メインメニュー
知事のマニフェスト 知事の発言・寄稿 知事記者会見 県議会知事提案説明 知事からのメッセージ 知事交際費の執行状況 プロフィール トップページ 写真で見る主な活動


県議会知事提案説明

平成23年2月定例県議会 知事提案説明要旨


 大村秀章でございます。2月定例県議会で提案説明をする大村知事
 今議会に提案いたしました諸議案のご説明を申し上げるに先立ちまして、まず、昨日ニュージーランドの南部で発生いたしました地震につきまして、一言、申し上げます。多くの方々が死傷され、未だ安否が不明の方が多く見られるということでございますが、一刻も早く安否の確認と救助作業が進むことを願っております。
 それでは、知事就任のごあいさつと所信の一端を申し述べ、県議会並びに県民の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

 私は、去る2月6日の知事選挙におきまして、150万票を超える愛知県民の皆様方の熱いご支援を賜り、今後4年間県政を担当させていただくこととなりました。
 まことに光栄に存じますとともに、県民の皆様方の期待の大きさ、そして、知事としての責任の重大さを痛感いたしているところでございます。
 今回の選挙では、日本、そして愛知の現況に対する多くの県民の皆様の危機感や、この閉塞感に満ちた社会の流れを変えたいという思い、そうしたものと、私の掲げさせていただいた政策、私自身の思いが共鳴し、幅広いご理解とご支援が得られたものと考えております。
 この上は、県民の皆様方の信託に応えていくためにも、マニフェストに掲げた政策を着実に実行し、愛知の発展に全力を傾注する覚悟でございます。
 県議会議員の皆様方並びに県民の皆様方のご支援、ご協力を心よりお願い申し上げる次第でございます。
 
 また、ここで、高病原性鳥インフルエンザへの対応について、一言申し上げます。新城市の鳥インフルエンザ発生を受け現地を視察する知事
 豊橋市に続き、去る2月14日新城市で2例目が発生いたしました。私自身、知事就任当日に現地へ赴き現場の実情を確認したところでありますが、まだまだ予断を許さない状況であります。引き続き、国や地元の方々と連携をとり、まん延防止のための防疫措置や風評被害防止などの対策に万全を期してまいります。また、1例目の豊橋市そして2例目の新城市の養鶏農家など経済的影響は多大でありますので、経営支援にもしっかりと取り組んでまいります。
 
 さて、100年に一度と言われた世界同時不況から2年が過ぎ、景気は最悪の状態を脱してはおりますが、我が国の経済、雇用情勢は引き続き厳しい状況が続いております。
 また、経済のグローバル化が進展する中、モノづくりの拠点である本県におきましても、規制と税負担を重荷に感じる企業が海外へどんどん展開しており、産業の空洞化の進展により、雇用の場の減少も懸念されつつあります。
 さらに、少子化、高齢化、生産年齢人口の減少といった社会構造の変化が否応なく進み、社会保障制度への不安が募る中、不安定な政治情勢や国際情勢も加わり、私自身、日本と日本経済に大いなる危機感を抱かずにはいられません。
 一方、世界では、上海、シンガポールといった大都市や大都市を中心とした地域国家が経済成長を続け、豊かで活力ある社会を築いております。
 本県には、こうした都市との国際競争に負けないだけの、産業力、経済力、文化力、地域力といった十分なポテンシャルが蓄積されております。
 今こそ、この力を世界に向けて強力に発信するとともに、国内はもとより、全世界からヒト・モノ・カネを呼び込むための改革を断行していかなければなりません。
 そのための2本柱が「中京都の創設」と「平成の楽市楽座」であります。
 
 まずは、「中京都の創設」についてであります。
 愛知県と名古屋市が、その都市エリアとしての活力を県全体に広げて、世界と闘える基盤を築きあげてまいります。
 そのために、愛知県と名古屋市が強力な司令塔のもと、政策の意思決定と実行のスピードを一気に引き上げていかなければなりません。国からの権限移譲や、創意工夫で自由な経済活動空間を用意し、企業の誘致・育成を図り、グローバル化が急速に進む世界との競争に打ち勝っていく地域をつくりあげてまいります。
 経済活動を活発化させ、財政を豊かにし、その果実で、福祉、医療、教育など住民サービスの充実を図るという好循環システムを構築してまいりたいと考えております。
 このため、まずは、「中京都」構想を始め、愛知県及び名古屋市が共同して取り組むべき施策の立案、推進の司令塔として、県、市だけでなく民間や有識者を含めた「中京独立戦略本部」をたちあげるとともに、本部の下にタスクフォースやプロジェクトチームを設置し、個別の施策・事業の企画立案・調整を強力に進めてまいります。

 もう一つは、「平成の楽市楽座」についてであります。
既得権やしがらみに囚われない大胆な経済・産業活性化策を断行してまいります。
その第1弾が、「県民税10%減税」であります。
 減税につきましては、必要な制度設計等を行ったうえで、12月議会までに減税のための条例改正を提案し、平成24年度からの実施を目指してまいります。
 必要な財源につきましては、これまで以上の徹底した行財政改革により捻出してまいります。
 また、減税とともに大胆な規制緩和を進めていくことが必要であります。
 医療施設や社会福祉施設あるいは工場などの事業所や個人の住宅など、愛知に進出したい企業や住んでみたいという方々がどんどん集まるような地域づくりを進めてまいりたいと考えております。今後、民間の方々の意見も伺いながら、多くの人々の創意工夫を引き出し、景気回復を後押しできるような大胆な戦略を描き、国等に対しまして強力に働きかけを行い、その実現に努めてまいります。

 さらに、東三河地域の振興について申し上げます。
 東三河地域は、三遠南信地域として、県域を越えた連携が進んでおり、まさに広域連携のモデルとなりうる地域であります。
 加えて、この地域は、豊かな自然に恵まれ、花きを始めとした農業、国際的な自動車港湾である三河港、豊富な森林資源など、他の地域にない特色と可能性を兼ね備えております。
 私は、日本一の愛知を目指していくうえで、東三河地域の発展がひとつの大きな鍵であり、これを愛知発展の柱として位置付けていきたいと考えております。
 東三河の地域力を最大限に活かしていくためには、東三河のことは東三河で決めていける体制を作っていかなければなりません。そのためまずは、東三河担当の副知事を置くための条例改正を今議会に提案させていただき、現時点では仮称でございますが「東三河県庁」の平成24年度からのスタートを目指してまいります。

 それでは、今後の県政運営において、取り組むべき諸課題のうち主なものにつきまして順次ご説明させていただきます。
 まずは、県民の皆様のくらし・医療・健康・福祉を守ることについてであります。
 誰もが安心して暮らせる社会の実現は、愛知の発展の礎となるものであります。
 医療環境の整備や子育て支援、高齢者福祉施策及び障害者福祉施策の充実を図るほか、防災・防犯対策、地震対策などに取り組んでまいります。
 特に、医療の分野では、産科、小児科、救急の現場における医師不足、診療科の休止など医療現場の厳しい状況に対処して、救急医療の支援、小児、周産期医療の拡充など医療体制の整備に積極的に取り組んでまいります。
 次に、教育の分野についてであります。動物病院でのインターンシップ
 学力向上はもちろんのこと、キャリア教育、道徳教育など、学校現場で教員が工夫を凝らすことや地域全体で学校教育活動を支援することによって、より豊かな教育を実現することが可能であります。
 教育は人づくりの原点であります。とりわけ、モノづくり愛知を担っていく次世代の人づくりはまさしく、地域づくりの根幹であります。国、県、市町村の役割分担のあり方を整理し、教育現場の活力を引き出すことにより、「教育立県あいち」を目指してまいります。
 続きまして、元気な経済・産業・地域づくりの実現についてであります。
 この地域は、日本のど真ん中に位置し、我が国のモノづくりの中枢圏域として高い潜在能力を有しております。しかし、新興国との競争が激化する中、これまでの延長線上の取組だけでは、愛知のモノづくりの強みをもってしても、持続的な発展は望めないと考えます。
 このため、次世代産業を振興し、産業構造の高度化を図ると同時に、産業・雇用の基盤を支える中小企業の強化を本県の産業社会政策の柱として位置付け、新たな分野・販路に積極的に挑戦できるよう、県として強力かつきめ細かな支援を行ってまいります。
 次に、環境分野であります。
 この地域は、藤前干潟の保全、2005年の愛知万博に続き、昨年のCOP10では、名古屋議定書、愛知ターゲットが採択されるなど環境分野での実績は世界にその名を知られるところであり、県民の皆様方の環境に対する意識も非常に高い地域であります。
 持続可能な社会の実現に向けて、環境対策と経済成長を両立させていかなければなりません。これまでの成果と経験を活かし、さらなる環境施策の拡充を図り「環境首都」の実現を目指してまいります。
 次に、交通・インフラ体系の整備・確立につきましては、陸・海・空の交通インフラのポテンシャルを最大限に発揮し、地域社会、地域経済を支えることができる総合交通体系を確立してまいります。
 このため、広域的な幹線道路網の整備を進めるほか、海外との競争に打ち勝っていくため、物流の核となる、港湾の機能強化や空港の整備を推進してまいります。
 また、名古屋高速道路料金を社会実験として秋から100円値下げするよう公社に指示いたしました。愛知県と名古屋市で協調してマニフェストを着実に実現してまいります。
 さらに、地方分権についても強力に進めてまいります。
 世界と闘える愛知・名古屋とするため「強い大都市」をつくる目的で「中京都」を創設するとともに、道州制の実現に向け、国の出先機関の移管、権限の移譲の受け皿となる「中部広域連合」を関係者の理解を得て、早期に設立できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、こうした広域的な動きと合わせて「身近でやさしい民主主義」を実現するため市町村への権限移譲や地域委員会などの取組を進めてまいります。
 
 以上、主要な政策課題に対する私の基本的な考え方をご説明申し上げました。こうした課題への対応につきましては、平成23年度をファースト・ステップの年として位置付け、まずは優先度の高い施策についてスピード感をもって取り組んでまいります。このため、機動的な対応が可能なタスクフォースやプロジェクトチームなどを早期にたちあげ、その中で、市町村や民間の方々とも十分に意見交換を行ってまいりたいと考えております。
 また、私のマニフェストで掲げた政策の中には、具体的な制度設計や関係機関との調整など、時間をいただいて検討が必要なものもございます。それぞれの項目について、課題を整理し、戦略を練り、具体化に向けての方向性を秋までに工程表として取りまとめたうえで、手順を踏みながら取組を進め、今後の4年間ですべての項目の実行を目指してまいります。
 
 次に、今回提案いたしております平成23年度当初予算につきまして、ご説明いたします。
 
 最初に、県財政を取り巻く最近の状況について申し上げます。
 まず、最近の経済情勢であります。
 我が国経済は、昨年の夏以降、急速な円高や海外経済の減速懸念により、先行きの不透明感が強まりましたが、このところの景気は、足踏み状態にあるものの、生産が下げ止まり、設備投資など一部に持ち直しの動きが見られているところであります。一方、失業率にも改善の兆しはあるものの、雇用環境は依然として厳しい状況にあります。
 なお、チュニジアやエジプトの混乱がリビアにも波及する中、原油の急騰など今後の経済に及ぼす影響も懸念されるところであります。
 この地域につきましても、エコカー補助金終了後の自動車の大幅な減産にも歯止めがかかり、持ち直しの動きが見られるものの、企業の生産活動の回復は楽観できる状況にはなく、雇用情勢も引き続き厳しい状況にあります。
 こうした中、来年度の国の予算は、一般会計の総額が過去最大の92兆円に膨らみ、2年連続で当初予算の新規国債発行額が税収を上回る大変厳しい状況であります。
 また、平成23年度の地方財政計画につきましては、地方一般財源の総額が、今年度とほぼ同水準に確保されましたものの、臨時財政対策債が大幅に減少したことにより、地方交付税と合わせた地方財政措置は1兆677億円の減、率にして4.3%の減となりました。
 次に、本県の財政状況についてであります。
 平成21年度当初予算から2年連続で大幅に落ち込んだ県税収入は、未だ回復に至らず、一方で、公債費など義務的な経費は増加してまいります。
 こうした厳しい状況に対応するため、平成22年度は、前年度に引き続き年度の前半から全庁を挙げて事務事業の見直しを行い、真に必要な分野へ財源を重点的かつ効率的に配分することに努めてきたところであり、今後とも徹底した行財政改革に取り組んでまいる所存であります。
                            
 次に、平成23年度当初予算編成についてであります。
 当初予算編成につきましては、私の就任後ほとんど時間的余裕がないことから、いわゆる骨格予算として編成することといたしましたので、その点につきましては、まずご理解をいただきたいと存じます。
 この骨格予算では、人件費、公債費などの義務的経費、経常的な事務事業で特に政策的判断を要しない経費を中心に所要額を計上いたしました。
 しかしながら、こうした中にありましても、行政の停滞を招いたり、県民生活に支障が生ずることは避けなければなりません。政策的経費の中でも、年度当初から実施すべき施策等につきましては、当初予算に計上し、県民の皆様の生活に影響が生じないよう対応することといたしました。
 このため、喫緊の課題であります景気、雇用対策に関しましては、厳しい経済環境に直面しております中小企業者に対する支援といたしまして、金融の円滑化、安定化を図るための資金需要に対応できる融資枠を確保するとともに、雇用対策といたしましては、国の緊急総合経済対策により拡充された、緊急雇用創出事業基金などを活用した事業を市町村と連携し積極的に推進するなど、平成22年度の補正予算及び平成23年度の当初予算の両方で切れ目なく対応してまいります。
 また、道路、河川の整備や土地改良事業などの公共事業や単独事業については、事業執行に支障がないよう、年度当初から発注を必要とする事業などについては所要額を計上いたしました。
 なお、当初予算での計上を見送りました単独補助金などの政策的経費や新規施策の具体化につきましては、県民の皆様方や各方面からの様々なご意見を踏まえつつ、財政状況を見極めながら十分検討し、所要の措置を今後の補正予算で対応してまいりたいと考えております。
 
 次に、平成23年度当初予算の歳入、歳出の内容についてであります。
 まず、歳入につきましては、平成23年度の県税収入は、企業収益の改善が見込まれることから法人二税について増収が見込まれますものの、依然として厳しい雇用、所得環境や消費の伸び悩みなどにより、個人県民税や地方消費税を始めとするほとんどの税目について減収が見込まれます。県税全体では8,828億円、平成22年度当初予算と比較して162億円、1.9%のわずかな増にとどまる見込みであります。
 また、国の地方財政計画などを踏まえまして、地方交付税については、前年度当初予算と同額の500億円、臨時財政対策債については、300億円減の2,700億円を見込んでおります。
 しかしながら、県税収入や地方財政措置だけでは必要な財源を確保することができないことから、これらに加えまして減債基金から900億円を取崩し、当初予算を編成したところであります。
 
 次に、歳出の主な事業につきまして、ご説明申し上げます。
 初めに、喫緊の課題である、雇用、中小企業対策についてであります。
 まず、雇用対策といたしましては、低迷する雇用情勢の中、特に新規学卒者の求人が前年以上に厳しい状況でありますので、新卒者就職支援協議会を中心に関係者の連携を図り、求人の掘り起こしやマッチングなどをきめ細かく実施してまいります。人材育成事業でのOA研修風景
 また、就職が決まらないまま卒業した方などに対しては、ビジネスマナー研修や職場実習を交えた人材育成事業、職業訓練など正規雇用に向けた就職支援に力を尽くしてまいります。
 次に、中小企業対策についてであります。
 引き続き厳しい経営環境に置かれている中小企業者に対しましては、切れ目のない金融支援が必要であります。このため、必要な融資枠を確保するとともに、業況が悪化している中小企業者を支援するため、経済対策特別資金の取扱いを延長してまいります。
 また、新分野進出やイノベーションに取り組む意欲的な中小企業の技術力強化、人材育成を積極的に支援するとともに、経営基盤の強化を図る中小企業に対する支援を実施し、地域中小企業の活力の向上を図ってまいります。
 
 次に、県民の皆様方の生活の安心・安全の確保に関する施策についても重点的に取り組んでまいります。
 まず、地震防災対策についてでございます。
 東海地震は切迫性が極めて高く、さらに、東南海地震との連動発生も懸念されております。
 このため、市町村と連携して実施している住宅等の耐震診断と耐震改修の支援を行うほか、県有施設や県立学校などの耐震改修や民間の医療施設や社会福祉施設の耐震改修の支援、道路、河川、水道施設等の公共構造物の耐震化など、地震による被害の半減を目指した対策に引き続き取り組んでまいります。
 次に、医療、福祉の分野について申し上げます。
 依然として、本県の2割以上の病院が診療制限を行うなど、医師の確保が緊急の課題となっておりますことから、医師の再就業を支援するドクターバンク事業を実施するとともに、地域医療に携わる医師の育成や、医師が不足している病院への医師派遣に対する支援を行ってまいります。外来化学療法センターイメージ図
 また、がんセンター中央病院におきましては、がん治療における化学療法用の治療ベッドを拡充するため、平成24年度の供用開始に向け、外来化学療法センター棟の建設工事に着手いたします。
 さらに、愛知らしい高齢者保健福祉施策を推進し、高齢者の方々が健康で生きがいを持ち、安心して暮らせる社会の実現を目指してまいります。
 このため、あいち介護予防支援センターにおきまして、地域における介護予防を推進するリーダーの養成や市町村からの困難事例に対する相談への対応などに引き続き取り組んでまいります。
 また、認知症疾患対策につきましては、来年度新たに大府市にある国立長寿医療研究センターを認知症疾患医療センターとして指定し、専門医療の提供に加えて、認知症に関する相談や介護・保健医療関係者の研修を行うなど、地域における認知症医療体制の強化を図ってまいります。

  さらに、愛知の未来への投資についても積極的に取り組んでまいります。
 まず、愛知の将来を担う人づくりについてであります。
 生徒の個性を伸ばし、創造性と意欲に満ちあふれる人材を育成していくために、県立学校の創意工夫を活かした特色ある意欲的な取組を積極的に支援してまいります。第66回国体冬季大会に出場した鈴木明子選手
 また、近年、フリーターやニートの増加などが大きな社会問題となっています。こうした現代の若者たちに健全な勤労観・職業観を育み、自立した生き方への方向付けをするため、子どもたちの発達段階に応じたキャリア教育の充実に取り組んでまいります。
 また、平成24年1月に、本県で初めての冬季国体、「ゆめリンク愛知国体」を愛・地球博記念公園など県内4会場で開催いたします。
 次に、新産業の創出と次世代産業の育成についてであります。
 次世代モノづくり技術の創造・発信の拠点となる「知の拠点」につきましては、引き続きハード・ソフト両面での取組を進めてまいります。
 ハード面では、「知の拠点」の中核として、産学行政の共同研究の場となる「先導的中核施設」に関し、平成23年度の供用開始に向けて建設工事を進めるとともに、中小企業の新技術等の開発を支援する計測分析機器を整備いたします。知の拠点イメージ図
 また、ナノテク研究に不可欠なシンクロトロン光利用施設につきましては、平成24年度の供用開始に向けて、産学行政が一体となって整備を進めます。
 さらに、ソフト面では、産学行政の共同研究である「重点研究プロジェクト」として、昨年度決定したナノ・マイクロ加工技術など3つのテーマの研究を実施してまいります。
 次に、交通基盤の整備についてであります。
 中部国際空港につきましては、本県始めこの地域の国際競争力の強化、さらには我が国の発展にとりまして、完全24時間化が不可欠であります。そのため、エアポートセールスにより新規路線の開設を図るなど、二本目滑走路の実現に向けて、さらなる需要拡大を図る取組を引き続き推進してまいります。伊勢湾フェリー(鳥羽伊良湖航路)
 また、広域的な観光や地域間交流・連携の基盤として、重要な航路である鳥羽伊良湖航路の維持のため、地域を挙げた利用促進に取り組んでまいります。
 また、行財政改革についても着実に取り組んでまいります。
 財政状況が厳しい中、自主財源であります税収の確実な確保が県と市町村にとっての共通かつ喫緊の課題となってきております。
 平成23年度から新たに県と市町村が協働して、個人県民税や市町村税などの滞納整理を推進する地方税滞納整理機構を県内6ブロックごとに設立し、一層の税収確保に取り組んでまいります。
  
 以上、予算の主な内容につきまして申し上げてまいりましたが、ここにご審議をいただく平成23年度の当初予算は、
    一般会計  2兆1,075億余円
    特別会計    7,202億余円
    企業会計    1,787億余円
  でございまして、合わせて3兆65億余円となります。
 このうち、一般会計の財源といたしましては、国庫支出金、県債及び基金からの繰入金などの特定財源9,268億余円を計上し、一般財源といたしましては、県税、地方交付税など総額1兆1,806億余円を充当いたします。
  
次に、予算以外の案件につきまして、ご説明を申し上げます。
 条例は、制定、一部改正及び廃止を合わせまして、23件を提案いたしております。
 まず、知事等及び職員の給与の特例に関する条例の制定についてであります。
 これは、厳しい財政状況に対応するため、私を始め副知事等の特別職と管理職の職員について、給料及び期末手当等の一部を減額するものであります。
 次に、愛知県副知事定数条例の一部改正についてであります。
 これは、新たに東三河担当の副知事を置くため、定数を1人増員するものであります。
 次に、愛知県職員定数条例の一部改正についてであります。
 事務事業の見直しや事務処理方法の改善などに伴い、知事の事務部局などの職員を75人減員いたしますとともに、教育委員会の所管に属する学校の職員及び県費負担教職員について、小学校児童の減少や配置の適正化に伴い22人減員いたします。
 一方、治安体制を強化するため警察官を52人増員するものでございます。
 次に、愛知県名古屋飛行場条例の一部改正についてであります。
 県営名古屋空港におけるコミューター航空の維持・定着を図るため、県営名古屋空港に本拠を置く航空会社に対する着陸料などの減免措置を継続するものなどであります。
 次に、県民の生活環境の保全等に関する条例の一部改正についてであります。
 これは、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法が一部改正されたことに伴い、事業者のばい煙量等測定結果の記録義務違反に対する罰則を創設する等、法に準じて規定の整備をするものでございます。
 次に、愛知県公営企業の設置等に関する条例の一部改正についてであります。
 内陸用地造成事業と臨海用地造成事業について、さらなる事務の合理化を進め経営改善を図るため、両事業を統合し用地造成事業とするものでございます。
 また、使用料及び手数料につきましては、法令の改正に伴い手数料を新設するほか、受益者負担の原則に基づき施設の料金を設定する等の改正を行うものであります。
 さらに、条例以外の案件といたしましては、名古屋高速道路公社の基本財産の額の変更始め7件を提案いたしております。
                              
 次に、平成22年度関係の諸議案についてであります。

 まず、今回の補正予算は、国の補正予算への対応や国庫補助金及び事業費の確定に伴う所要の措置、並びに年度間の財源調整として、県税の増額分などを活用し財政調整基金への積立てを行うものなどであります。
 補正予算を会計別に申し上げますと、
  一般会計  183億  315万余円の増額
  特別会計  178億4,889万円の減額
  企業会計   91億1,388万余円の減額
 でございまして、合わせて86億5,962万余円の減額となります。
 以下、その主なものにつきまして、概要をご説明申し上げます。
 まず、緊急総合経済対策に係る国の補正予算への対応といたしまして、新しい公共支援事業基金積立金は、新しい公共の担い手のうちNPOなどの非営利組織に対し、活動基盤の整備などを支援するため、新たに基金を造成するものでございます。
 また、国の補正予算で新たに設けられました地域活性化交付金を活用いたしまして、県立学校等の耐震改修や交通安全施設の整備、県立学校の図書購入などを行ってまいります。
 さらに、子育て支援対策基金始め7基金の増額を行うこととし、これらの基金を活用した事業費につきましては、平成23年度当初予算で所要額を計上したところであります。
 そのほか、後期高齢者医療費負担金など所要の経費を計上するものであります。
 また、平成22年度の地方財政措置の増額分などを活用し、平成22年度当初予算で予定しておりました基金からの繰入運用を全額解消するとともに、減債基金の取崩しのうち1,050億円を取り止めることといたしました。
 以上、ご説明申し上げました一般会計の一般財源といたしましては、県税収入につきまして、企業収益の改善により法人二税の増収が見込まれますことから388億円を増額するなど、全体で862億2,466万余円を増額することといたしております。
 また、特定財源につきましては、臨時財政対策債の増額などにより県債を774億7,690万円増額するほか、国の補正予算に関連する事業費の財源として国庫支出金を増額する一方で、繰入金を1,516億5,913万円減額することなどから、全体で679億2,151万余円を減額することといたしております。

 次に、補正予算以外の議案につきましては、条例関係議案として、新しい公共支援事業基金条例の制定について始め5件、その他の議案として、このたび提案をいたしております補正予算に伴う関係市町村の負担金の変更が5件でございます。
                                              
 以上、提案をいたしました案件のうち、主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げました。なお、詳細につきましては、議事の進行に従いましてご説明を申し上げたいと存じます。よろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 
 最後に、結びとして今一度申し上げたいと存じます。
 愛知県民の皆様、愛知の新時代の幕開けです。かつてケネディ大統領が燃え上がる情熱でアメリカの新しい国づくりを目指してニューフロンティア戦略をたちあげたように、私もここ愛知から日本の新たな国づくりを目指して愛知のニューフロンティア戦略となる中京独立戦略をたちあげ、愛知のすべての英知を結集して、産業力、経済力、文化力、教育力、福祉力、地域力すべてを前進させ、日本一元気な愛知をつくりたいと存じます。そのための大いなる一歩を踏み出してまいります。
 県議会議員の皆様方並びに県民の皆様方の絶大なるご理解とご支援をお願い申し上げる次第でございます。