<イチゴ>
イチゴ炭疽病
1 病原菌
学名 Glomerella cingulata (Stoneman.) Spaulding.et Schrenk(糸状菌 子のう菌類) Colletotrichum acutatum Simmonds ex Simmonds(糸状菌 不完全菌)
2 被害の様子
[Glomerella cingulata]
ランナー、葉柄、托葉などに発生する局部的な症状(病斑)と、株が萎凋枯死する全身症状と2種類ある。病斑は主にランナーと葉柄、葉に生ずるが、果実にも発生することがある。ランナーや葉柄に発生する病斑は長径3〜7mmの黒色、少し陥没した紡錘形〜楕円形で、この病斑が拡大するとランナーや葉柄をとりまき、折れたりして先端部は枯れる。多湿時には病斑上に鮭肉色の粘塊状または粉状のカビが生える。クラウン部(冠部)が侵され、株が枯れる。苗床に移植した若い葉の1〜2枚が生気を失って垂れる。この時期には夕方や曇雨天には回復するが、病気が進むと下葉もしおれて株全体が枯れる。しかし、芯葉が黄化したりわい化したりすることはない。しおれ始めた株のクラウン部を切断してみると、托葉のあたりから褐色〜暗褐色の変色腐敗がくさび形に内部に向かって進行している。炭そ病が発生した親株床から採った苗では、葉柄に病斑が全く見えないのにしおれて枯れることが多い。親株床では、苗だけでなく親株が枯死することもある。激発すると、多くの苗が枯死して苗不足を生じる。ハウスでは、苗床で枯死を免れていた罹病株の一部が早い時期及び収穫後期に枯れることがある。ハウス内での伝染はほとんどない。
[Colletotrichum acutatum]
親株床、仮植床で発生する。本ぽでの発生はまれである。
症状は葉、葉柄、ランナー、果実に現れる。葉では、上位葉の葉縁部から黒〜黒褐色の不正形病斑をつくる。しばしば健全部との境に赤紫色の帯を生じる。最後には、病斑は破れやすくなり、葉枯れ症状を示すので、‘葉枯れ炭疽’とも呼ばれる。葉柄、ランナーでは楕円形〜紡錘形のややくぼんだ黒褐色の病斑をつくり、多湿条件下ではサーモンピンクの胞子の塊(分生子層)を多数形成する。果実には、円形で黒色の陥没した大型病斑を形成する。クラウン内部まで侵されることはない。
3 病原菌の生態
病原菌は糸状菌。発育適温は28℃前後で、高温を好む。黒色病斑上に鮭肉色の胞子を形成する。罹病残さ上に子のう殻を形成する。伝染経路は、前年苗の時期に罹病しながら枯死を免れた親株による場合と、病茎葉、ランナーなどとともに土中に残った菌による場合がある。
伝染源:被害残さ、罹病親株。
寄主:イチゴのほか、シクラメン、ベゴニアなど。
4 発生しやすい条件
・高温の時期にでやすい(6月下旬から9月下旬)。気温が下がると発病は止まる。
・雨や頭上かん水は、胞子を飛散させ伝染を助長する。盛夏期の強い風雨、夕立、台風の後には発生が急に増える。
・品種間差があり、宝交早生は強く、女峰・とよのかは弱い。
5 防除対策
・防除は、予防を主体とする。→予防効果は高いが、治療効果の高い薬剤はほとんどない。
・採苗床,仮植床は雨よけ栽培とし、灌水はチューブ灌水で行う。