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県議会知事提案説明

平成29年6月定例県議会 知事提案説明要旨

このたびの定例県議会に提案をいたしました諸議案のご説明を申し上げるに先立ち、県政を取り巻く最近の状況について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

 はじめに、愛・地球博記念公園におけるジブリパーク(仮称)構想について申し上げます。
 2005年に開催された愛知万博は、「自然の叡智」をメインテーマとし、人、いきもの、地球に対する「愛」を私どもに示した万博でありました。今後も万博の理念を次世代へ継承し、未来につなげていくことが重要であり、私どもの責務だと思っております。
 一方、ジブリ作品に一貫して脈々と流れているのは、まさしく、人、いきもの、地球に対する「愛」であり、愛知万博の理念と合致しております。
 そして、「サツキとメイの家」は、万博の「レガシー」として、現在も受け継がれ、多くの人に訪れていただいております。また、愛知万博10周年の2015年には、全国都市緑化フェアとあわせて「ジブリの大博覧会」も開催されました。そうした中で、ジブリ作品の世界をさらに広げていくことが、愛知万博の理念継承につながっていくものと考えております。
 このたび、5月31日にスタジオジブリと愛・地球博記念公園にジブリの作品群を保存し、多くの方々に見て楽しんでいただける「ジブリパーク(仮称)」を作ろうという方向性で合意いたしました。
 「トトロのふるさと村」のようなものを始め、ジブリの世界を広げていくこととし、子どもから大人まで家族そろって楽しめるファンタジーの世界を創造してまいりたいと考えております。
 ジブリは、世界に通用する日本オリジナルのコンテンツの代表であります。今後は、スタジオジブリとともに本構想の具体化に向けた検討を進めてまいりますが、広く民間企業の参画を募っていく中で、2020年代初頭の整備を目指し、クールジャパンをここ愛知から世界に向けて大いに発信していくプロジェクトにしてまいりたいと考えております。
 県議会及び県民の皆様のご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

 それでは、最近の経済情勢と本県の財政運営について申し上げます。
 最近の経済情勢につきましては、景気は、一部に改善の遅れもみられるものの、緩やかな回復基調が続いております。先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善が続く中で、緩やかに回復していくことが期待されておりますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 こうした中、本県の財政運営についてであります。
 平成28年度の一般会計の決算は、27年度に引き続き、実質収支が確保できる見込みとなりました。また、平成28年度末の一般会計の県債残高は、通常の県債はもとより、特例的な県債を合わせた全体でも、前年度末を下回る見込みとなるなど、健全で持続可能な財政基盤の確立に向けた取組を着実に進めているところであります。
 しかしながら、平成29年度当初予算では、法人二税収入が大幅な減収となる一方、扶助費などの義務的経費の確実な増加が見込まれ、減債基金880億円及び財政調整基金588億円、合わせて1,468億円もの多額の基金の取崩しを計上して対応したところであり、本県財政は依然として厳しい状況にあると言わざるを得ません。
 来年度以降の財政運営を考えますと、基金残高を回復させることが急務でありますので、本年度内の財源確保に努めるとともに、行革大綱「しなやか県庁創造プラン」に沿って、不断の行財政改革にしっかりと取り組んでまいります。
 一方で、こうした取組に加え、経済・産業の活性化を進めることにより、地域の雇用を維持・拡大し、税収の確保につなげることも重要であります。
 このため、平成24年度から「産業空洞化対策減税基金」による補助制度を創設し、これまでに企業立地・再投資の分野で、207件の補助対象案件を採択し、総投資額3,868億円、約3万8千人の雇用維持・創出効果が見込まれるという、大きな成果を上げてまいりました。また、研究開発や実証実験の支援についても、5月に、平成29年度の採択案件を決定し、91件に対し、約7億6千万円の補助金を交付することとしており、次世代自動車、航空宇宙、環境・エネルギー、健康長寿、IT・ロボットなど、今後成長が見込まれる分野で高付加価値のモノづくりの維持・拡大を図ってまいります。

 次に、公益社団法人愛知県漬物協会の名誉会長への就任についてであります。
 5月25日に愛知県漬物協会の通常総会が開催され、名誉会長に就任させていただきました。本協会では、昭和34年から桑原幹根元知事が会長を務められ、平成3年から鈴木礼治元知事が会長、名誉会長と歴任され、このたび、私が引き継ぐこととなりました。
 本県は、「漬物王国愛知」と呼ばれるほど古くから漬物生産が盛んな地域であり、守口漬を始め浅漬けや沢庵漬けなど多くの漬物が生産され、全国に向けて販売されております。
 愛知県の農業は中部地区最大、全国でも3番手グループに属しており、漬物の振興が本県の野菜の需要拡大にもつながります。また、手軽に野菜を摂取することができる漬物は、県民の皆様の健康維持にも大きく貢献できると考えております。今後とも、協会の皆様と一緒に、愛知の漬物を大いにPRしてまいります。

 次に、あいち航空ミュージアムについてであります。
 本年11月30日のオープンを目指し整備を進めております「あいち航空ミュージアム」には、本県にゆかりのある航空機の実機を展示することとしており、その展示の核となる機体は、国産初の旅客機であるYS−11であります。去る5月29日には、鳥取県の航空自衛隊美保基地から小牧基地まで、この展示予定機「YS−11 152号機」に搭乗してまいりました。
 この機体は、県営名古屋空港隣の三菱重工業株式会社小牧南工場において製造され、昭和40年3月に自衛隊に納入されたものであり、かつて昭和天皇が搭乗されたVIP輸送機としても活躍したもので、実に52年ぶりの愛知県への里帰りであり、その記念すべきラストフライトに立ち会えたことは、感慨ひとしおでありました。
 こうした貴重な機体を、子どもたちを始め、多くの皆様にミュージアムで見ていただき、空への思い、航空機産業への理解を一層深めていただけるよう、オープンに向けて、万全の準備をしてまいります。

 次に、新城総合公園における民間活力の活用についてであります。
 本県では、県営都市公園において、民間活力を活用し、新たな魅力の創出と多くの皆様に親しまれる公園づくりを進めており、昨年7月には、大高緑地において、自然体験型恐竜探検アトラクション「ディノアドベンチャー名古屋」をオープンさせております。さらに、5月29日には、新城総合公園において、「フォレストアドベンチャー新城(仮称)」の来年3月頃のオープンを目指して、運営事業者と協定を締結したところであります。
 この「フォレストアドベンチャー」は、森の中に設置された木製の足場や階段、ワイヤー、吊り橋を利用して、地上約10メートルの空中散歩や空中遊泳などが体験できる自然共生型のアクティビティとなっており、東海三県では初の開業となります。新東名高速道路・新城インターチェンジからアクセスの非常に良い場所にありますので、ぜひ多くの皆様にお越しいただき、緑いっぱいの自然の中で、非日常的な体験をしていただきたいと思います。

 次に、あいちSTEM教育推進事業についてであります。
 日本一元気な「モノづくり愛知」の未来を担う若者を育成するためには、理数教育や工業教育に力を入れていくことが重要であり、今年度から、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の4分野で先進的・実践的な教育を行う「あいちSTEM教育推進事業」を実施します。
 まず、先進的な教育課程を研究するため、県立高等学校の普通科と専門学科から5校を「あいちSTEMハイスクール」に指定し、理工系大学と連携して科学技術の先端的な研究に触れる機会などを提供するとともに、ロボットやモデルロケットの製作、人工知能(AI)を取り入れた教育プログラム等を研究し、そのプログラムに基づく講義や実習を実践してまいります。
 さらに、専門学科から8校を「あいちSTEM教育力強化事業」の研究指定校とし、企業や大学等から派遣された専門的な知識・技術を有する支援員により、教材開発や生徒への指導を行っていただくことによって、理数工学に関する教育力の底上げを図ってまいります。
 こうしたSTEM教育の取組を通じて、モノづくり産業の未来を担う理数工学人材の育成を進め、モノづくり日本一の基盤をさらに強化してまいります。

 次に、地域強靱化の推進についてであります。
 本県は、圧倒的な産業集積を誇る日本一の産業県であり、国内外との物流ネットワークの要、高速鉄道網の結節点といった、社会にとって重要な機能が集中しており、地震対策などこの地域の強靱化は非常に重要であります。
 5月30日には、防災関係機関が一堂に会する愛知県防災会議を開催し、昨年4月に発生した熊本地震の課題検証を踏まえ、支援物資の円滑な受援供給体制の整備や避難者への対応などを盛り込んだ地域防災計画の修正案が審議され、決定されました。
 また、6月1日には、南海トラフ地震などの大規模自然災害発生時に、本県の社会経済活動が維持できるよう、名古屋大学等と共同で「あいち・なごや強靱化共創センター」を設置いたしました。
 このセンターでは、産業界とも連携し、産業の早期復旧に必要な対策の調査・研究や、産業・民間・行政の各分野における人材育成に取り組むこととしており、産学官が一丸となって、この地域の強靱化を戦略的に推進してまいります。

 次に、韓国・京畿道との交流についてであります。
 6月1日から6日まで、韓国・京畿道から高校生12人が来県しました。この訪問は、平成27年11月に本県と京畿道が締結した「友好交流及び相互協力の覚書」に基づいた取組であります。
 リニモや名古屋城など本県の「テクノロジー&トラディション」の魅力に触れていただいたほか、岩倉総合高校での授業体験や、スーパーイングリッシュハブスクールの生徒との英語でのディスカッション、ホームステイなどを通じて、日本や本県への理解を深めていただきました。
 これを契機として、京畿道及び本県の生徒の皆さんが、将来、両地域の交流のかけ橋となっていただけることを期待しております。
 6月2日には、京畿道の南(ナム・)景弼(ギョンピル)知事も来県されました。南知事とは、国会議員時代に、国会の日韓サッカー大会で何度も対戦しており、その時の写真もお見せし話が弾みました。また、昨年まで務められた柳(ユ・)興洙(フンス)前駐日韓国大使からも、南知事と私は年齢も近く、国会議員、枢要な知事と共通の経歴の二人がこれからも日韓関係を引っ張っていってほしいとおっしゃられたことも申し上げ、和やかな会談となりました。
 今後とも、本県と京畿道の交流をさらに活発にし、日韓の相互理解と友好を深めてまいりたいと考えております。

 次に、6月2日に滋賀県大津市で開催されました「第107回中部圏知事会議」についてであります。
 今回の会議では、インフラ整備や地方創生、防災対策など、中部圏が抱える諸課題や必要な施策に関する国への提言について、中部9県1市の知事、市長が提案を持ち寄り、意見交換を行いました。
 本県からは、二つの提案を行いました。一つは、「大学生の東京一極集中是正と地方大学の充実のための支援」についてであります。東京以外の地域から東京の大学へ進学する学生は、年間約10万人に上り、東京からの転出を差し引いても約7万4千人が流入超過となっております。このことが、東京一極集中の大きな要因となっていることから、東京の大学の定員増の抑制と入学定員の厳格な管理の徹底等を国へ働きかけるものであります。
 二つ目は、「世界的なスポーツ大会への支援」についてであります。特に、第20回アジア競技大会の開催について、大会を運営する組織委員会への協力や競技会場の整備・改修等に対し、国の支援を求めるものであります。
 こうした本県からの提案を含め、「北陸新幹線の早期全線整備」や「中部国際空港の二本目滑走路を始めとする機能強化の実現」などについて、中部圏知事会の「国への提言」として取りまとめることができました。
 また、北陸新幹線の整備とあわせて、敦賀・米原ルートで東海道新幹線と接続する「北陸・中京新幹線」の整備など、中京圏と北陸圏を結ぶ高速鉄道ネットワークの拡充強化について取り組むことで一致しました。
 今後とも、中部圏知事会の会長として、各県の知事や市長と力を合わせ、中部圏のさらなる飛躍に向けて全力を尽くしてまいります。

 次に、自動走行実証推進事業についてであります。
 本県は、昨年度、県内15市町にご協力いただき、総延長約41キロ、総実走距離約2,800キロという大規模な公道を使用した自動運転による実証実験を実施しました。そのうち、4か所において、実際に県民の皆様にご乗車いただいたところ、自動運転に対する期待の大きさや社会的受容性の高さを確認することができました。
 また、技術的な面から見ても、この地域の自動運転に関する先進技術を有する企業、大学等が連携して実証実験を積み重ねてきたことで、地域全体として、ノウハウや知見が蓄積され、レベルアップにつながったものと考えております。
 こうした中、今年度は、最新の技術開発動向を踏まえ、国の規制緩和の動きに連動して、最先端の遠隔型自動運転システムなどを活用した実証実験事業を全国に先駆けて実施することとし、6月5日に本事業を開始しました。
 具体的には、県内10市町において、遠隔型自動運転システムによる公道実証実験などを実施するとともに、新しいルートを中心に県民の皆様に乗車いただき、モニター調査を実施してまいります。
 また、「あいち自動走行実証推進コンソーシアム(仮称)」を設置し、実証地域の提案のあった31市町村と実証実験実施希望者とのマッチングや、実証ルートの情報提供などの一元的な支援体制を整備してまいります。
 究極の安全技術と言われる自動運転の実証実験を本県が中心となって企業、大学、市町村と連携し、強力に推進することで、オールあいちで自動運転社会の実現を目指してまいります。

 次に、ベトナムのフック首相との面談についてであります。
 6月6日に、来日中のベトナムのフック首相を東京にて表敬訪問いたしました。
 フック首相との面談は、昨年の伊勢志摩サミット以来、約1年ぶりとなりましたが、この間、昨年9月にはベトナムのホーチミン市との間で「友好交流提携及び相互協力に関する覚書」を締結し、その後も、ホーチミン市代表団等の訪問を受け入れるなど、本県とベトナムは着実に交流を進めております。
 今回の面談では、愛知とベトナムとの人的、経済的、文化的交流をさらに深めていくことを確認し合い、私からは、日本初の有料道路の民営化を「愛知モデル」として実践しており、沿線の活性化に貢献している事例を説明し、ベトナムの高速道路の整備と運営にも、この「愛知モデル」を活用することは大変有用であり、我々も国とともに積極的にサポートしたいと申し上げました。
 今後も、愛知とベトナムの交流の拡大と強化に努めてまいります。

 次に、2020年東京オリンピック・パラリンピックあいち強化指定選手についてであります。
 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに本県ゆかりの選手を多数輩出するとともに、本県のスポーツを一層推進するため、6月11日、ウィルあいちにおいて、オリンピック強化指定選手221名、パラリンピック強化指定選手40名、合わせて261名の方々を認定いたしました。指定選手には1年間、遠征や合宿経費、競技用具の整備などへの支援を行ってまいります。
 この認証式にあわせて、オリンピック・パラリンピックメダリストなどによるトークセッションを開催し、オリンピック・パラリンピックを契機に本県のスポーツ振興に向けた気運を盛り上げることができました。
 強化指定選手の皆様の活躍を期待し、今後もしっかりと応援してまいりたいと考えております。

 次に、交通安全対策についてであります。
 本県では、5月26日に、県、県警察及び国の関係機関の代表者による「愛知県交通安全対策会議」を開催し、本年度の交通安全対策である「平成29年度愛知県交通安全実施計画」を策定いたしました。
 実施計画には、道路交通環境の整備、交通安全教育の推進、道路交通秩序の維持、車両の安全技術の推進などにおける具体的な取組を盛り込んでおりますが、今年度は新たに車両運転中の「ながらスマホ」対策などを加えました。
 この実施計画に沿って、県警察や市町村、関係機関と緊密に連携して交通安全対策を推進することにより、交通事故及び交通事故死者数の減少を図ってまいります。

 それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。
 まず、補正予算案についてでありますが、総額3億5,756万余円を一般会計で増額補正するものであります。
 その主な内容でございますが、まず、ジブリパーク(仮称)構想検討調査費についてであります。
 構想の具体化に向けまして、愛・地球博記念公園の現況調査と施設配置などの検討調査及び有識者からの意見聴取を行うための経費を計上するものでございます。
 先に申し上げましたとおり、ジブリ作品の世界をさらに広げて、万博の理念を次世代へ継承していくため、愛・地球博記念公園内にジブリパーク(仮称)を2020年代初頭に開設することを目指してまいります。
 次に、愛知県国際展示場の整備についてであります。
 平成31年秋の開業に向けて整備を進めています国際展示場について、イベント主催者等の意見を踏まえて、コンサート需要の取り込みによる利用促進のため、展示ホールAの天井高を14メートルから20メートルに変更し、機能面の充実を図るものであります。
 また、高層建築物の建設により発生した電波障害を解消するための高度情報通信ネットワークの改修費や、平成28年熊本地震において県内市町村・医療機関等が実施した災害救助に係る所要の経費を計上するほか、国予算に対応した事業などの増額を行うものであります。

 次に、補正予算案以外の議案についてであります。
 今回提案をいたしております案件は、条例関係議案が8件、その他の議案が10件でございます。
 主な案件につきまして、ご説明申し上げます。
 まず、条例関係議案のうち、愛知県県税条例の一部改正についてであります。
 これは、地方税法の一部改正に伴い改正を行うものでございまして、その主な内容は、個人県民税について、小・中学校など県費負担教職員の給与等が名古屋市負担に変更されたことに伴い、税源を移譲するため、名古屋市内の納税義務者の平成30年度以後の所得割の税率を改めるものであります。
 次に、愛知県国際展示場条例の一部改正についてであります。
 これは、大規模な屋外展示、屋外コンサートなどに対応するため、屋外の平面利用に係る使用料を設定するものであります。
 次に、その他の議案のうち、人事案件でございますが、公安委員会の委員及び人事委員会の委員の任期満了に伴いまして、その後任者を選任するものでございます。

 以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げましたが、詳細につきましては、議事の進行に伴いましてご説明を申し上げたいと存じます。
 どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますよう、お願いを申し上げます。