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県議会知事提案説明

平成29年9月定例県議会 知事提案説明要旨

このたびの定例県議会に提案をいたしました諸議案につきまして、そのご説明を申し上げるに先立ちまして、秋篠宮眞子内親王殿下のご婚約内定について申し上げます。
 眞子様におかれましては、秋篠宮同妃両殿下とともに、本県で開催された「2005年日本国際博覧会」の会場をご視察いただくとともに、「こども環境サミット2005」の開会式及び閉会式にもご臨席いただきました。
 眞子様は、多くの公的な活動に取り組まれる中、笑顔を絶やさず、やさしいお心遣いをなされる方とお伺いしており、明るく温かいご家庭を築かれるものと確信しております。
 お二人の末永いご多幸を祈念いたしますとともに、心よりお祝いを申し上げます。今後、愛知県にもお二人でお越しいただくことを期待しております。

 それでは、県政を取り巻く最近の状況について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

 まず、経済情勢と本県の財政運営についてであります。
 景気は、緩やかな回復基調が続いております。先行きについては、雇用・所得環境の改善が続く中で、緩やかに回復していくことが期待されておりますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 本年度の当初予算における県税収入は、法人二税の大幅な減収が見込まれる状況を踏まえて計上したところでありますが、県内企業の本年3月期決算を見ましてもその状況は基本的に変わっていないことから、引き続き、為替や海外経済などに大きく左右される企業収益の動向に十分に注意を払いながら、慎重に見極めていく必要があります。
 また、今後につきましても、外形標準課税の拡大などによりまして、企業収益が回復しても、急激な回復は見込めない状況であります。
 こうした中、来年度の予算編成に向けましては、まずは、本年度当初予算で1,468億円もの取崩しを計上した基金残高の回復が急務となっております。このため、本年度内において、より一層の財源確保に努めるとともに、引き続き歳入歳出両面にわたる行財政改革に取り組んでいかなければならないと考えております。

 こうした取組に加え、産業経済の活性化を進めることにより、地域の雇用を維持・拡大し、税源の涵養を図っていくことも重要であります。
 このため、平成24年度に創設した本県独自の産業空洞化対策減税基金による補助制度により、7月には、企業立地・再投資の分野で、平成29年度第1回の採択案件19件を決定したところであります。これまでの決定分と合わせますと、補助対象案件は224件、総投資額は4,081億余円となり、3万9,000名を超える常用雇用者が維持・創出される効果が見込まれております。
 さらに、研究開発や実証実験の支援では、これまでに、次世代自動車、航空宇宙、環境・エネルギー、健康長寿、IT・ロボット等の分野において451件を採択し、今後成長が見込まれる分野で高付加価値のモノづくりの維持・拡大を図っております。
 こうした中、9月26日から3日間にわたり、航空宇宙産業の国際商談会「エアロマート名古屋2017」が本県で開催されます。このエアロマートは、フランス・トゥールーズを始めとした世界の航空宇宙産業集積地で開催されており、国内では唯一当地域で平成26年に第1回目が開催され、今回が2回目となります。多くの海外企業も参加する商談会でありますので、県内企業の販路開拓を積極的に支援するとともに、愛知の航空宇宙産業を世界にアピールしてまいりたいと考えております。
 さらに、11月30日には、本県が整備を進めている「あいち航空ミュージアム」がオープンいたします。各方面への情報発信力を重視し、名誉館長には、航空機にまつわる映画もつくられた、愛知県出身の演出家・映画監督の堤幸彦氏に、また、館長には、航空機分野を専門とし、愛知にも長くお住まいであった鈴木真二東京大学大学院教授に就任いただくこととしております。このお二人に加え、専門家で構成するアドバイザリーボートを設け、様々なアドバイスをいただきながら、ミュージアムの運営や企画を充実してまいりたいと考えております。
 航空機産業の情報発信、観光集客施設として産業観光の強化に取り組むとともに、次代の航空機産業を担う人材の育成を推進し、全国一の集積を誇る愛知の航空機産業のさらなる成長につなげてまいります。

 次に、障害者支援施設及び重症心身障害児者施設の開所についてであります。
 7月1日、春日井市内において、民間による障害者支援施設「はるひ荘」が開所しました。この「はるひ荘」は、再編整備中の「心身障害者コロニー」の重度の障害のある方やご高齢の方などに入所いただく施設として整備されたものであります。また、同日、東三河で初めてとなる、民間による重症心身障害児者施設「信愛医療療育センター」が、豊川市内において開所しました。
 これらの施設整備にあたりましては、県有地を活用するとともに、平成26年度に設置した本県独自の障害者福祉減税基金による支援を行っております。
 この結果、県内の重症心身障害児者施設は、平成25年の4施設382床から8施設694床へと約2倍に拡充いたしました。引き続き、障害のある方が住み慣れた地域で安心して生活をしていただける環境整備に取り組んでまいります。

 次に、城北つばさ高等学校開校記念式典についてであります。
 本県県立高校初となる二部制単位制の定時制高校として、本年4月に開校した「城北つばさ高等学校」では、7月8日に開校記念式典を開催いたしました。
 私も参加した式典では、中学校時代に不登校を経験した代表生徒から、「この城北つばさ高校への入学をきっかけに、勉強が好きな自分に気付くことができ、これから自分の道を探したい」という力強い言葉を聞くことができました。
 城北つばさ高等学校は、個々の状況に応じて授業を選択できることや、中途退学者等を対象とした秋季入学などを特色としております。様々な学習歴を持つ生徒が大いに学び、充実した学校生活を送っていただくことを願っております。

 次に、ヒアリ対策についてであります。
 特定外来生物ヒアリについては、6月に兵庫県で確認されて以降、本県においても、名古屋港、春日井市で確認されております。
 このため、7月12日には、私から国に対し、水際対策や拡散防止対策の実施、自治体への情報提供などを緊急要請したところです。
 また、本県では、相談窓口を設けて個別相談に対応するとともに、ホームページでの注意喚起に加え、県内市町村、学校等、様々なルートを通じた情報提供に努めてまいりました。
 ヒアリは一旦定着すると根絶することは困難となります。今後も、国や名古屋港管理組合、市町村はもとより、経済団体ともしっかり連携し、水際での侵入防止を徹底してまいります。

 次に、愛知学園への学校教育導入についてであります。
 県立の児童自立支援施設「愛知学園」につきましては、7月25日に、県と春日井市との間で、「春日井市において市立小・中学校の本校を設置し、平成30年4月から入所児童に対する学校教育を実施していく」ことで正式に合意をいたしました。
 学校教育の導入は、入所児童の立ち直りや社会的自立につながるものと考えます。春日井市のご理解、ご協力に対し、あらためて感謝申し上げます。
 来春の学校教育の導入に向けまして、春日井市と連携しながら、教育環境の整備を着実に進めてまいります。

 次に、「あいち発明の夏2017」についてであります。
 県では、「愛知の発明の日」制定の契機となった豊田佐吉翁の生誕150周年を記念し、「あいち発明の夏2017」と銘打ち、7月27日から30日にかけて、大規模イベントを集中的に開催いたしました。
 42の国と地域から2,532名・392チームが参加した「ロボカップ2017名古屋世界大会」には、約13万人もの方々にご来場いただく中で、26の競技で熱戦が繰り広げられました。本県からは12チームが参加し、このうち2チームが表彰されるなど、たいへん輝かしい成績を収めました。
 また、「世界青少年発明工夫展2017」には、15の国と地域から246名・159作品の参加と3万人を超える来場者があり、大いに賑わいました。本県の少年少女発明クラブの子どもたちによる4作品は、金メダル2、銅メダル1という優秀な成績を収めました。
 さらに、トヨタ自動車株式会社の豊田章一郎名誉会長に特別講演をしていただいた「愛知の発明の日記念講演会」には、570名もの方々にご参加いただき、モノづくりと人材育成の重要性について、多くの方々とともに考えることができました。
 本県は、全国最多の23の少年少女発明クラブが設置され、3,000名を超える小中学生が参加する、全国で最も活動が活発な地域であり、7月から8月にかけて、県内各地で42の協賛行事が開催されたところであります。
 今後とも、科学技術や創意工夫を大切にする気運の醸成を図り、「産業首都あいち」を担う次代の科学技術人材の育成支援に一層力を注いでまいりたいと考えております。

 次に、全国知事会議についてであります。
 7月27日に岩手県で開催された知事会議に出席し、地方自治体が直面する諸課題について議論を交わしてまいりました。
 私からは、まず、ふるさと納税に関して、昨年度の受入額が全国で約2,844億円まで増加し、住民税の受益と負担の原則を大きく歪めており看過できないことから、返礼品の割合を寄附額の1割までとするとともに、住民税からの控除方法も早急に見直すべきと申し上げました。
 また、国が導入に向けて検討を進めている森林環境税については、37府県が独自に行っている超過課税との重複や影響が生じないよう調整が必要であることや、これまで都道府県が主体的に森林整備を実施してきた中で、市町村との関係をしっかりと整理するなど、慎重に制度設計される必要があることを申し上げました。
 憲法改正に関しましては、憲法の前文に地方自治の理念を高らかにうたい上げるとともに、地方政府と立法機関を憲法に明確に位置付けるべきと申し上げました。また、参議院議員選挙における合区解消については、法の下の平等という憲法の大原則との整合性や最高裁判例の積み重ねを踏まえると、賛同できないと申し上げ、慎重な議論を求めました。
 さらに、地方創生の推進では、大学生の東京一極集中について、東京23区内の大学の定員抑制が必要であること、その上で、地方の大学を魅力あるものとするため、地域を挙げて努力することが必要であると申し上げました。
 今後も、全国知事会などの活動を通じて、国に対して本県の考えをしっかりと主張してまいります。

 次に、山車まつりの振興についてであります。
 昨年12月に、本県に所在する5件の山車まつりがユネスコ無形文化遺産に登録されました。4月の犬山祭、5月の知立まつり、亀崎潮干祭に続き、7月22日の尾張津島天王祭、8月5日の須成祭に私も参加してまいりました。今年は、ユネスコ登録後初のまつりということもあり注目度が高く、例年より多くの方にお越しいただき盛り上げていただきました。
 また、山車まつりの活性化のために、関係市町とともに設立した「あいち山車まつり日本一協議会」では、7月30日に総会を開催し、本年度の事業計画を決定したところであります。
 引き続き、様々な取組を通して山車まつりの保存・継承を図り、愛知が誇る山車文化の魅力を発信してまいります。

 次に、「国際観光都市としての機能整備に関する研究会」についてであります。
 近年、世界の国々や都市では、国際会議や展示会などのMICEを核とした国際観光都市を目指し、激しい競争を繰り広げております。本県におきましても、観光振興とMICE誘致に積極的に取り組んでいるところでありますが、こうした世界や国内の動向・潮流を踏まえ、これまで以上に魅力的なMICEを核とした国際観光都市を目指す必要があると考えます。
 現在、中部国際空港エリアでは、9月1日に起工式を執り行った本県の国際展示場を始め、複合商業施設や新たな宿泊施設などの整備が着々と進められており、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光ゾーンを実現できる可能性が高いと考えられます。
 そこで、さらに数多くのMICEを呼び込むため、8月1日に、都市計画や経済、観光、建築等を専門分野とする委員で構成する「国際観光都市としての機能整備に関する研究会」を設置いたしました。
 この研究会により、常滑商工会議所、常滑市議会から要望を受けた統合型リゾート(IR)も含め、魅力ある国際観光都市としての機能整備について、調査研究を進めてまいります。

 次に、愛知県県民栄誉賞についてであります。
 8月4日に愛知県体育館で開催されたアイスショーの中で、元フィ ギュアスケート選手の浅田真央さんに、愛知県県民栄誉賞の表彰状と、記念品として真央さんのスケート姿などをあしらったティーセットをお贈りし、会場のファンの皆様と功績を称えるとともに、感謝の気持ちをお伝えしました。
 浅田真央さんは、決してあきらめない不屈の精神で輝かしい成績を残されるとともに、常に夢に向かってひたむきに努力を続ける姿とその笑顔は、世界中の人々に明るい夢と希望を与えてくれました。まさに、我々県民の大いなる誇りであり、これからも、スケートを始め様々な舞台で大いにご活躍されることを期待しております。

 次に、防災対策の推進についてであります。
 南海トラフ地震等による大規模災害の発生が危惧される本県では、災害に対して備えていくことがたいへん重要であります。
 このため、本県を始め東海から九州地方までの25の府県・政令市・経済団体等で「南海トラフ地震等に対する緊急防災対策促進に係る提言」をとりまとめ、8月9日に、私が代表して国土交通省始め関係省庁に対し、河川・海岸堤防の整備等を要請したところであります。
 また、8月20日に「愛知県・春日井市総合防災訓練」を実施し、9月1日の「防災の日」には、過去最多の57万8,000人を超える県民の皆様に参加いただき、県内全域で「あいちシェイクアウト訓練」を実施いたしました。さらに、11月5日には、「内閣府・愛知県・武豊町地震・津波防災訓練」を実施する予定であります。
 このほか、8月5日には、県内38の消防団が日頃培った消防技術を競う「愛知県消防操法大会」を開催したところであります。また、本県の防災ヘリコプター「わかしゃち」については、7月から新たな機体が運航を開始しております。消火、救助、救急事案や災害時に、より迅速かつ的確に活動できる体制の整備に努めてまいります。
 さらに、7月に発生した九州北部豪雨では、本県から緊急消防援助隊を派遣し、名古屋市消防局及び岡崎市消防本部の隊員102人が、安否不明者の捜索などにあたりました。また、今回の出動では、全国で唯一、岡崎市消防本部に配備されている全地形対応車「レッドサラマンダー」による活動も実施しており、今後の本県における防災活動に生かしてまいりたいと考えております。
 今年は、本県においても例年より多く、大雨による河川の越水や家屋の浸水被害等が発生しております。また、これから本格的な台風時期となってまいります。県民の皆様の安全・安心の確保を図る防災対策に、しっかりと取り組んでまいります。

 次に、海外渡航についてであります。
 8月20日から26日まで、インドネシア、シンガポール、台湾を訪問してまいりました。この渡航には、名古屋大学の松尾総長、名古屋商工会議所の山本会頭、安井副会頭、中部経済連合会の栗原常務理事、中部国際空港株式会社の各務副社長、国立長寿医療研究センターの鳥羽理事長を始め、各界の皆様にもご同行いただきました。
 最初の訪問地インドネシアとは、本年2月に「経済交流に関する覚書」を締結しており、カッラ副大統領やダルミン経済担当調整大臣、アイルランガ工業大臣、スマディ運輸大臣のほか、ガルーダ・インドネシア航空のパハラCEOとも面談を行いました。
 私から、企業の投資促進のため、道路・港湾インフラ等のビジネス環境の改善や企業間のビジネスマッチングへの協力を要請したほか、本県企業の進出を支援するサポートデスクをジャカルタ市内に設置予定であることを表明いたしました。あわせて、全国で最も多くのインドネシア人が在住する本県への領事館の設置や、「中部−ジャカルタ」線の早期就航要請などを行いました。
 カッラ副大統領始め各閣僚からは、ビジネス環境の改善について、「投資を促進するためのインフラ整備に積極的に取り組んでいきたい」、サポートデスクについては、「政府としてしっかり支援していく」、領事館については、「愛知との交流拡大の加速化につながることから、外務大臣に検討するよう指示したい」、また、直行便の開設についても、「政府としてフォローアップしたい」との発言がありました。
 次に訪れたシンガポールでは、名古屋大学の松尾総長、国立長寿医療研究センターの鳥羽理事長とともに、世界大学ランキングでアジアNo.1と評価が高いシンガポール国立大学(NUS)のタン総長と昨年に引き続き面談いたしました。私から、老年医学、材料工学、交通工学などの科学技術分野における研究交流を進めるため、愛知県とNUSとの「研究交流に関する覚書」の締結に向けて詳細な協議を進展させることを提案し、合意を得ました。
 この面談では、認知症予防を始めとする老年医学の分野について、国立長寿医療研究センターとNUSとの間で、私が立会人として署名し、技術協力に関する覚書が締結されました。
 また、NUSやシンガポール政府、日本及びシンガポール経済関係者に出席いただき、研究交流セミナーと交流会も開催いたしました。
 最後に訪問した台湾では、陳建仁副総統を始め、沈栄津経済部代理部長、台湾日本関係協会の邱義仁会長と面談し、経済や観光分野での交流促進に向けて意見交換をしてまいりました。
 さらに、マンダリン航空の張酉光副社長と面談し、本県の観光資源のPRとともに、「中部−台中」間のチャーター便の増便や定期便化を要請してまいりました。
 また、台北市内で開催された旅行博「Touch The Japan」には、愛知県商工会連合会と本県との合同で最大規模の愛知県パビリオンを出展し、本県の観光や県産品をPRしてまいりました。
 今後も、アジアとのつながりをより深化させ、経済、学術、観光など、幅広い分野の交流を進め、お互いのさらなる発展につなげてまいりたいと考えております。

 次に、リニア中央新幹線の建設促進についてであります。
 リニア中央新幹線の「東京−名古屋」間については、本年3月までに、沿線6都県において工事安全祈願・起工式が行われ、各地で本格的な土木工事が進められているところです。
 8月31日に、東京において、私が会長を務める「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会」の総会を開催し、「東京−名古屋」間の工事実施計画に基づく早期整備や、「東京−大阪」間の早期全線整備の実現に向けた取組などを決議いたしました。
 さらに総会後には、沿線県の知事とともに、国土交通省に対し、決議した内容を要請してまいりました。
 引き続き、リニア中央新幹線の早期整備に向けて、沿線地域の皆様とともにしっかりと取り組んでまいります。

 次に、国家戦略特区についてであります。
 本県では、全国初となる有料道路コンセッションや愛知総合工科高等学校専攻科の公設民営化を始め、幅広い分野で特区制度を活用した取組を進めております。
 こうした中、9月4日に開催された愛知県国家戦略特別区域会議において、「自動走行実証ワンストップセンター」の設置と、「農業への信用保証制度の適用」を常滑市から全県へ拡大する区域計画が決定され、翌5日に内閣総理大臣から認定されました。
 これを受け、ワンストップセンターを11日に設置したところであり、本県が全国に先駆けて平成26年度から実施しているワンストップサービスについて、公道実証に係る各種相談への対応や産学行政のマッチングなどに関する機能の充実を図り、完全自動走行の早期実現に向けた取組を一層強力に推進してまいります。
 また、会議では、私から、農業分野に外国人材を受け入れる「農業支援外国人受入事業」を本県において速やかに活用することを表明するとともに、一昨年11月に提案した「外国人雇用特区」の早期実現を求めたところであります。
 今後も、この国家戦略特区を活用し、我が国随一の成長産業・先端技術の中枢拠点の形成と、総合的な規制・制度改革の実現に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。

 次に、子どもの貧困対策の推進についてであります。
 経済的に困窮している家庭における生活実態や様々な課題を把握し、実効性のある子どもの貧困対策を検討するため、昨年12月に県内全域で「愛知子ども調査」を実施し、この調査結果を基に、有識者による「子どもの貧困対策検討会議」において、経済的な要因が子どもの成長に及ぼす影響について、詳細な分析を進めてまいりました。
 そして、9月12日に開催した「子どもの貧困対策検討会議」において、「子どもが輝く未来に向けた提言」をいただいたところであります。この提言を受けまして、今後、学習支援や居場所づくりなどの取組を推進してまいりたいと考えております。
 家庭環境や経済状況にかかわらず、全ての子どもたちが夢と希望を 持って健やかに成長できる愛知をめざしてまいります。

 次に、「あいちアール・ブリュット障害者アーツ展」についてであります。
 本県では、芸術・文化活動を通じて障害のある方の社会参加と自立を促進するとともに、広く県民の皆様に障害への理解を深めていただくため、平成26年度から、「あいちアール・ブリュット展」を開催してまいりました。
 今年は、昨年の全国障害者芸術・文化祭あいち大会の成果を継承し、アート作品の展示に加え、舞台・ステージ発表を充実した「あいちアール・ブリュット障害者アーツ展」として、9月13日から18日まで、名古屋市内で開催いたしました。私も開会式に出席し、700点近い作品を鑑賞してまいりましたが、個性豊かな素晴らしい作品に感銘を受けたところであります。
 来年3月には、愛知芸術文化センターにおいて、優秀作品の特別展を開催いたしますので、多くの県民の皆様にご鑑賞いただきたいと考えております。

 次に、アメリカ・インディアナ州との覚書締結についてであります。
 9月15日に、インディアナ州のホルコム知事が来県され、愛知県とインディアナ州との「友好交流及び相互協力に関する覚書」を締結いたしました。
 インディアナ州は、トヨタ自動車が生産拠点を構え、県内の自動車関連企業も数多く進出するなど、本県とたいへん関わりの深い地域であります。ホルコム知事とは、今年1月にトランプ大統領就任式に出席するためワシントンDCを訪問した際に面談し、「日本からインディアナ州への投資の53%が愛知の企業からのものであり、良好な関係を発展させていきたい」との発言をいただいておりました。
 今回の覚書の締結を契機に、経済分野に加え、教育、文化など幅広い分野での連携・交流をさらに深め、両地域の発展につなげてまいりたいと考えております。

 次に、「オレンジタウン構想」についてであります。
 いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて認知症対策が喫緊の課題となっている中、本県では昨年度から、保健・医療・福祉の専門機関が集積する「あいち健康の森」及びその周辺地域を対象として、認知症に理解の深いまちづくりの先進的なモデルとなる「オレンジタウン構想」の策定に取り組んでまいりました。
 関係機関や有識者を構成員とするプロジェクトチームでの議論を経て、9月20日には、2020年度までのアクションプランと2025年度までの中長期的な取組を示した「オレンジタウン構想」を発表したところであります。
 この構想では、「地域で暮らし、学び、働く人々が、認知症の人や家族に理解の深いまちづくりに、「じぶんごと」として取り組む社会の実現」を基本理念に、国立長寿医療研究センターを始めとした専門機関や企業、大学と連携し、愛知らしい認知症対策を実施していくこととしております。
 今後、この構想に基づいた取組を進め、認知症に理解の深いまちづくりを県内全域へ広めてまいりたいと考えております。

 次に、交通安全対策の推進についてであります。
 本県の交通事故死者数は、現在、全国ワースト1位と非常に厳しい状況となっております。
 悲惨な交通事故による犠牲者を一人でも少なくするため、これまで、車両運転中の「ながらスマホ」の禁止を呼びかけるテレビCMの放送や啓発イベント、街頭啓発などにより交通安全対策に取り組んでまいりました。
 さらに9月8日には、8月末から死亡事故が多発していることを踏まえ、私から県民の皆様に、「交通安全のお願い」メッセージを発信して交通事故防止を訴えかけるとともに、9月10日に開催した交通安全啓発イベントでは、「愛知県交通安全サポーター」に就任いただいた本県出身の俳優・渡辺哲さんとともに、来場者の方々に、交通安全行動に努めていただくよう、呼びかけたところであります。
 本日から「秋の全国交通安全運動」がスタートいたしました。何としてもワースト1位を返上するとの強い決意のもと、引き続き、県警察、市町村及び民間企業等とより一層連携し、総力を挙げて交通事故抑止に取り組んでまいります。


 それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。
 まず、補正予算案についてであります。補正予算の総額でございますが、44億7,599万余円を一般会計で増額補正するものであります。
 主な補正予算の内容について、ご説明申し上げます。
 まず、愛知環状鉄道株式会社が行うICカード乗車券の導入整備に対しまして、国及び沿線市とともに支援してまいります。沿線の豊田スタジアムで開催されるラグビーワールドカップ2019では、利用可能となる予定であります。
 次に、子どもの貧困対策につきましては、「愛知子ども調査」の詳細分析を踏まえ、早急に取り組むべき対策として、学習支援ボランティアの養成やフードバンクを活用した子ども食堂への支援方法の調査研究などを実施してまいります。
 また、先に申し上げましたとおり、児童自立支援施設「愛知学園」に平成30年4月から学校教育を導入するため、施設等の整備費を計上いたしますとともに、県内企業のインドネシアへの進出を支援するため、平成30年1月からジャカルタ市内にサポートデスクを設置する経費について計上することといたしました。
 次に、愛知県体育館につきまして、本年6月の名古屋市会において、移転先候補地として「名城公園北園」が示されましたことから、移転可能性の検討を行うため、新体育館に必要な機能・諸室、建物規模や配置計画などの諸条件の調査を行う経費を計上しております。
 また、建設事業につきましては、道路舗装の修繕や河川の浚渫、護岸の改修などの単独事業とあわせて、国庫補助の内示増に伴う公共事業といたしまして、土砂災害対策を進める砂防事業、県営住宅の長寿命化改善事業などを計上するとともに、今年度発生した豪雨災害等に係る復旧費について計上し、早期の復旧に取り組んでまいります。
 次に、県内の厳しい交通事故情勢を踏まえまして、事故が多発する交差点の信号灯器のLED化等に要する経費について計上し、交通事故の抑止に努めてまいります。
 さらに、本県ゆかりの杉原千畝氏の人道的功績を称える顕彰施設につきましては、関係者との調整の結果、新たな資料の展示が可能となりましたことから、展示内容を拡充することとし、工期が2か年にわたるため債務負担行為を設定いたします。杉原氏の執務姿の立体像や発給した2,256名の全ビザリストに加え、旧制愛知県立第五中学校在籍当時の集合写真や作文、母への手紙など、人生で最も大切な時期を過ごした学生時代の資料も展示してまいります。若い世代や国内外の方々が、杉原氏の人道的功績に触れることで、その歴史的な意義を学ぶとともに、平和への思いを深める施設となるよう、整備を進めてまいります。

 次に、補正予算案以外の議案についてであります。
 今回提案をいたしております案件は、条例関係議案が8件、その他の議案が12件でございます。
 主な案件につきまして、ご説明申し上げます。
 まず、条例関係議案のうち、愛知県県税条例の一部改正についてであります。これは、保育の受け皿整備の促進を図るために、家庭的保育事業等の用に供する家屋の取得に係る不動産取得税について、課税標準の控除額を引き上げるものであります。
 次に、その他の議案のうち人事案件でございますが、教育委員会の委員の任期満了に伴いまして、その後任者を選任するものでございます。


 以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げましたが、詳細につきましては、議事の進行に伴いましてご説明を申し上げたいと思います。
 なお、平成28年度一般会計及び特別会計並びに公営企業会計決算につきましては、監査委員の審査意見を付しまして提出いたしております。
 どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願いを申し上げます。