武豊町玉貫西一区自主防災会は、平成25年度防災貢献団体として表彰を受けました。


−玉貫西一区自主防災会が結成された経緯を教えてください。

 
 
昭和54年より武豊町の自治区として、「区民の安全は隣近所の助け合いが重要である」との考えから、毎年、地元消防団協力のもと、防災訓練を行ってきました。そのなかで、日常的に防災に取組み、発災時には、全体行動の指揮、指導役が必要であるとの考えから、平成19年に正式な「玉貫西一区自主防災会」を組織し、20回/年以上の会合の中で、今現在必要である防災の課題に取り組んでいます。


−活動されている地域にはどのような特徴がありますか。

 1,220世帯、4,200人が暮らす、知多半島の丘陵地で、先祖代々この地で生活する方々と、新しく近郊から移り住んでくる、若い世代とが混在し、今なお新築住宅、マンション建設が行われています。
 先祖代々の旧家の周囲は道路が狭く、消防車が入れない地区もあり、屋外消火器の常備、可搬小型消火ポンプの常備なども必要となっています。
 武豊町は三河湾に面していますが、玉貫西一区は、海抜10m〜30mの丘陵地のため、津波に対する警戒意識は低いです。ただし古い断層帯が複数存在し、地震による家屋倒壊、道路損壊の恐れがあるため、家屋の耐震診断が重要な地域です。


−玉貫西一区自主防災会にはどのような組織がありますか。

会長(
1名):区長(任期1年)
副会長(1名):副区長(任期1年)
防災会リーダー(1名):(任期規定なし)

防災会小委員会員(9名):(任期規定なし)
総務班(10名)班長1名
避難所班(憩の家班、小学校班合計23名) 班長2名
避難誘導班(8名)班長1名
救出救護班(8名)班長1名
消火班(11名)班長1名
衛生班(12名)班長1名
情報班(9名)班長1名
搬送班(9名)班長1名
給食給水班(8名)班長1名
防災用具班(8名)班長1名
物資輸送班(8名)班長1名


−玉貫西一区自主防災会の主な活動内容を教えてください。

春の防災訓練
 
毎年2月末に実施。
訓練内容〉
@初期消火訓練:火のついた油を粉末消火器で消す訓練
A防災用具取扱訓練:倒壊建物からの救出のため、チェーンソーによる倒壊柱の切断、ジャッキでの人体(人形)救出訓練
B救急救命訓練:AED操作および心臓マッサージ訓練
C安全パトロール:自治区内の消火設備点検と避難時の危険個所洗い出しのため徒歩にて区内を巡回
D炊出し訓練:女性部隊による炊き出し(おにぎり、豚汁)および給食訓練

秋の防災訓練 
毎年10月末に実施

訓練内容〉
*大地震の発生に伴う人命安全の確保と隣組組織毎の安否確認、安否確認結果の報告訓練
@緊急地震速報での安全確保訓練:防災無線および全家庭への防災ラジオへ緊急地震速報。 同時に現状での人体安全 確保の訓練実施。
A安否確認訓練:地震発生10分後より一時避難場所への集合と隣組単位での安否確認。未集合者宅への安否確認訪問訓練
B安否確認報告訓練:地震発生により自主防災会防災対策本部立上げ、各隣組から防災本部 への安否確認状況の報告(徒歩にて)訓練
当自治区内に町指定の公的避難所があることから、平成24年には、避難所開設訓練を実施。

自主防災台帳作成と更新 
自主防災台帳の定期更新:隔年で実施
新規転入者は随時更新
内容〉
・平成21年新規作成の自主防災台帳の更新
自主防災台帳は各世帯が自主的に記入提出した個人情報で、記載内容は以下の事柄があります。
・世帯主・家族全員の氏名・生年月日・血液型・職業・災害発生時の協力可否・井戸の有無および水質検査の飲用の可否・家族の避難場所や緊急連絡先の親族続柄と電話番号など
*上記の台帳を紙のファイルと、パソコンデーターベースとして管理。
*特殊な職業(医者、看護師、土木工事、建築業、配管電気工事など)を一括で検索し、必要時に連絡協力依頼が取れる様に管理しています。
*死亡、誕生など、災害時の安否確認に必要なデーターの更新を紙およびパソコンデーターの両面とも実施し、緊急時に備えています。

−活動をするにあたり、課題や問題点はありますか。
 
 
当自治区内に公的な避難所があります。そしてこの避難所を開設、運営する場合、当初は玉貫西一区の自主防災会が実動を余儀なくされると推定しています。
 しかし、避難所としての備蓄飲料水、備蓄食料、毛布、簡易間仕切りなどの用意ができていません。
 町の予算もない中でどのように備蓄し、避難所開設当初の運営をどのようにすべきか、勉強と訓練が求められています。しかしそれには人材、費用など課題が山積しています。
 ⇒問題点:地域、隣組組織の助け合いが発災時には重要になりますが、近所付合いが希薄になりがちで、発災時の近隣住民での安否確認が難しくなってきました。
*この住民の付き合いを親密にするため、防災訓練、祭礼や盆踊りなど、地域住民同士の行事への参加を積極的に促していきます。

−今後、どのような活動を行っていく予定ですか。

・避難所開設訓練 
 当自治区内の避難所の開設までの手順、受付、運営などの訓練を行い、いつ来てもおかしくない南海トラフの大地震に備える。

・各家庭の家具固定など、まずは命を守ることへの啓蒙をおこなう。
・今まで同様、定期的に防災訓練を行い、防災の必要性を体で実感させる。

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