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県議会知事提案説明

平成24年12月定例県議会 知事提案説明要旨

このたびの定例県議会に提案をいたしました諸議案の説明を申し上げるに先立ちまして、県政を取り巻く最近の状況について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

 まず、国政の動きについてでありますが、11月16日に衆議院が解散され、今月16日には、衆議院議員総選挙が行われます。
 我が国は、東日本大震災からの復旧・復興、長引く円高やデフレからの脱却、少子高齢化社会に対応した社会保障制度や税のあり方、原発事故を受けたエネルギー政策の見直し、激しいグローバル競争への対処など、国内外において、様々な課題が山積しております。そして、また、改善の傾向にあった国内景気がここにきて足踏み感を強めるなど、国民生活の先行きに不透明感が増しており、日本は今、将来を左右する大変重要な局面にあると考えております。
 国においては、政治的な空白や混乱を生じさせることなく、国民生活の安定に直結する喫緊の課題に速やかに対応されるとともに、地方団体の運営に決して支障が生じることがないよう、万全の対応を図られることを強く望むものであります。
 現時点で、国政の動向は見通し難いところがありますが、その動向をしっかりと注視しつつ、県政運営に当たっては、県民の皆様の生活の安心・安全を確保することはもとより、産業経済の活性化に取り組むなど愛知の将来の発展につながる施策を進め、元気な愛知、世界と闘える愛知を目指してまいりたいと考えておりますので、引き続き、県民の皆様方並びに県議会議員の皆様方には、ご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。

  次に、個人県民税減税の実施に向けた対応についてであります。
 地域に人・モノ・カネを呼び込み、世界と闘える愛知を実現するための政策である県民税減税については、本年度から、法人県民税減税につきまして、「産業空洞化対策減税基金」による補助制度を創設いたしました。
 また、本県の基幹産業である自動車産業の空洞化懸念を払拭し、本県経済の活性化・雇用を確保するため、自動車取得税・自動車重量税の廃止に向けて強力に取り組み、エコカー減税の延長に加え、1,500億円規模の自動車重量税の負担軽減や3,000億円規模のエコカー補助金などを実現することができました。
 その際、自動車税制の見直しの大宗が個人に対する減税であり、家計への負担減につながること、さらに雇用など個人への波及効果が見込まれることなどを踏まえまして、平成24年度については、個人県民税減税の実施を見送ることといたしました。
 本県経済の動向につきましては、本県の働きかけによる負担軽減やエコカー補助金の効果もあり、地域の基幹産業である自動車産業において、8月までは国内生産が11か月連続で前年を上回るなど、明るい兆しも見え始めておりましたが、9月下旬のエコカー補助金の終了などによって堅調だった内需にも陰りがみられ、ここにきて、足踏みの様相を呈しております。
 景気の先行きにつきましても、平成25年3月期の企業収益は、今年3月期の大幅な落込みからは回復が見込まれるものの、欧州や中国等、対外経済環境を巡る不確実性は高く、足元の生産の減少や、輸出の弱含みなども相まって、不透明感が強まっているところであります。
 このような経済状況を踏まえますと、今後の県税収入につきましても、引き続き厳しい状況が続くものと考えざるを得ません。
 また、昨年度来、本県が強力に働きかけている自動車税制の抜本的な見直しにつきましては、「三党実務者間会合合意」において消費税率の8%への引上げ時までに結論を得ることとされておりますが、現下の状況は待ったなしであります。
 このため、本県といたしましては、昨年度に引き続き、自動車税制の抜本的見直しを速やかに実現すべく取り組むとともに、「産業空洞化対策減税基金」を原資とする企業立地、研究開発投資等に対する支援などによりまして、本県経済の活性化・雇用の確保に全力で取り組んでまいります。
 このように、自動車税制の見直しの家計に対する負担軽減の効果や雇用など個人への波及効果が見込まれることなども踏まえ、平成25年度における個人県民税減税の実施は見送ることといたしました。
 なお、平成26年度におきましては、消費税率の引上げや復興増税の一部としての個人住民税の引上げが予定されております。これらが地域経済に及ぼす影響を見極め、税収の回復の状況を踏まえつつ、平成26年度には個人県民税減税を実施したいと考えております。
 その具体的な準備を進めるため、今後、財政調整基金に行財政改革によって捻出した財源を積み立てまして、個人県民税減税の原資の一部を確保することといたします。財政調整基金への積立金額につきましては、平成25年度当初予算の編成過程において計上額を調整してまいりたいと考えております。

  次に、生物多様性条約第11回締約国会議(COP11)についてであります。
  私は、インドのハイデラバードで開催されましたCOP11に参加するため、10月15日から19日までの5日間、インドへ渡航してまいりました。
 今回の渡航では、2年前COP10を開催した地元知事としての立場のほか、国際連合生物多様性条約事務局が設置した世界の先進的な自治体によるサブナショナル政府諮問委員会の共同議長として、また、全国124自治体で構成する生物多様性自治体ネットワークの代表として、その重責を担い、会議や会談に臨んでまいりましたが、大変実りの多い有意義なものとなりました。
 今回のCOP11におきましては、COP10において採択された生物多様性の保全と持続可能な利用を推進する「愛知目標」の達成に向けて、自治体の役割とその重要性が改めて確認され、その取組推進を目指す「ハイデラバード宣言」が採択されました。また、私からは、本県が全国に先駆けて進めている、開発と環境保全の調和を目指した生態系ネットワークの形成と代償ミティゲーションを組み合わせた「あいち方式」について発表するなど、「環境首都あいち」を世界にアピールしたところであります。
 なお、会議や会談におきまして、生物多様性の保全を始め環境問題に取り組んでいくためには次世代を担う子どもたちの教育の役割が極めて重要であるとの指摘もされておりました。こうした中、2年後の平成26年11月に本県で開催される「持続発展教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」につきましても、様々な機会をとらえ、しっかりとPRしてまいりました。
 今後も、この世界会議の成功に向けまして、開催支援準備を万全に進めるとともに、持続可能な社会を支える担い手を育成するユネスコスクールの活動や県民参加イベントの実施など様々な取組を展開し、地域の力を結集して開催機運を盛り上げてまいりたいと考えております。

 次に、技能五輪全国大会及び全国障害者技能競技大会(アビリンピック)についてであります。
 10月に、長野県で技能五輪全国大会が開催され、私も、現地の会場へ出向き、出場選手の激励をしてまいりましたが、愛知県は8年連続で最優秀選手団賞を獲得するなど、素晴らしい活躍でありました。また、アビリンピックにおきましても、全国最多の4名の金賞を含む10名が入賞いたしました。この二つの大会は、平成26年に本県で開催いたしますので、成功に向けて着実に準備を進めてまいります。
 また、来年には、産業教育を学ぶ全国の高校生が愛知県に集い、発表や作品展示、ロボット競技大会など、日頃の学習成果を発信する「第23回全国産業教育フェア愛知大会」を開催いたします。
 今後とも、こうした大会を契機に、モノづくり愛知、技能王国愛知をさらに発展させてまいりたいと考えております。

 次に、あいち花フェスタについてであります。
 11月3日から9日間にわたり、開業10周年を迎えるラグーナ蒲郡におきまして、「あいち花フェスタ2012」を開催いたしました。フェスタ期間中、ラグーナ蒲郡には例年の同時期に比べて1.8倍となる約10万人の方々にご来場をいただきまして、盛況のうちに終了いたしました。
 あいち花フェスタは、身近な花のイベントとして、今回の東三河地域を皮切りに、来年度に西三河地域、再来年度に知多地域において、開催してまいります。そして、愛知万博10周年となる平成27年度の全国都市緑化フェアの開催を目指して、花と緑あふれる地域づくりの機運を盛り上げてまいりたいと考えております。
 今後とも、こうした取組により日本一を誇る本県花き生産の一層の振興を図るとともに、県民の皆様に花のある暮らしを提案し、消費拡大につなげてまいります。

 また、11月13日に、名古屋港水族館では、初めて、シャチの赤ちゃんが誕生しました。昨年の冬、千葉県の鴨川シーワールドからの協力要請で、父親の「ビンゴ」とその子ども「ラン」と一緒に、出産に備えて受け入れましたシャチの母親「ステラ」が無事出産したものです。
 その後、授乳も始まり、順調に成育しておりますが、母子の状態が安定するまでの間は、館内の大型ビジョンでシャチ一家のライブ映像を上映させていただいております。
 今後も、健やかに成長し、この地域の子どもさん達始め県民の皆様にご披露できますよう、万全に飼育管理を進めてまいりますので、温かく見守っていただきたいと考えております。

 次に、韓国への渡航についてであります。
 私は、11月22日から2日間、韓国に渡航し、東日本大震災の風評被害や円高の影響などにより依然として低迷している韓国からの観光客の回復・拡大のため、昨年に続き、観光プロモーションを行ってまいりました。
 今回の渡航では、韓国政府機関などを訪問し、本県の観光の魅力をPRするとともに、愛知県内の観光事業者の方々と現地の旅行業者との商談会を開催いたしました。
 また、ソウル市内などの百貨店において、本県初の観光物産展を開催し、私自身も、来店された市民の皆様に、本県の「食」と観光をPRしてまいりました。
 今後とも、本県の魅力を広く発信し、海外からの観光客の拡大を図ってまいりたいと考えております。

 次に、地震防災対策についてであります。
 現在、愛知県では、東海・東南海・南海地震等の発生を想定した被害予測調査を行うとともに、地震防災対策の抜本的な見直しに向けた検討を進めておりますが、まずは、県民の皆様一人ひとりが日頃から地震防災に関する知識を身に付け、災害に対する備えをしっかり心がけていただくことがとても重要であると考えております。
 こうした日頃からの地震防災対策の重要性を認識いただくために、 11月10日には、田原市と合同で、高台への避難等を行う津波・地震防災訓練を実施したほか、11月11日の「あいち地震防災の日」には、地域防災力の向上を目指す「あいち防災フェスタ」を開催するなど、県民の皆様の防災意識を高める取組を進めているところであります。
 また、本県としましても、名古屋市中区の三の丸地区、県営名古屋空港及び名古屋港について、緊急災害現地対策本部や人員・物資の広域的な拠点である基幹的広域防災拠点の整備実現に向け、国に強く要請してきたところですが、11月5日に下地防災担当大臣が来県され、私との会談の中で、国としての決定を明言していただきました。今後とも、その早期の実現に向けて、内閣府、中部地方整備局始め関係機関と連携を図ってまいります。

 次に、交通安全対策についてであります。
 本県の交通事故情勢は、3月末以降、交通事故死者数が全国ワースト1位という大変厳しい状況が続いており、4月に「交通死亡事故多発警報制度」を導入以降、5回にわたり警報を発令し、さらに10月からは緊急事態宣言の発令とその延長を行うという、非常に憂慮すべき事態となっております。
 こうした緊急事態に対しまして、広報活動や警察官の増員体制による交通指導取締り活動などを強化するとともに、11月28日には交通安全緊急総決起大会を開催し、県民総ぐるみで決意を新たに交通事故防止に取り組むことといたしました。
 本年も残すところ一か月をきり、県内全域で「年末の交通安全県民運動」を展開し、飲酒運転の根絶や子どもや高齢者の交通事故防止などに重点的に取り組んでいるところでありますが、今後とも、県民の皆様と危機感を共有し、さらに気を引き締め、悲惨な交通事故を減少させるよう全力で取り組んでまいります。

 次に、来年度の予算編成についてであります。
 衆議院の解散により、国の来年度予算編成の先行きは不透明であり、予断を許さない状況であります。衆議院議員総選挙後、年末から明年にかけて、税制や地方財政対策を始めとした地方の行財政運営に関わる制度や施策について議論されることになると考えられます。
 こうした国の動向を十分注視しながら、平成25年度の予算編成に取り組むことになりますが、歳入面におきましては、引き続き厳しい税収環境が続く一方で、歳出面におきましては、公債費、扶助費を始めとする義務的経費が確実に増加してまいります。
 このため、来年度予算も引き続き多額の財源不足が見込まれる厳しい状況が続くものと考えております。
 現時点では、平成24年度当初予算で限界まで活用した基金の回復は一部にとどまっていることから、引き続き、年度内のさらなる財源の確保や経費の節減に最大限努力するとともに、第五次行革大綱や重点改革プログラムの着実な実施など、歳入・歳出全般にわたる取組を進めていかなければならないと考えております。
 こうした取組に加え、地域経済を立て直し、産業の活性化を図ることにより、地域の雇用を維持、拡大し、税収の回復を図ることも重要であり、「産業空洞化対策減税基金」を原資とする企業立地、研究開発投資等に対する支援によりまして、本県経済の活性化・雇用の確保に全力で取り組んでまいります。
 また、愛知の次世代の基幹産業として期待される航空宇宙産業につきまして、10月に「2012年国際航空宇宙展」が開催され、本県の「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」の取組を始め、当地域の航空宇宙産業の集積や企業の技術力を国内外へ大いに発信することができました。今後とも、この成果を弾みとして、航空宇宙産業の育成・振興に力を入れて取り組んでまいります。
 さらに、豊田・岡崎地区における自動車産業の研究開発拠点用地を整備する事業についても、11月に本格的な造成工事に着手いたしました。このプロジェクトは、自動車産業に関連する他の産業や地域の経済・雇用への波及効果はもとより、本県の産業振興に非常に大きなインパクトを与えるものと考えており、引き続き事業を推進し、早期の完成を目指してまいります。
 こうした産業振興策にしっかりと取り組み、雇用を確保することで、世界と闘える愛知の実現を目指してまいります。

 それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げたいと思います。
 まず、補正予算案についてであります。
 一般会計では、総額2億8,119万余円を減額するものでございます。これは、「緊急雇用創出事業基金事業費」について、今年度の不用見込額を有効活用するために、一旦減額して、同額の債務負担行為を設定し、今年度から次年度にかけて未就職卒業者等の若者を対象にしたビジネスマナー等の研修や企業の職場実習を行う人材育成事業を実施することによるものであり、この減額を除きますと実質1,733万余円の増額となります。
 主な内容についてご説明を申し上げます。
 本県では、非常に厳しい交通事故情勢が続いております。このため、特に交通死亡事故が多発している市町村を対象として重点的に街頭キャンペーンを実施するなど、市町村や企業と一体となった取組を展開するとともに、信号無視や無理な追い越し・割り込みなど、いわゆる「名古屋走り」の違法性・危険性をドライバーに訴えかけ、一人ひとりの意識改革を図るテレビコマーシャルによる広報を集中的に実施するなど、新年のスタートである1月から3月にかけて緊急交通安全対策に取り組む経費を計上することにいたしました。
 また、企業会計では、地域医療再生基金を活用し、小児救急の全県的な拠点として小児専用の集中治療室などを備えた施設整備を進めております「あいち小児保健医療総合センター」につきまして、平成25年度内の工事着工に向けて必要となる実施設計に係る債務負担行為の補正を行うものであります。

 次に、補正予算案以外の議案についてであります。
 今回提案をいたしております案件は、条例関係議案が16件、その他の議案が13件でございます。
 主な案件についてご説明を申し上げます。
 まず、条例関係議案のうち、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について」であります。
 これは、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律、いわゆる地域主権改革一括法による、児童福祉法の一部改正に伴い、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準につきまして、保育所の乳児室等の面積を乳児又は満2歳未満の幼児一人につき3.3平方メートル以上とする本県独自の基準を設けるなど、条例で必要な事項について定めるものであります。
 次に、「愛知県陶磁資料館条例の一部改正について」であります。
 この資料館は、昭和53年6月の開館以来、歴史的・美術的に貴重な陶磁作品を収集・保存し展示する専門施設として、広く陶磁文化の振興を図り、国内外から高い評価を受けてまいりました。平成25年6月に開館35周年を迎えますことから、これを機会に、名称を愛知県陶磁美術館に変更するものであります。今後は、さらに多くの方々に親しまれるよう、施設の愛称やマスコットキャラクターを募集し、記念イベントを開催するとともに、展示や教育普及事業の充実を図るなど、魅力ある施設づくりに取り組んでまいります。
 次に、「愛知県立学校条例の一部改正について」であります。
 これは、平成26年4月1日から新たに「いなざわ特別支援学校」を設置するとともに、学校教育法の趣旨を踏まえ、県立の養護学校の名称を特別支援学校に変更するものであります。
 最後に、控訴の提起に関する議案についてご説明申し上げます。
 これは、警察官に採用され、警察学校において教育訓練を受けておりました原告が、教官から退職を強要されたとして係争中でありました慰謝料等請求事件に係るものであります。
 去る11月21日の第一審判決におきまして、愛知県が一部敗訴する判決の言い渡しがあったことに対し、控訴の上、敗訴部分の取消し及び同部分に係る相手方の請求の棄却を求めるものであります。
 なお、控訴期限が12月5日でありますことから、早期のご議決を賜りますよう、お願い申し上げます。

 以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げましたが、詳細につきましては、議事の進行に伴いましてご説明を申し上げたいと存じます。
 どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますよう、お願いを申し上げます。