武豊町北山区自主防災会は、平成23年度防災貢献団体として表彰を受けました。


−北山区自主防災会が結成された経緯を教えてください。


 行政からの要請に基づいて、毎年選ばれる北山区の新役員で「北山区自主防災組織表」を作成していましたが、実態は名前だけの組織で、活動は年に一回、町主催の総合防災訓練に役員のみが参加していました。
 北山区の地域活動として、以前からソフトボール大会や運動会、盆踊り大会、文化展などのコミュニティ活動が行われていましたが、10年ほど前に実施された土地区画整理事業によって新興住宅地ができるとともに、急激な人口増加となり、地域の人と人との交流がやや疎遠となり、また地域環境も大きく様変わりしてきました。
 この環境変化と、平成16年に当地域も東海地震に係る地震防災対策強化地域に指定されたこと、東海・東南海・南海地震が連動して発生する可能性、区の実情と広さなどを考え、万一大きな被害を受けたときに、「自分たちの地域は自分たちで守る」ための実働自主防災組織の必要性を感じました。
 
地域防災に関心をもっている人を防災委員とし、区役員、民生・児童委員、婦人会、子供会役員、防災リーダー修了者など男女10名で始めましたが、現在は41名(うち女性14名)にまで広がりました。
 当初は委員間で防災に対する共通認識を持つための防災勉強会から始め、地域の環境変遷状況などの資料調査などを基に、区民が地域防災に対して関心を持つように啓発活動を行ってきました。
 活動を継続していくために、毎年の北山区役員と過去の役員経験者に防災委員会への参加を呼びかけるとともに、区内でそれぞれの地域ごとに防災・減災活動に繋がる自主防災組織活動を進めます。


−活動されている地域にはどのような特徴がありますか。

 私たちが居住する北山区は、知多郡武豊町の北部に位置し、地域の西側が常滑市、北部が半田市に隣接しています。た土地区画整理事業によって急激に人口が増加し、現在では1,300世帯を超えるまでになり、武豊町内18区の中で最大規模の自治区になりました。
 人口が増加したとはいえ、広大な地域内には山林や農地なども多く、夜間は暗い場所が多くあります。また、急激な人口増加によって、地域の住民は従来からの農家や酪農家に加え、サラリーマンが約9割を占めるまでになり、お互いに見知らぬ人たちが隣組となったため、近隣とのコミュニケーションが十分とはいえません。そのため、大規模な災害が発生したときに互助・共助活動が有効に働くのか、早期に地域の災害対策や被害の拡大防止が図られるかが懸念されます。




−北山区自主防災会にはどのような組織がありますか。

 

−北山区自主防災会の主な活動内容を教えてください。

●防災世帯台帳の作成・更新
 平成17年に従来の家族構成を把握するだけの「世帯台帳」を見直して、家族構成に加えて災害発生時に利用できる情報(一次避難所の位置、要介護の有無、防災活動に役立つ資格・技術など)を記入できるように様式を変更した「世帯台帳兼自主防災台帳」を作成しました。
 平成22年には、「世帯台帳兼自主防災台帳」作成から5年が経過したので、その間に発生した変更内容に基づいて書き換え更新を行いました。



●防災訓練マニュアルの作成
 地震災害の発生を想定し、北山区民が主体となって実施する防災訓練によって、地域の「意識」「知識」「災害発生時の減災行動」など防災活動の推進を図ることを目的として作成しました。自主防災委員や各常会長及び組長に配布し、防災訓練時の手引きとして利用しています。

●北山区防災マップの作成
 平成18年に自主防災委員と地域住民の参加も得て、地域内の災害時に役立つものや危険なものなどを、自分の足で歩いて調査(タウンウォッチング)した結果を基に、「北山区防災マップ」を作成し北山区全戸に配布しました。
 平成23年には、「北山区防災マップ」の作成配布から5年が経過したので、前回同様にタウンウォッチングを行い、前回配布後の地域内の変更点を盛り込んだ「改訂版」を作成し全戸に配布しました。


●防災訓練、防災講演会、他市町村の防災施設の見学・体験学習
 毎年3〜4つの常会で防災訓練を実施しています。また、毎月1回常会単位で自主防災倉庫内にある防災資機材の機能点検と操作訓練を実施しています。

 また、毎年1回、町職員や外部講師などを招いて「防災講演会」を開催しています。
 平成20年〜22年にかけて、近隣市町村の防災施設の見学・体験学習を行いました。



−自主防災活動をするにあたり、課題や問題点はありますか。

 防災訓練や講演会など、行事への参加者が固定化しつつあることが問題ととらえています。行事への参加呼びかけ、参加方法などについての工夫や検討が必要と考えています。
 また、自主防災委員は定年後の高齢者が多く、その顔ぶれも固定化してきています。自主防災会への新規参加者をいかに増やしていくかを課題と考えています。

−今後、どのような活動を行っていく予定ですか。

・地域住民に対する継続的な啓発活動として、今後も各常会単位での防災訓練、防災資機材の操作習熟、講演会・学集会などを企画・実行していきます。

・災害時における要援護者の支援体制づくりを推進していきます。
・自主防災会への新規参加者の募集方法を検討するとともに、自主防災委員の若返り、後継者育成に取り組んでいきます。

→自主防災会の紹介ページへ戻る