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県議会知事提案説明

平成23年6月定例県議会 知事提案説明要旨

このたびの定例県議会に提案をいたしました諸議案の説明を申し上げるに先立ちまして、最近の県政に関する諸課題について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。 提案説明をする大村知事

 知事就任から4か月が経過いたしましたが、就任直後の高病原性鳥インフルエンザ、その後の東日本大震災、さらには、浜岡原子力発電所の全面停止など、県民生活と本県経済に極めて重大な影響を及ぼす出来事が次々に発生をいたしました。
 特に、東日本大震災につきましては、我が国が一丸となって取り組んでいかなければならない未曾有の国難であり、本県としても可能な限り迅速かつ適切に役割を果たしていくことが求められます。
 今後も被災地への支援や本県に避難されている被災者の方々への支援に積極的に取り組みますとともに、日本の復興を支えるため、この愛知が元気になることを最優先課題として、全力を尽くして取り組んでまいる所存でありますので、県民の皆様方並びに県議会議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 そこで、まず、電力・エネルギー対策についてであります。
 ご案内のとおり、今回の電力需給の問題は、菅総理の浜岡原子力発電所の全面停止要請に端を発したものであります。そこで、私は直ちに中部電力さん始め関係者と今夏の電力需給対策を協議した上で、菅総理、海江田経産大臣始め国に対しまして、今回の要請が法律に基づかないものであることを指摘しつつ、愛知県民の暮らしや経済産業活動に支障が生じないよう、電力・エネルギーの安定供給の確保や代替電源の安定的な確保、費用負担対策、企業の生産性や国際競争力低下の回避、雇用の安定・確保等の要請を強く行ったところであります。
 その結果、菅総理、海江田経産大臣始め国の責任者からは、愛知及び中部の電力の安定供給には万全を期すとのお答えをいただいているところでありますが、引き続き、その約束が守られるよう強く要請してまいりたいと考えております。
 なお、そのこととあわせて、本県としても、今後の電力・エネルギーの安定供給の確保に努力してまいります。
 まもなく、電力需給が厳しい状況になることが予想される夏場を迎えます。こうした中、夏期の電力需給対策として、日本自動車工業会が企業の休日の振替え等を決定いたしました。本県としても「愛知県電力・エネルギー対策本部」において決定した「愛知県庁の今夏の省エネ・節電アクションプラン」に基づき、過度な節電をするのではなく、ピークカットに重点を置いた「スマート・ユース」を率先するとともに、県民や企業の皆様にも協力を呼びかけ、地域を挙げて、この難局を乗り越えたいと考えております。
 同時に企業の休日の振替え等を受け、市町村に対して、休日保育等の実施体制を確保するよう要請するとともに、新たな財政支援を全国に先駆けて実施することといたしました。
 また、このたびの事態を踏まえ、県としては、エネルギー・リスクに強い社会づくりを進める必要があり、中京独立戦略本部に先行して設置した「エネルギープロジェクトチーム」において、中長期的な観点から、新エネルギーの導入促進、省エネ対策の強化に向けた検討を進めてまいる所存であります。
 
 次に、中京都構想の推進についてであります。
 世界と闘える愛知・名古屋を築いていくための司令塔として、6月17日、私と河村名古屋市長を本部長、経済界や企業関係者、学識経験者を本部員とする「中京独立戦略本部」のメンバーを公表いたしたところであり、6月議会閉会後できるだけ早い時期に開催できるよう、準備を進めています。
 我が国は、東日本大震災、福島第一原発の事故に見舞われる中、円高・デフレも加わって、国民生活、産業経済の各方面において、数多くの困難に直面しております。こうした時こそ愛知・名古屋が元気を出し、この日本をしっかりと支えていかねばなりません。
 また、東京と名古屋を40分で結ぶリニア中央新幹線の整備計画の決定、そして、名古屋港の国際バルク戦略港湾の選定は、愛知・名古屋の発展可能性を大きく拡げるものと期待しております。
 「中京独立戦略本部」では、愛知・名古屋の置かれている状況や今後の発展可能性などを踏まえつつ、本部の下に設置するタスクフォース・プロジェクトチームの議論を通じ、愛知・名古屋の発展方向やあるべき姿など、幅広な検討を行ってまいります。
 また、その一環として、首都機能を始めとした我が国の中枢機能の分担・バックアップ体制や、大都市地域の活力・自立性を高める行政体制のあり方の提案などについて、大阪府など同志の自治体とも連携しつつ、推進してまいります。

 次に、最近の経済情勢についてであります。
 東日本大震災によりサプライチェーンが寸断され、本県主要産業である自動車関連産業は、生産が大幅に減少しました。しかし、ここにきて、ようやく生産回復の見通しが立ち、年度の後半に向けて力強く景気が回復していくとの見方もでてまいりました。
 一方で、円高・デフレ傾向に歯止めがかかりません。こうした状況が続けば、輸出産業の海外展開など、さらなる産業の空洞化が懸念されるところであり、このような悪循環を断ち切るためにも、今こそ政治が決断し、政治主導で抜本的な円高・デフレ対策を講じていかなければならない時だと考えます。震災復興はもとより日本経済再生のためにも、この抜本的な円高・デフレ対策を国に対して強く働きかけてまいります。
 このように円高による輸出産業の収益悪化や浜岡原子力発電所の全面停止による電力不足などの懸念から、現時点では県内企業の業績について、今後の見通しを立てることは困難な状況となっております。こうした経済情勢の中、法人二税の収入に依拠する本県といたしましては、今後の県税収入の動向を注意深く見守っていかなければなりません。
 さらに、法人事業税につきましては、一部国税化の影響による税収減があります。受益と負担という税の原則に反し、地方分権改革に逆行するものであることから、去る15日には、地方法人特別税の即時廃止、そして、地方の法人事業税への復元について、本県と東京都、大阪府が共同で、政府に対し緊急要請を行ったところであります。この点に関しましても、引き続き、県議会議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 さて、このような状況に的確に対処していく中で、6月補正予算に取り組ませていただきました。これは、当初予算が骨格予算でありましたので、私にとりまして、初めての本格的な予算編成となりました。
 この補正予算では、医療費助成や私学助成など当初予算で計上を見送った施策やマニフェストの実現に向けた施策に加え、東日本大震災を踏まえ緊急に措置を要する地震防災対策や景気対策への対応が重要課題となりました。
 しかしながら、財源といたしましては、県税や地方交付税などの増額計上は見込めず、基金の大幅な取崩しに頼らざるを得ない状況であり、当初予算で抑制した、私を始め副知事等の特別職や管理職の職員の給与をさらに削減するとともに、一般の職員の給与抑制も行うことといたしました。
 このような厳しい財政状況でありますが、真に必要な分野に、限られた財源を可能な限り、優先的・重点的に配分することを基本として予算編成を行ったところであります。
 
 次に、今回の補正予算における重点施策を、「地震防災対策」、「景気対策」、「マニフェストを推進する施策」の大きく3つの柱に分けて、主要な事業を中心に申し述べたいと存じます。

 まず、第1は、地震防災対策であります。
 東日本大震災が及ぼした、我が国全体への損失や今もなお続く国民生活への影響を目の当たりにして、地域防災計画や地震対策アクションプランの見直しが急務であると考えております。
 このため、今月6日には、アクションプランの見直しに向け、地震対策有識者懇談会を開催し、専門家の方々のご助言をいただきながら、本県の地震対策の再検証を始めたところであります。今回の東日本大震災は、複数の地震が連動して発生することで、想定を大きく上回る被害が発生いたしました。そこで、本県の災害対応力の検証と東海、東南海及び南海の三連動地震を想定した被害予測調査を行い、本県の地震防災対策の充実強化につなげてまいります。基幹的広域防災拠点オペレーティングルーム(東京臨海広域防災公園ホームページより)
 また、大規模災害時の災害応急対策活動の拠点となる国の基幹的広域防災拠点は、この地域に是非とも必要であり、県としても必要な調査を行い、国による整備を強く求めてまいります。
 さらに、震災後、県民の皆様方の住宅の耐震化に対する関心が高まってきております。このため、民間木造住宅の耐震改修補助について、市町村と耐震改修のイメージ連携して補助限度額を引き上げ、補助対象戸数を大幅に拡大し、一層の耐震化の促進に取り組んでまいります。
 県立学校の耐震改修につきましては、生徒の安全や避難所の確保を図るため、可能な限り事業進捗を図ることとし、今回の補正予算で事業費の大幅な増額を行い、平成27年度までの全校完了を目指してまいります。
 また、道路、河川、海岸、砂防、港湾など公共構造物の耐震化につきましても引き続き取り組んでまいります。
 東日本大震災発生から3か月余りが経過しましたが、被災地では、今もなお、懸命な復旧作業が続けられているところでございます。被災地域への支援や被災された方々の生活支援及び被災企業等の県内移転への支援には、今後ともできる限りの対応を行ってまいりたいと考えております。

 第2は、景気対策であります。
 震災により、我が国の社会、経済は深刻な状況に陥りました。こうした時にこそ、愛知の産業、経済がフル回転をして日本を支えていかなければなりません。
 このため、まずは、経営環境が厳しい中小企業の資金繰りの支援が急がれましたので、国の対策に先んじて、緊急のつなぎ資金として「あいちガンバロー資金」を創設しました。多くのご利用をいただき、融資枠を2,000億円まで拡大して対応しております。また、国が震災復興緊急保証制度を創設しましたので、本県としてもこれを活用し、中・長期又は設備資金にも対応できる震災復興のサポート資金を新たに設けることにより、県融資制度のさらなる充実を図ったところであります。
 また、公共事業の施行促進として、平成23年度当初予算における国庫補助事業や単独事業の上半期契約率の目標を85%に設定し、工事発注等の積極的な前倒しを行い、景気の下支えを図っているところであります。
 今回の6月補正予算におきましても、切れ目のない景気対策に資するため、国庫補助事業や単独事業の追加として投資的経費を792億余円増額計上し、当初予算との合計では3年ぶりに投資的経費が前年度当初予算額を上回る積極的な対応を図ることといたしました。
 また、市街化調整区域の住宅等の立地条件の緩和を行うための条例を新たに制定し、個人の住宅などの建築需要の掘り起こしを図ってまいりたいと考えております。
 さらに、依然として有効求人倍率が1倍に満たない厳しい状況の中で、雇用対策といたしましては、当初予算に引き続き、緊急雇用創出事業基金を最大限活用した事業展開を市町村との連携のもと進めてまいります。
 特に、若者の就労対策につきましては、最優先で取り組むこととし、人材の育成・確保が課題とされている、ものづくり分野などを対象に、未就職卒業者向け人材育成事業を拡充し、新たな雇用創出を図ってまいります。
 
 第3は、マニフェストを推進する施策であります。
 私のマニフェストは、県政全般にわたる幅広い施策を掲げておりますが、新規・拡充した施策を中心に、主な事業につきまして順次ご説明申し上げたいと存じます。
 
 一つ目は、元気な経済・産業・地域づくりについてであります。
 この地域の経済や雇用を支えるうえで重要な役割を果たしている中小企業対策につきましては、中小企業の経済的・社会的役割や中小企業政策の基本的なあり方について検証し、今後の施策展開の基本理念を明確にする条例の制定に向けた検討を進めてまいります。
 また、経済のグローバル化に伴い、中小企業においても海外への事業展開が急務となっております。
 そこで、巨大市場である中国に海外販路開拓の専任マネージャーを新たに設置するとともに、県内産品・製品の海外展示会等への出展支援など、アジアでの事業展開を促進してまいります。
 観光対策につきましては、地域の観光団体等が行う本県の観光資源を活用したツアーの企画・開発やイベント開催を支援するとともに、震災の風評被害などにより、特に訪日旅行需要が低下している海外への観光プロモーションを行い、本県への観光客の誘致促進を図ってまいります。
 次に、次世代ものづくり技術の創造・発信の拠点となる「知の拠点」のうち、産学行政の共同研究の場となる「先導的中核施設」につきましては、本年度中の供用開始に向け準備を進めてまいります。
 また、ナノテク分野の研究開発を支援する「シンクロトロン光利用施設」につきましては、産学行政が一体となって平成24年度の供用開始を目指し整備を進めてまいります。
 次に、農林水産業の振興についてであります。
 農林水産業の生産性の向上や経営の安定化を図るため、農業基盤整備や野菜を始めとした生産安定対策を進めてまいります。
 また、「あいちの農林水産物」の知名度を向上させるため、「食と緑あいちブランド」の創出に取り組むとともに、海外への新たな販路開拓の取組として、中国の上海市で、マーケティング調査やプロモーション活動を行い、輸出に向けた機会づくりを推進してまいります。
 
 二つ目は、安全で災害に強い地域づくりについてであります。
 地震防災対策の主な事業につきましては、先に申し述べたとおりでありますが、そのほかにも、大津波を想定した実践的な防災訓練を南知多町と共同で行うほか、同報系無線などの整備のため市町村の地震防災対策事業に対する支援を拡充してまいります。
 さらに、このたびの原子力発電所の事故により、県民の皆様方から放射性物質にかかる不安が寄せられておりますので、放射能について大気中のモニタリングを行うとともに、食品や水道水についても検査できるよう監視体制を強化してまいります。
 また、治安の維持回復に資するため、施設の老朽化・狭あい化への対応や耐震性の確保が必要な、豊田警察署につきまして、改築に向けた基本的な設計及び諸条件の調査を実施いたします。
 交通安全対策といたしましては、交通事故死者数の減少を目指して、事故多発交差点の重点的な改良及び信号機についてLED化や停電時のための非常用発電機の設置など、交通安全施設の整備を図ってまいります。
  
 三つ目は、環境首都あいちづくりについてであります。平成22年10月29日COP10最終日
 昨年開催されました「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」の成果を継承し、生物多様性保全のための活動の充実を図るため、COP10開催1周年を記念するイベントやシンポジウムを開催いたします。
 また、生きものの生息空間のつながりを確保するため、すぐれた自然環境を有する地域を緑地等でつなぐ生態系ネットワークの形成に向けた調査検討を進め、生物多様性の保全に配慮した地域づくりを推進してまいります。
 地球温暖化対策といたしましては、省エネ化や再生可能エネルギー導入の必要性が、これまで以上に高まっております。このため企業等と連携して家庭や中小企業の省エネ対策を促進する仕組みづくりや設置数が全国一である住宅用太陽光発電への支援に積極的に取り組んでまいります。
 
 四つ目は、安心できる健康・医療・福祉社会づくりであります。
 福祉医療につきましては、子どもや障害者、母子・父子家庭の方、高齢者の方々が安心して医療を受けていただけるよう、全国トップレベルの現行制度を維持してまいります。
 また、高齢者対策につきましては、第4期愛知県高齢者保健福祉計画を推進しているところでありますが、計画に定める施設整備の目標達成に向けて、特別養護老人ホームなどの整備を支援してまいります。
 次に、障害者対策では、第二青い鳥学園につきまして、三河地域で不足する重症心身障害児施設を新たに加えるとともに、老朽化した施設の移転改築を行うため、本年度、基本設計を実施いたします。

 五つ目は、教育・文化立県あいちづくりについてであります。
 全国一のものづくり県を支えるため、本県工業教育の中核となる総合技術高等学校につきまして、平成27年度の開校を目指して実施設計に着手してまいります。
 特別支援学校につきましては、一宮東養護学校等の過大化解消を図り、児童生徒の教育環境を改善するため、元平和高等学校の敷地を活用して、
新たな知的障害養護学校を平成26年度の開校を目指し整備してまいります。音楽学部校舎の整備イメージ
 また、県立芸術大学につきましては、開学後40年以上が経過し、老朽化いたしております音楽学部校舎について、平成25年度の供用開始に向けて建築工事に着手することといたしました。
 本県の学校教育において重要な役割を果たしている私立学校につきましては、その振興と父母負担の軽減を図るため、私立学校経常費に対する補助や授業料への補助を充実することといたしました。また、私立学校の耐震化を促すため、施設設備整備に対する助成の増額を図るなど、引き続き各種助成を着実に実施してまいります。あいちトリエンナーレ2010、草間弥生<命の足跡>、名古屋テレビ塔、オアシス21
 次に、文化芸術分野につきましては、世界に発信するアートフェスティバルとして、「あいちトリエンナーレ」の2013年度開催に向けた芸術監督の選任や企画概要の決定などの準備を進めてまいります。
 また、「あいちトリエンナーレ2010」で盛り上がった芸術への関心を地域に広げていく事業を行うほか、文化芸術団体が行う地域の魅力アップを目指す事業を支援してまいります。
 次に、本庁舎の重要文化財の指定に向けた取組についてであります。
 県庁本庁舎につきましては、名古屋市役所本庁舎と同時に重要文化財の指定を受けるために必要な建物の調査を行うとともに、休日などに庁舎を開放して、庁舎内見学やイベント等を実施してまいります。
左は名古屋市役所本庁舎、右は愛知県庁本庁舎
  スポーツの振興につきましては、平成24年3月にこれまでの名古屋国際女子マラソンと名古屋シティマラソンを発展させ、競技参加者3万人規模で開催される「マラソンフェスティバルナゴヤ・愛知2012」を支援してまいります。
 
 六つ目は、地域の潜在力を引き出す社会基盤づくりであります。
 この地域の社会、経済活動を支える総合交通体系の整備充実は中京都構想の推進にとっても極めて重要であります。
 道路網の整備につきましては、名古屋環状2号線や名豊道路などの広域幹線道路や各地域の主要都市間を連絡する道路の整備など、幹線道路ネットワークの強化を図るとともに、住民の皆様の生活に密着する道路や山間道路などの整備につきましても取り組んでまいります。
 また、重要な物流拠点として、重点港湾に位置づけられている衣浦港、三河港についての整備を着実に推進いたします。
 名鉄西尾・蒲郡線につきましては、この路線が本県の広域公共交通網の一部を形成し、三河地域南部の重要な社会基盤でありますことから、沿線2市が行う路線の維持存続に向けた取組を支援してまいります。
 
 七つ目は、自立・分権・協働の行財政体制づくりであります。身近でやさしい民主主義のイメージ
 「身近でやさしい民主主義」の実現に向け、住民が地域の身近な課題を話し合い、解決する取組を支援するため、シンポジウムやセミナーを開催するとともに、市町村のモデル事業への助成などを行ってまいります。
 また、財政の透明性の向上を図るとともに、より効率的・効果的な行財政運営に取り組むため、複式簿記・発生主義に基づく新たな公会計制度の平成25年度導入に向けて、制度設計やシステム整備を進めてまいります。
 以上、補正予算の主な内容につきまして申し上げてまいりましたが、
補正予算の総額は、1,628億5,560万余円でありまして、
 会計別には、
  一般会計 1,592億5,089万余円
  特別会計    15億5,753万余円
  企業会計    20億4,716万余円
となっております。
 このうち、一般会計の財源でございますが、特定財源として、国庫支出金276億8,820万余円、県債360億2,500万円、減債基金繰入金396億円など1,069億5,532万余円を計上し、また、一般財源といたしましては、財政調整基金繰入金522億9,557万余円を充当いたします。
 
 次に、補正予算以外の議案につきましてもご説明を申し上げたいと思います。今回提案いたしております案件は、条例関係議案が10件、その他の議案が12件でございます。
 条例関係議案のうち、主なものといたしましては、まず、都市計画法に基づく開発行為等の許可の基準に関する条例の制定についてでございます。
 これは、条例で、市街化調整区域内であっても開発行為等を許可することができる土地の区域の要件や住宅等の建築できる用途を具体的に定めるものであります。また、地域振興のため、工場や研究所の立地基準を定めるものでありまして、市街化調整区域における立地条件を緩和するものでございます。
 次に、委員会の委員等の報酬及び費用弁償等に関する条例の一部改正についてであります。
 現在は月額で支給しております行政委員会の委員等の報酬について、活動実績がより適切に反映されるよう、日額、月額の併用制へ見直しを行うものでございます。
 次に、知事等及び職員の給与の特例に関する条例等の一部改正についてであります。
 現在、私を始め副知事等の特別職と管理職の職員について、給料及び期末手当等の一部を減額しているところでありますが、深刻な財政状況に対応するため、その減額率を引き上げるとともに、関係職員団体との話し合いを踏まえ、一般の職員についても、給料及び期末手当等の一部を減額するものでございます。
 併せて、知事の特別職の秘書の給料及び手当に関する規定を整備いたします。
 次に、文化振興基金条例の一部改正についてであります。
 これは、あいちトリエンナーレの開催等に必要な財源に充てるため、基金の一部を取り崩すことができることとするものでございます。
 次に、高等学校授業料減免等事業基金条例の一部改正についてであります。
 これは、東日本大震災により被災し、経済的な理由により就学が困難な幼児、児童、生徒の教育の機会を確保するための就学支援事業を基金の対象事業に加えるものであります。
 また、その他の議案のうち、人事案件でありますが、公安委員会の委員及び人事委員会の委員の任期満了に伴いまして、その後任者をそれぞれ選任するものでございます。
 
 以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げましたが、詳細につきましては議事の進行に伴いまして、ご説明を申し上げたいと存じます。
 どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますよう、お願いを申し上げます。

 最後に結びとして一言申し上げます。
 千年に一度の大地震、東日本大震災が発生した3月11日を境に世の中の風景が変わってきたとも言われており、我が国のみならず世界に与えた衝撃は大きなものでありました。
 百年、千年といった期間で考えてみれば、我が国は何度となくこうした大きな自然災害などの非常事態に直面し、それらを必ず乗り越えてきております。今回の危機も克服できるものと信じており、日本がより良い方向に、希望がもてる未来に向かっていくものと確信しております。
 一刻も早く、我が国全体が復旧、復興を果たしていくため、愛知は何をなすべきなのか、今の日本を支えていくため、どのように愛知の産業と経済を元気にしていくのか、そのことに、これからも全身全霊を傾け、世界と闘える愛知づくりに取り組んでまいる所存でありますので、県民の皆様方並びに県議会議員の皆様方の、ご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。

<参考>
 平成23年度6月補正予算の概要