瀬戸市山口連区自治会(せとしやまぐちれんくじちかい)

瀬戸市山口連区自治会は、自主防災リーダー制度や、山口もーやっこ祭での防災啓発、防災マップ(看板)を作成するなど、地域の防災力向上に努めています。

そんな瀬戸市山口連区自治会会長の山田さん、副会長の大津さん、防災協議会会長の加藤さんの3人にお話を伺いました。


 (写真:左から加藤さん、山田さん、大津さん)

山口連区自治会の組織について教えてください。

山口連区は19町で構成されており、19名の町内会長が自治会の役員になります。自治会長と副会長は13名からなる選出委員会から選ばれます(正副会長2名、正副会長経験者6名、町内会長代表5名)。山口連区自治会の組織の中に防災協議会があり、自治会長とは別に防災協議会の会長が選ばれます。準備段階を経て、平成18年度から防災協議会が正式に立ち上がりました。

防災協議会は、会長の他に、副会長、会計、防災リーダー、そして19名の町内会長と、各町内から選ばれた19名の防火防災委員で構成されています。防災リーダーについては町内会の他の役員は兼務していません。

地域の特徴を教えてください。

この山口連区はかつて山口村と言われていましたが、明治39年に幡山村になり、その当時は約300世帯で、昭和30年代まで、ほとんど変わりませんでした。昭和30年に瀬戸市と合併し、昭和39年に農業用の土地改良が行われて以後、昭和45年には約600世帯、昭和50年代に入ると、アパート等が乱立して一気に世帯数が増え、昭和50年に約900、昭和55年に1300、昭和60年に1700、そして、現在は3400世帯あります。そのうち自治会に加入しているのは2400世帯になります。

自治会に加入していない1000世帯は、アパートの住人や単身世帯がほとんどです。この地区には、南山大学があり、近くには愛知県立大学、愛知工業大学があるので、アパート、学生寮がたくさん出来きましたが、なかなか自治会には入ってもらえません。

そのため、土地柄は新旧住民が混在する地域ですが、わりと古いしきたりみたいなものも残っています。

防火防災委員について教えてください。

防火防災委員については、いつごろからあるのか記憶にありません。少なくとも20年前にはありました。ずいぶん前からある制度です。町内会長から推薦されますが、前の方が次の人を選ぶなどしています。各町内に1名ずつの19名です。この人たちの任期は1年ですが、来年も再来年もやってということで、ずっとやっている人もいます。

防火防災委員は防災リーダーの方といっしょにいろいろな活動をすることになります。防災訓練や、町の消火器の点検、安全パトロールに参加しています。

自主防災リーダーについて教えてください。

自主防災リーダーは正式には18年度からできた制度です。自主防災リーダーも防火防災委員と同じように町内会から選ばれてきます。現在、40名の自主防災リーダーがおり、任期は3年です。3年間自主防災リーダーを経験するとOBになりますが、このOB会が平成22年度発足し、自主防災リーダーのOBが22名います。

自主防災リーダーは、ふだん防火防災協議会として活動しています。山口連区は、消防団も全体の防災訓練の時には出てくれますが、防災リーダーも中心になっていろいろな講習会を行っています。防災リーダーが消防団員と同じようなことを行うだけの力をつけてきていると思います。

自主防災リーダーの研修会としては、4月に防災資機材の点検といっしょに、小型動力ポンプの取扱い講習を行っています。また、防災訓練等では、新任の自主防災リーダーに訓練を担当してもらう必要があります。そのため、瀬戸市にある12の消防団のうちの幡山分団にお願いして、消防署の南分署、これが近いところ(山口地区)にありますので、そこで、応急救護訓練(担架の作成、応急手当)、初期消火訓練(水バケツの搬送法や、天ぷら鍋に火が入ったときの消火法)、倒壊家屋からの救出訓練、水防訓練(土嚢の作り方と積載方法)、このあたりを消防団の方にみっちり教えてもらっています。この研修は、新任の自主防災リーダーが対象ですが、新任だけではなく、2期目、3期目の方も参加しています。

毎年行なわれている「山口もーやっこ祭」での活動について

「もーやっこ」とは、このあたりの言葉で、みんなで一緒に何かをやろう、共有という意味合いです。瀬戸市において地域力の向上ということで、各種団体がみんないっしょになってやろうよということで、始まりました。

もーやっこ祭はいつから始まったかというと、ちょうど平成12年の時に、平成17年の愛知万博のこともあって、それなら皆でお金を出し合ってやろうということで、自治会が先頭になって、各種団体や、公民館、まちづくり協議会、社会福祉協議会等が一緒になって始まりました。

夏祭りの盆踊りはもともと公民館が担当していたのですが、盆踊りにいろいろなものをくっつけようということになりました。盆踊りは昭和20年代初めから行っているので、それを続けてきたということになります。

平成22年度は8月7日に行われ、祭り当日、子どもを含め約3000人が参加してくれました。

防災協議会は祭りの企画段階から入り、当日は起震車による地震体験、煙体験ハウスによる煙道体験を行いました。公民館は盆踊りを担当し、まちづくりはバザー、社会福祉協議会は児童や高齢者のイベント、紙芝居や高齢者の休み処を作ったりしました。その他、婦人防火クラブ、消防団、保健推進委員にもイベントの中に入ってもらいました。

平成22年度は、平成12年に始めてからちょうど10周年ということもあり、三ケ日町から手筒花火を呼んで行いました。

                    

他に連携して行った団体等はありますか

この祭りには、市役所、公民館、社会福祉協議会、婦人防火クラブ、消防団、保健推進委員のほか、幡山東小学校金管バンドやトーチトワリングも参加しました。それから、幡山中学校の生徒が、クラブ単位30名ほどで参加してくれて、それぞれのブースでお手伝いをしてくれたり、バザーで売り子などしてくれました。あわせて南山大学に聖南祭という組織があり、その学生が20〜30人来てくれて、いろいろなお手伝い等をやってくれました。ただ、南山大学の学生は、全員がこの地域の学生ではありません。たまたま今年はリーダーがこの近くの菱野団地に住んでいる学生だったので、みんなを連れて町の中へ飛び込んでいってくれました。南山大学は、地域とのつながりを非常に大事にしていて、自治会も協力させてもらっています。

この活動を行うことで、どのような効果がありましたか。

もーやっこ祭の効果といえば、それぞれの団体の人たちが、それぞれお互いを理解できるということと、地域が一つになることが大きいのではないかと思っています。こうしたことが、必ず防災につながっていくことだと考えています。

この活動から、どのような課題が出てきましたか。

課題といえば、こういうイベントになかなか出られない人たち、もーやっこ祭に参加してくれた人以外の地域の人たちがもっと集まれる方法を考えていかなければいけないと考えています

山口連区地域防災訓練について教えてください

山口連区全体の訓練は、平成18年から行っています。全体訓練を毎年9月に1回行っていますが、平成22年度は、残念なことに雨で中止になってしまいました。全体訓練以外に、19町のうちの5町内単位で防災訓練を年に2回行っています。平成22年度は、7月25日に行われ、2月20日にも行われる予定です。

5町内単位の防災訓練を年2回行っているのは、訓練会場に500名以上集まると会場の広さや、対応する自主防災リーダーの人数の関係もあり、それぞれの訓練を行うことができません。訓練の参加者には、実際に訓練に参加してもらい、体験してもらう必要があるので、5町内を集めて、少人数で、子どもたちもいっしょになって、訓練を体験してもらっています。

地域防災訓練では、町内から会場までのロープを引っ張っていく避難訓練、初期消火訓練、応急救護訓練、救出訓練、水防訓練、あと幡山の婦人防火クラブに炊き出し訓練をお願いし、天ぷら油の火災消火訓練、火が入った場合にどうしたらすぐに消火できるかといった訓練を行っています。

また、瀬戸市の消防団は赤バイを持っているので、赤バイ隊(瀬戸市消防団緊急消防自動二輪車隊)による情報収集訓練、これはPRも兼ねて実施しています。

平成22年度は連区全体の訓練が雨のため出来ませんでしたが、昨年度は、山口全体で500人ぐらいの参加がありました。


(写真:担架搬送訓練)      (写真:バケツリレー)


(写真:水消火器訓練)     (写真:フライパン消火訓練)

この訓練の効果は何ですか。

少しでも、訓練に携わったということと、実際の訓練を見て、あーそうかと納得する部分と、こんなことをやっているのかとびっくりする部分があると思います。そういった気づきの部分での効果は大きいですし、実際に参加しないと分からない部分です。実際、どんどん参加してもらうことで防災意識を高めていくしかないと思います。

山口連区防犯防災マップ作成したきっかけは何ですか。

東海地震・東南海地震の発生の危険性があるとともに、この地域の近くには猿投山北断層があります。また、江戸時代には洪水により多くの人命が奪われた山口川が、最近のゲリラ豪雨にみられるように、いつ氾濫するとも限りません。そこで、防災をやろうという気運が高まり、その時に何をやったかというと、避難場所をどこにしようかとか、飲み水に使っている井戸はどこか、家の後ろに崖があるような危険箇所はどこかを、自主防災リーダーや防災の役員が回って、全部調べました。山口地区を何分割化して作り、紙の防災マップを町内に全戸配布しました。

ところが、住民に聞いてみると、防災マップをどこに貼ってあるのか、ほとんど分からない状況でした。

そこで、瀬戸市の防災課に、防犯防災マップの設置をやらせてもらえないかと相談したところ、是非やろうということになりました。


(写真:防犯防災マップ)

それはどのようなものですか。

掲示板を見るという習慣は今の人はあまりないと思いますが、まだ、この地域はそういうところが残っています。防犯防災マップには、右側に掲示板の部分もついているので、各町内の行事連絡等に利用してもらっています。マップは、シールで表示を追加したり、変えられるようになっています。

防犯防災マップの看板は、どのような効果がありましたか。

自分の町内の消火器の位置、一時避難場所、子供110番の家、井戸、危険個所等、そのマップをみればどこにあるか確認はできるかと思います。

他の団体等との連携はありますか

事業所との連携では、今年度はありませんが、昨年度は成田製陶所さんが自社防災をやっているので、そこといっしょになって訓練を受けたりとか、お手伝いをいただいたりとか、企業と地域が一体になってやろうということで、2年続けてきましたが、今後は別のところとも連携ができればと考えています。


  (写真:町内防災訓練の様子 成田製陶所中庭)

自主防災会としての課題、今後の活動の力点、抱負等についてお聞かせください。

まず、家具の転倒防止について、今後やっていかなければいけないと思っています。今後自主防災リーダーを中心に、地域でどれだけやっていけるか調査もしながら是非進めていくような方法を取れないか検討しています。

次に、自主防災リーダーに年配の方が多いので、若い人を含めて更に増やしていくことが必要だと考えています。

最後に、山口連区で独自に消防団を作れないかと考えています。かつては、この地区にも消防団がありましたが、昭和30年代で無くなってしまいました。現在山口地区にも10名ぐらい消防団員はいますが、幡山分団の所属です。なぜ、この地区で消防団が無くなってしまったかというと、かつては、小さな陶器屋、いろいろな中小企業があったのですが、無くなって全部サラリーマンになってしまい、すぐに消防団員として出て行けるような若者がいなくなってしまったからです。その結果、現在は自主防災リーダーの方たちに消防団員の補充としてやってもらっている部分があります。

(平成23年1月21日 山口憩いの家(山口連区自治会事務所))

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