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県議会知事提案説明

令和元年12月定例県議会 知事提案説明要旨

このたびの定例県議会に提案をいたしました諸議案のご説明を申し上げるに先立ち、天皇陛下のご即位について申し上げます。
  天皇陛下におかれましては、10月22日に即位礼正殿の儀を挙行され、ご即位を国内外に宣明されました。県民を代表して謹んでお慶び申し上げます。私も参列させていただきましたが、厳粛な雰囲気で始まろうとする中、それまで降っていた雨がやみ、日がさしてきたことに感動いたしました。
  10月29日には、天皇陛下が皇后陛下とともにご即位を披露し、祝福を受けられるための饗宴の儀に、11月14日から15日には、ご即位に伴う大嘗祭の中心的儀式である大嘗宮の儀に、神野県議会議長とともに参列させていただきました。
  また、11月21日及び23日には、ご即位に関連する儀式を終えられたことを報告される親謁の儀のために伊勢神宮に行幸啓されるにあたり、名古屋駅でご挨拶をさせていただきました。
  天皇皇后両陛下には、本年6月に、愛知県森林公園で開催された第70回全国植樹祭にご臨席のため、ご来県賜りました。ご即位後初の地方でのご公務として、お二人揃って愛知県にご来県いただいたことはこの上なく光栄なことであり、県民一同の喜びでありました。
  令和の世が平和で豊かな時代となりますことを念願いたしますとともに、天皇皇后両陛下の幾久しい御健勝と皇室の弥栄をお祈り申し上げます。
  次に、台風第19号等による災害について申し上げます。
  記録的な大雨等により、死者・行方不明者が100名を超え、9万7千棟を超える建物被害が生じるなど、関東・東北地方を中心に甚大な被害が発生しました。
  被災された方々に対しまして、心からお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、被災地域の一刻も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
  本県では、発災後直ちに、栃木県、長野県及び宮城県に災害派遣医療チーム(DMAT)のロジスティックチーム、緊急消防援助隊、県警察の広域緊急援助隊等を派遣したほか、災害廃棄物の処理、家屋被害認定調査などのために市町村等と連携し、職員を派遣したところであります。
  また、11月13日からは、愛知県産業廃棄物協会会員企業による長野県千曲市の災害廃棄物の搬出、搬入及び処理を開始するとともに、11月18日からは、長野県に、道路・河川や農業施設の災害復旧業務に従事する県職員を派遣しているところであります。
  さらに、長野市における災害ボランティア活動の支援のため、愛知県社会福祉協議会にご協力いただき、県内7市の社会福祉協議会と連携して、ボランティアバスを運行しているところであります。
  今後も、被災県等の要請に迅速に対応し、被災地域の復旧・復興支援にしっかりと取り組んでまいります。
  災害による被害を軽減するためには、日頃から防災意識を持ち、災害に対する備えを心がけることがたいへん重要であります。
  このため、10月19日、20日に、内閣府などが主催する国内最大級の防災イベントである「ぼうさいこくたい」が本県で初めて開催されることにあわせ、名古屋市ささしまライブエリアにおいて、地域防災力の向上を目指す「あいち・なごや防災フェスタ」を開催しました。
  また、11月10日には、「愛知県・飛島村津波・地震防災訓練」において、南海トラフ地震及びそれに伴う津波の発生を想定した避難訓練、避難所の運営訓練、ヘリコプターでの救出救助訓練など実践的な訓練を実施しました。
  今後も、県民の皆様の防災意識を高める取組を進めるとともに、国、関係自治体、防災関係機関等と連携強化を図り、防災対策に万全を期してまいります。


  それでは、県政を取り巻く最近の状況について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

  はじめに、最近の経済情勢と来年度の予算編成についてであります。
  景気は、輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復しております。先行きにつきましては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続く中で、緩やかな回復が続くことが期待されておりますが、通商問題を巡る緊張等、海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に加え、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向が懸念されるところです。
  こうした中、本年度の県税収入につきましては、主要税目である法人二税は、全体の約7割を占める3月期決算法人の申告実績を見ますと、これまでのところ、当初の見込みをやや上回る水準で推移している状況であります。
  また、来年度は、地方消費税の税率引上げによる影響が本格的に現れてまいります。法人二税収入につきましては、上場企業の2020年3月期の業績予想について減速が見込まれていることに加え、地方法人課税の見直しに伴う法人県民税の税率引下げの影響が見込まれることから、今後の国内外の経済や税制改正の影響等を注視し、税収を慎重に見極めていく必要があります。
  一方、歳出面では、幼児教育・高等教育の無償化の本格的な実施に加え、医療・介護などの扶助費の増加が引き続き見込まれるほか、社会情勢の変化や多様化する行政ニーズにも的確に対応していく必要があります。
  このため、財源の確保はもちろんのこと、歳出についても引き続き事務事業の見直しに取り組み、真に必要な分野に限られた財源を重点的かつ効率的に配分することを基本に、予算編成をしてまいりたいと考えております。


  次に、Aichi−Startup戦略の推進についてであります。
  10月21日、アメリカ・テキサス州テキサス大学オースティン校のソニア・フィゲンバウム上級副学長が本県へお越しになり、スタートアップ・エコシステムの形成のための本県との今後の連携強化を確認しました。
  また、オースティンが誇る世界最先端のスタートアップ・エコシステムを体験し、そのノウハウを吸収するため、11月11日から13日まで県内スタートアップ企業やスタートアップ支援機関、大学関係者などを現地オースティンに派遣したところであります。
  さらに、スタートアップの創出・育成を行うとともに、国内外の優れたスタートアップを集積させるための総合的な支援機能をワンルーフ・オールインワンで提供する中核支援拠点「ステーションAi」については、整備・運営を行うPFI事業者の選定手続きに係るアドバイザリー契約を締結し、準備を進めております。
  また、この「ステーションAi」を整備するまでの間も、産業界を取り巻く急激な動向の変化に的確に対応し、スピード感を持って、切れ目のない支援を行うため、来年1月に、早期支援拠点を、WeWorkグローバルゲート名古屋に開設することとしております。
  10月23日には、我が国やこの地域を代表する企業、経済団体、大学、金融機関、行政の立場から、Aichi−Startup戦略を具体化するためのステーションAiプロジェクトの展開方針について、ご意見をいただくための推進協議会を開催しました。
  今後も、スタートアップ支援に関する国内外の施策全般について、本協議会の委員の皆様からご意見をいただきながら、このプロジェクトを着実に推進してまいります。


  次に、知の拠点あいち重点研究プロジェクトについてであります。
  本県では、2011年から、大学等の研究シーズを活用し、新技術の開発・実用化、新たなサービスの提供や次世代産業の創出を目指し、産学行政が連携して、「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」を推進しており、10月24日に、今年8月に開始したV期目のプロジェクトを広く県民の皆様や産業界の方々に紹介するため、キックオフセミナーを開催しました。
  V期では、17大学、11研究開発機関等、さらには、8社のスタートアップを含む98社が参画し、2021年度までの3年間で、「近未来自動車技術開発プロジェクト」、「先進的AI・IoT・ビッグデータ活用技術開発プロジェクト」、「革新的モノづくり技術開発プロジェクト」の3つのプロジェクト、26の研究テーマに取り組みます。
  本県の主要産業である自動車産業における電動化や自動運転等の100年に一度の大変革期への対応や、AI・IoT・ビッグデータといったデジタル技術の利用促進を図り、革新的なイノベーションの創出を目指して全力で取り組んでまいります。


  次に、CSF:Classical Swine Fever(豚コレラ)への対応についてであります。
昨年9月、岐阜県で発生したCSFは、関東地方でも発生する事態となり、国は防疫指針を改め、豚へのワクチン接種を決定しました。
  ワクチン接種にあたっての懸念事項であった流通制限については、肉製品は制限を設けないこととなったこと、同時に、生産者や畜産関係団体の方々からのワクチン接種の要請を踏まえ、知事として法に基づくワクチン接種命令を行い、10月25日から県内すべての養豚農場でワクチン接種を開始しました。11月23日には、対象となるすべての農場で接種を完了し、今後は、生まれてくる子豚を中心に、確実にワクチン接種を継続してまいります。
  国に対しては、国内でのCSFの発生を国家レベルの危機事案と受けとめ、感染経路や発生原因の早期解明、殺処分に伴う養豚農場への十分な経営支援、ワクチン接種に要する獣医師の確保、広域かつ広範囲での発生に備えた支援体制の構築、風評被害の防止など、総合的な支援を行うよう強く要請したところであります。
  このような中、11月19日には、西尾市の養豚農場において、本県17例目となるCSFが確認されました。8月に確認された16例目から3か月間発生がなく、当該農場はワクチン接種を済ませたところでありましたので、衝撃をもって受け止めさせていただきましたが、国の防疫指針に従い、感染拡大を防ぐため、速やかに約1千頭の豚を処分し、11月23日には、防疫措置を完了させたところであります。
  引き続き、日本の養豚、愛知の養豚を守るため、関係機関と連携し、CSFの防疫対策と感染防止対策に、万全を期すとともに、今一番厳しい立場にある農家に寄り添って対応し、必ず経営再建を果たしていただけるよう支援してまいります。


  次に、特別支援教育の充実についてであります。
  10月25日に、本県13校目の県立知的障害特別支援学校として本年4月に開校した、瀬戸つばき特別支援学校の開校記念式典を開催いたしました。
  瀬戸つばき特別支援学校には、春日井市の南部、瀬戸市、尾張旭市、長久手市、豊田市山間部から、251人の児童生徒が通学しており、この開校により、春日台特別支援学校及び三好特別支援学校の過大化による教室不足や長時間通学が解消しました。瀬戸の自然豊かな素晴らしい立地環境を生かしながら、児童生徒一人ひとりの適性に応じた教育を展開してまいります。
  また、来年4月には、渥美半島先端地域における長時間通学の解消を図るため、県立福江高等学校の施設を活用して、知的障害のある高等部の生徒を対象とした豊橋特別支援学校の分教室として「潮風教室」を設置します。ここでは、住み慣れた地域での自立と社会参加を目指し、地域に根ざした特色ある教育を推進するとともに、福江高校の生徒との自然な交流による共生社会の実現に向けた取組を推進してまいります。
  さらに、西尾市内での本県初となる知的障害と肢体不自由の児童生徒に対応した特別支援学校の新設など、引き続き、特別支援教育の充実に取り組んでまいります。


  次に、中部圏知事会議についてであります。
  10月28日に、愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」で開催された第111回中部圏知事会議に出席しました。
  会議では、私が座長を務め、「近未来技術の社会実装に向けた取組」をテーマに議論を交わしました。
  私からは、自動運転、ロボット、空飛ぶクルマの実証実験など本県の取組を紹介し、産業競争力の強化や地域課題の解決に資する近未来技術の社会実装の重要性について申し上げ、県域を越える実証実験などについて、9県1市がより一層連携し、取組を強力に推進していくことを宣言として取りまとめました。
  今後も、中部圏知事会の会長として、各県の知事や市長と力を合わせ、中部圏の更なる飛躍に向けて全力で取り組んでまいります。


  次に、国の施策・取組に対する要請についてであります。
  11月7日、8日に、2020年度の政府予算案編成に向けて、関係大臣らと面談し、要請活動を実施いたしました。
  江藤農林水産大臣に、CSFの対策と感染拡大防止について要請したほか、武田内閣府防災担当大臣には、基幹的広域防災拠点の早期整備について、竹本内閣府科学技術政策担当大臣には、スタートアップに係る本県の取組への支援について、梶山経済産業大臣には、自動運転の実現に向けた取組の推進等について、北村内閣府地方創生・規制改革担当大臣には、アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区に係る「国際戦略総合特区設備等投資促進税制」の延長について、西村内閣府経済財政政策担当大臣には、日米貿易協定の合意内容に関連して、自動車・自動車部品の関税の早期撤廃など公正な貿易慣行の整備等について、加藤厚生労働大臣には、就職氷河期世代の活躍支援などについて、それぞれ要請いたしました。
  このほか、関係省庁に対し、広域幹線道路網の整備、リニア中央新幹線の建設促進、中部国際空港の二本目滑走路の早期実現、アジア競技大会の開催に対する支援、多文化共生社会づくりに向けた取組の推進などについて要請を行いました。
  引き続き、県政の様々な課題について、国に対して必要な支援や協力をしっかりと働きかけてまいります。


  次に、FIA世界ラリー選手権ラリージャパンについてであります。
  2020年のFIA世界ラリー選手権(WRC)の日本、愛知・岐阜開催が決定し、WRCのテストイベントとして、11月9日、10日に、長久手市の愛・地球博記念公園を中心に、豊田市、岡崎市、新城市、設楽町及び岐阜県恵那市に広がるエリアで「セントラルラリー」が開催されました。
  競技区間である7つのスペシャルステージには観戦ポイントが設けられ、34台のラリーカーによるタイムアタックの迫力を約4万人の方々に観戦していただきました。
  来年11月のWRCラリージャパンは最終戦の予定であり、年間世界チャンピオンの決定が見込まれる大一番のラウンドとなります。今回のテストイベントの成果を生かしつつ、今後、日本を代表するモータースポーツの中心地として世界に大きくアピールする大会にしていけるよう、しっかりと取り組んでまいります。


  次に、自動運転実証実験についてであります。
  本県では、自動運転の社会実装を見据え、今年度、実際のビジネスモデルを想定した実証実験を県内3カ所で実施しております。
  8月には、常滑市の空港島において、愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」の開業の機会をとらえ、高精度衛星測位技術や次世代通信規格5Gを活用した実証実験を実施しました。
  また、11月13日、14日、19日及び20日の4日間にわたり、愛・地球博記念公園において、「テーマパークにおけるエンタメ体験型の移動」をテーマとして、AI(人工知能)を活用した自動運転車両によるオンデマンド配車や、AR(拡張現実)を活用した実証実験を実施しました。
  オンデマンド配車では、乗客が希望する場所やルートを基にして効率的な配車を行うことで園内移動の利便性向上につなげたほか、ARでは、専用のゴーグルを装着することにより、現実の景色に重ね合わせる形で、モリゾーとキッコロが登場し、園内を解説するなど、エンターテイメント性にも配慮した工夫がなされており、近い将来の自動運転の社会実装を予感させるものでありました。
  今後、南知多町日間賀島の公道において、バスによる自動運転の実証実験を実施する予定としております。
  こうした取組により、全国に先駆けて、自動運転の更なる高度化や社会実装に挑戦してまいります。


  次に、11月15日から18日にかけて県内4市9会場で開催した「あいち技能五輪・アビリンピック2019」についてであります。
  メイン会場である愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」の6つの展示ホールを始めとした約9万uの施設を余すところなく使用することにより、大会史上初となる技能五輪とアビリンピックの同一会場での開催を実現させることができ、すべての会場を合わせますと約18万人の方にご来場いただきました。
  本県選手団は、技能五輪では、金賞12名、銀賞30名、銅賞13名、敢闘賞38名という優秀な成績を収めることができ、過去の自らの記録に並ぶ、15年連続の最優秀技能選手団賞の受賞という輝かしい結果となりました。
  また、アビリンピックでは、金賞4名、銀賞3名、銅賞8名で、2年連続のメダル獲得数全国1位という素晴らしい成績となりました。
  さらに、今回、新たに設けました女性の活躍が著しい選手団に贈る「女性の活躍賞」では、技能五輪、アビリンピックともに、本県選手団が受賞することができました。
  また、多くの方に競技をご覧いただくことができ、技能の大切さや障害のある方への理解を深める、またとない機会となりました。特に、多くの小・中・高校生が日本一の技に触れられたことに加え、高校生と特別支援学校高等部の生徒が、見学者に競技を解説する競技解説ガイドとして参加いただきましたことは、「産業首都あいち」を支える人材の育成につながるものと確信しております。
  連続開催となる来年度の大会では、選手団の努力や進歩を称え、更なる奮起を促すために、今年の成績を大きく上回る成績を挙げた選手団に対する独自の表彰を行うことといたしました。
日本全体の技能の底上げに貢献するとともに、技能の素晴らしさや障害のある方への理解、認識を一層深めていただけるようしっかりと準備を進めてまいります。


  次に、中国の大学との覚書締結についてであります。
  本県では、私が本年5月に中国へ渡航した際に訪問した清華大学、上海交通大学、浙江大学との連携交流に取り組んでおります。
  こうした中、9月に清華大学との間で、双方の発展に向け、人的交流を始めとした協力の促進を図り、持続的な交流を行うための包括交流に関する覚書を締結したことに続き、11月20日には、上海交通大学の黄副学長にお越しいただき、本県と上海交通大学との包括交流に関する覚書を締結いたしました。
  さらに、現在、浙江大学とも同様に覚書の締結に向けて協議しているところであります。
今後も、スタートアップ支援における連携の強化や学生交流の促進を始めとした各大学との幅広い交流を通じて、実りある成果を生み出していくことにより、日中両国はもとより、アジアや世界の発展に貢献してまいりたいと考えております。


  次に、働き方改革の推進についてであります。
  本県では、“変化を恐れるな Let’s働き方改革!”をスローガンに掲げ、社会全体で働き方改革の取組が進むよう、街頭啓発活動やセミナーを開催するなど、働き方改革の推進に取り組んでおります。
  11月の第3水曜日にあたる11月20日には、県内24市町村、労働者団体、経営者団体等と連携し、「愛知県内一斉ノー残業デー」として、街頭啓発活動を実施しました。私も金山総合駅において、朝の出勤途中の皆様に対し、定時退社の呼びかけを行ったところであります。
  働き方改革は、長時間労働の是正のほか、多様な働き方を選択できる社会の実現などを通じて、働く人々の意欲や能力を引き出すとともに、労働生産性の向上や人材確保につながる取組であります。
  今後も、定時退社や有給休暇の取得促進、育児・介護等との両立支援などを呼びかけ、社会全体での働き方改革が進むようしっかりと取り組んでまいります。


  次に、G20愛知・名古屋外務大臣会合についてであります。
  11月22日、23日の2日間にわたり開催されました会合には、合計29の国や地域の外務大臣等が一堂に会し、自由貿易やSDGsなど、国際社会が直面する様々な課題について議論が交わされたのち、大成功のうちに閉幕しました。議員の皆様を始め、地元経済界、関係機関、そして多くの県民の皆様のご協力に、心から感謝を申し上げます。
  今回の会合は、愛知・名古屋を世界に向けてアピールする絶好の機会であるため、会合会場には、有松・鳴海絞、名古屋友禅、尾張七宝、瀬戸焼、常滑焼などの伝統工芸品の展示、愛知の花を使ったモニュメントやテーブルフラワーなどの花装飾を行いました。さらには、国際メディアセンターには、自動車産業、航空機産業、ロボット産業などの先端技術を展示するとともに、ロボットが点てた抹茶や愛知の地酒などでおもてなしをする魅力発信スペースを設置し、本県が持つ日本一のテクノロジー(技術・産業)やトラディション(伝統・文化)の魅力に触れていただきました。
  また、23日には、会合の公式行事として、県内4校12名の高校生の皆さんから、参加各国の外務大臣への提言を行いました。私も、高校生の皆さんを議場内で紹介しましたが、遠隔教育システムの構築などによる教育格差の解消について、英語で堂々と発表してくれました。
  この貴重な機会に、私自身も、インドネシアのルトノ外務大臣、アルゼンチンのフォリー外務大臣、ベトナムのソン筆頭外務次官、中国の王毅外交部長と面談するとともに、在名古屋トルコ総領事館の開設決定記念式典に出席しました。
  インドネシアのルトノ外務大臣には、中部−ジャカルタの直行便の継続と総領事館の開設を要望したところ、大臣からは「ガルーダの直行便ができたので、ぜひ愛知県民に観光に来てほしい。領事館は、今後も愛知県にインドネシア人が増えるようであれば、ぜひ検討したい。」との発言がありました。
  アルゼンチンのフォリー外務大臣には、本県からの進出企業の紹介と、同国の県人会との交流について説明したところ、大臣からは「愛知県から多くの企業が進出していることに感謝している。」との発言がありました。
  ベトナムのソン筆頭外務次官には、本県が実施している有料道路コンセッション方式のノウハウをベトナムでも活用していただくよう提言したところ、筆頭外務次官からは「来週の国会で議論する予定である。愛知県は重要なパートナーであり、フック首相からも大村知事に感謝の気持ちを伝えてほしいと言われてきた。」との発言がありました。
  中国の王毅外交部長には、本県と江蘇省、広東省との友好提携や中国の大学との覚書の締結等について説明いたしました。外交部長からは「愛知県と中国の交流が更に深まるよう期待している。」との発言がありました。
  また、トルコのチャヴシュオール外務大臣とは、在名古屋トルコ総領事館の開設決定記念式典に先立って面談し、私から、愛知には日本最大のトルコ人コミュニティーがあること、本県の企業がトルコの経済に貢献していることを喜ばしく思っていることを申し上げました。大臣からは「総領事館開設に向けた愛知県の協力に感謝する。」との発言がありました。この総領事館開設を契機に、愛知とトルコの関係が幅広い分野で発展することを期待しております。
  G20愛知・名古屋外務大臣会合という、愛知・名古屋を世界に向けてアピールする絶好の機会を活かし、国際的な交流の拡大につなげることができたと考えております。今後も、大規模な国際会議等の誘致に積極的に取り組んでまいります。


  次に、中部国際空港の機能強化についてであります。
  11月26日に、地元自治体、経済団体で構成する「中部国際空港二本目滑走路建設促進期成同盟会」の会長として、愛知県議会を始めとする東海三県一市の中部国際空港拡充議員連盟の皆様とともに、赤羽国土交通大臣、自民党の二階幹事長、公明党の斉藤幹事長始め関係方面に、中部国際空港の二本目滑走路を始めとする機能強化の早期実現について要請を行い、地域としての決意を広くアピールしたところであります。
  中部国際空港は、本年度上半期の航空旅客数は699万人、発着回数は5万9千回となり、ともに過去最高を更新する勢いで推移しております。
  こうした状況を踏まえながら、引き続き、地元自治体、経済団体と緊密に連携し、二本目滑走路の早期実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。


  次に、新時代に対応した工業高校の魅力向上についてであります。
  グローバル化やデジタル化の進展、女性の活躍促進等、本県のモノづくり産業のニーズの変化を踏まえ、2021年4月から県立工業高校について、大きく変化する工業教育や新しい時代にふさわしい学校名に改称することとし、あわせて、未来を見据えた新しい学科・コースを創設いたします。
  学校名については、Society5.0と呼ばれる超スマート社会の時代に向けた技術革新が急速に進む中で、「工学」と「科学」の知見を生かし、新しい時代のモノづくりの担い手となる技術者を育成する学校にしていくとの思いを込めて、「工科高校」といたします。
  また、学科改編については、理数工学に関する高度な知識・技術を学ぶ「理工科」を愛知総合工科高校に、AI・IoTを活用した自動運転システムなどの技術を学ぶ「IT工学科」を4校に、SDGs未来都市である本県の環境にやさしい工業製品の品質検査や分析などの技術を学ぶ「環境科学科」を4校に新設するとともに、来年度から豊橋工業高校に新設する「ロボット工学科」を7校に拡大するほか、モノづくり女子など、女性の活躍を推進する人材を育成する「生活コース」を8校に新設してまいります。
  工業高校の魅力向上を図ることで、新しい時代を生き抜く力を身に付けた、たくましい若者を育成し、日本一のモノづくり県である本県の更なる発展につなげてまいります。


  次に、愛知県学術顕彰についてであります。
  今年のノーベル化学賞を、名城大学大学院教授の吉野彰氏が受賞されることとなり、本県にゆかりのあるノーベル賞受賞者の決定に、大きな喜びを感じたところであります。
  吉野氏は、1980年代の初頭からリチウムイオン電池の研究を始められ、1985年にはその原型を開発されたことが世界に高く評価され、この度の受賞につながりました。
  現在、吉野氏は名城大学に研究室を持ち、講義の傍ら後進の育成・指導に従事されており、愛知の次世代を担う研究者や若者に大きな勇気と希望を与えるものでありますので、「愛知県学術顕彰」をお贈りし、その栄誉を称えるとともに、県民の皆様とともに、ノーベル賞受賞の喜びを分かち合い、お祝い申し上げたいと思います。


  次に、交通安全対策の推進についてであります。
  本県では、年初から交通事故防止に全力で取り組んできた結果、交通事故死者数は昨年と比べ約2割減少しておりますが、全国的に見ると、依然として厳しい状況が続いております。
  このため、一年のうちで最も交通事故が多発する年末に向け、11月25日に、私から県民の皆様に、「交通安全年末メッセージ」を発信して、交通事故防止を呼びかけたところであります。
  また、現在、実施しております「年末の交通安全県民運動」において、県警察、市町村及び関係機関の皆様とより一層連携し、「飲酒運転の根絶」、「子供と高齢者の安全な通行の確保」などに重点的に取り組むなど、総力を挙げて交通事故抑止に取り組んでまいります。


  それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げたいと思います。
  まず、補正予算案についてであります。
  補正予算の総額は、26億1,556万余円でございまして、会計別では、一般会計で24億6,859万余円、特別会計で6,377万余円、企業会計で8,319万余円を増額補正するものであります。
  主な補正予算の内容について、ご説明申し上げます。
  はじめに、あいちオレンジタウン構想アクションプランの策定についてであります。
  「認知症に理解の深いまちづくり」の先進モデルを目指すための取組を示す「あいちオレンジタウン構想」では、いわゆる団塊の世代の方々が後期高齢者となる2025年を見据えて、2020年までのアクションプランを策定し、各種の取組を展開しておりますが、本年6月に、国が策定した認知症施策推進大綱を踏まえた取組の充実、強化を図るとともに、構想の取組の全県への波及を加速させるため、次期アクションプランの策定に向けた調査及び検討に係る債務負担行為の補正を行うものであります。
  次に、先に申し上げましたCSFへの緊急対策としまして、8月31日に豊田市で確認された16例目に係る防疫対策や農家への経営支援を行うとともに、県内すべての飼養豚に対するワクチンの接種に要する経費を計上いたします。
  なお、ワクチンの接種にあたり、来年1月1日から新たに手数料を徴収するための条例の改正もあわせて行ってまいります。
  また、CSFに感染した野生イノシシが確認された地点から半径10キロ圏内の養豚農場を対象とした、国の早期出荷促進対策に係る農家支援や、野生イノシシの移動防止柵の設置により、感染防止対策に万全を期してまいります。
  このほか、人事委員会勧告を踏まえて実施する職員の給与改定に要する経費についても計上したところでございます。


  次に、補正予算案以外の議案についてであります。
  今回提案をいたしております案件は、条例関係議案が8件、その他の議案が13件でございます。
  主な案件について、ご説明申し上げます。
  まず、条例関係議案のうち、無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定についてであります。
  これは、社会福祉法の一部改正に伴い、いわゆる「貧困ビジネス」といわれる悪質事業者を規制するため、無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準につきまして、条例で必要な事項を定めるものであります。
  次に、職員の給与に関する条例等の一部改正についてであります。
  これは、10月9日に、人事委員会から職員の給与等に関する報告及び勧告を受けまして、一般職員の月例給及び期末・勤勉手当について、民間給与との較差の解消を図ることを基本として勧告どおりの内容で実施するものなどでございます。
  次に、その他の議案のうち、人事案件でございますが、収用委員会の委員の任期満了に伴いまして、その後任者を選任するものでございます。


  以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げましたが、詳細につきましては、議事の進行に伴いましてご説明を申し上げたいと存じます。
  どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますよう、お願いを申し上げます。