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スタッフの声

 患者さんたちは、意外と医療関係者自身のことはご存知ないのではなかろうか? もちろん、それは、病院のスタッフがどんな私生活を送っているかということではありません。
 医療関係者という職業に就くということは、他の職業選択とは違う動機があることでしょう。そして、なかでも「がん」という病気を抱えた患者さんを援助していこうと決めるにも、それなりの理由があるはずです。
 そういった、普段語られることのない、医療関係者の内面に迫ってみよう、そしてそれを共有することが、実際の医療活動になんらかの利益をもたらすのではないかというのが、このコーナーの狙いです。たとえば、こんな質問からいくつか選んで答えてもらうのは、どうでしょう。

  • あなたがその仕事を続けているのは、どんな目的からなのでしょう?
  • その仕事を続けることが、なぜあなたにとって大切なのでしょう?
  • そこにどんな価値を見出しているのでしょう?
  • 仕事は、あなた自身の希望や夢とどう関係しているのでしょう?
  • 仕事は、あなたの人生における基本的な在り方とも関連しているのでしょうか?
  • もしもあなた、ないしあなたのご家族が病気をされて、その時の経験が、いまのあなたの仕事に役だっているとしたら、それは、どんなことですか?
  • 今のあなたの職業選択や仕事に対して、大きな影響を与えた書物は、ありますか?もしもおありならば、それと仕事の関係について、語ってもらえませんか?

こんな質問は、なかなか面と向かってできるものではありません。そこで、有志の方々に、こういった質問への回答も含め、いろいろ語っていただこうと思っています。(YK)。

目次

  • 医師の声
  • 看護師の声
  • 薬剤師の声
  • ソーシャルワーカーの声

文献

  • マクダニエルほか:治療に生きる病いの経験ーー患者と家族、治療者のための11の物語、創元社、2003

スタッフ(看護師)の声

看護師さんに、次のような質問を投げかけてみました。

  1. あなたがその仕事を続けているのは、どんな目的からなのでしょう?
  2. その仕事を続けることが、なぜあなたにとって大切なのでしょう?
  3. そこにどんな価値を見出しているのでしょう?
  4. 仕事は、あなた自身の希望や夢とどう関係しているのでしょう?
  5. 仕事は、あなたの人生における基本的な在り方とも関連しているのでしょうか?
  6. もしもあなた、ないしあなたのご家族が病気をされて、その時の経験が、いまのあなたの仕事に役だっているとしたら、それは、どんなことですか?
  7. 今のあなたの職業選択や仕事に対して、大きな影響を与えた書物は、ありますか?もしもおありならば、それと仕事の関係について、語ってもらえませんか?

以下、公開に同意を頂いた7名の看護師(A〜G)さんの声を記録します。回答の番号は、上記質問の番号に対応します。

Aさんの声
  1. この仕事を続けている理由は看護が好きだから、そしてもう一つはこの仕事しかした事がなくこの道以外興味があまりわかないからです。
  2. 看護の仕事は私に生きがいをあたえてくれる。(すごく嫌で仕事を投げ出したくなることも多々ありますが)そしてもうひとつ最大の理由は生活の糧だからです。働かなければ生きていけないから。
  3. たくさんの人との関わりのなかで学ぶことが多く、その一つ一つが自分の財産になっている気がする。
  4. 自分の将来の道、夢、希望を実現させるため、人間形成に重要なものを養う基盤だと考える。
  5. 難しくてうまく表現できません。ごめんなさい。
  6. 特にありません。
  7. 特にありません。
Bさんの声
  1. 人の役に立ちたいのと、人と接することがすきだからです。
  2. 人生勉強になるため。
  3. 人間としての成長・人間とはを考えるきっかけになっている。
  4. 中学校ぐらいから、看護師になるのが夢でした。
  5. 関連しているのかは、わかりませんが、人間として成長する過程において、この仕事は考えさせられる出来事があふれていると思っている。
  6. 初めてターミナルの患者様の受け持ちになったときに、その患者さまから、私の看護を評価してもらうことができ、その看護について振り返ると、まだ、あれもこれもできたという思いがうまれ、がん看護に興味をもつことになりました。
  7. ないです。
Cさんの声
  1. 看護師という仕事を続けている理由は、生活のためでもありますが…看護は、ある一つの目標にたどり着いたら終わりと言うものではなく、常に看護とは何か、患者さんのために何ができるかと考えていかなければならないからだと思います。
  2. ・・・・・
  3. この仕事は自分の持っている能力以上のことが必要とされていると感じることがあります。そのために私は専門知識を学んだり、一般教養を身につけたりすることで自分を成長させてくれる仕事であると感じるからです。人と接する仕事なのでストレスフルになることもありますが、患者さんに癒してもらうこともしばしばあり、それが私の活動源になっているといっても過言ではないです。
  4. 私は、地域医療について興味があり将来在宅看護師として努めたいと思っています。そのため、現在病棟勤務し知識や技術を磨き将来に活かせられるようにしていきたいです。
  5. ・・・・・
  6. 同じ疾患ではないけれど、患者さんが病気になって辛いという気持ち。全てでは決してないですが、痛みや熱など症状が出現した際に、“私が熱が出たとき辛かったからきっと○○さんもこのくらい辛いのかな”というふうに少しでも患者さんの気持ちが分かるのではないかと思います。
  7. 職業選択において大きな影響を与えた書物は特にありません。看護師という職業を選択したことにも、がんセンターという職場を選択したことにも特に大きな影響を与えた書物はありません。
Dさんの声

 私が看護師という仕事を選んだのは、とても身近な職業だったからだと思う。
 私の両親は自営業であり、休みもなく働いていたため、お盆とお正月くらいしか遊んでもらった記憶はない。姉と弟の3人姉弟であったが、いつも姉弟や友達と遊んでいた。そんな両親に代わり、まるで本当の親のようにかわいがってくれたのが叔母であった。あちこち遊びに連れていってくれ、誕生日には必ずプレゼントをくれた。私の叔母は看護師であり、幼い頃一緒に住んでいたのだ。毎日ばりばり働くその姿は、とてもかっこよく見えた。私は叔母が大好きで、姉と喧嘩すると、仕事に行っている叔母が帰ってくるのを泣いて待っていたのを覚えている。
 姉はそんな叔母の影響を受け、高校卒業後看護学校へ進学し、看護師になった。私は、姉に反発して、絶対、姉と同じ道には進みたくないと思い、大学へ進学した。特別夢もなく、なんとなく進学した私は、バブル崩壊後に就職することになり、派遣社員になった。両親に高い学費を払ってもらい大学を卒業したのに、きちんと就職することをせず、かなり後ろめたい気持ちであった。
 デパートで販売員を2年ほどしていたが、このままではいけないと思い、働きながら医療事務の資格を取った。なぜ医療事務を選んだのかというと、きっとどこかで自分も医療に携わりたいという気持ちがあったのだろうと思う。しかし、素直にそれを出せずにいた気がする。個人医院で受付の仕事に就いた私は、働くうちに、もっと直接人の役に立ちたいと思うようになった。医院で働き、看護師の仕事を間近に見ることによって、その仕事が患者さまから感謝され人の役に立つ素晴らしい仕事であることを知ったのである。今までの私は飽きっぽく、どの仕事についてもそつなくこなすことができてしまい、仕事のやりがいというものを感じたことがなかった。間近に見る看護師の仕事は、とてもやりがいのある仕事のように見えた。きっと、ずっと前から私は看護師の仕事に憧れ、なりたいと思っていたが、姉への反抗心からそれを素直に出すことができなかったのだと思う。
 少し大人になった私は、そんなつまらない反抗心は捨て、『仕事』というものについて真剣に考え、取り組もうとするようになった結果、素直に看護師になりたいと思えるようになったのだと思う。その時、私は26歳。再び学生になることにはかなりの不安と迷いがあった。そして、思い切って母親に相談した。そんな私に母が言った第一声は「いいじゃない。」もしそこで、少しでも反対されていたら、今の看護師である私はなかったと思う。大学まで行かせた娘が、また看護学生になることを素直に喜んでくれた母に感謝である。そうして、私は人一倍勉強し看護師になった。今までで一番勉強した学生生活であった。
 わたしが看護師になったのは、こうした長い経緯があったわけだが、実際看護師になってみると、とても大変な仕事である。よく3K(きつい・きたない・危険)と言われる職業であるが、その半面とてもやりがいがある。私は負けず嫌いの性格であるため、苦労する方がかえって燃えるのである。こんなことを書くと、とても気合の入った怖い看護師のように思われてしまうかもしれないが、普段はいたって温和で、笑顔を絶やさないように心がけているので、心配されないように。
 看護師をしていて、なにが私のやりがいとなっているか。それは、患者さまからの感謝の言葉と笑顔である。がんという病気はなかなか治癒が困難な病気である。しかし、そんななか懸命に病気と闘っている人を支え手助けをし、感謝と笑顔をもらったとき、私は自分の仕事に喜びと誇りと、そして大きな満足感を得ることができる。看護師の笑顔に癒される患者がいるように、患者や家族の笑顔に看護師は大きなパワーをもらっている。
 看護は本当に人との係わり合いのなかにある仕事であると思う。もとから、人と接する仕事が好きで、販売員→受付→看護師と職を変えてきたわけだが、常に人間相手の職業であった。やはり、人は人との繋がりなしでは、生きていけないのだと思う。私は人間が好きなのである。
 私が看護師になって、心からよかったと思う出来事があった。それは、皮肉なことに最愛の叔母ががんになったことでおきた。私の存在が叔母にとって、役に立てたということであった。それはひょっとしたら、私が看護師になり、そしてこのがんセンターにきた意味だったのかもしれない、とまで思っている。私ががんセンターで働きだしてから、身近な人が3人もがんになり当センターにお世話になっている。それはただ単に、それだけがんという病気が多く身近なものであるというだけなのかもしれないが、私にとっては私が『がんセンターの看護師』になったという大きな意味を持っているように思えている。
 看護の世界はとても奥が深い。医療が変化し進化もしているなか、看護も成長していっていると思う。そして、その進化についていかなければならない。日々、勉強の毎日である。がんばれ私。

Eさんの声
  1. 自分が自分らしく生きていくための手段。
  2. 大変な仕事だとは思うが、患者さんから「ありがとう」という言葉がとても嬉しく、私も頑張って働こうという気になる。
  3. 以前民間の会社で働いており、お客さんに怒られ、怒鳴られ、泣かれることが日常な仕事だったため、看護師になり自分が行ったわずかなことで、患者さんから「ありがとう」と言われることがとても新鮮で嬉しく、毎日楽しく仕事ができており、自分の存在価値を見出すことができる。
  4. 具体的な夢はないですが、生涯看護師という仕事を出来る限り行いたいと思っています。
  5. 以前働いていた会社での経験が現在の自分をつくったと思う。
  6. 経験なし。
  7. 特になし。
Fさんの声
  1. 私が今の仕事を続けている根本的な理由は、やりがいを感じているからだと思います。どうしてこんなに忙しくて大変なことを毎日やっているんだろうと思うことは度々ありますが、続けていられるのはやはり、仕事が面白いからでしょう。ほかの事をするのに不安がある、ということも理由でしょうが。
  2. この仕事を続けることで自分の存在理由にしたいのかもしれません。
  3. 働けるときは働かなくてはならないという信念を満たせる?
  4. 仕事は自分の人生における夢や希望を手に入れるための手段でもあり、生きている実感。
  5. 仕事を通じていろいろな人や社会とつながっている。
  6. 祖父母が入院していたときの医療者の対応が心に残っています。よいことよりも嫌な事が強く残されています。患者や家族が不快に思ったり、悲しくなるような言動をしてしまうこと。小さなことだと思っても患者や家族にとっては重大なことだと自覚して対応しなくてはならないのですが、難しいです。
  7. 小学生のころ読んだ、「リカに命を分けてください」という本でしょうか。私と名前が同じで、地元の中学生の少女の話だということで母親が買い求めてくれました。白血病の少女が生きたいと願う強い想いに圧倒されました。生きている自分は何ができるだろうかと思ったのでしょう。少女の通っていた中学校の教師が私の恩師であり、少女について話を聞くことができたため、より深く印象に残っているのだと思います。・・・今回あらためて仕事について考えることができました。普段は何にも考えず日々を送っていることがわかって、答えを出すのが非常に難しかったです。
Gさんの声
  1. 仕事をして、よい生活をするためです。
  2. 楽しく生活するために仕事が必要だと思います。
  3. 他のことに価値を見出しているので・・・仕事自体にはあまり価値を見出してい ません。
  4. 全く関係していません。
  5. 関連はありません。
  6. とくにないです。
  7. とくにありません。私は看護師にとくになりたいと思ってなったわけではないです。夢や希望も全く仕事とは関係ありません。私にとって仕事はあくまでも夢や希望をかなえるための手段です。特別紹介できるエピソードはなくてすいません。

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