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生態と防除目次

<野菜共通>
灰色かび病

1 病原菌
 学名 Botrytis cinerea Persoon (糸状菌 不完全菌類)灰色かび病被害果

2 被害の様子
 キュウリ、イチゴ、トマトなど多数の作物に発生する。20℃くらいで多湿のときや、12月から4月にかけて暖地の温室、ハウス栽培に発生しやすい。気象条件が発病に好適なときは急速にまん延する。病斑には灰色のカビを密生することが多い。
〔キュウリ〕花、幼果、葉に発生する。巻きひげにも発生する。咲き終わってしぼんだ花の部分から出始め、灰色のカビが発生する。続いて幼果を侵し、黄褐色となって柔らかく腐る。地面に近い果実に発生しやすい。葉では、縁に近いところに灰褐色の丸い大型の病斑を生じ、灰色のカビを密生することもある。菌核病も同時期に発生し、やはり花から侵入して幼果を柔らかく腐らせるが、菌核病の場合は発病部に白色の菌糸を生ずる。
〔イチゴ〕 果実、がく、果梗、葉、葉柄を侵す。イチゴの地上部すべてを侵すが、果実が最も侵されやすい。最初は下葉など枯死した部分に病原菌が寄生増殖し、これが有力な伝染源となって、果実も侵され発病する。果実が発病すると、褐変し、灰色のカビを密生する。幼果が侵されると、病斑は速やかに果実全体に拡がり、褐変または黒褐変し、湿気の少ないときには硬くなり、多湿のときには軟化腐敗し、灰色のカビを密生する。葉、葉柄、果梗、がくも褐変あるいは黒褐変し、灰色のカビを生じる。発病直後に乾燥すると必ずしも灰色のカビを生じないが、多湿のときには必ず形成する。
〔トマト〕 果実、花弁、葉などに多く発生するが、茎、葉柄にも発生する。幼苗期や定植直後の茎の地際に発生すると被害部は褐変し、灰色のカビを生じ、病勢が激しいと株全体が枯死することがある。また地際より上の茎に発生すると、紫褐色に囲まれた暗褐色で楕円形の大型病斑となる。病斑が茎を一周すると、その部分から上がしおれて枯死する。幼果では、咲き終わった花のしぼんだ花弁に灰色のカビを密生し、花落部から幼果全体に拡がる。未熟果では被害部は水浸状となり、その表面に灰色のカビを生じ軟化腐敗する。地際に近い果実で発生しやすい。
〔ナス〕 咲き終わってしぼんだ花から発生し、花弁に灰色のカビが生える。病勢が激しいと、ガクや果梗まで侵される。幼果では、肩の部分に発生することが多く、茶色〜灰色のへこんだ病斑ができ、その上に灰色のカビが密生する。葉には、かなり大型の茶色〜褐色の病斑をつくる。葉柄や枝にも発生して大型の病斑ができ、まれに幼苗の地際が侵されて立ち枯れとなることもある。

3 病原菌の生態
 (キュウリの場合)越年した菌糸や分生胞子から形成された分生胞子は、咲き終わってしぼんだ花につき、ここで菌糸を生じてまん延し、続いて幼果をおかす。病原菌がまん延した花弁が、落ちて葉についた場合、また葉に落ちた花弁に病菌が繁殖したときは、葉も侵し病斑を生じる。
本菌は、傷口や枯死した部分から侵入する。
菌の発育適温は23℃。最低2℃。最高31℃。一般に低温では胞子を形成しない。また胞子の飛散は曇雨天のときに多く、快晴時にはほとんど行われない。
伝染源:菌糸、分生胞子の形で被害組織中で越年し、伝染源となる。菌核はまれに形成され、土中でも越年する。
寄主:キュウリ、イチゴ、トマト、ナスなど多くの野菜、花き類、果樹類

4 発生しやすい条件
・20℃くらいで多湿のときに発生しやすい。
・12月〜4月頃にかけての温室やハウス栽培に発生が多い。
・密植しすぎたり、軟弱な成長となったり、過繁茂になると発生しやすい。
・朝夕の急激な冷え込みは、本病の発生を著しく助長する。
・トマトでは、花落ちの不良な品種に発生しやすい。

5 防除対策
・換気を図り多湿にならないようにする。
・マルチを行い、土壌からの病菌の伝染を防止する。
・(キュウリ、トマトの場合)受精を終わった花の花弁は摘み取り、病原菌が侵入するのを防ぐ。また発病果、発病葉は速やかに取り除き、焼却する。
・発病前から、薬剤散布を行い予防する。薬剤は7日に1回くらいの割合で散布する。
・同一系統の薬剤を連用せず、必ず他系統の薬剤とローテーションする(耐性菌対策)。