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疫学・予防部

はじめに

研究活動の概要

 今や日本人男性の2人に1人、女性の3人に1人は生涯のうちにがんに罹るようになりました。疫学・予防部の研究目的は、人々ががんに罹って苦しんだり、がんに罹って命を落とす人を減らすための有効な手立てを見つけること、そして、有効な手立てが上手に働いているかをモニターし、その結果を愛知県や日本のがん対策の推進に結びつけることにあります。また、病気の原因を特定する分析疫学研究に重要なヒントを与えるような研究にも取り組んでいます。

目指すもの

 がんの予防・対策は現在の知識やインフラが理想的に普及すれば、それだけでもかなりの効果が期待できます。そこで、その状況を正確にモニターし、対策の問題点を見出すことも有効な手立てを見つけることと同じく重要です。このため当部では、愛知県内で発生する全てのがん患者さんの情報を収集する「愛知県がん登録」に深く関わり、その運営を支援しています。私たちは、愛知県ならびに全国で収集されたデータを元に、県内、国内の地理的・時間的ながんの発生の特徴を分析するという記述疫学研究を行っています。
 2007年度に愛知県は「愛知県がん対策推進計画」を策定し、その中で、がんの死亡率(75歳未満)を10年間で(自然減を含めて)20%低下させる目標を設定しました。この目標の実現に少しでも貢献するべく、当部は今後も記述疫学の研究を続けていきます。

メンバー紹介

伊藤 秀美
伊藤 秀美
(いとうひでみ)
室長
(遺伝子医療研究部
室長兼任)

プロフィール

 名古屋市立大学医学部卒業(1995年)。初期研修後一般呼吸器内科医を経て、愛知県がんセンター中央病院レジデントとして肺がん治療に携わった。名古屋市立大学大学院在学中より癌研究振興財団リサーチレジデントとして、記述疫学および、肺がん・喫煙行動の分子疫学研究を行った。2004年4月より研究員として記述疫学・分子疫学研究を進めるとともに、愛知県地域がん登録事業に従事。2007年より米国ロードアイランド州プロビデンス市ブラウン大学の公衆衛生修士課程に入学し、公衆衛生一般を学ぶ。2009年4月より現職。
(医学博士、公衆衛生学修士)

中川 弘子
中川 弘子
(ながわか ひろこ)
主任研究員

プロフィール

 愛知医科大学医学部卒業(2006年)。名古屋医療センター2年間勤務を経て、長崎大学熱帯医学研究所の研修課程修了。その後、内科医として1年勤務後、国際NGOにて1.5年の公衆衛生活動を経て、2011年名古屋大学大学院医学系研究科(予防医学)に入学。ピロリ菌感染に関連した研究に従事。2014年3月医学博士を取得後、愛知県がんセンター研究所疫学予防部のリサーチレジデント(-2016年3月)。2017年4月より現職。がん登録資料を用いた記述疫学研究、主にコーヒー摂取や大腸がんを中心とした疫学研究に従事。
(医学博士)

研究テーマ紹介

がんの流行の特徴を分析しています

 疫学・予防部では、愛知県がん登録事業に対し、1983年から愛知県がん登録データの精度向上のための技術支援を行ってきました。さらに、2009年4月には、同事業への支援の強化と、がん登録データを最大限に活用することを目的とした「がん情報研究室」が当部に開設されました。

地域がん登録について

 がんの実態を正確に把握することは、その地域において具体的な医療計画や予防対策を立て、その計画や対策が効果的であるかどうかを評価する上で、必要です。
(詳しくは、地域がん登録全国協議会のホームページや、刊行物である「あなたと子孫と人類のために。〜未来へつづけ、私たちの地域がん登録」をご覧ください)

 愛知県がん登録では、1962年より、県下の医療機関の協力を得て、愛知県民で毎年どのくらいの人ががんと診断されるのか、がんは増えているのか、どれくらい治りやすいのか、といったがんの実態を正確に把握するために、がん患者さんの情報を登録しています。
 愛知県がん登録データの精度は、登録データの精度指標であるDCN割合(※1)1とDCO割合(※2)が、2007年診断患者でそれぞれ25%、15%と、2006年以前に診断された登録患者に比べて劇的な改善を示しました。精度向上に伴い、より正確に愛知県のがんの実態を把握できるようになりました(愛知県のがんの統計)。

※1 死亡情報で初めて登録室が把握したがん患者さんの、全登録患者に占める割合
※2 死亡情報のみで登録されたがん患者さんの、全登録患者に占める割合

 登録されたデータは、愛知県のみならず全国のがん罹患者数を推計するため、厚生労働科学研究費補助金による第三次対がん総合戦略事業「がん罹患・死亡動向の実態把握に関する研究」班へ提出されています。登録データの精度向上に伴い、愛知県がん登録データは、全国のがん罹患モニタリング推計(国立がん研究センターがん対策情報センターより公表)に利用されるようになりました。さらに、国際がん研究機関(IARC, リヨン)が世界で精度の高い地域がん登録のデータを集めて刊行する「5大陸のがん(第9巻、英語、2008年)」にも愛知県がん登録データが掲載されています。

記述疫学研究について

 私たちは、愛知県がん登録データをはじめとする国内外の地域がん登録データを共同研究等の形で利用して、地理的・時間的ながんの発生の特徴を分析するといった研究活動を行っています。記述疫学研究の成果は、がん対策のモニタリングだけでなく、がん研究の重点課題の設定にも役立ちます。

研究の成果

業績

  1. Higashibata T, Wakai K, Naito M, Morita E, Hishida A, Hamajima N, et al. Effects of self-reported calorie restriction on correlations between SIRT1 polymorphisms and body mass index and long-term weight change. Gene. 2016;594(1):16-22.
  2. Idota A, Sawaki M, Yoshimura A, Hattori M, Inaba Y, Oze I, et al. Bone Scan Index predicts skeletal-related events in patients with metastatic breast cancer. Springerplus. 2016;5(1):1095.
  3. Inoue S, Hosono S, Ito H, Oze I, Nishino Y, Hattori M, et al. Improvement in Five-year Relative Survival in Cancer of the Corpus Uteri from 1993-2000 to 2001-2006 in Japan. Journal of Epidemioly. 2017.
  4. Kogure M, Tsuchiya N, Hozawa A, Nakaya N, Nakamura T, Miyamatsu N, et al. Does the flushing response modify the relationship between alcohol intake and hypertension in the Japanese population? NIPPON DATA2010. Hypertens Res. 2016;39(9):670-9.
  5. Nakagawa H, Ito H, Hosono S, Oze I, Mikami H, Hattori M, et al. Changes in trends in colorectal cancer incidence rate by anatomic site between 1978 and 2004 in Japan. Eur J Cancer Prev. 2016.
  6. Nanri H, Nishida Y, Nakamura K, Tanaka K, Naito M, Yin G, et al. Associations between Dietary Patterns, ADRbeta2 Gln27Glu and ADRbeta3 Trp64Arg with Regard to Serum Triglyceride Levels: J-MICC Study. Nutrients. 2016;8(9).
  7. Ninomiya K, Ichihara E, Hotta K, Sone N, Murakami T, Harada D, et al. Three-Arm Randomized Trial of Sodium Alginate for Preventing Radiation-Induced Esophagitis in Locally Advanced Non-Small Cell Lung Cancer Receiving Concurrent Chemoradiotherapy: The OLCSG1401 Study Protocol. Clin Lung Cancer. 2016;18(2):245-9.
  8. Nishida Y, Hara M, Sakamoto T, Shinchi K, Kawai S, Naito M, et al. Influence of cigarette smoking and inflammatory gene polymorphisms on glycated hemoglobin in the Japanese general population. Prev Med Rep. 2016;3:288-95.
  9. Okada R, Naito M, Hattori Y, Seiki T, Wakai K, Nanri H, et al. Matrix metalloproteinase 9 gene polymorphisms are associated with a multiple family history of gastric cancer. Gastric Cancer. 2017;20(2):246-53.
  10. Oze I, Shimada S, Nagasaki H, Akiyama Y, Watanabe M, Yatabe Y, et al. Plasma microRNA-103, microRNA-107, and microRNA-194 levels are not biomarkers for human diffuse gastric cancer. J Cancer Res Clin Oncol. 2016;143(3):551-4.
  11. Tajiri H, Takano T, Tanaka H, Ushijima K, Inui A, Miyoshi Y, et al. Hepatocellular carcinoma in children and young patients with chronic HBV infection and the usefulness of alpha-fetoprotein assessment. Cancer Med. 2016;5(11):3102-10.
  12. Takano T, Tajiri H, Hosono S, Inui A, Murakami J, Ushijima K, et al. Natural history of chronic hepatitis B virus infection in children in Japan: a comparison of mother-to-child transmission with horizontal transmission. J Gastroenterol. 2017.
  13. Taniguchi C, Sakakibara H, Saka H, Oze I, Tanaka H. Japanese Nurses' Perceptions Toward Tobacco Use Intervention for Hospitalized Cancer Patients Who Entered End of Life. Cancer Nurs. 2016;39(6):E45-E51.
  14. Taniguchi C, Tanaka H, Saka H, Oze I, Tachibana K, Nozaki Y, et al. Cognitive, behavioral, and psycho-social factors associated with successful and maintained quit smoking status among patients who received smoking cessation intervention with nurses' counseling. J Adv Nurs. 2017.
  15. Yuri Ishii JI, Ribeka Takachi, Yurie Shinozawa, Nahomi Imaeda, Chiho Goto, Kenji Wakai, Toshiaki Takahashi, Hiroyasu Iso, Kazutoshi Nakamura, Junta Tanaka, Taichi Shimazu, Taiki Yamaji, Shizuka Sasazuki, Norie Sawada, Motoki Iwasaki, Haruo Mikami, Kiyonori Kuriki, Mariko Naito, Naoko Okamoto, Fumi Kondo, Satoyo Hosono, Naoko Miyagawa, Etsuko Ozaki, Sakurako Katsuura-Kamano, Keizo Ohnaka, Hinako Nanri, Noriko Tsunematsu Nakahata, Takamasa Kayama, Ayako Kurihara, Shiomi Kojima, Hideo Tanaka, and Shoichiro Tsugane. Comparison of weighed food record procedures for the reference methods in two validation studies of food frequency questionnaires. Journal of epidemiology 2016.

人材募集

連絡先

愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部 室長(遺伝子医療研究部室長兼任)
伊藤 秀美(いとう ひでみ)
〒464-8681 名古屋市千種区鹿子殿1-1
Tel : 052-762-6111(内線)7085
E-mail : hidemi@aichi-cc.jp

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