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生態と防除目次

<イネ>
トビイロウンカ
学名 Nilaparvata lugens Stål

1 形態
 本種成虫は長翅型と短翅型(ダンゴ)があり、飛来してくる成虫はすべて長翅型で、ほ場で増殖する雌は短翅型が多くなる傾向がある。成虫は油ぎった褐色をしており、体長は4〜5mm程度。
 卵は長さ約1mmのバナナ型をしており、イネの葉鞘内に一列にまとめて産卵する。
 幼虫は俵型の黄褐色から黒褐色をした小さな虫で、イネの株元に集団で加害する。 
2 被害の様子
 トビイロウンカによる被害は、飛来世代や第1世代で出現することはほとんどなく、第2世代または第3世代の幼虫や成虫によって起こる。本種は長い口(口吻)をイネの導管や師管に直接差し込んで水分や栄養分を吸い取る。幼虫や短翅型成虫はあまり移動しないので、株当たりの寄生虫数が急激に増加し、特に出穂期以降多発するとほ場の一部が急激に萎凋して枯れるため、坪枯れと呼ばれる被害となる。本種は枯れた稲から隣のイネへ少しずつ移動するため、同心円状に枯れていき、ひどい場合はほ場全体が枯れる。 
3 生態トビイロウンカによる坪枯れ
 日本で発生するトビイロウンカは、梅雨期にジェット気流に乗って中国大陸から移動してくることがわかっている。飛来する時期が早く、飛来数が多いほどその後の発生量が多くなる。
 なお、トビイロウンカには遺伝的に長翅型と短翅型が発現しやすいタイプがあり、短翅型が多いほど増殖率が高くなるので、短翅型が多い年は多発年になりやすい傾向がある。本種はもともと熱帯地域に生息しているので、一般的に温度が高いほど成育が早く、短期間で増殖を繰り返し、夏の気温の高い時期は1世代を繰り返すのに1か月もかからない。
4 防除対策
・薬剤防除として、長期間効果の持続する箱施薬剤が開発され、このような薬剤が施用されているほ場に早期にトビイロウンカの飛来があった場合は、高い防除効果が期待される。
・本種は主に株元に生息しているため、イネが繁茂している稲作中期以降は株元に薬剤が届くように散布することが重要である。
・なお、一部の有機リン系薬剤の中に防除効果が低くなっているものもあるので、効果が高い薬剤を選択して使用することが重要である。
・出穂期直後までなら粒剤による散布も効率がよく効果も高いことがわかっている。 
5 本県の発生状況
・本県への飛来は、例年は7月上中旬くらいが多いが、ほ場で発生を確認しても坪枯れが出現するまでにいたらないことが多い。
・多発年の特徴としては飛来時期が早く、6月中旬までに飛来することが多いよう。