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生態と防除目次

<野菜共通>
アブラムシ類

◎野菜に発生するアブラムシ類について

 多くの種類は、主に若い葉に群がって寄生・吸汁し、葉を黄変・萎縮させ、あるいは葉に排泄物(甘露)を堆積し、そこにすす病を発生させて、生育を著しく阻害する。また、葉に濃淡の斑紋を生じたり、ちぢみ状に縮れたりするなどの被害を及ぼし、野菜の重要病害となっている各種モザイク病のウイルスを伝搬する種類もある。このように野菜栽培の障害となるアブラムシ類は、約30種ほどある。代表的なアブラムシとして、各種野菜で最もよく発生するモモアカアブラムシ、ウリ科・ナス科など果菜類に発生の多いワタアブラムシ、アブラナ科野菜で発生の多いダイコンアブラムシ及びニセダイコンアブラムシ、がある。
 施設栽培ではウリ科・ナス科の果菜類中心の栽培であることから、発生する主要種はモモアカアブラムシとワタアブラムシである。モモアカアブラムシ、ワタアブラムシでは、全国的に有機リン剤やカーバメート剤に対する抵抗性が高まっているので、注意が必要である。一般にアブラムシ類の有翅成虫は活発に飛翔し、黄色に強く誘引される一方、銀白色を忌避する性質がある。

◎モモアカアブラムシ

1 学名:Myzus persicae (Sulzer)

2 被害の様子
 成虫・幼虫とも葉裏に多く寄生する。葉全体に分散して寄生することが多い。増殖をはじめると寄生葉はしおれ始め、縁から黄変してくる。外葉の表面にすす病を生じ、アブラムシの脱皮殻が葉や土の表面に白く散らばる。被害が激しくなると外葉から枯死し始め、最後には株全体が枯死する。ときに成長部の茎、花にも寄生する。キュウリモザイクウイルス(CMV)、カブモザイクウイルス(TuMV)などを媒介し、ウリ科やアブラナ科などの野菜にモザイク病を引き起こして、生育不良・減収を招く。

3 生態
 無翅胎生雌虫・幼虫:葉上で集団で寄生し、単性生殖によって増殖している。ごく普通に見られる形態である。体色は黄緑色、緑色、赤褐色と変化に富む。体表はすべすべして光沢がある。モモアカアブラムシ(レタス)
 有翅胎生雌虫:季節が変わって寄主植物を換えようとするときや寄生密度が過密となって分散が必要となったときに現れる。体長約1.6mmで、翅長は2.5mm内外で卵形をしている。頭と胸は黒色、体は緑色。
 暖地では、4〜5月に最も発生が多い。5月末頃から有翅虫が現れ、ナス科・マメ科・アブラナ科植物に移って加害する。夏の発生は少なく、秋に再び多くなる。発育適温は20〜25℃。
 寄主植物はキャベツ・ダイコン・キュウリ・ナス・ホウレンソウ・ジャガイモ・モモをはじめ100種類近くあり、季節によって大きく転換する。晩秋にはモモ・ウメなどのバラ科植物に移住し、卵態で越冬して春まで過ごす。しかし、施設内や、暖地のダイコン・ハクサイやイヌガラシなどのアブラナ科雑草で、春〜秋までと同様に無翅胎生虫として越冬しているものも多い。

4 発生しやすい条件
晴天が続き、雨の少ない年(高温少雨)。

5 防除対策
・7〜8月の早植えやウイルスの発病の多い地帯では、発芽後1ヶ月くらいまでの幼苗期に寒冷紗で被覆する。春・秋まき栽培では、不織布でべたがけ被覆しても効果が高い。(ハクサイ)
・施設開口部に寒冷紗を張り有翅虫の飛来を防止する。(施設野菜)
・発生の多い時期、地帯では播種時・定植時に粒剤を施用する。(全般)
・有機リン剤や合成ピレスロイド剤への抵抗性が高まっており、多発生させないため、初期から防除を徹底する。(全般)
・浸透性のある薬剤を使用する。(全般)

◎ワタアブラムシ

1 学名:Aphis gossypii Glover

2 被害の様子
 主に心芽や葉裏に寄生し、大きなコロニーを作る。吸汁による生育阻害のほか、その排泄物にすす病が発生する。キュウリモザイクウイルス(CMV)、カボチャモザイクウイルス(WMV)などの重要なモザイク病を伝搬し、直接の吸汁被害とともにモザイク病の発生によって著しい生育不良・収量低下をもたらす。

3 生態
 無翅胎生雌虫・幼虫:葉上で集団で寄生し、単性生殖によって増殖している。ごく普通に見られる形態である。体色は黄色、緑色、暗緑色、暗黒色と変化に富む。成虫の体長は1mmくらい。
 有翅胎生雌虫:季節が変わって寄主植物を換えようとするときや寄生密度が過密となって分散が必要となったときに現れる。体長約1mm、翅長2mm内外。頭と胸は黒色、体は暗緑色。
 寄主植物はキュウリ・ナス・スイカ・ジャガイモ・サトイモ・アオイ・ワタなどきわめて多種類。季節によって大きく転換する。5月頃に有翅虫が現れ、夏寄主作物に飛来し、単性生殖で増殖する。本種は他のアブラムシよりも高温を好み、梅雨明け後急激に増加して被害の進展を速め、9月下旬まで発生が続く。晩秋にはムクゲなどに移住し、そこで有性世代を営み、卵態で越冬する。施設内では周年発生が見られ、暖地ではキクやタンポポ・イヌノフグリなどの雑草で、無翅胎生雌虫・幼虫として越冬しているものも多い。年間を通じ、個体群は種々の植物間を複雑に移動すると見られ、その中には寄主を異にするいくつかのバイオタイプが存在するといわれている。

4 発生しやすい条件
・晴天が続き、雨の少ない年(高温少雨)。
・暑さに比較的強く、6〜7月に最も発生が多い。暖地ではモモアカアブラムシに比べて、春の発生が遅れる。
・施設では周年発生するが春先から初冬にかけて発生が多い。

5 防除方法
・施設開口部に寒冷紗を張り有翅虫の飛来を防止する。(施設野菜)
・有機リン剤や合成ピレスロイド剤への抵抗性が高まっており、多発生させないため、初期から防除を徹底する。
・発生の多い時期、地帯では、播種・定植時に粒剤を使用する。

◎ダイコンアブラムシ

1 学名:Brevicoryne brassicae (Linnaeus)

2 被害の様子
 キャベツ・カリフラワー・ブロッコリーで発生が多いが、ダイコン・ハクサイには少ない。葉のところどころにかたまって寄生する。キャベツなどでは下葉より中位葉に発生が多く、葉裏の重なった部分にコロニーをつくる。キュウリモザイクウイルス(CMV)、カブモザイクウイルス(TuMV)を媒介し、モザイク病を引き起こす。

3 生態
 暖地では5〜6月に発生が多く、夏以降は比較的少なくなる。一般に春期多発型であり、春まきのキャベツ、カブは注意が必要である。
 無翅胎生雌虫・幼虫がキャベツやアブラナ科雑草上で越冬する。体は卵形で丸い。体色は黄緑色だが、全体に白色粉状の分泌物が厚く覆っているので白く見える。

4 発生しやすい条件
・晴天、乾燥が続くと発生が多い。

5 防除方法
・発生の多い時期、地帯では、播種・定植時に粒剤を使用する。

◎ニセダイコンアブラムシ

1 学名:Lipaphis erysimi (Kaltenbach)

2 被害の様子
 ダイコン・ハクサイで発生が多い。葉裏に群生し、特に下葉で多い。排泄する甘露ですす病を併発する。増殖が著しいので、若い苗などでは枯死することもある。キュウリモザイクウイルス(CMV)、カブモザイクウイルス(TuMV)を媒介し、モザイク病を引き起こす。

3 生態
 秋に発生が多い。暖地では、無翅胎生雌虫・幼虫がダイコン・ハクサイやアブラナ科雑草上で越冬しているのが見られるが、越冬の実態は十分には解明されていない。春の野菜の被害はあまり多くないが、ナズナ・イヌガラシなどのアブラナ科雑草でほそぼそと繁殖を繰り返し、7月末頃から有翅虫が現れて秋まき野菜に飛来し、秋に入ると急増する。
 体は楕円形。体色は黄緑色だが、白色粉状の分泌物で薄く覆わているので、少し白っぽく見える。背面の各節の中央に黒い斑点がある。

4 発生しやすい条件
・晴天、乾燥が続くと発生が多い。

5 防除方法
・発生の多い時期、地帯では、播種・定植時に粒剤を使用する。