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県議会知事提案説明

平成24年9月定例県議会 知事提案説明要旨

このたびの定例県議会に提案をいたしました諸議案につきまして、そのご説明を申し上げるに先立ち、県政を取り巻く最近の状況について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願いしたいと思います。

  はじめに、最近の日中関係についてであります。
 9月11日の日本政府による尖閣諸島国有化以降、中国国内において、デモ活動等が激化し、一部が暴徒化するなど、誠に憂慮すべき事態となっており、極めて遺憾であります。
 本県におきましても、日中国交正常化40周年を記念し、9月16日から1週間、友好提携先である江蘇省において私自身も訪問し日中漫画交流事業を開催する予定でありましたが、デモ活動の拡大などを考慮し、江蘇省と相談の上、残念ながら延期することとしたところであります。
 日中関係の悪化は、多くの企業が中国に進出している本県の産業経済にも大きな影響を及ぼしかねません。日中両国政府においては、速やかに事態の鎮静化と収拾を図り、日中関係の基本である戦略的互恵関係を改めて確認した上で、関係正常化と日中友好の促進に取り組まれるよう、強く要請をするものであります。

  さて、ロンドンオリンピックについてであります。
 7月に開幕しましたロンドンオリンピックで史上最多38個のメダルを獲得した日本選手団の活躍は、大きな感動をもたらし、日本人として大いに誇るべきものでありました。とりわけ、団体種目の健闘ぶりは、仲間との強い絆を感じさせ、閉塞感に覆われている我が国において、多くの人々に勇気や希望を与えてくれたものと思います。
 そうした中で本県ゆかりの女子レスリング吉田沙保里選手は、個人種目では日本人3人目となるオリンピック3連覇という大変な偉業を成し遂げました。本県では、その素晴らしい活躍と輝かしい成果に対しまして「愛知県スポーツ栄誉大賞」を贈呈し、栄誉をたたえることとしております。
 そのほか、今回のオリンピックにおいてアーチェリーや陸上競技などで活躍されました選手の方々もあわせて表彰し、県民の皆様方と喜びを分かち合いたいと思います。
 さらに、パラリンピックにおける本県ゆかりの選手の健闘に対しても、心から敬意を表したいと思います。
 また、今月末から、「ぎふ清流国体」が開催されます。本県選手の活躍も大いに期待されます。多くの県民に夢と感動を与えていただきたいと思います。

 次に、東日本大震災で発生した災害廃棄物への対応についてであります。
 本県では、岩手県、宮城県及び国からの要請に基づいて災害廃棄物の広域処理の引き受けを検討してきたところであり、不燃物の受入れを前提とした計画の全体像について、8月末を目途に、県議会を始め県民の皆様方にお示しするため調査検討を進めてまいりました。具体的には、宮城県南部の十数万トンの廃棄物を来年7月から25年度末までに、県内3か所の最終処分場を活用して受け入れる、という具体的な案を作成し、国の費用負担を前提に環境省及び宮城県と調整を進めてまいりました。
 しかし、最終的な調整段階におきまして、宮城県から今後再生利用に力を入れ処理を進めることから、本県における処理を依頼する具体的な数量を示すことができない旨の意向が示されました。さらに、8月23日には環境大臣名の正式文書を持参した環境省及び宮城県から直接説明がありました。こうした状況を踏まえ、本県といたしましては、災害廃棄物の受入れをこれ以上進めることにはならないものと判断したものであります。
 3月以降、様々な局面でご協力をいただいた知多市、碧南市、田原市始め地元の皆様方、関係の企業の皆様方、真摯にご議論いただいた県議会の皆様方には、厚く感謝を申し上げます。
 被災地では依然として復旧・復興に向けて様々な課題がありますことから、本県としては、今後も職員派遣などの人的支援、県営住宅提供などの受入れ支援などを引き続き行ってまいりますので、県民の皆様方並びに議員の皆様方のご理解とご協力をお願いいたします。

 次に、南海トラフ巨大地震の被害想定についてであります。
 去る8月29日に内閣府から南海トラフ巨大地震による被害想定などの推計結果が公表されました。本県における震度分布や津波高は、概ね3月に公表された結果と同程度のものでございましたが、複数の試算が行われた被害想定につきましては、本県の死者数が最大約2万3千人となっており、従来の想定の約10倍にもなるという衝撃的なものでありました。
 一方で、防災対策効果の試算も実施されており、建物の耐震化率の引上げや津波に対する早期避難の徹底、津波避難ビルの効果的な活用などにより、被害が大幅に減少するという効果が示されており、日頃からの地震防災対策の重要性が改めて認識されたところであります。
 本県におきましては、昨年度から三連動地震などの被害予測調査に着手するとともに、東日本大震災で明らかとなった課題や本県の災害対応力なども踏まえながら、地震防災対策の抜本的な見直しに向けた検討を進めているところであります。
 今後は、今回示された想定も十分参考にしつつ、調査、検討を進め、地震防災対策の拡充にしっかりと取り組んでまいります。
 また、県では、9月2日に外国人被災者への対応訓練や、燃料電池車からの非常時電源供給訓練など、豊田市と合同により地域の特性を活かした総合防災訓練を実施したところであり、11月10日には、高台への避難を行う実践的な津波・地震防災訓練を田原市と合同で行うことといたしております。今後も、こうした訓練を通して、地域の連携を活かした防災力の強化と防災意識の高揚を図ってまいります。
 県民の皆様方におかれましては、日頃からの防災対策の重要性をしっかりとご認識をいただき、訓練への参加も含め、改めて災害に対する備えの契機としていただきたいと存じます。

 次に、いじめ問題に対する取組についてであります。
 滋賀県大津市で、いじめを受けていた一人の中学生が、自ら命を絶つという大変痛ましい事件が起きました。
 一人の子どもがここまで追い込まれていたという事実は、子どもの教育に携わる関係者のみならず、社会全体で重く受け止めなければならない問題であると考えます。
 私自身も、このような痛ましい事件が二度と繰り返されることがないよう、夏休み直前の7月20日に「みんなの力でいじめをなくそう」と題した、県民の皆様へのメッセージを発表いたしました。
 いじめに関しては、「早期発見、早期対応」が重要であると言われております。本県では、従来から実施しております「いじめほっとライン24」という24時間対応のいじめ問題の電話相談窓口につきまして、2学期を迎えた子どもたちが、いじめに悩んだ時に、一目見て相談してみようと思えるようなパンフレットやシールの配布による周知を行うことといたしました。あわせて、対応に当たっていただいているボランティアの相談員や臨床心理士の方々に対する研修や夜間電話回線の増設など相談体制の充実を図ることといたしました。
 さらに、市町村教育委員会担当者や警察担当者などを集めた会議を開催し、いじめ相談の充実と市町村教育委員会との連携強化を図ったところであります。
 また、先ごろ国において「いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針」が取りまとめられたところであり、今後国の動きも注視しつつ、しっかりと連携を図りながら取組を進めてまいります。
 こうした取組により、愛知の子どもたちがいじめに悩むことなく、笑顔で学校に通えることを心から願っているところであります。

 次に、交通安全対策であります。
 本県では、今年4月に交通死亡事故多発警報制度を導入し、県警察、市町村を始め関係者が一丸となって交通安全対策を進めております。
 しかしながら、県内の交通事故死者数は、高齢者の方々が犠牲になる事故や、交差点での死亡事故が多発し、全国ワースト1位という大変厳しい状況が続いており、残念ながら去る9月14日には、4回目となる警報を発令せざるを得ない状況となっております。
 このため、明日から始まる秋の全国交通安全運動におきまして、高齢者の方々への事故防止の呼びかけに力を入れるとともに、例年交通事故が多発する年末にかけまして、交通死亡事故多発警報制度の効果的な運用や高齢者と交差点に重点を置いた対策に積極的に取り組むことで、交通事故死者数の減少を目指してまいりたいと考えております。

 次に、最近の経済情勢と本県の財政運営、産業振興についてであります。
 最近の経済情勢につきましては、世界経済の減速等を背景として、景気回復の動きに足踏みが見られるようになりました。また、先行きにつきましても、長引く欧州政府債務危機による不確実性が依然として高い中での世界景気のさらなる下振れや、海外情勢を反映した円高とそれに伴う輸出への影響、さらには、エコカー補助金終了による国内自動車販売や個人消費全体に及ぼす影響など、懸念材料が数多くあり、景気の不透明感が強まっているところであります。
 このため、本県の税収につきましては、いまだ大幅な回復までは望めない状況が続いております。本年度の本県の歳入につきましては、地方交付税及び臨時財政対策債合わせて当初予算額を211億円上回る額を確保することができましたが、当初予算で行いました1,579億円にも及ぶ基金による財源対策を埋め合わせる目処は立っておりません。また、来年度以降も義務的経費の増加が確実に見込まれることから、今後も厳しい財政状況が続くものと認識をいたしております。
 このため、本年度内の歳入の確保や経費の節減に最大限努力するとともに、愛知県第五次行革大綱や重点改革プログラムの着実な実施など、歳入歳出全般にわたる取組を進めていかなければならないと考えております。
 こうした取組に加え、地域経済を立て直し、産業の活性化を図ることにより、地域の雇用を維持、拡大し、税収の回復を図ることも重要であると考えております。
 このため、今年度から、「産業空洞化対策減税基金」を原資とする総合的な補助制度を創設し、7月には、研究開発・実証実験の支援として、59件を補助対象案件として決定し、さらに、9月上旬には、高度先端分野の企業立地や、県内企業の再投資への支援として、24件の補助対象案件を決定したところであり、今回の企業立地等により、総額509億円の投資と6,000名余の常用雇用者が維持、創出される効果が見込まれております。
 また、「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」につきましては、企業の設備投資に対する税制上の優遇措置や工場敷地の緑地規制の緩和など、関連企業の設備投資を促進しているところでありますが、さらに、本年10月に本県で開催されます、アジア最大級の航空宇宙産業分野の展示会「2012年国際航空宇宙展」におきまして、航空宇宙産業拠点としての当地域の魅力を大いにアピールしてまいりたいと考えております。
 加えて、本県のモノづくり技術の革新を支える研究開発機能の集積・強化を図る必要があることから、豊田・岡崎地区における研究開発施設用地造成事業を進めているところでありますが、いよいよ11月には造成工事に着工する予定となっております。
 こうした産業振興策にしっかりと取り組み、雇用を確保することで、世界と闘える愛知・名古屋の実現を目指してまいります。

 それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げたいと思います。
 まず、補正予算案についてであります。補正予算の総額でございますが、207億3,349万余円でございまして、会計別では、一般会計で205億2,349万余円、特別会計で2億1,000万円であります。
 一般会計補正予算案の主な内容でございますが、まず、国庫補助の内示増に伴う公共事業といたしまして、新東名高速道路や名豊道路へのアクセス道路などモノづくり基盤を支える幹線道路ネットワーク、災害発生に備えた緊急輸送道路などの整備や地震、津波などに対する防災機能強化を図る河川・海岸整備を重点的に実施することとしました。
 次に、地域医療再生基金を活用し、障害者医療の拠点施設として再編整備を進めております「療育医療総合センター(仮称)」につきましては、平成25年度内の工事着工に向け、地質調査及び医療型障害児入所部門の実施設計に着手いたします。
 このほか、県内の厳しい交通事故情勢を踏まえた、事故が多発する交差点や通学路の標識・標示の整備、裁判員裁判などの事件に係る取調べの状況を録音・録画する装置の整備についても計上いたしました。
 さらに、特別会計では、田原地区で製造した自動車部品を、三河港からウラジオストク港へ輸出する新規航路の開設に伴い、コンテナ貨物取扱量が現在の年間約4万TEUから約7万TEUにまで増加する見込みとなりますことから、三河港神野地区にコンテナヤードの拡張整備を行うこととしました。
 また、年明け以降から三河港を利用する今回の航路では、平成25年度には月約1,000台分の部品を製造、輸出する予定となっており、三河港の振興だけでなく、本県における雇用の確保にもつながるものであります。
 なお、この航路は、新規コンテナ航路を誘致するため、昨年9月議会で改正を行いました愛知県港湾管理条例及び愛知県入港料条例に基づく、岸壁使用料・入港料免除の適用第1号となります。今後も積極的に新規航路の誘致を行い、東三河のさらなる産業の発展につなげてまいりたいと考えております。

  次に、補正予算案以外の議案についてであります。
 今回提案をいたしております案件は、条例関係議案が14件、その他の議案が34件でございます。
 主な案件につきましてご説明申し上げます。
 まず、条例関係議案のうち、薬物の濫用の防止に関する条例の制定についてでございます。
 近年、法律で規制された薬物の化学構造の一部を変え規制を逃れた、いわゆる脱法ドラッグによる健康被害などが深刻な社会問題となっております。
 このため、薬物の濫用の防止を図り、県民の健康と安全を守るため、県及び県民の責務を明らかにするとともに、施策に関する基本的な事項及び必要な規制などを定めた条例を提案することといたしました。あわせて、指定薬物の検出に必要な検査機器の整備や薬物濫用防止の啓発活動を実施することとしております。
 次に、愛知県中小企業振興基本条例の制定についてでございます。
 本県は、絶えずモノづくりの革新的な技術を発信しつつ、日本屈指の産業県として発展をしてきました。中小企業は、事業活動の主たる担い手として、こうした発展に貢献し、経済と雇用を支える重要な役割を果たすとともに、地域社会に貢献する役割を担ってきました。
 こうした中小企業の存在と役割の重要性に対する認識を共有し、その振興を通じて、地域社会の発展と県民生活の向上に資するため、中小企業振興の基本理念や県の責務、府県条例で初めての規定となる「中小企業の地域社会への貢献」、「金融機関の中小企業者に対する配慮」など、中小企業振興にかかわる関係者の役割を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を規定する条例を制定することといたしました。
 次に、その他の議案についてであります。
 まず、愛知県道路公社が有料道路として管理する県道長沢蒲郡線の事業変更であります。
 この道路は、三河湾オレンジロードの愛称で昭和61年の開通以来、多くの方々のご利用をいただきましたことから、利用実績が当初計画を上回り、建設費などの償還が予定より早期に完了することとなりました。そこで、料金徴収期間を短縮し、12月1日から無料開放するために、料金徴収期間の変更に同意するものであります。
 また、人事案件といたしましては、教育委員会の委員、監査委員、公害審査会の委員及び土地利用審査会の委員の任期満了に伴いまして、その後任者を選任するものであります。

 以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げましたが、詳細につきましては、議事の進行に伴いましてご説明を申し上げたいと存じます。
 なお、平成23年度一般会計及び特別会計並びに公営企業会計決算につきましては、監査委員の審査意見を付しまして提出いたしております。
 どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願いを申し上げます。