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県議会知事提案説明

平成27年2月定例県議会 知事提案説明要旨

 今議会に提案をいたしました諸議案のご説明を申し上げるに先立ち、知事就任のごあいさつと所信の一端を申し述べ、県議会並びに県民の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。
 私は、去る2月1日の知事選挙におきまして、162万9千票を超える県民の皆様方からの絶大なるご支援と県議会議員の皆様方のご支持をいただき、引き続き4年間、県政を担当させていただくことになりました。改めてその責任の重大さに身が引き締まる思いであります。この上は、県民の皆様方から寄せられました熱い期待と信頼にしっかりと応え、愛知のさらなる発展に向けて、引き続き県政運営に全力で取り組んでいく所存であります。重ねて、議員の皆様方、県民の皆様方のご支援とご協力を心よりお願い申し上げる次第でございます。
 今回の知事選挙にあたり、私は、「あいち重点政策ファイル300プラス1」と名付けた政策集を県民の皆様にお示しさせていただきました。新たな任期の4年間において、300項目にわたる政策一つひとつについて、スピード感をもって着実に実行していくことが、愛知県民の皆様の信託、負託に応えていくことだと思っております。
 そして、「プラス1」である「県民それぞれの夢」を実現させてまいりたい、かなえてまいりたいと考えております。
 さて、私は、「日本一元気な愛知をつくる」という決意のもと、一期目の4年間、全力で県政運営に取り組んでまいりました。県民の皆様と議員各位のご理解とご協力をいただき、社会インフラの整備は順調に進み、日本一の産業力をさらに強化し、雇用も約20万人増加することができ、教育、医療・福祉、女性の活躍、子ども・子育て支援、障害者福祉など、人づくりを大きく前進させることができたと考えております。
 こうした取組を通じ、愛知の経済・産業力、人財力、地域力を大いに高めることができました。
 続く二期目の4年間は、さらにその勢いを加速し、日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくってまいりたいと考えております。
 継続は力です。愛知の経済・産業力を強化し、若者・女性の雇用につながり、人づくりが進み、地域が元気になるという、愛知の今の良い流れ、好循環を続けてまいりたいと考えております。
 
 それでは、最初に、愛知県政を取り巻く最近の状況について申し上げます。

 まず、国政の状況についてであります。
 昨年12月の衆議院総選挙を経て、去る12月24日、第3次安倍内閣が発足いたしました。
 この内閣では、引き続き、デフレ脱却に向けた経済政策や規制改革を進めるほか、地方が活力を取り戻し、人口減少を克服する「地方創生」に取り組むとの方針が示され、こうした考え方のもと、新年度予算案において、経済再生と財政再建を実現する予算として、地方創生や女性の活躍促進、子育て支援などの施策が盛り込まれております。
 国においては、今後、こうした施策をしっかりと進めて、経済の活性化と地方創生につなげていただきたいと考えております。
 
 そして、こうした国の地方創生の動きに呼応し、愛知県版の人口ビジョン及び総合戦略を策定するため、去る2月17日、私を本部長とする「愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略推進本部」を立ち上げたところであります。
 日本一の産業県である本県は、人口が増加している数少ない県であります。経済・産業をさらに強くし、特に、若者、女性の働く場、活躍の場をつくることによって愛知に定着し、安心して子どもを生み育てていただけるような社会をつくっていきたいと考えております。そして、東京一極集中にストップをかけるとともに、日本の活力を取り戻す大きな核としての役割を果たしてまいります。

 次に、新年度の税制改正についてであります。
 今回の改正では、「法人実効税率の引下げ」と「自動車諸税の見直し」が行われました。
 法人実効税率の引下げにつきましては、税制を通じた企業活動を促進する事業環境の整備に向けて一歩を踏み出したことを評価いたします。
 なお、その一環として盛り込まれた法人事業税における外形標準課税の拡大につきましては、税収の安定化につながる面もありますが、所得課税のウエイトが高い本県にとっては、減収の影響が生じる可能性も懸念されます。このため、すべての地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう、適切な財政措置を国に強く要望してまいりたいと考えております。
 また、地方法人二税の一部国税化につきましては、今回の改正では、撤廃はもとより、縮減の方向も示されませんでした。これは極めて遺憾であり、このような地方分権に反する税制の撤廃につきまして、引き続き粘り強く訴えてまいります。
 自動車税制の抜本的な見直しにつきましては、昨年の9月議会において全会一致で意見書をご議決いただいたところであります。
 そこで、昨年12月には、改めて、11県知事・2政令市長の連名で緊急声明を取りまとめ、自動車関係団体の皆様とも一体となって、強力に働きかけてまいりました。
 その結果、自動車取得税・重量税に係るエコカー減税の延長などの見直しが行われることとなりました。引き続き、自動車ユーザーの負担軽減につながる見直しを働きかけ、自動車の国内市場の活性化を通じた日本経済の再生に取り組んでまいります。

 こうした中で、1月20日、燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」が、全国の自治体で初めて、愛知県に納車されました。今年度FCVを導入される名古屋市、刈谷市、豊田市、安城市の市長さんとともに出発式を行い、県庁構内を運転し、環境にやさしい水素社会に向けてのスタートを実感いたしました。
 現在、愛知県内の水素ステーションの設置は、整備中も含めて全国最多の13基となっております。今後も、日本一の産業県、自動車立県である本県が、FCVの普及をリードすることで、クルマと人の未来、水素を活用したエネルギー社会の未来をつくってまいりたいと考えております。

 さて、今月17日、中部国際空港が開港10周年を迎えました。
 地域の熱い思いで国際拠点空港として開港し、とりわけ世界有数のモノづくりの集積を誇る中部地域の拠点空港として、大きな役割を果たしてきた中部国際空港を、愛知・中部地域の世界へのゲートウェイとして、さらに発展させていきたいと考えております。
 訪日外国人の誘客やエアポートセールスによる航空需要の一層の拡大と航空ネットワークの拡充を図るとともに、二本目滑走路を始め空港機能の充実・強化に向けて取り組んでまいります。

 また、今年は、愛知万博の開催から10年の節目にもあたります。
 「自然の叡智」をテーマに、国内外から高い評価をいただいた愛知万博以降、本県では、COP10、ESDユネスコ世界会議を開催し、自然と共生した持続可能な社会づくりを進めてまいりました。引き続き、万博の理念を継承し、「環境首都あいち」の確立に向けて取り組んでまいります。
 また、秋には、愛・地球博記念公園をメイン会場に、県内の公園や観光拠点等54会場をサテライト会場として、「第32回全国都市緑化あいちフェア」を開催いたします。万博の成果を継承・発信できるよう準備を進め、多くの方々にお越しいただけるフェアとしてまいります。

 次に、交通安全対策について申し上げます。
昨年の交通事故死者数は204人で、前年より15人減少したものの、12年連続ワースト1位という残念な結果となりました。
 また、今年に入ってからも、交通死亡事故が多発し、交通事故死者数は全国ワースト1位が続いており、大変厳しい状況にあります。
 昨年制定いたしました「愛知県交通安全条例」の基本理念に基づき、県、県警察、市町村、関係機関が一丸となって交通安全対策を推進し、交通事故の減少を図り、全国ワースト1位を返上できるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
 
 それでは、平成27年度当初予算編成につきましてご説明いたします。
 平成27年度当初予算は、骨格的予算として編成を始めましたが、県政には緊急に対応しなければならない課題が多く、停滞は許されません。そこで、知事選挙後の短い期間でありましたが、精力的に編成作業を行い、「年間総合予算」として編成いたしました。
 
 まず、最近の経済情勢についてであります。
 我が国の景気は、個人消費などに弱さがみられますが、緩やかな回復基調が続いております。先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善傾向が続く中で、緩やかに回復していくことが期待されますが、消費者マインドの弱さや海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスクに留意する必要があります。

 その上で、予算編成にあたりましては、「日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくる」、「人が輝くあいち」〜若者・女性・子ども・高齢者・障害のある方など、すべての人が活躍し、「人が輝くあいち」をつくっていくことを、特に念頭に置き予算を編成いたしました。
 2027年度の開通を目指すリニア中央新幹線、国産初のジェット旅客機、そして世界初の燃料電池自動車(FCV)といった日本の未来をつくるプロジェクトは、すべて愛知からスタートしました。これらを必ず成功させ、日本一の産業集積を誇る愛知の力をさらに高め、次代を担う若者・女性の魅力ある雇用の場をさらにつくり、「働くことを軸とする安心社会」をこの愛知からつくってまいります。
 こうした思いをもって、平成27年度当初予算は、今回の選挙で県民の皆様にお示しした政策集と「あいちビジョン2020」を踏まえて、予算の柱立てを作らせていただきました。以下、これに沿いまして、その内容をご説明させていただきます。

 まずは、リニア・インパクトを生かし世界に発信する「中京大都市圏」づくりであります。
 2027年度に予定されるリニア中央新幹線の開業により、東京〜名古屋は40分で結ばれ、首都圏から中京圏に及ぶ5,000万人規模の大交流圏が形成されます。愛知が将来にわたって飛躍していくためには、リニア開業を好機として、社会基盤を充実・強化しながら、リニア大交流圏の西の拠点として、首都圏に対抗しうる強みを発揮し、国内外から人・モノ・カネ・情報が集まり、活発な活動が展開される大都市圏づくりを進めていく必要があります。
 そこで、リニア開業後に中京大都市圏の玄関口となる名古屋駅につきましては、名古屋市と連携しながら、スーパーターミナル化に向けた検討を進めてまいります。あわせて、リニアによる時間短縮効果を県内全域に波及させ、最大限に活用する観点から、名古屋駅からの40分交通圏の拡大や中部国際空港へのアクセスの向上などの取組を進めてまいります。
 さらに、鉄道を始めとした公共交通基盤につきましては、東京オリンピック・パラリンピック大会やリニア開業を見据え、公共交通ネットワークの利便性の向上を目指す、公共交通ビジョンの策定に取り組んでまいります。
 また、空の玄関口、中部国際空港につきましては、航空路線、航空需要の拡大を図り、空港機能の充実強化に向けて取り組んでまいります。
 モノづくり愛知の物流拠点として本県の経済産業活動を支える港湾につきましては、名古屋港、衣浦港、三河港の三港が連携した物流の効率化など、港湾機能の強化策を取りまとめ、産業競争力の強化を図ってまいります。
 また、道路網の整備につきましては、新東名高速道路を始め名古屋環状2号線及び三遠南信自動車道などの高規格幹線道路や、名豊道路などの地域高規格道路の整備促進に取り組むほか、空港、港湾、インターチェンジへのアクセス道路や主要都市間を連絡する幹線道路ネットワークの整備を進めてまいります。また、地域の皆様の生活に密着する道路や山間道路などの整備についてもしっかりと取り組んでまいります。

 次に、世界をリードする日本一の産業の革新・創造拠点「産業首都あいち」づくりであります。
 リニアの開業や広域道路ネットワークの整備などにより、この地域の立地環境の優位性がさらに高まることで、国内外から企業や人材が集まり、革新的な技術を次々と生み出すことができます。圧倒的なモノづくり産業の集積をベースとした産業力の強化に一段と力を入れ、「産業首都あいち」を目指してまいります。
 まず、産業の振興・育成につきましては、本県の基幹産業である自動車産業の高度化を促進していくため、本県独自の補助制度を創設し、FCVの普及に不可欠な水素ステーションの設置を積極的に支援してまいります。
 また、FCVに加え、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車といった次世代自動車の普及を促進するため、本県独自の自動車税の課税免除制度を継続実施するとともに、中小企業等の事業者の導入経費に対する助成を実施してまいります。
 次に、航空宇宙産業についてであります。
 本県を中心にスタートした国際戦略総合特区「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」につきましては、現在、282の企業や団体が参加し、フルセットのクラスター形成に向けて大きく前進しており、この地域への航空宇宙産業の集積が進む中、今後、ボーイング787型機の増産やMRJの量産が見込まれております。
 このため、県営名古屋空港において、駐機場を始めとする空港施設を整備するとともに、新たに、航空機製造にかかる技術者向けの実技研修などを実施し、人材の育成・確保に取り組んでまいります。
 また、日本一の産業県・愛知が産業競争力を高めていくためには、次世代産業の育成が重要です。そこで、今後、医療・福祉など幅広い分野での活用が期待され、市場拡大が見込まれるロボット産業を、自動車、航空宇宙に続く第三の産業の柱として育てていきたいと考えております。このため、昨年設立しました「あいちロボット産業クラスター推進協議会」を核に、新たな技術や製品を創出する取組を支援してまいります。さらに、8月には、独立行政法人国立長寿医療研究センター内に、「あいちサービスロボット実用化支援センター(仮称)」を開設し、医療や介護を始めとするサービス分野のロボットの実用化や普及を促進してまいります。
 加えて、こうした施策を推進するため、産業労働部に「産業力強化推進監」を設置し、本県の産業競争力をより一層高めてまいります。

 本県の優れたモノづくり企業を認定する「愛知ブランド企業」の8割以上を占めるなど、愛知の産業競争力を支える中小企業につきましては、公益財団法人あいち産業振興機構において、経営相談、専門家派遣、新事業創出支援等を行うとともに、「よろず支援拠点」による経営支援や「あいち中小企業応援ファンド」による新商品開発や販路開拓など、きめ細かな支援策を講じてまいります。
 さらに、金融面での支援としまして、小規模企業等振興資金の小口資金の金利を引き下げるほか、パワーアップ資金に通常よりも金利を引き下げた設備投資促進枠を新設いたします。
あわせて、インターネットによる新たな資金調達方法であるクラウドファンディングの活用を支援し、商品開発等に取り組む中小企業を支援してまいります。

 産業空洞化対策減税基金による補助制度につきましては、この3年間で、企業立地・再投資の分野で123件の補助対象案件を採択し、総投資額2,482億円、25,000人を超える雇用維持・創出が見込まれるという大きな成果が上がっております。また、補助採択企業は、自動車関連を中心に中小企業が8割を占めているところであります。
 このため、来年度も50億円を基金に積み立て、この日本一の企業立地補助制度や研究開発・実証実験の補助制度により、本県産業の振興とさらなる雇用の維持・創出に取り組んでまいります。

 商店街につきましては、日々の暮らしを支える商業機能に加え、地域コミュニティの担い手としての役割も果たしております。そこで、商店街が行うにぎわい創出のための集客イベントの開催や後継者育成の取組等を支援し、商店街と地域の活性化を図ってまいります。

 次に、農林水産業の振興についてであります。
 本県は、モノづくり産業県であるだけでなく、中部地方最大、全国三番手の大農業県でもあります。本県の持つポテンシャルを最大限に発揮し、県内各地域が発展していくためには、農林水産業の振興が不可欠であります。
 そのため、本県の優れた農林水産物の知名度向上のため、名古屋コーチン、花、あさり、抹茶のブランド力を強化するとともに、シンガポールで開催される日本食商談会への出展支援を行うなど、引き続き、本県農林水産物の輸出拡大の取組を進めてまいります。
 また、本県は、半世紀以上にわたって、花き産出額全国1位を誇る花の王国であります。「都市緑化あいちフェア」の会場を愛知の花で彩るほか、10月には、あいちの花を一堂に集めたイベント「あいち花の交流ひろば」を開催し、本県産花きの一層の需要拡大を図ってまいります。
 農業の発展には、意欲にあふれた担い手の育成が何よりも重要であり、そのための農業大学校につきましては、来年1月のしゅん工に向け学生寮の整備を進め、教育環境の充実を図ってまいります。
 あわせて、農業大学校の旧講堂「追進館」につきましては、文化的価値を有するとともに、これまでの愛知の農業の発展を現在に伝える建造物でありますことから、保存整備を進めてまいります。
 また、鳥獣による農作物被害の防止対策につきましては、引き続き、捕獲と防御の両面による対策を進めてまいります。
 林業につきましては、県産木材の流通強化に向けて取り組むとともに、住宅関連イベントにおいて本県産木材の魅力を広くPRし、利用促進を図ってまいります。
 また、「あいち森と緑づくり税」を活用し、手入れの行き届かない人工林の間伐や放置された里山林の整備などを進め、森と緑が有する環境保全、災害防止等の公益的機能の維持増進を図ってまいります。
 水産業につきましては、日本一のあさり漁業の振興のための干潟・浅場の造成を進めるとともに、魚礁漁場を整備するなど、引き続き漁業の振興を図ってまいります。

 次に、「人が輝くあいち」についてであります。

 「日本一元気な愛知」を実現するためには、何と言っても「人づくり」が基本であります。「子ども、若者、女性、高齢者、障害のある人など、すべての人が活躍するあいち」をつくってまいります。
 そのため、愛知の人財力を磨き上げる施策として、子どもたちの学力を伸ばす教育の充実、女性の活躍促進、子ども・子育て支援、医療・福祉の充実による日本一の健康長寿の実現、障害者福祉によるノーマライゼーション推進、産業人材の育成・雇用の確保といった施策を積極的かつ着実に進めてまいります。

 まず、「教育立県あいち、人材創造あいち」についてであります。
 
 愛知の次代を担う人づくりを進めていくためには、教育の充実が重要です。
 来年度は、学力の育成やキャリア教育などの取組を盛り込んだ、教育に関する総合的な計画「あいちの教育に関するアクションプランU」に続く、教育振興基本計画を策定し、今後の本県の教育の方向性を示してまいります。
 また、子どもたちの学習意欲を引き出し、基礎学力の向上を図るため、小学校1年生及び2年生並びに中学校1年生の35人学級を引き続き実施するとともに、発達障害児の学習支援など、きめ細かな配慮のできる教育環境づくりを進めてまいります。
 いじめ・不登校対策につきましては、未然防止や早期発見・早期解決のため、小学校へのスクールカウンセラーの配置を拡大するとともに、福祉に関する資格や知識を有するスクールソーシャルワーカーを県立高等学校に新たに配置し、教育相談体制のさらなる充実を図ります。
 本県の工業教育の中核となる愛知総合工科高等学校につきましては、企業や大学と連携したより実践的なモノづくり教育を推進するため、専攻科を併設し、平成28年度の開校に向けて整備を進めてまいります。
 特別支援教育につきましては、「愛知県特別支援教育推進計画」に基づき、支援・指導の充実を進めてまいります。
 特に、児童生徒の増加により過大化が進んでいる知的障害特別支援学校につきましては、今年度から進めております知多地区の新設特別支援学校に加え、来年度は、春日台特別支援学校の教育環境を改善するため、瀬戸市内の県有地を活用して、新たな知的障害特別支援学校を建設することとし、基本設計に着手いたします。
 加えて、今年度に引き続き、特別支援学校のスクールバスを増車し、長時間通学による児童生徒の負担軽減を図ってまいります。
 また、本県の学校教育において重要な役割を果たしている私立学校につきましては、その振興と父母負担の軽減を図るため、私立学校経常費や授業料、入学納付金への補助を充実するなど、各種助成を着実に実施してまいります。

 次に、グローバル人材の育成についてであります。
 今後さらに進展するグローバル社会に対応していくためには、国際的に活躍できる人材の育成が不可欠であります。
 そのため、高校生の英語力の向上を図る「あいちスーパーイングリッシュハブスクール」の取組を充実するとともに、新たに、友好提携を結んでいるオーストラリア・ビクトリア州と連携した教員の語学研修、さらには専門学科で学ぶ高校生の海外インターンシップを実施し、世界の舞台で活躍できる人材の育成を一層進めてまいります。
 また、外国人県民の増加や多国籍化が進む中、外国人の子どもたちが十分に能力を発揮し活躍できる環境をつくっていくことも重要であります。そこで、外国人児童生徒を対象に、小学校入学前から高等学校卒業までの各段階における日本語教育を拡充してまいります。

 次に、スポーツ人材の育成についてであります。
 2020年に開催される東京オリンピックには、本県ゆかりの選手に多数出場いただくとともに、本県のスポーツを一層推進してまいりたいと考えております。そこで、オリンピック強化指定選手の競技力強化の取組を支援するとともに、県内トップレベルにある中学生、高校生に実技指導を行うなど、スポーツ人材の育成に取り組んでまいります。
 また、2020年の東京パラリンピックの開催にあわせ、本県ゆかりのトップレベル選手等による講演会や実技指導を行い、障害者のスポーツ参加を促進する取組も進めてまいります。

 次に、女性の活躍促進についてであります。
 元気で活力のある愛知をつくっていくためには、女性の活躍できる環境づくりを積極的に進めていく必要があります。
 女性が元気に働き続けられる愛知の実現に向け、「あいち女性の活躍促進プロジェクト」に、引き続き全庁を挙げて取り組んでまいります。
 来年度は、新たに、女性の活躍に取り組む企業を認証する制度や中小企業に対する奨励金制度を創設し、企業における女性の活躍促進の取組を支援してまいります。
 さらに、「女性の活躍促進サミット(仮称)」を開催し、企業経営者の意識改革を図るなど、女性の活躍の気運の醸成を図ってまいります。
 また、昨年5月にオープンした「あいち子育て女性再就職サポートセンター」では、相談やカウンセリングなどを実施し、出産・育児等で離職した女性の再就職を支援してまいります。
 さらに、来年度は看護職員の再就業を支援するため、名古屋市昭和区にあるナースセンターをウインクあいちにサテライト展開し、土曜日にも相談窓口を開設するなど、相談体制を強化してまいります。

 次は、子ども・子育て支援についてであります。
 少子高齢化に伴い人口構造が変化する中で、今後も本県が活力を維持し、持続的に発展していくため、また、女性の活躍を促進するためにも、次代の担い手である子どもを安心して生み育てることができる環境をつくっていくことが求められております。
 こうした中、待機児童対策を始めとした、子どもや子育てをめぐる様々な課題を解決するため、4月から「子ども・子育て支援新制度」がスタートいたします。
 この新制度に基づき、認定こども園、幼稚園、保育所の運営費に対する共通の給付として、市町村が支弁する給付費の一部を負担いたします。
 また、少人数の子どもを預かる小規模保育などへの財政支援を行い、安定的な運営と利用者負担の軽減につなげてまいります。
 加えて、放課後児童クラブにつきましては、いわゆる「小1の壁」の解消を図るため、設置を促進するとともに、対象児童を小学校6年生まで拡大し、職員を2名以上配置するなど、運営内容を充実いたします。
 これらの支援の充実により、県全体の事業費総額は、平成26年度の約386億円から27年度は約566億円となり、県の支出額についても、40億余円から153億余円へと大幅に増額いたします。
 また、子どもを安心して育てていくためには、小児医療の充実も不可欠であります。来年度は、あいち小児保健医療総合センターにおいて、小児専用の集中治療室などを備えた救急棟をオープンし、県内全域の重篤な小児救急患者に常時対応する小児3次救急医療を提供してまいります。

 次に、医療・福祉・健康長寿についてであります。
 全国トップレベルにある本県の健康寿命を維持し、県民の皆様が健康でさらに長生きできる「健康長寿あいち」を実現するためには、それを支える医療・福祉などの充実が欠かせません。
 そこで、県内の医学部を持つ4大学や国立長寿医療研究センターなど、本県の持つ資源を有効に活用し、医療の充実強化を図る取組を、新たに「医療プロジェクト」として推進することといたしました。先進的医療の提供や医療人材の育成などの医療基盤の整備のほか、地域包括ケアの推進や認知症対策など、長寿社会に対応した取組も進めてまいります。
 中でも、喫緊の課題となっております医師不足につきましては、健康福祉部内に「地域医療支援センター」を設置し、全国から有望な若手医師を集めるための先進的な医療研修プログラムや女性医師のキャリア継続を支援する取組により、医師の確保を図ってまいります。
 また、今後さらに進展していく高齢化社会を見据え、特別養護老人ホームについて、計画的に整備が進むよう、予算を増額し、積極的に支援してまいります。
 さらに、がん対策につきましては、がんセンター中央病院において、患者負担が少ない最新型の内視鏡手術支援ロボットを整備し、がん診療機能の一層の強化を図ってまいります。また、がん研究所において、最適な治療方法などの医学研究を推進するバイオバンクの取組を進めてまいります。

 次に、障害者福祉・支援、ノーマライゼーション推進についてであります。
 障害者の就労につきましては、知的障害特別支援学校におきまして、就労先を開拓する「就労アドバイザー」を高等部に配置し、就職率の向上を図ってまいります。
 早期の整備が求められている重症心身障害児者の入所施設につきましては、民間法人による整備を後押しするため、引き続き、障害者福祉減税基金による助成を行ってまいります。
 また、これまで鋭意整備を進めてまいりました県立の福祉・医療施設が、来年度、供用開始いたします。
 まず、第二青い鳥学園を移転改築して設置する三河青い鳥医療療育センターにつきましては、来年1月に開所し、三河地域の重症心身障害児者入所施設の不足解消を図ってまいります。
 次に、障害児者の医療や地域生活を支援する拠点となる「医療療育総合センター(仮称)」につきましては、来年3月に、医療型障害児入所施設とリハビリテーション棟を開所いたします。
 また、城山病院につきましては、来年2月に、西病棟など新しい病棟を一部供用開始し、精神科救急医療を強化してまいります。

 次に、産業人材の育成・雇用の確保についてであります。
 経済のグローバル化や少子高齢化が進む中、本県の産業競争力を一層強化していくためには、モノづくりあいちを支える産業人材の育成・確保が喫緊の課題となっております。
 そのため、昨年8月に、森岡副知事をリーダーとする「産業人材育成・確保促進プロジェクトチーム」を立ち上げ、検討を重ねてまいりました。 
 来年度は、こうした検討結果を踏まえ、本県の産業を支える中小企業の若手技能者を育成するため、企業OBを始めとする熟練技能者による技能指導を実施するとともに、新規学卒者と中小企業とのマッチング強化に取り組んでまいります。
 また、「技能五輪・アビリンピックあいち大会2014」で高まったモノづくりへの関心や技能を尊重する意識を次世代に継承し、モノづくりを支える人材を創出する取組として、中小企業の若手技能者を対象とした技能競技大会や技能五輪メダリストによる小中学校での出前講座を開催いたします。
 加えて、青年技能者の技能水準のさらなる向上と国際交流・親善を目的に、2020年代初頭での「技能五輪国際大会」の誘致に向けた研究も進めてまいります。
 さらに、こうした産業人材の育成施策を積極的に推進するため、「産業人材育成室」を改組し、「産業人材育成課」を設置いたします。
 また、雇用の確保につきましては、若者の就業を促進するため、中小企業経営者と学生との交流会を開催するとともに、「あいち若者職業支援センター(ヤング・ジョブ・あいち)」において、国と連携し、就職相談から職業紹介までワンストップで支援を行ってまいります。

 次に、「あいち観光元年」、文化・スポーツ・魅力発信についてであります。

 まず、「あいち観光元年」についてであります。
 昨年末、本県では、観光集客を製造業に続く新たな戦略産業と位置付け、2015年を「あいち観光元年」と宣言いたしました。
 来年度は、観光の戦略づくりを進め、アクションプログラムを策定いたします。
 加えて、新たに「観光局」を設置し、体制を強化して、観光施策を推進してまいります。
 武将観光につきましては、誘客イベント「東海合戦ワールド」を開催するとともに、新たに「徳川家康と服部半蔵忍者隊」(仮称)を結成し、各種イベントでPRするなど、「武将のふるさと愛知」を全国に向けて発信してまいります。
 また、県内の山車まつり保存団体や市町村による協議会を設立するとともに、「山車日本一あいち」を宣言し、愛知の魅力である山車文化を広く発信してまいります。
 本県独自の食文化である「なごやめし」につきましては、今年開催されるミラノ国際博覧会でPRするなど、その魅力を国内外に一層広めるための取組を進めてまいります。
 このほか、本県の魅力を全国・世界に発信する大規模イベントや国際コンベンションの誘致に取り組むとともに、技能五輪国際大会等の誘致を見据え、大規模コンベンション施設等について調査研究を進めてまいります。

 次に、文化・芸術の振興についてであります。
 平成28年には、夏から開催する国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2016」に引き続いて、秋には各種文化活動の全国的規模の祭典「国民文化祭」を開催し、最先端の現代アートから伝統文化まで、愛知の文化の多様さ、豊かさを、国内外に発信してまいります。
 さらに、障害者の社会参加を促し、生活を豊かにする取組として、国民文化祭とあわせ、障害者芸術・文化祭を開催してまいります。
 来年度は、開催準備を着実に進めるとともに、広報活動を実施し、開催に向けた気運醸成を図ってまいります。

 次に、スポーツを活かした地域振興についてであります。
 全国、世界に打ち出せるスポーツ大会を育成・招致し、地域の活性化につなげる取組を積極的に進めるため、新たに「スポーツ振興課」を設置するとともに、市町村やスポーツ関連団体、マスメディアなどの関係者が連携してスポーツ大会の育成・招致に取り組む「あいちスポーツコミッション(仮称)」を立ち上げてまいります。
 こうした体制のもと、「FIFAフットサルワールドカップ2020」につきましては、このスポーツコミッションを中心に、日本・愛知への招致活動を実施してまいります。
 また、「ラグビーワールドカップ2019」につきましては、豊田市と連携し、開催準備を進めてまいります。

 次に、グローバル展開についてであります。
 グローバル化する社会において、愛知が今後も力強く発展していくためには、成長著しいアジアの活力を積極的に取り込んでいくことが重要であります。そのため、アジアの重要拠点であるインドネシア、シンガポール及びインドをターゲットとして、経済交流会、観光プロモーション、エアポートセールス、本県農産品のトップセールスなどを戦略的に展開してまいります。
 また、来年度は、本県が昭和55年度に、オーストラリア・ビクトリア州及び中国・江蘇省と友好提携による交流を始めて以来、35周年の節目の年となります。そこで、ビクトリア州と江蘇省の魅力・文化等を県民の皆様に紹介する記念事業を行うことにより、一層の国際交流の促進につなげてまいります。

 次に、防災・防犯についてであります。

 「安全・安心なあいち」をつくることは、すべての基本であります。
 地震防災対策につきましては、南海トラフ地震などの発生に備え、昨年12月に策定した「第3次あいち地震対策アクションプラン」に基づき、住宅・建築物や河川・海岸堤防の耐震化などの対策を着実に進めてまいります。
 まず、県立学校の耐震化につきましては、これまでも積極的に取り組んできたところでありますが、新たに、生徒の安全や避難所としての機能を確保するため、体育館の吊り天井の対策を加え、耐震化を進めてまいります。
 次に、民間建築物の耐震化につきましては、耐震診断費及び耐震改修費に対する助成制度を拡充し、民間建築物の耐震化を一層促進してまいります。
 また、南海トラフ地震により浸水が予測されるゼロメートル地帯におきましては、円滑な救出救助活動に必要となる広域的な防災活動拠点の整備に向けた調査を始めてまいります。
 次に、交通安全対策につきましては、交通安全県民運動を中心とした取組を実施するとともに、道路標示・標識や信号機などの交通安全施設の整備を積極的に進め、交通事故の抑止に取り組んでまいります。
 次に、防犯対策につきましては、警察官を増員するほか、今年度中に策定する次期あいち地域安全戦略に基づき、地域の防犯活動を支援するなど、県民が安心して暮らせる安全なまちづくりを進めてまいります。
 また、地域の治安を守り、災害時の活動拠点となる警察署につきましては、8月の供用開始に向けて豊田警察署の整備を進めるとともに、愛知警察署の実施設計を行ってまいります。さらに、来年度は、新たに、蟹江警察署について、改築に向けた基本設計に着手いたします。

 次に、「環境首都あいち」の確立についてであります。
 日本一の産業県である本県は、持続可能な社会の実現に向け、環境面においてもトップランナーを目指していきたいと考えております。
 省資源・省エネといった環境への負荷を減らす環境配慮行動「エコアクション」を促す県民参加型のイベントを開催するとともに、環境首都あいちを担うリーダーとなる人材の育成に取り組んでまいります。
 さらに、愛知万博10周年を記念して、国内外のインタープリター(森の案内人)を招いた大会や自然体感プログラムを実施し、本県の環境に関する取組を世界に向けて発信してまいります。
 また、住宅における創エネ・省エネ・蓄エネを促進するため、従来の住宅用太陽光発電設備に加え、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)、燃料電池等を助成対象としてまいります。
 「三河湾環境再生プロジェクト」につきましては、NPO、企業、業界団体、教育機関などの様々な主体からなる「三河湾環境再生パートナーシップ・クラブ(仮称)」を設置し、取組を充実してまいります。

 次に、東三河の振興についてであります。
 「東三河県庁」につきましては、担当副知事のもと、市町村・経済団体等との連携強化、広域的取組の加速化等に取り組んでまいりました。
 引き続き、先月末に設立された東三河8市町村による東三河広域連合とも連携し、「東三河振興ビジョン」の将来ビジョンに位置付けた施策を進めてまいります。
 加えて、東三河地域における新事業の創出にも取り組んでまいります。
 また、完成自動車の輸出入で全国トップクラスの三河港におきましては、神野西地区のふ頭用地の拡張整備を進め、産業競争力の強化を図ってまいります。

 次に、地方分権・行政改革の推進についてであります。
 愛知が総合力を高めていくためには、市町村の自主的・主体的な取組が重要です。そこで、従来の補助制度を大幅に拡充し、市町村や広域連合が実施する先進的な新規の取組を積極的に支援してまいります。
 次に、昨年3月に策定した「あいちビジョン2020」につきましては、着実な推進を図るため、地域づくりの現状や課題の把握・分析を行う「あいちレポート」を作成してまいります。
 そうした中で、県と名古屋市が共同して様々な事業を行い、機能強化を図っていく中京大都市圏づくりに取り組んでまいります。
 また、行政改革につきましては、持続可能な行財政基盤の確立に向け、昨年12月に策定した第六次行革大綱「しなやか県庁創造プラン」に位置付けた取組を、着実に実施してまいります。

 以上、予算の主な内容につきまして申し上げてまいりましたが、ここにご審議をいただく平成27年度の当初予算は、
 一般会計 2兆4,817億余円
 特別会計   7,830億余円
 企業会計   1,669億余円
 でございまして、合わせて3兆4,316億余円となります。
 このうち、一般会計の予算規模は、平成26年度当初予算に対し、105.1%でありますが、平成26年4月からの地方消費税率の引上げの影響が平年度化することに伴い多額となる、地方消費税清算金や地方消費税交付金などの地方消費税関連支出を除くと、102.2%となります。
 歳入につきまして、大宗をなす県税は、引き続き1兆円の大台を確保できる見込みであり、1兆1,030億円を計上いたします。
 なお、県税が平成26年度当初予算をわずかに上回る程度にとどまるのは、地方消費税率の引上げの平年度化に伴う増収がある一方で、法人二税については、県内企業の平成27年3月期の業績予想などを踏まえますと、減収を見込まざるを得ないことによるものであります。
 地方交付税と臨時財政対策債を合わせた地方財政措置につきましては、税収動向及び国の地方財政対策を踏まえ、2,400億円を計上いたします。
 県債につきましては、平成26年度当初予算に対し105.6%となる3,287億円を計上いたします。この結果、平成27年度末の県債残高は、5兆4,152億円となる見込みです。
 そのうち、臨時財政対策債を始めとする特例的な県債を除いた、いわゆる通常の県債の残高は、平成27年度末においても2兆5,894億円と、平成26年度末を584億円下回る見込みです。
 通常の県債の残高につきましては、これまでも行革大綱に基づいて着実に減少させてまいりましたが、今後とも、その抑制に取り組んでまいります。
 一方、歳出につきまして、人件費は、平成26年度人事委員会勧告を反映するとともに、定員の適正管理に努め、平成26年度当初予算とほぼ同額を計上いたします。
 扶助費については、平成27年度から実施される子ども・子育て支援新制度移行への対応などに伴い、平成26年度当初予算に対し108.7%と大幅な増加となります。
 公債費につきましては、過去の特例的な県債の増発に伴う満期一括償還分の減債基金への積立金が増加しており、高止まり傾向にあります。
 投資的経費については、国庫補助金を活用して、防災・減災対策に重点的に取り組むほか、県単独事業としても県民の皆様の安心・安全につながるような社会基盤整備を積極的に進めることとし、平成26年度当初予算に対し109.4%と大幅な増加となりました。
 平成27年度当初予算においては、県税収入の伸びがわずかにとどまる一方、義務的経費が増加する厳しい財政状況の中ではありましたが、愛知の将来につながる分野に重点的に配分するとともに、財政の健全化に向けても意を用いながら、予算編成を進めてまいりました。
 具体的には、平成26年度において、経費の節減や不用額の精査に加え、当初予算を上回る県税収入や地方財政措置の決定増などの財源によって、基金残高を可能な限り回復するとともに、財政調整基金に積み立てを行い、財政を取り巻く環境の変化にかかわらず県民サービスを維持していくための備えといたしました。
 その上で、平成27年度においては、減債基金を再活用したほか、財政調整基金から375億円の取崩しを計上せざるを得ませんでしたが、平成23年度以来4年ぶりに基金の繰入運用を行わない予算編成を実現し、健全で持続可能な財政基盤の確立に向けた取組を着実に進めることができたと考えております。
 財政健全化への道のりは、決して平坦ではありませんが、今後も、経済・産業の活性化を進め、税源のかん養につなげるとともに、より一層合理的な行政運営を図り、「しなやか県庁創造プラン」に沿って、健全で持続可能な財政基盤の確立に取り組んでまいります。

 次に、予算以外の案件につきまして、ご説明を申し上げます。
 条例は、制定、一部改正を合わせまして、33件を提案いたしております。
 まず、愛知県へき地医療確保看護修学資金貸与条例の制定についてであります。
 県内のへき地における医療の確保を図るため、県立の看護専門学校に在学し、将来、県内のへき地の公的医療機関において看護業務に従事しようとする者に、修学資金を貸与する制度を新たに創設するものでございます。
 次に、知事等及び職員の給与の特例に関する条例の制定についてであります。
 依然として厳しい財政状況に鑑み、引き続き私を始め特別職と管理職の職員を対象に、給与の一部を減額するものでございます。
 次に、愛知県教育委員会教育長給与条例等の一部改正についてであります。
 特別職の報酬等の改定につきましては、去る12月24日に愛知県特別職報酬等審議会から答申をいただきましたので、その趣旨に沿って給料の月額を改定するものなどでございます。
 次に、職員の給与に関する条例等の一部改正についてであります。
 去る10月7日に、人事委員会から「職員の給与等に関する報告及び勧告」を受けたところでございますが、その勧告にありました給与制度の総合的見直しについて、給料月額を引き下げるとともに、県内の地域手当の支給割合を段階的に引き上げるほか、勧告どおりの内容で実施するものなどでございます。
 次に、職員の退職手当に関する条例等の一部改正についてであります。
 国における給与制度の総合的見直しに伴い、国家公務員退職手当法が改正されたことを踏まえ、国に準じた内容での改正を行うものなどでございます。
 次に、愛知県部局設置条例の一部改正についてであります。
 中京大都市圏づくりやグローバル展開の戦略的推進を担う「政策企画局」及び観光やスポーツを含む重要プロジェクトの総合的推進を担う「振興部」を来年度から設置するものでございます。
 次に、愛知県職員定数条例の一部改正についてであります。
 知事の事務部局などの職員については、事務事業の廃止・縮小、事務処理方法の改善などに取り組む一方で、病院事業庁の施設整備等に伴い全体で90人増員いたします。また、特別支援学校の開校等により教職員を79人、治安体制を強化するため警察官を39人、それぞれ増員するものでございます。
 次に、愛知県県税条例の一部改正についてであります。
 防災事業の推進を図るため、法人事業税の超過課税について、さらに3年間、また、社会福祉施設の整備維持等を推進するため、法人県民税の法人税割の超過課税について、さらに5年間の延長をお願いするものでございます。
 次に、愛知県青少年保護育成条例の一部改正についてであります。
 いわゆる「JKビジネス」を通じて、青少年の性犯罪被害の危険性が高まっておりますことから、有害役務営業として条例により包括的に規制しようとするものでございます。
 さらに、条例以外の案件といたしましては、愛知高速交通株式会社に対する財産の出資始め11件を提案いたしております。

 次に、平成26年度関係の諸議案についてであります。

 まず、今回の補正予算は、国の経済対策に係る補正予算への対応や国庫補助金及び事業費の確定に伴う所要の措置並びに平成27年度当初予算編成に向けての財源確保等を行うものであります。
 補正予算を会計別に申し上げますと、
 一般会計   75億3,111万余円の増額
 特別会計  112億3,246万余円の減額
 企業会計   52億1,158万余円の減額
 でございまして、合わせて89億1,293万余円の減額となります。
 以下、主なものにつきまして、概要をご説明申し上げます。
 国の補正予算関連事業費といたしまして、まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定等を行う地方創生先行型交付金事業及び観光消費喚起事業費を始めとした地方消費喚起・生活支援型交付金事業を計上するほか、財政調整基金への積立てを行うものなどでございます。
 以上、ご説明申し上げました一般会計の一般財源といたしましては、県税収入の増収や地方交付税の増額などにより、全体で696億6,415万円を増額することといたしております。
 また、特定財源につきましては、臨時財政対策債を増額する一方で、国庫支出金を減額するほか、減債基金の取崩しの全部を取り止めましたことなどから、全体で621億3,303万余円を減額することといたしております。

 次に、補正予算以外の議案につきましては、条例関係議案以外のその他の議案といたしまして、工事請負契約の変更など9件でございます。

 以上、提案をいたしました案件のうち、主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げました。なお、詳細につきましては、議事の進行に従いましてご説明を申し上げたいと存じます。よろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 
 最後に、結びとして今一度申し上げたいと存じます。
 昨年は、「ESDユネスコ世界会議」や「技能五輪・アビリンピックあいち大会2014」の開催などを通じ、全国、世界に向け、愛知を大いに発信することができました。
 また、国産初のジェット旅客機MRJのロールアウト、世界初のFCVのスタート、リニア中央新幹線の着工など、日本一の産業県愛知が将来に向け発展していくための大きな芽が出てきた1年でありました。
 平成27年は、日本の経済、産業の命運がかかった、これらの日本の未来をつくるプロジェクトが大きく羽ばたく年になります。
 愛知の経済、産業を強くしていく中で、若者や女性の雇用を増やし、人づくりを進め、すべての人が活躍し、「人が輝く」愛知をつくっていく、そのことでさらに地域を元気にするという好循環をさらに前進させてまいりたい。そのことによって、「日本一元気な愛知」と豊かさを実感できる県民生活の実現を目指してまいります。
 「日本一元気な愛知」、そして「人が輝く愛知」、「人財力」を高めていく、そうした「光り輝く愛知」をしっかりつくってまいりたいと考えております。
 私は、年末年始から、17日間に及ぶ選挙期間中、三河山間部から知多・渥美両半島、三河湾に浮かぶ島々も含め、県内すべての市町村を駆け巡ってまいりました。朝から晩まで、本当に多くの県民の皆様にお会いし、多くの声を耳にしてまいりました。
 物事の真実は、常に現場にあります。これからも、現地・現物・現場主義を貫いて、日本一元気な愛知をつくり、ここ愛知から日本の未来をつくってまいりたいと考えております。
 今後も全力で県政運営に取り組んでまいる所存でありますので、県議会議員の皆様方並びに県民の皆様方の、ご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。