕組みの一つに“協力会”の支援があります。岡田地区内の建設関連事業者に可能な範囲での防災会支援をお願いしています。



−岡田防災会の主な活動内容を教えてください。

年間の行事予定は次の通りです。

 ●防災係説明会開催

 年度初めに新防災係に年間行事計画と防災係の役割について説明。
特に災害時における防災係の行動及び防災グッズの取り扱いについて
説明する。防災係同士の顔合わせも兼ねての集会となる。


 ●専門分野研修会を年3回開催
 災害時の会員の安否確認要領の講習を主題として専門分野(情報、
消火、救出・救護、避難誘導、給食・給水、警戒)に必要な訓練を実技中心に実施する。

 例えば次のような訓練を市防災安全課、消防本部、社会福祉協議会等の支援を受けて実施しています。
 ・AEDによる心肺蘇生法
 ・担架、車椅子の扱い
 ・炊き出し(ハイゼックス)
 ・飲料水確保(飲料水用兼貯水槽の手動ポンプの扱い)
 ・発電機操作と照明器具の扱い

 ・震災対策用資機材の扱い
 ・テント設営

 ・防災行政無線の取り扱い
 ・可搬式ポンプの扱い、消火器操作
 ・非常食確認
 
 ・集団避難

 ●防災訓練
 年1回岡田地区全体で半日の予定で防災訓練を実施する。同報無線で“震度5強の地震発生“を放送し、防災訓練を開始する。
 各戸を訪問し安否確認をしたり、避難誘導、避難者確認等分野別研修会で身につけた内容を実地で確認するという実践的訓練になるように努力している。

 ●防災台帳関係
 防災台帳は会員各戸ごとに提出され、記載内容は家族構成、支援要否、本人データ(職業経験、資格、特技)、避難場所などである。
・2年毎に防災台帳を更新し最新のデータで安否確認を実施する。
・常時防災会入会者を受け付けて防災台帳を管理する。(個人情報管理)


 ●講演会の開催

 防災専門家や先進地域の経験者等に講師をお願いして、年一回を目標に開催し、会員の意識向上を図っている。 

 ●その他(不定期)
・平成22年に作成し、各戸に配布した防災マップの見直し
・先進防災会との交流
・防災係活動マニュアルの見直し


−活動をするにあたり、課題や問題点はありますか。


防災会の仕組みの周知、防災・減災意識の維持向上を図る。
(防災係・防災訓練体験者の早期増大)
行政関連組織(民生委員、学校等)との連携の仕組みづくりと
防災訓練の実施
資機材整備の限界(資金的、場所的)
(災害時の一時集合場所に最低限必要な備品(倉庫)が無い。)


−今後、どのような活動を行っていく予定ですか。

・岡田地区での災害の想定と対応検討
(岡田地区の特異性(崖が多い、石小川氾濫、道が狭い等)を考慮した自然災害対策の検討)

・会員の高齢化を考慮した防災活動の検討
・防災会会員の拡大




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