大腸がん

はじめに

 大腸は消化吸収が行われた食物の最終処理をする消化管で主に水分を吸収して排泄に都合のよい状況をつくり出します。大腸は約1.5mの長さがあり、口側から盲腸、結腸、直腸・肛門管(肛門縁から約15cmが直腸・肛門管)の順で構成されます(図1)

大腸シェーマ
(図1:大腸シェーマ)

 日本の大腸がん罹患率は1990年半ばまで増加し、全国統計(国立がんセンターがん対策情報センター)によれば、2001年に10万の大台に乗り、いったん減少したものの、2011年には124921人まで増加し、男性は胃がん・前立腺がん・肺がんに次いで第4位、女性では乳がんに次いで第2位の座を占めています。また年齢別の罹患率では50歳代付近から急速に増加し、高令になるほど高くなります。大腸がん死亡率は男女ともに著しく増加しており、1958年には4822人であった大腸がん死亡率は2013年には47654人と約10倍になっています。死亡数は男性が女性を上回っていますが、男性は肺がん・胃がんに次いでがん死因の第3位であるのに対して女性は2003年に胃がんを抜いてからは第1位となっています。

 大腸がんの発生には遺伝的因子より環境的因子の比重が大きいと考えられています。食生活の欧米化つまり動物性脂肪や蛋白質の摂取量増加が日本における大腸がんの増加の原因ではないかと言われています。しかし、遺伝的素因もその発症には関与しており大腸がんにかかりやすい高危険群として家族の中に大腸がんにかかった人がいることがあげられています。その他にも1)過去に大腸ポリープができたことがある。2)10年以上潰瘍性大腸炎にかかっている。3)痔瘻が何年も続いている。4)過去に骨盤腔に放射線をあてたことがある。などが高危険群としてあげられています。特にこのような方は定期的な大腸がん検診が必要とされています。

大腸がんの症状

 早期のがんは症状はまずありません。便に血が混じっている(血便)場合はがんの注意信号です。がんの表面が潰瘍で出血しやすくなっているためです。肛門に近い部位にがんができた場合排便の際に肛門から出血する場合もあります。この症状は痔核と思われて放置されることがあります。痔核と診断するためには大腸がんでないことを確認する必要があります。右側の結腸がんでは肉眼的な血便に気づかず慢性的な出血による貧血によって発見される場合もあります。また、最近排便回数が増加してきた、腹痛がある、残便感が常にある、便柱が細くなったなど排便状況が変化したと気づいた場合は大腸がんによる症状であることもあり一度大腸検査をしてみるべきでしょう。また、嘔吐などの腸閉塞症状、腹部や頚部の腫瘤が初徴候のこともあります。

大腸がんの診断

A)便の免疫学的潜血反応

 ひとの赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)を検索する方法で従来の鉄分を検索する方法に比べて偽陽性(血液が混じっていなくても陽性になること)の比率が減少しました。それでも、二日間続けて検査をした場合、陽性者のうち、大腸癌が発見される確率は、約4%です。確定診断を得るためには大腸内視鏡検査が必要です。本検査法は多人数集団から精査が必要な人をふるい分ける経済的にも身体的にも負担の少ない方法です。50歳以上の方に勧められています。一方、進行大腸がんがあった場合でも、80%の陽性率です。つまり、20%はみのがされてしまうので、潜血反応陰性が続いていても3-5年毎に注腸造影検査できたら大腸内視鏡検査が必要です。

B)注腸造影検査

 食事制限と下剤の処置により大腸をきれいにして、肛門からバリウムと空気を大腸全体に送り込んでレントゲン写真をとります。比較的負担の少ない方法ですが大腸のきれいになり具合やバリウムや空気の送り込み具合によって診断の精度が変わってくることがあります。        

C)大腸内視鏡検査

 下剤、浣腸の処置により大腸をきれいにしてから肛門から内視鏡を挿入して大腸内腔を観察します。たわんだ大腸では挿入に手間取ることもありますが比較的小さな病変も見逃さずに診断することができ、精度の高い診断方法です。さらに大腸腫瘍の診断では、拡大内視鏡を用いて表面の腺管構造(pit pattern分類)を観察することで、腫瘍の質的診断や深達度診断が可能となります。最近では、NBI (narrow band imaging;狭帯光観察)に代表されるIEE (image-enhanced endoscopy;画像強調観察)の登場で、より簡便に腫瘍の血管や表面構造が協調され、腫瘍の質的診断や深達度診断が可能となっています。

D)CTコロノグラフィー

 CTコロノグラフィー(バーチャルコロノグラフィーともいいます)は、肛門から大腸・直腸内へ空気を注入したうえでCT撮影を行い、画像処理を行って実際の内視鏡でのぞいているように画像を再構成する方法です。腸の癒着などによって腸の曲がりが著しく大腸内視鏡の挿入が困難な方やご高齢の方などリスクを伴うと判断された方にはお勧めの方法です。ただし、大腸内視鏡検査と同様に腸管をきれいにする前処置は必要です。また、病変が見つかった場合には、やはり大腸内視鏡検査が必要となります。

E)腫瘍マーカー

 血液の検査でがんの進行程度、治療効果、再発の有無をチェックする方法です。特にCEAと呼ばれるマーカーが大腸がんには陽性率が高く、進行がんで約半数が陽性を示します。他に、CA19-9、p53抗体があります。しかし、大腸がんの腫瘍マーカーは、進行していないと正常値のことが多く、がんを見逃さないようにするのは不得意です。

F)画像診断:CT(コンピューター断層写真)、MRI(核磁気共鳴画像)、US(超音波診断)

 大腸自体のがんの診断には上記の方法に劣りますが、がんの転移や周囲臓器への浸潤具合などを調べることができ、治療にとっては不可欠な検査です。MRIは特に直腸癌など骨盤内臓器への浸潤を調べる際に有用な検査です。

G)PET検査(陽電子放射断層撮影:Positoron Emission Tomography)

 がん細胞が正常細胞に比べて多くブドウ糖を取り込む性質を利用して、ブドウ糖に似た物質にアイソトープで目印をつけて(FDG)体内に注射し、全身にわたって集積の有無をみる検査です。上記画像診断でわかりにくい転移、再発の検索に有効な検査です。

大腸がんの進行度(stage、ステージ)

 進行度については日本では大腸がん取扱い規約第8版(2013)に従って分類されます(表1)。国際的にはTNM分類が使用されます。進行度を設定することにより、過去のデータをもとにした治癒率の目安が得られます。
 進行度は0, I, II, IIIa, IIIb, IV期の順で進行した状況となります。

 0期:ごく早期のがん(粘膜内がん)、転移の報告なし
 I期:所属リンパ節に転移がなく、腸管壁への浸潤も固有筋層(腸管壁内)にとどまります
 II期:所属リンパ節に転移がなく、腸管壁への浸潤が深い(固有筋層を貫く)状態
 III期:腸管壁への浸潤にかかわらず、所属リンパ節転移のある状態
   IIIa:所属リンパ節転移(1-2群)が3個以下
   IIIb:所属リンパ節転移が4個以上あるいは、所属リンパ節の最も離れた部位(3群)リンパ節に転移
 IV期:肝や肺などの血行性転移、腹膜転移、遠隔リンパ節転移(所属リンパ節外)がある場合

【表1:進行度】
深達度 肝転移(-)、腹膜転移(-)、他の遠隔転移(-) いずれか(+)
リンパ節転移なし 所属リンパ節転移(1-2群)が3個以下 所属リンパ節転移が4個以上あるいは、3群リンパ節転移 遠隔リンパ節転移
固有筋層まで I IIIa IIIb IV
固有筋層を超える II

大腸がんの治療

 治療法には内視鏡的治療、外科治療、化学療法(抗がん剤)、放射線治療があります。外科治療を軸に治療方法が選択されます。治療法についてはエビデンスをもとに、ガイドラインが発表されています。(注:ガイドラインは60-95%のケースに適用されますが、患者の状況によっては医師の判断で適用するかどうか決めるべきものと定義されています。)
 日本では患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 第3版(日本大腸癌研究会編、金原出版、2014年版)があります。また全米を代表とするがんセンターで結成されたガイドライン策定組織 NCCN(National Comprehensive Cancer Network)があり、世界的に広く利用されています。NCCNガイドライン日本語版 アーカイブはインターネットで閲覧できます(http://www.tri-kobe.org/nccn/guideline/archive/)。ここでは日本での大腸癌治療ガイドラインに沿った当院での治療方針を述べます。

A)早期がん

 早期がんの定義はがんの深達度(深さ)が粘膜固有層、粘膜下層にとどまるものとされています。前述の進行度(stage)では0期全て、I期の一部(固有筋層浸潤がんを除く)となります。早期がんの治療法もそのがんの深達度によりさらに細分類されます。

a)粘膜内がん(mがん)

 内視鏡治療の対象となるのは、Stage0の『粘膜内(mucosal:M)がん』とStageTのうち『粘膜下層(submucosal:SM)への軽度浸潤がん』です。上述の検査を総合し壁深達度がMがん・SM軽度浸潤がんと考えられる病変に対しては、内視鏡的摘除を施行します。早期がんは切除後の正確な病理学的診断が必要のため一括切除が大原則とされています。

内視鏡的粘膜切除
(図2:内視鏡的粘膜切除)

 内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)(図 2)の開発・普及により大きな広基性隆起性病変や平坦陥凹性病変の内視鏡的な治療が容易になりましたがEMRにより一括切除が可能な大きさは2pが上限とされてきました。近年、内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)の保険収載の普及により、大きさの制限はなくなりました。ただし、現時点では2〜5pまでの病変がESD保険適応となっています。(表2)

表1:大腸ESDの適応病変(大腸ESD/EMRガイドライン
(表2:大腸ESDの適応病変(大腸ESD/EMRガイドライン)

 ESDは、粘膜下層へ生理食塩水やヒアルロン酸などの薬剤を注入後、専用のメスで病変周囲の粘膜切開し粘膜下層を剥離して病変を摘除する方法です(図3)。ESDにより大きな病変でも一括で切除することが可能となり、正確な病理学的診断が可能になりました。

図3:内視鏡的大腸粘膜下層剥離術
(図3:内視鏡的大腸粘膜下層剥離術)

b)粘膜下層浸潤がん(smがん)

 早期がんでも一定以上の深さ(専門的には粘膜筋板を越えて粘膜下層に浸潤しているといいます)に達しているものを粘膜下層浸潤がん(smがん)としています。smがんは全体で約10%のリンパ節転移の可能性があり、リンパ節郭清を伴った腸管切除の適応を検討する必要があります。大腸癌治療ガイドライン医師用(2016)では、sm浸潤度1000μm(1mm)以上、脈管侵襲陽性、組織型(低分化腺癌、粘液癌、印環細胞癌)、簇出が追加切除を考慮する組織学的適応基準です。つまりsmがんであってもsm浸潤度1000μm(1mm)未満で他のリスク因子がなければ、慎重な経過観察のもと追加切除を行わずに済みます。

B)進行がん

a) I期の一部(固有筋層浸潤がん)、II〜III期

リンパ節郭清の範囲
(図4:リンパ節郭清の範囲)

 治療は、手術によって腫瘍を含む腸管切除と所属リンパ節郭清を行うことが原則です。結腸がんと直腸がんでは手術術式を含め、治療方針が変わってきます。同じ大腸がんですから、がん自体の性格は同じと考えられますが直腸の占居する部位の特殊性(骨盤の中で手術がしにくい、周りに膀胱、前立腺、子宮、膣、などの重要な臓器が直腸に接して存在し自律神経を共有している)やその機能に排便機能の大元締めとしての役割があることが大きな要因です。一方、結腸も直腸も進行がんに対する手術療法の基本は過不足のない安全域を確保した腸管の切除と過不足のない領域リンパ節の郭清で基本理念は変わりません(図4)。結腸がんに対してこのような姿勢で臨んできた結果最近の他病死も含めた5年生存率はII期92%、IIIa期93%、IIIb期79%の結果でした。これらの数値は欧米の教科書に記載されている数値を約10%以上上回る成績です。


結腸がん5年生存率の推移
(図5:結腸がん5年生存率の推移)

 直腸がんに対しての外科治療は大きく変化してきました。変化を必要とした最大の問題点は人工肛門造設が多くの直腸がんで必要とされてきたことと、結腸がんに比較して局所再発が多く治癒率が低いと言う2点でした。下部直腸がんに対する術式のうち、人工肛門を避け骨盤内で結腸と直腸を吻合する前方切除術は1970年〜1989年では6%しかなかったのですが、がんの根治性を維持しながら肛門温存を図ってきたことと吻合器の使用により50%を超えています。さらに最近では肛門から5cm以内にがんの下縁があっても肛門を温存する術式(内括約筋切除術:ISR)を試みています。しかし、長期的な予後や排便機能が十分に解析されていませんので、まだ標準術式とは言えず、十分なインフォームドコンセントを行い、慎重に術式を選択しています。
 局所再発を低下させるために拡大郭清である骨盤内リンパ節郭清を拡大して行ってきました。下部直腸がん(肛門に近い直腸)では過去の症例と比較して10%以上の効果(5年生存率の改善)を認めています。しかし、自律神経を合併切除する方法であったため術後の性・排尿機能障害が多く出現し後遺症として日常生活の快適性を低下させてきました。現在では自律神経の切除に関しては適応を十分絞り込んでいかに温存ができるか常に検討しながら術式を決定しています。部分的にも神経が温存できた場合排尿機能障害はほとんどの症例で軽度となっています。男性性機能温存はまだ、改善が必要です。 直腸がんに対する外科治療成績(1990年〜2003年)は5年生存率でみるとII期96%、IIIa期87%、IIIb期66%の結果で結腸がんと同様に欧米の一般的な成績と比較して約10%以上良い成績です。

直腸がん5年生存率の推移
(図6:直腸がん5年生存率の推移)

b)IV期

 IV期に対しては、手術的な摘出が予後の改善に最も効果があると考えられています。特に肝、肺転移に対しては転移巣の切除を検討します。原発巣の摘出そして可能なかぎりの転移巣の摘出です。この場合、患者さんの体力そして摘出した後の生命を維持する臓器の残存機能が問題でありさらに現在ではどこまで普通の生活に戻れるかもQOLとして重要な課題です。IV期で転移を極力摘出でき肉眼的には取り残しがなかった場合、肝・肺転移では5年生存率は約20〜50%の報告です(当院の肝転移治療成績:図7 同時性 54%)。最近では化学療法の奏効率が高くなったため、摘出前後の化学療法の投与法が効果的であるのか臨床試験を通して、検討されています。

図6:肝転移切除例の全生存曲線
(図7:肝転移切除例の全生存曲線)

C)放射線治療

 大腸がんのほとんどを占める腺がんに対しては放射線の効果が低いとされています。結腸がんに対しては初回の治療に放射線治療が適応されることはありませんが、欧米では直腸がんに対し初回手術前に骨盤に照射を行い、局所再発率が低下しています。しかし、放射線併用による生存率はあまりかわっていません。日本では、当院も含め進行直腸がんに対して拡大リンパ節郭清が行われますが、手術前の放射線治療を用いない治療成績が優れているため手術前の放射線治療の必要性は低いと考えられており、併用により副作用が増えるリスクの点で一般には行われません。ただし、リスクが高い病気の状態の患者さんには臨床研究として照射の有効性が調査されています。骨や脳に転移した大腸癌には症状を抑えるために放射線治療が行われます。 大腸がんのなかで頻度の少ないもので肛門管がんという病気は、他の大腸癌とことなり放射線と化学療法が非常に有効な扁平上皮癌という組織のがんが大部分です。この病気では手術を行った場合に人工肛門が必要になるため、患者さんの負担を減らすため放射線治療と化学療法の併用で肛門を温存する治療が標準です。当院では治療中の副作用をさらに少なく安全に治療するため強度変調放射線治療(intensity modulated radiotherapy IMRT)を標準的に使用しています。

D)術後化学療法

 手術的に治癒切除ができた場合もステージIII(および再発率の高いステージII)大腸がんでは、術後に再発の予防を目的として抗がん剤投与を実施することが勧められます。ステージIおよび再発率の低いステージII大腸がんではもとも治癒率が高く、術後に抗がん剤治療を実施しても生存率に差は認められません。現在では、テガフール・ウラシル(UFT)+ロイコボリン(ユーゼル)内服、カペシタビン(ゼローダ)内服、カペシタビン(ゼローダ)内服+オキサリプラチン(エルプラット)点滴静注療法[CapeOx/XELOX(ゼロックス)療法]などの選択肢があります。選択する治療によって、再発予防効果と副作用が異なります。抗がん剤の投与期間は術後約6か月間です。

術後のフォローアップ

 治癒切除できた方もがんの治癒を見極めるためには少なくとも術後5年の経過観察が必要です。検査で発見できない小さな癌病巣が潜んでいる可能性があるからです。手術後は2から3年まで約3ヶ月ごとの検診と2から3年以後は6ヶ月毎の検診で再発をチェックすることが重要です。再発は主に大腸を切除した部位近傍(局所再発)、肝・肺転移、遠隔リンパ節再発、その他があります。

再発に対する治療

 再発した場合の治療は、まず切除できる時は手術による切除です。限られた部位・個数の転移の場合、完全切除により治癒できることもあります。一般的に、肝/肺転移は、5年生存率20-50%(当院の治療成績:53%、図7)、骨盤内再発 20-40%(当院の治療成績:32%、図8)の手術による治癒率が報告されています。

当院での骨盤内再発手術例の生存曲線
(図8:当院での骨盤内再発手術例の生存曲線)

 図8は当院での肝転移、骨盤内再発に対する手術成績です。切除効果を上げるために、放射線治療や抗がん剤治療も追加することが検討されています。骨盤内再発では重粒子線による治療が高度先進医療として放射線医学総合研究所で行なわれており、手術と同等の効果が報告されています。

切除不能例に対する治療

 初回診断時や再発時に、根治的に外科切除できない場合には抗がん剤治療が選択されます。大腸がん対する抗がん剤(化学療法)は、フルオロピリミジン(5-FU、カペシタビン、S-1など)、オキサリプラチン、イリノテカンなどの殺細胞性抗がん剤と、ベバシズマブ(アバスチン)、ラムシルマブ(サイラムザ)、セツキシマブ(アービタックス)、パニツムマブ(ベクティビックス)などの分子標的治療薬があります。また、従来の抗がん剤の効果が乏しくなった場合には、TAS-102(ロンサーフ)やレゴラフェニブ(スチバーガ)など新規抗がん剤が使用されます。この中のひとつもしくはいくつかの薬剤(併用療法)を選択し、定められた用法用量により繰り返し実施します。副作用が強いときには、休薬や減量を行います。新しい抗がん剤の登場とともに、従来1年未満であった生存期間中央値は、現在では2年から2年半以上に延長してきています。初診時に根治的に外科切除できないと判断された場合でも、抗がん剤治療が奏効して手術可能になる機会も増えてきました。
 最近では、がんの個々の遺伝子異常を明らかにし、最適な抗がん剤治療を実施することの重要性が指摘されています。KRAS遺伝子やNRAS遺伝子に異常(変異)がみられる大腸がんでは、セツキシマブやパニツムマブの効果が乏しいことが明らかになっています。マイクロサテライト不安定性陽性の大腸がんには、免疫チェックポイント阻害剤の効果が期待できることが報告されています。当院では、国立がん研究センター東病院を中心に実施されているSCRUM-Japanプロジェクト(GI SCREEN)に参加し、さらに網羅的な遺伝子検査を研究目的に実施しております。


平成29年2月改訂

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