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生態と防除目次

<ナシ>

ナシヒメシンクイ
学名 Grapholita molesta (Busck)

1 形態
 成虫は体長5〜7mm、開張12〜14mm。茶褐色の蛾。卵は径0.3mm余り、産卵当時は乳白色でのち紅色をおびる。蛹は体長5〜8mm、繭は10mm余り。

2 被害の様子ナシヒメシンクイ画像
 主に果実に、まれに新梢に被害を与える。7月以降に、無袋栽培では果頂から有袋栽培では袋の破れ目や袋と果実の接触面から果実に食入し、果実を食害する。その際、無袋栽培では果心から果肉へと進むことが多いが、有袋栽培では果肉から果心へと進むことが多い。果実の被害は収穫期が遅いものほど多くなる傾向がある。春から初夏はモモ、ウメ、スモモ、オウトウ、サクラ等で芯折れを作っているが、5〜6月に付近にこれら作物が無い場合、結果枝の先端に食入して内部を空洞にする。そのため強い風や触ることによりその部分から折れて果房全体が脱落する。しかし、この時期は摘果や袋かけ前であることが多く、実質の被害は少ない。

3 生態
 ナシのほかモモ、リンゴ、ウメ、スモモ、オウトウ、アンズ、ズミ、ボケ、マルメロ等を加害する。越冬形態は老熟幼虫で、枝幹の粗皮の割れ目や取り残しの袋の中等に繭を作って越冬する。越冬幼虫は3月下旬から蛹化し、4月上旬から5月上旬頃に第1回成虫が発生し始める。ナシ園付近にモモ、ウメ、スモモ、オウトウ、サクラ等があれば、成虫はこれらの新梢や葉裏に点々と産卵し、ふ化した幼虫は梢に食入し、芯折れを作る。老熟幼虫は新梢を脱出して蛹化する。最初2世代ぐらいをこれら作物で過ごし、7月頃からは次第にナシ園に集まる。ナシ園が広面積広がっていたり、付近にこれら作物がない場合は、成虫は結果枝端の葉裏や幼果表面に産卵する。ふ化した幼虫は結果枝に達して先端の木質部に食入する。成虫の生存期間は5〜12日で、その間に産卵する。第2世代以降は重なってきて、6〜9月は各齢のものが見られ、発生はとぎれなくなる。1年の発生回数は東海地方では4〜5回、九州では6回、北海道・東北地方では3回と言われる。世代数を重ねるほど虫の密度が高くなるのが普通である。発育零点11.1℃、発育臨界高温度28℃。

4 発生しやすい条件
・ナシ園の近くにモモ園などがあると、第1世代から発生の好適条件となり、ナシでの被害が多くなる傾向がある。
・5〜6月にモモの心折れが多いと7月の発生量は多くなる。

5 防除対策
・粗皮削りなどを行う、園を清潔にする等して、越冬量を少なくする。
・ナシ園の近くにモモ園などがある場合には、そこで発生する芯折れの発生を防除する。
・袋かけ前に、被害結果枝を見つけて取り除き、虫の密度を低くする。
・無袋栽培では7月頃から収穫期まで7〜10日間隔で薬剤防除を行う。