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県議会知事提案説明

令和2年2月定例県議会 知事提案説明要旨

今議会に提案をいたしました諸議案のご説明を申し上げるに先立ち、所信の一端を申し述べ、県議会並びに県民の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。
 今年、2020年は、愛知県知事として10年目の節目の年となります。
 2010年代を振り返りますと、日本はリーマンショックにより経済が停滞し、また、東日本大震災を始め多くの災害に見舞われた大変苦難な10年でありました。本県も大きな影響を受けましたが、私は、2011年2月の知事就任以降、この苦境を脱するべく、県議会始め県民の皆様と一体となって、数々の本県独自の経済施策・対策を推し進め、その結果、V字回復を遂げて、製造品出荷額等は41年連続日本一、県内GDPは40兆円と大阪を抜いて全国第2位となり、人口も2025年まで更に増加を続ける見込みとなるなど、大きな成果をあげてまいりました。
 こうした中、昨年は、全国植樹祭やラグビーワールドカップなどのビッグイベントを成功裏に収めたほか、愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」のオープンなどにより、愛知のプレゼンスを一層高めるとともに、ジブリパークの基本方針、新体育館の基本計画の発表など、「進化する愛知」としての大きな一歩を踏み出した年でありました。
 今後も、様々な取組を積極的に進め、愛知の更なる発展に向けて、議会の皆様と県民の皆様のご理解とご支援をいただきながら、県政運営に全力で取り組んでまいります。
 さて、まずは、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、昨年12月以降、中国・武漢市を中心に全世界に拡がり、本県でも先月26日及び28日に、武漢市から来日した2名の中国人男性の感染が確認されました。なお、これらの方々には、速やかに病院に入院していただき、いずれも全快し、陰性が確認され、既に退院しております。患者と濃厚接触した方については、健康観察を管轄保健所で実施しておりましたが、発症はありませんでしたので、この2人からの感染拡大はないと考えております。しかしながら、今月14日と15日に、名古屋市内においてハワイから帰国した日本人夫婦の感染が確認され、さらに16日、17日、18日中には、その友人、知人に感染が確認されました。計5人とも、いずれも速やかに病院に入院していただき、適切に治療を受けていただいておりますが、全体の状況としては、予断を許さない状況にあります。
 引き続き、県民の皆様におかれましては、通常の感染症やインフルエンザ対策と同様に、うがい・手洗いの励行、徹底や咳エチケットなどの感染症対策に努めていただくようお願いいたします。
 本県では、先月30日に、私を本部長とする「愛知県新型コロナウイルス感染症対策本部」を立ち上げ、防疫対策や情報収集など必要な取組を速やかに行うことや、保健所を設置している名古屋市、豊橋市、岡崎市、豊田市にも参加していただき、オール愛知でしっかり連携して対応していくことを確認したところであります。
 今月1日には、法に基づく指定感染症及び検疫感染症に位置づけられ、国の対策とあわせて、県や保健所では患者の入院勧告や就業制限を行うことが可能となりましたので、適切に運用してまいります。さらに、医療機関及び県内宿泊施設に対する情報提供や、県民の皆様に対する電話相談等を着実に実施し、感染症の予防につなげてまいります。また、感染の疑いがある患者を適切な医療につなげるため、今月12日から各保健所に「帰国者・接触者相談センター」を、県内各地域に「帰国者・接触者外来」を設置いたしました。県内で患者が発生した場合には、感染症指定医療機関への患者搬送や濃厚接触者の健康観察を適切に実施いたします。
 また、本日19日未明には、国からの要請に基づき、横浜港に停泊中のクルーズ船において陽性が確認されたものの発症していない方々約170名を、本年4月に開院予定の藤田医科大学岡崎医療センターに一時的に受け入れ、発熱等の症状が現れた場合には、速やかに感染症指定医療機関などに入院していただく対応を行うことといたしました。なお、数名に発熱等の症状がみられておりますので、医療機関に搬送させていただいているところでございます。関係の医療機関等と共に全力で対応してまいります。
 さらに、企業活動や観光面への影響にも適切に対応していく必要があります。
 県民事務所等に設けた相談窓口において、観光関係事業者始め県内の中小・小規模事業者からの相談にもきめ細かく対応しております。金融面でも、県制度融資において、売上高が減少している企業向けの「サポート資金【経営あんしん】」の融資対象者を拡充するとともに、国のセーフティネット保証の拡充にも積極的に対応するなど、中小・小規模事業者の資金繰り支援に万全を期してまいります。さらに、外国人旅行者に対しては、「愛知県多言語コールセンター」などを通じて、医療機関の情報を提供するとともに、観光関係事業者への影響にも十分注視してまいります。
 いずれにしても、事態は時々刻々と変化しております。状況把握に万全を期し、今後とも県民・国民の皆様の命と健康を守ることを第一に、国や医療機関など関係機関と連携を密にし、オールジャパンで今回の新型コロナウイルスの感染拡大防止に全力を尽くしてまいります。

 
 それでは、最初に、愛知県政を取り巻く最近の状況について申し上げます。

 まず、国政の状況等についてであります。
 国においては、持続的な経済成長の実現に向けて、総合経済対策を実施するとともに、引き続き、生産性の向上や一億総活躍社会の実現に向けた人づくり革命・働き方改革、グローバル経済社会との連携などの重要課題に取り組む、としております。
 本県は、こうした国の動きに先駆けて、世界の様々な国・地域等と連携し、最先端の技術・サービスを取り込みながら、基幹産業である自動車産業はもちろん、航空宇宙、ロボットなどの次世代産業の集積を加速するとともに、革新的ビジネスモデルや最先端技術を持つスタートアップを起爆剤とし、切れ目のないイノベーションを創出していくことで、「国際イノベーション都市」への飛躍を目指してまいりました。
 今後も、愛知の経済・産業力を更に強くしていく中で、若者や女性の雇用を増やし、人づくりを進め、そのことで更に地域を元気にするという好循環を加速してまいります。

 次に、フランス訪問についてであります。
 1月20日の深夜に出国し、23日に帰国という、1泊4日の渡航でありましたが、スタートアップに関する海外連携の強化に向けて、フランス政府関係省庁、パリ市及び世界最大級のスタートアップ支援拠点である「ステーションF」の関係者等と面談を行ってまいりました。
 政府系投資銀行である「Bpiフランス」とは、スタートアップ支援に関する覚書を早期に締結し、具体的な連携事業を実施していくことで合意しました。続いて訪問したパリ市経済開発公社「Pari&Co」とは、昨年8月に締結した覚書に基づき具体的な事業を来年度以降実施していくことを確認しました。次に、パリ市のジャンルイ・ミシカ経済開発・イノベーション兼都市計画担当副市長との面談では、パリ市が実施する経済施策、スマートシティ、スタートアップ・エコシステムの形成等について意見交換を行い、パリ市政府と本県との連携協力に合意しました。また、「ステーションF」とは、本県が整備を進める「ステーションAi」と「ステーションF」の両拠点におけるスタートアップの相互交流等を軸に、具体的な連携内容を協議していくことで合意いたしました。
 今回の訪問では、「Bpiフランス」と「ステーションF」の2機関とスタートアップ支援の合意が得られるとともに、各機関との面談を通じて、「ステーションAi」の整備に向けた様々な示唆を得ることができました。欧州のスタートアップ中心地であるフランス・パリ市において様々な政府機関、支援機関及び企業等とネットワークを築くことができ、大変有意義な渡航となったと考えております。この成果を将来にわたる愛知の発展につなげてまいります。
 こうした中、今月14日に、「ステーションAi」の整備・運営事業者の募集を開始いたしました。
 「ステーションAi」は、この地域の優秀なスタートアップを創出育成するとともに、世界から優秀なスタートアップを呼び込み、スタートアップとこの地域のモノづくり企業との交流を図ることで、新たな付加価値が次々と創出される総合的な拠点となることを目指しております。
 施設規模については、名古屋市の協力をいただいて、世界最大級のスタートアップ支援施設である「ステーションF」の延べ床面積約3万4千uに匹敵する約3万uを想定しております。
 運営権については、供用開始する2022年11月から2043年3月までの20年5か月間で設定し、この間の事業収入から事業支出を控除した収支差額を現在価値に換算した約50億円を運営権対価の最低提案価格とし、民間事業者からの提案を受け付けてまいります。
 引き続きスピード感を持って、「ステーションAi」の整備に取り組んでまいります。

 次に、ジブリパーク整備の概要についてであります。
 今月4日に、ジブリパーク整備の概要として、概算事業費、想定来場者数、経済波及効果等について発表いたしました。
 概算事業費については、先行して開業する「青春の丘エリア」、「ジブリの大倉庫エリア」、「どんどこ森エリア」の3エリアは実施設計に基づき、残りの「もののけの里エリア」、「魔女の谷エリア」の2エリアについては、昨年度実施した基本設計をもとに、3エリアの積算単価を参考に見込んだものであります。
 この結果、5エリア全体の工事費が約310億円、設計、工事監理、企画・デザイン監修費が約30億円で、総額約340億円となります。
 想定来場者数については、2022年秋の3エリア開業時で公園全体が約200万人、うちジブリパークが約100万人、5エリア開業時には公園全体で約280万人、うちジブリパークへは約180万人が来場すると見込んでおります。
 経済波及効果については、整備による建設投資効果として約840億円、来場者の飲食・物販、宿泊費や交通費など公園内外での消費により、3エリア開業時に年間約350億円、5エリア開業時には年間約480億円もの経済波及効果を見込んでおります。
 ジブリ作品は、日本を代表する日本オリジナルのコンテンツであり、その作品を体現するジブリパークは、愛知だけのプロジェクトではなく、まさに日本のプロジェクトであります。愛知万博の理念をより良い形で未来に継承し、愛・地球博記念公園の魅力と価値を一層高めるため、2022年秋のジブリパーク開業に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

 次に、交通安全対策についてであります。
 昨年の交通事故死者数は156人で、前年より33人減少し、2003年から16年続いた全国ワースト1位を返上することができました。ご尽力いただきました県民始め関係の皆様には感謝申し上げますが、引き続き、交通事故死者数の更なる減少を目指し、県、県警察、市町村、関係機関の連携による啓発の実施や、県警察による取締りの強化に加え、自動車安全技術の普及などを通じて、交通事故の抑止に全力で取り組んでまいります。

 それでは、2020年度当初予算編成につきまして、ご説明いたします。

 2022年秋のジブリパークのオープン、2026年のアジア競技大会の開催、2027年度のリニア中央新幹線の開業と、2020年代には、愛知から国内外・世界に向けて発信するプロジェクトが続いてまいります。本県にとって、これまで蓄えてきた力を発揮する大きなチャンスであるとともに、こうしたビッグプロジェクトを着実に進め、成功させることで、愛知の更なる飛躍につなげていく、『愛知新起動』の年としてまいりたいとの思いをもって、2020年度当初予算を編成したところであります。
 現在の我が国の景気は、輸出が引き続き弱含む中で、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復しております。先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善が続く中で、緩やかな回復が続くことが期待されますが、海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に加え、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要があります。特に、新型コロナウイルス感染症の影響については、その動向を十分に注視してまいります。
 世界は今、グローバル化やデジタル技術の加速度的な進展などにより、ダイナミックに変化しております。本県が、今後も我が国の発展をリードし続けていくためには、大きな変化を恐れず、時代の波を乗り越え、乗りこなし、新たな付加価値を生み出していかなければなりません。
 持続的な経済成長の実現に向けて、国が補正予算を編成し、総合的な経済対策を実施する一方で、今月3日には、「スタートアップを起爆剤とした国際イノベーション都市への飛躍」、「ジブリパークの整備等の大規模プロジェクトによる誘客の促進」、「産業首都あいちを支えるインフラの整備」、「安全・安心を確保するための投資」の4つを柱とした、本県独自の総合経済対策である「Aichi[愛知]・総合経済対策」を発表したところであります。
 2020年度当初予算につきましては、この総合経済対策に掲げたスタートアップ・エコシステムの形成やジブリパークの整備を始めとした日本経済を牽引する施策を盛り込み、今年度2月補正予算と合わせた切れ目のない15か月予算として編成するとともに、選挙で県民の皆様にお示しした政策集「あいち重点政策ファイル330プラス1」と、「あいちビジョン2020」を踏まえて、13の柱をつくらせていただきました。
 それでは、この柱立てに沿いまして、主要な事業を説明させていただきます。

 まず、「ジブリパークを2022年に実現」であります。
 ジブリパークの整備につきましては、昨年5月に基本方針をとりまとめるとともに、愛知県、スタジオジブリ、中日新聞社の3者で、ジブリパークの整備及び管理運営について連携・協力することで基本合意書を締結いたしました。
 その後、本県の事業では初めて、実施設計の段階から建設会社が技術協力で参画するECI方式を活用し、「青春の丘エリア」、「ジブリの大倉庫エリア」、「どんどこ森エリア」の実施設計を進めてまいりました。また、昨年12月には、ジブリパークを核とした周辺地域の更なる発展・活性化を図っていくため、周辺自治体及び鉄道事業者と「ジブリパーク構想地域連携協議会」を設立いたしました。
 こうした中、先に申し上げましたとおり、ジブリパーク整備の概要として、概算事業費、想定来場者数、経済波及効果等について発表したところであります。
 2020年度は、5エリアのうち「青春の丘エリア」、「ジブリの大倉庫エリア」、「どんどこ森エリア」の3エリアにつきまして、2019年度中にとりまとめる実施設計に基づき、整備工事に着手するとともに、展示・演示計画を検討してまいります。あわせて、残りの「もののけの里エリア」、「魔女の谷エリア」の2エリアの実施設計を行ってまいります。
 また、ジブリパークの5エリアの整備と連携し、公園施設の整備・改修に向けた設計等を進めるとともに、ジブリパーク開業後の愛・地球博記念公園への来園者数増を踏まえ、公共交通の利用促進とあわせて、新たな駐車場の整備に着手してまいります。
 さらに、公園周辺の道路につきましては、繁忙期における自動車交通の集中などにより渋滞が発生していることを踏まえ、交差点の右左折対策など交通渋滞緩和に向けた工事に着手してまいります。

 次に、「ステーションAiプロジェクトの推進」であります。
 グローバル化やデジタル技術の加速度的な進展により、この地域の産業構造が大きく変革していくことが想定される中、引き続き本県が競争力を維持・強化していくためには、革新的ビジネスモデルや最先端技術を持つスタートアップを起爆剤としたイノベーションの創出が必要であります。本県の強みであるモノづくりの伝統や優れた技術・技能との融合による新たなイノベーションを誘発し、本県産業の成長を拡大させるエコシステムを形成するため、スタートアップ中核支援拠点「ステーションAi」を始めとした「Aichi−Startup戦略」に基づく取組を強力に推進してまいります。
 名古屋市鶴舞に整備する「ステーションAi」につきましては、先に申し上げましたとおり、2022年11月の供用開始に向けて、PFI事業者の選定を進め、整備に着手いたします。
 また、ステーションAiを整備する間においても切れ目のない支援を行うため、本年1月にWeWorkグローバルゲート名古屋に開設した早期支援拠点において、新たに統括マネージャーを配置し、ビジネス支援を強化してまいります。あわせて、県内の各地域において、様々なテーマや分野に特化したサテライト支援拠点の検討を引き続き行ってまいります。
 さらに、海外の先進的なスタートアップ支援機関・大学のノウハウを取り入れるため、テキサス大学オースティン校、シンガポール国立大学、IMT Atlantique、Paris&Co、INSEAD、清華大学等との連携を進め、グローバルに活躍するスタートアップを育成するとともに、優れた海外のスタートアップの本県への誘致を図ってまいります。
 また、名古屋市等と「あいち・なごやスタートアップ企業等海外連携促進コンソーシアム(仮称)」を設置し、スタートアップ企業の海外展開支援や、海外スタートアップ企業と県内モノづくり企業とのマッチングを推進してまいります。

 次に、「『リニア大交流圏』の形成」であります。
 2027年度にリニア中央新幹線の東京・名古屋間が開業し、その後、大阪まで全線開業することを見据え、首都圏、中京圏、関西圏の三大都市圏が一体化した人口7千万人の世界最大の経済規模を持つスーパー・メガリージョン「リニア大交流圏」の形成を進めてまいります。
 リニア大交流圏の基盤となる道路網につきましては、2020年度に全線開通予定の名古屋環状2号線や、三遠南信自動車道、名豊道路、西知多道路などの広域幹線道路を始めとした道路ネットワークの整備を推進してまいります。また、地域の皆様の生活に密着する道路や山間道路などの整備についても、しっかりと取り組んでまいります。
 さらに、名古屋港、衣浦港、三河港と自動車産業や航空機産業を始めとしたモノづくり産業とのサプライチェーンを強固にするため、「愛知県港湾物流ビジョン」に基づき、ふ頭用地の整備などにより港湾物流機能の強化に取り組んでまいります。
 リニア開業後にリニア大交流圏の玄関口となる名古屋駅につきましては、名古屋市と連携しながら、わかりやすい乗換空間の形成等によるスーパーターミナル化を推進してまいります。あわせて、リニア開業による時間短縮効果をより広域に波及させ、最大限活用するため、名古屋駅からの40分交通圏拡大に向けた検討や、中部国際空港、東海道新幹線駅へのアクセス向上に向けた取組を進めてまいります。
 また、リニモを積極的に活用した地域づくりを推進するとともに、ジブリパークの整備やアジア競技大会の開催などによる国内外からの来訪者の増加など新しい人の流れにも対応するため、沿線市と共同し、次期「リニモ沿線地域づくり重点プラン」を策定してまいります。
 さらに、鉄道利用者の利便性や安全性向上のため、1日7万人以上が利用する重要な交通結節点である刈谷駅において、鉄道事業者が実施するホームの拡幅やコンコース拡張、ホームドア設置などを支援してまいります。
 また、中部国際空港の二本目滑走路の早期実現に向け、エアポートセールスやアウトバウンドの促進に取り組み、航空ネットワークの拡充と航空需要の一層の拡大を図ってまいります。
 次に、20代前半の女性を始めとした若年層を中心に東京圏に対して転出超過となっている状況に歯止めをかけるため、東京圏在住の若年女性を対象としたPRイベントの開催や、若年層・ファミリー層がよく閲覧する民間情報サイトへの広告記事の掲載などにより、本県の強みである「愛知の住みやすさ」を広くPRし、「働くなら愛知、住むなら愛知」という流れを促進してまいります。
 また、首都圏や関西圏等から本県に人を呼び込み、産業人材を確保するため、東京と名古屋に設置したUIJターン支援センターにおいて、就職イベントや個別相談を実施するほか、就職支援協定を締結している大学等と連携・協力し、学生のUIJターン就職活動を支援してまいります。

 次に、「産業首都あいち」であります。
 国際イノベーション都市あいちへの飛躍とともに、製造品出荷額等が41年連続して日本一という、圧倒的な産業集積を誇る愛知の産業力を一層強化し、「産業首都あいち」を目指してまいります。
 先に申し上げましたとおり、「ステーションAi」の整備を始めとした「Aichi−Startup戦略」に基づく取組を強力に推進することに加え、今後、成長が期待される次世代自動車や航空宇宙・ロボット、次世代産業の立地促進などに取り組んでまいります。
 愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」につきましては、運営権対価を原資とする展示会産業振興基金を活用し、官民連携による催事の開催を支援してまいります。
 また、中部国際空港やその周辺エリアにおいて、「MICEを核とした国際観光都市」の実現を目指し、魅力ある機能整備の具体化に向けた検討を進めてまいります。
 燃料電池自動車(FCV)の更なる普及に向け、本県独自の補助制度により、水素ステーションの整備や燃料電池フォークリフトの導入を引き続き支援するとともに、燃料電池フォークリフトの普及モデルを構築するため、新たに簡易水素充てん装置を活用した実証実験を行ってまいります。
 また、次世代自動車のキーテクノロジーである自動運転につきましては、公園などの集客施設や住宅団地・郊外、空港島など実現可能性が高い具体的なモデル地域において、実際のビジネスモデルを想定した実証実験や、県民試乗によるモニター調査を引き続き実施してまいります。
 自動車産業の研究開発施設用地である豊田・岡崎地区につきましては、10本のテストコース等が整備される東工区の約8割を本年3月にトヨタ自動車へ引き渡す予定としております。残りの東工区や研究開発施設等が整備される西工区につきましては、2020年度中の引渡しに向け、引き続き造成工事を実施してまいります。
 また、安城榎前地区、豊橋三弥地区、刈谷依佐美地区、西尾次世代産業地区において引き続き工業団地の造成を進めるとともに、新たに岩倉川井野寄地区の造成に着手するなど、県内産業の基盤整備を図り、企業立地を推進してまいります。
 次に、航空宇宙産業の国際競争力強化と販路拡大を図るため、本県が主導して立ち上げた「あいち・なごやエアロスペースコンソーシアム」を中核に、本年5月のベルリン国際航空宇宙ショーや12月のエアロマート・ツールーズへの県内企業の出展等を支援するとともに、国際ビジネスや研究開発で活躍する高度人材や航空機製造技能者の育成、工業高校の生徒等を対象としたインターンシップを実施してまいります。
 ロボット産業分野につきましては、本年10月に「Aichi Sky Expo」で開催される世界的なロボットの祭典「ワールドロボットサミット2020」と、同時開催する「ロボカップアジアパシフィック2020あいち」の成功に向け、着実に開催準備を進めてまいります。
 また、両大会の開催を見据え、本県のロボット産業の技術力を世界に発信するため、引き続きサービスロボットの社会実装に向けた研究開発や実証実験を支援するとともに、空港島などにおいて、ロボットを「ショーケース」として一般の方が体験できる機会を設け、披露してまいります。
 さらに、大学等の研究シーズを活用した新技術の開発・実用化、新たなサービスの提供や次世代産業の創出を図るため、引き続き「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」を推進してまいります。
 産業空洞化対策減税基金による補助制度につきましては、この8年間で企業立地・再投資の分野で338件の補助対象案件を採択し、総投資額5,618億円、約5万3千人の雇用維持・創出効果という大きな成果があがっております。また、研究開発・実証実験の分野では、8年間で616件の補助対象案件を採択し、高付加価値のモノづくりの拡大が図られております。2020年度は、基金に45億円を積み立てるとともに、産業立地補助金の対象要件を拡大するなど、日本一の補助制度の更なる充実を図り、本県産業の振興と雇用の維持・創出に取り組んでまいります。
 愛知の産業力を支える中小企業への制度融資につきましては、一時的に資金繰りが逼迫した場合の資金調達を支援するための新たな短期つなぎ資金を創設するほか、事業承継のための資金の金利を引き下げるなど、中小企業の資金繰りをきめ細かく支援してまいります。
 商店街の振興につきましては、「あいち商店街活性化プラン2016−2020」に基づき、引き続き活性化に向けた取組を支援するほか、次期「あいち商店街活性化プラン」を策定してまいります。

 次に、中部最大・全国三番手の大農業県・愛知の力をさらにパワーアップさせるための「農林水産業の振興」であります。
 食と緑が支える県民の豊かな暮らしづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、次期「食と緑の基本計画」の策定に向けて、関係団体等との検討や調査に着手してまいります。
 また、農林漁業者の減少やTPPなどによるグローバル化に対応するとともに、本県農業の更なる生産力向上により、競争力を強化するため、本県独自の「あいち型産地パワーアップ事業費補助金」により、農業施設の整備を引き続き支援してまいります。
 さらに、水田農業の経営合理化や生産性向上を図るため、ドローンやICT等の次世代技術を活用した本県独自の栽培管理技術を開発するとともに、あいち米のブランド化を推進してまいります。
 加えて、本県の優れた農林水産物の輸出を促進するため、国内で開催されるアジア最大級の食品展示会へ出展するほか、海外の展示会へ出展する事業者を支援してまいります。
 本県は、57年連続花き産出額全国1位を誇る花の王国であります。本県産花きの需要拡大と生産振興を図るため、「あいち花マルシェ2020(仮称)」を開催し、愛知県の花きの魅力を全国に発信してまいります。
 また、障害者の就労分野の拡大のため、農業及び福祉分野が連携した農福連携相談窓口を設置するほか、新たに福祉施設職員を対象とした農業体験研修等を実施し、農業への障害者の就労を促進してまいります。
 CSF(豚熱)対策につきましては、飼養豚へのワクチン接種のほか、養豚農場における防鳥ネット等の設置を支援するとともに、野生イノシシの捕獲や経口ワクチンの散布を実施し、日本の養豚、愛知の養豚を守ってまいります。
 また、県内養豚農場に供給する種豚を維持・増殖している畜産総合センターの豚舎につきましては、防疫性が高い密閉型の新豚舎の建設に向け、デザインビルド方式による建築工事に着手してまいります。
 さらに、本県が誇るブランド地鶏名古屋コーチンの生産体制や防疫体制の強化を図るため、小牧市内への種鶏場の移転整備を進めてまいります。
 「第70回全国植樹祭」の開催理念を継承するため、本年5月に愛知県森林公園で1周年記念イベントを開催し、木材利用(木づかい)を広くPRするとともに、植樹祭の会場となった森林公園及び緑化センターにおいて、魅力あるサービスを提供するため、民間活力の導入を進めてまいります。
 また、ICTを活用したスマート林業を引き続き推進するほか、新たに、次世代種苗であるエリートツリーや成長の早い樹木の普及に取り組み、林業の振興を図ってまいります。
 さらに、あいち森と緑づくり税を活用した、森林、里山林及び都市の緑の整備・保全に引き続き取り組むとともに、森林環境譲与税を活用した、林業従事者の養成、木材の利用促進、森林情報の整備に取り組み、市町村が行う森林整備等を支援してまいります。
 水産業につきましては、日本一のあさり漁業の振興のための干潟・浅場の造成や、魚礁漁場の整備を引き続き推進してまいります。
 また、あさり資源の回復に向けて、波浪に弱い稚貝の定着を図る貝類増殖場を整備するほか、カキ養殖などの新たな技術の導入を目指した実証試験を実施してまいります。

 次に、「人が輝くあいち」であります。
 元気な愛知の礎は、「人づくり」です。すべての人が輝き、活躍する愛知をつくってまいります。そのため、子どもたちの学力を伸ばす教育の充実、女性の活躍促進、子ども・子育て支援、県民の皆様の健康を支える医療・健康長寿、障害者福祉・支援、産業人材・雇用、就職氷河期世代対策といった施策を進めてまいります。

 まず、教育の充実、「教育立県あいち、人材創造あいち」であります。
 県立高校につきましては、時代の変化や生徒の多様なニーズを踏まえた県立高校づくりを進めるため、今月5日に策定した第2期「県立高等学校教育推進実施計画」に基づき、2021年4月からの県立工業高校の「工科高校」への校名変更や学科改編及び2023年4月の城北つばさ高校の総合学科への改編に向けた準備を着実に進めるなど、魅力ある学校づくりに取り組んでまいります。
 また、子どもたちの学習意欲を引き出し、基礎学力の向上を図るため、小学1年生及び2年生並びに中学1年生の35人学級を引き続き実施するとともに、発達障害児への学習支援など、きめ細やかな配慮のできる教育環境づくりを進めてまいります。
 いじめ・不登校対策としましては、中1の壁に対応するためスクールカウンセラーによる小中連携の相談体制を充実するとともに、県立高校へのスクールソーシャルワーカーの配置を拡充し、教育相談体制の充実を図ってまいります。
 中学校及び県立高校への部活動指導員や、小中学校へのスクール・サポート・スタッフの配置の拡充により、学校における働き方改革の推進と教育環境の充実を図ってまいります。
 また、小中学校における様々な問題に対し、深刻化する前に早期解決を図り、教員の負担を軽減するため、新たに、法的知見から助言するスクールロイヤーを配置してまいります。
 校舎等の県立学校施設につきましては、「県立学校施設長寿命化計画」に基づき、改修工事を計画的に実施してまいります。特に、校舎のトイレにつきましては、2023年度までに、すべての普通教室棟、管理棟及び一部の特別教室棟にある湿式トイレについて、洋式化や床の乾式化を実施し、学校の教育環境を改善してまいります。
 愛知・名古屋ゆかりのノーベル賞受賞者の方々の業績を、地域を挙げて称え、次世代の科学技術を担う小中学生にもわかりやすく紹介するノーベル賞受賞者顕彰施設につきましては、2021年3月のオープンに向けて、名古屋市と共同で名古屋市科学館サイエンスホールの改修、展示コンテンツの整備を実施してまいります。
 本県の学校教育において重要な役割を果たしている私立学校につきましては、その振興と父母負担の軽減を図るため、私立学校経常経費への助成を着実に実施するとともに、国の就学支援金の制度改正を踏まえ、全国屈指の補助として、高等学校及び専修学校高等課程の授業料及び入学納付金への補助を拡充することとし、年収720万円未満の世帯まで実質無償化いたします。あわせて、専修学校高等課程と通信制高校を併修している生徒に対して、新たに授業料及び入学納付金の補助単価を上乗せいたします。
 幼稚園につきましては、待機児童解消のため、預かり保育への補助を充実するほか、幼児教育の無償化を着実に実施するとともに、専修学校専門課程につきましては、本年4月から実施される高等教育無償化を踏まえ、補助制度を新設いたします。
 また、若者の社会的自立に向けた切れ目のない支援を行うため、学習が遅れがちな中学生等を対象に、教員OBや大学生などの地域住民の協力により学習支援を行う「地域未来塾」の活動を支援するほか、高校中退者や外国人を対象とした学習支援の実施地域を拡充してまいります。

 次に、「女性の活躍促進」であります。
 本県の総合力を更に高めていくためには、働く場における女性の定着と活躍の拡大が不可欠です。
 「あいち女性の活躍促進プロジェクト」の更なる充実に向けて、新たに、企業等の女性管理職比率の向上を図るため、女性管理職の魅力を発信する冊子を作成しPRするとともに、女性管理職を囲んだ座談会を開催するほか、中小企業等への専門家派遣による先進モデルの形成などに取り組んでまいります。
 また、2022年4月から、企業等における女性の活躍促進に向けた取組などを定める「一般事業主行動計画」の策定義務対象が拡大されることから、新たに、説明会の開催や専門家の派遣などにより計画の策定を支援してまいります。
 さらに、女性の県外流出の防止や県内への流入促進を図るため、企業における女性活躍の好事例、活躍する女性のロールモデルを県内外の若年女性に向けて発信するとともに、女性起業家の事業拡大に対する支援を実施してまいります。
 女性の再就職の支援につきましては、「あいち子育て女性再就職サポートセンター」において、窓口相談及び出張相談を実施するとともに、就職支援セミナーを開催するなど、女性の就業を支援してまいります。
 ワーク・ライフ・バランスの推進につきましては、イクメン・イクボスの普及拡大を図るとともに、仕事と介護の両立支援による介護離職の防止や企業のテレワークの導入を支援してまいります。

 次に、「子ども・子育て支援」であります。
 本県が活力を維持しながら持続的に発展していくため、また、女性の活躍を促進するためにも、次代の担い手である子どもを安心して生み育てることができる環境づくりが求められています。
 「子どもが輝く未来へのロードマップ」に基づき、「教育の機会の均等」、「健やかな成育環境」、「支援体制の充実」の3つの視点から、生活困窮世帯やひとり親家庭の子どもの学習支援、子ども食堂の開設支援、相談支援体制の充実など、子どもが輝く未来に向けた取組を実施してまいります。
 県民の皆様からいただいた多くのご寄附により創設した「子どもが輝く未来基金」を活用し、「児童養護施設入所児童等の自立支援」や「子ども食堂の開設支援」、「子どもの学習支援」に取り組んでまいります。
 また、子育ての孤立感や不安の軽減を図るため、多胎児家庭や子育てに不安を抱えた家庭を地域の子育て経験者等が訪問する、子育て家庭に寄り添うモデル事業を新たに実施してまいります。
 さらに、子ども・子育て支援新制度に基づき、認定こども園・幼稚園・保育所、市町村が認可する地域型保育事業への給付を行うとともに、幼児教育・保育の無償化にも対応してまいります。
 あわせて、「小1の壁」を打破するため、放課後児童クラブの設置を促進するなど、子育て支援事業を着実に推進してまいります。
 保育人材の確保対策につきましては、潜在保育士の就職を支援するとともに、保育士の負担軽減を図る保育補助者等を雇用する経費に対して助成してまいります。
 また、増え続ける児童虐待に対応するため、国の「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」を踏まえ、児童福祉司や児童心理司等の増員、弁護士との連携による相談体制の拡充など、児童相談センターの機能強化を図ってまいります。

 次に、「医療・健康長寿」であります。
 すべての人が活躍する「人が輝く愛知」の実現のため、医療・福祉を充実し、日本一の健康長寿を実現してまいります。
 がん対策につきましては、がんセンターにおいて、難治がんや罹患者数の多いがんを主な対象として、ゲノム解析を基盤とした4つの重点プロジェクトを引き続き実施し、「がんにならない、がんになっても安心な愛知県」を目指してまいります。
 また、外国人患者への先進的な医療の提供や最先端の医療機器を使った検診の実施など、愛知の優れた医療技術の活用による医療の国際化を進めるため、中国において開催される国際医療展覧会へ県内医療機関と合同で出展するなど、医療ツーリズムを推進してまいります。
 本格的な超高齢社会の到来により、今後、認知症高齢者の大幅な増加が見込まれており、認知症施策の推進は喫緊の課題です。「愛知県認知症施策推進条例」及び認知症に理解の深いまちづくりの先進モデルとなる「あいちオレンジタウン構想」に基づき、認知症予防プログラムの開発及び認知症の人によるピア活動を推進するほか、認知症の人と接する機会が多い職場向けの対応プログラムの全県展開を図ってまいります。
 また、認知症の人とその家族に対する早期診断や早期対応を行う認知症疾患医療センターを新たに2か所設置するとともに、国立長寿医療研究センターの機能を強化し研究を推進するための新棟整備を支援するなど、認知症の人及びその家族が安心して暮らすことのできる地域社会の実現に取り組んでまいります。
 さらに、オレンジタウン構想の具体的な取組を示すアクションプランにつきましては、更なる認知症施策の取組の充実・強化を図るため、2021年から2023年までの3年間を計画期間とする次期「アクションプラン」を策定してまいります。
 団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、医療・介護サービスの提供体制の改革を推進するため、「地域医療介護総合確保基金」を活用して、病床機能の分化・連携や在宅医療の充実、医療・介護従事者の確保、介護施設等の整備を引き続き推進してまいります。
 また、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、医療・介護・予防・生活支援・住まいを一体的に提供する地域包括ケアを推進するため、高齢者が参加しやすいように配慮した通いの場を設置するモデル事業や市町村に対する相談支援等を引き続き実施してまいります。
 さらに、高齢者の社会参加を促し、高齢者がいきいきと輝く社会の実現に向けて、高齢者の就労から生きがいづくりの一体的な支援や多世代交流を通じた高齢者の活躍、地域の実情に応じた移動手段の確保などのモデル事業や情報発信を実施してまいります。

 次に、「障害者福祉・支援、ノーマライゼーション推進」であります。
 特別支援教育につきましては、過大化による教室不足や長時間通学の解消のため、西三河南部地区(西尾市内)に整備する本県初の知的障害と肢体不自由の児童生徒に対応する特別支援学校について、2022年度の開校を目指し、校舎建設工事に着手してまいります。
 みあい特別支援学校につきましては、過大化による教室不足を解消するため、校舎を増築し、本年4月から供用開始いたします。
 また、知多地区における聾学校への長時間通学の解消を図るため、県立東浦高校の敷地内に幼稚部及び小学部に対応した聾学校の分校を設置することとし、2023年度の開校に向けて、校舎の基本設計及び実施設計に着手いたします。
 学習環境の改善と立地上の課題解消を図るため、県立農業大学校の校地へ移転する岡崎特別支援学校につきましては、2024年度の開校を目指し、基本設計を行ってまいります。
 また、名古屋市が整備する市立守山養護学校の校舎増築工事に対して支援してまいります。
 さらに、特別支援学校の教育環境の改善を図るため、引き続きトイレの洋式化を進めるとともに、本年夏からすべての普通教室・特別教室において冷房が使用できるよう空調設備の整備を進めてまいります。
 次に、障害者が社会の構成員として地域の中で安心して生活できるよう、手話通訳者や要約筆記者などの意思疎通支援者の養成や派遣を行うとともに、新たにスマートフォンなどで利用できるイラストや絵文字を用いたコミュニケーション支援アプリの開発を行ってまいります。
 また、障害者の就業・雇用を促進するため、愛知労働局等と連携した一体的な支援が行えるよう、ウインクあいちに設置した「あいち障害者雇用総合サポートデスク」の相談窓口を拡充するとともに、新たに職場実習受入企業説明会を開催するなど、障害者の雇用拡大・職場定着支援を強化してまいります。
 さらに、障害者の社会参加と障害への理解促進を図るため、「あいちアール・ブリュット障害者アーツ展」を開催するほか、障害者の芸術文化活動を支援する人材の育成を引き続き進めてまいります。
 加えて、障害者スポーツを推進するため、障害者スポーツの実態と課題を検討する会議を開催するとともに、県内スポーツ施設における障害者スポーツへの対応状況などの調査を行ってまいります。

 次に、「産業人材・雇用」であります。
 包括交流に関する覚書を締結している中国・清華大学、上海交通大学及び覚書締結に向けた調整を進めている浙江大学の中国3大学を始めとした国内外の大学との学生交流やスタートアップ支援など幅広い分野における連携を強化し、本県の人材育成や海外高度人材の誘致、地域の活性化等を推進してまいります。
 また、本年6月に本県で開催される「アジア大学サミット2020」の機会を捉えて、国内外の大学関係者に本県のPRを行い、海外大学との連携を進めてまいります。
 本県の産業競争力を一層強化し、モノづくりあいちの次代を担う産業人材の育成・確保のため、2019年度に引き続き、本年11月に「Aichi Sky Expo」をメイン会場に、「技能五輪全国大会」、「全国アビリンピック」を開催いたします。大会を通じて技能の尊さと障害者への理解を一層深める機会を提供できるよう、しっかりと準備を進めてまいります。
 あわせて、2025年「技能五輪国際大会」の招致活動に取り組むとともに、大会招致機運の醸成を図ってまいります。
 公共職業訓練を担う高等技術専門校の再編・整備につきましては、岡崎校の新校舎建設工事に着手するほか、一層の職業能力の向上を志す職業に就いている方を対象に、新しい知識や技術を身につける短期間の職業訓練を拡充いたします。
 雇用対策につきましては、企業における「働き方改革」の取組を支援するため、働き方改革推進キャラバンとして、県内の経済団体、労働団体等と一体となり、街頭啓発活動や企業向けセミナー等を実施してまいります。

 次に、「就職氷河期世代対策」であります。
 バブル経済崩壊後の景気低迷期である1993年から2004年頃に学卒期を迎えた、いわゆる就職氷河期世代は、企業が新規学卒者の採用を大幅に手控えた影響を受け、非正規雇用や派遣などの不安定な雇用形態にある方、長期間無就業状態にある方、社会参加に向けて支援を必要とする方が多数おられるため、昨年10月に、国、経済団体、労働団体、業界団体等と設置した「あいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム」による官民一体となった取組を推進してまいります。
 就職氷河期世代の就職・正社員化の実現を支援するため、新たに就職氷河期世代を対象とした、社会人基礎力の向上を図るための就職支援講座や職場実習を行うほか、実践的な職業訓練等を実施してまいります。
 また、新規学卒者等の若者が、継続的に働き続けられる環境を整備するため、企業における職場定着の取組を支援してまいります。
 次に、ひきこもり状態にある方の多様な社会参加の実現に向け、あいちひきこもり地域支援センターに、新たに市町村支援員等を配置するとともに、研修会を開催することなどにより、市町村が実施するひきこもり対策を支援してまいります。
 また、経済的自立を支援するため、新たに、就労に向けた基礎能力の形成や家計管理能力の改善に向けた相談支援を実施するとともに、ひきこもり状態など、自ら相談することが困難な方を支援の窓口につなげるため、支援対象者の掘り起こしや働き掛けを行うアウトリーチ支援員を新たに配置してまいります。
 さらに、生涯にわたる学び直し(リカレント教育)を通じて、就職氷河期世代の就職や社会活動につなげていくため、「リカレントフォーラム」を開催してまいります。

 次に、「観光あいち・魅力発信」であります。
 全国から愛知県へ観光客を呼び込むため、愛知デスティネーションキャンペーンで築いた観光関係者や交通事業者等とのネットワークを継承・発展させた「愛知観光プラットフォーム」を構築し、観光資源の磨き上げ、周遊ツアーの造成、全国に向けたプロモーションなどに連携して取り組んでまいります。
 また、歴史的価値の高い愛知の城郭・城跡等を観光資源として活用するため、市町や団体と設立した「愛知のお城観光推進協議会」において、城郭イベントの開催や首都圏におけるPR活動などを実施してまいります。
 さらに、「愛知県街道観光推進協議会」におきまして、広域観光ガイドブックの作成や街道をテーマとしたまち歩きテレビ番組を活用したPRを行うなど、東海道・美濃路・飯田街道など県内の街道の魅力を広く発信してまいります。
 武将観光につきましては、全国の武将隊や忍者隊が集結する「サムライ・ニンジャフェスティバル」を開催するとともに、「徳川家康と服部半蔵忍者隊」による観光イベントにおける武将観光のPRなど、「武将のふるさと愛知」を国内外に向けて発信してまいります。
 ユネスコ無形文化遺産に登録されている全国33件の「山・鉾・屋台行事」のうち、本県には最多の5件が所在しております。引き続き「あいち山車まつり日本一協議会」の取組により、市町・保存団体とともに愛知の山車まつりの魅力を広く発信してまいります。
 また、観光地としての愛知を魅力的に表現した広告動画を新たに制作し、インターネットで国内外に向けて発信するとともに、その閲覧者の観光情報検索や宿泊予約行動を分析するデジタルマーケティングを推進してまいります。
 さらに、増加する訪日外国人旅行者を本県に取り込むため、「ハート・オブ・ジャパン」のキャッチワードのもと、フランスでの海外プロモーションや、多言語での情報発信に取り組むほか、クルーズ船の誘致を図るポートセールスなどを実施してまいります。
 あわせて、海外の旅行会社やメディアと強いつながりのある現地の事業者を、新たに「観光レップ(代理人)」として設置し、年間を通じて、現地目線での効果的な誘客活動などを実施してまいります。
 加えて、首脳クラスが参加する国際会議の誘致や海外富裕層旅行者等の誘客を図り、地域のブランド力を向上させるため、名古屋市と協調して高級ホテルの立地を促進する補助制度を創設いたします。
 本県の優れた農林水産物につきましては、SNS等を活用したPRや首都圏でのプロモーションを実施し、名古屋コーチン、花、抹茶、あさり、うなぎ、小麦など全国トップレベルの本県の農林水産物のブランド力を一層強化するとともに、次世代を担う新品種のブランド化に取り組んでまいります。
 県営都市公園につきましては、民間事業者の資金やノウハウを活用し、魅力ある公園施設を導入するための調査を実施するほか、小幡緑地におきまして、民間事業者による新たな施設を導入するための整備を実施してまいります。
 また、三河山間地域の持続的発展と振興を図るため、次期「あいち山村振興ビジョン」を策定するとともに、新たにサポーターを募集し、SNSによる情報発信を実施するなど、三河山間地域の活力創出を図ってまいります。

 次に、「文化・スポーツの振興」であります。
 文化財の計画的な保存を進めるとともに、文化芸術の振興や景観・まちづくり等の推進に活用するため、教育委員会が所管している文化財保護業務を知事部局(県民文化局)に移管し、4月から新たに「文化財室」を設置いたします。
 また、東海地方最大級の前方後円墳である国指定史跡「断夫山古墳」の歴史的価値を明らかにし、今後の適切な保存・活用を図っていくため、名古屋市と共同で発掘調査を実施してまいります。
 愛知を代表する朝日遺跡の魅力を発信する「あいち朝日遺跡ミュージアム」につきましては、本年11月のオープンに向けて、引き続き展示物の製作、史跡の整備を進めるとともに、運営事業者と連携した開業準備や広報活動を実施してまいります。
 「あいちトリエンナーレ」につきましては、現行の実行委員会に代わる新たな組織体制を、しっかりと検討してまいります。
 県立芸術大学につきましては、アニメ・映画産業の担い手の育成や最新技術を活用した芸術の創造を図るため、2022年4月の美術学部デザイン・工芸科「メディア映像専攻」開設に向け、映像スタジオ棟の建設工事や既存施設の改修工事に着手してまいります。
 また、教育研究活動の多様化に伴う機能不足や空間不足、老朽化に対応するため、新彫刻棟の整備に向けた基本設計を行ってまいります。
 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックを盛り上げるため、本年4月に、県内15市・19区間において「オリンピック聖火リレー」を実施するほか、8月には、県内市町村とともに「パラリンピック聖火フェスティバル」を開催いたします。
 また、本年11月に、愛知・岐阜両県で開催されるFIA世界ラリー選手権(WRC)「ラリージャパン」の成功に向け、開催機運の醸成を図るとともに、大会会場の盛り上げなどにより開催を支援してまいります。
 2026年に開催予定の「第20回アジア競技大会」につきましては、東京2020オリンピック・パラリンピックに合わせた集中的なPRや、選手村・輸送などの個別の運営計画の検討、メインの選手村となる名古屋競馬場跡地の後利用事業者の公募・選定を行うなど、しっかりと準備を進めてまいります。
 「第5回アジアパラ競技大会」につきましては、2026年の開催可能性の検討・調査を引き続き実施してまいります。
 また、国際競技大会で活躍できる地元選手の発掘、育成に取り組むとともに、2026年アジア競技大会等に向けて、強化指定選手の競技力強化に取り組んでまいります。
 2021年1月に開催する「第76回国民体育大会冬季大会」につきましては、競技会場のある名古屋市、豊橋市、長久手市と連携し、スケートのショートトラック、フィギュア及びアイスホッケー競技会の準備を着実に進めてまいります。
 新体育館の整備につきましては、昨年6月に発表した基本計画を踏まえて、PFI手法による施設整備及び運営に向けて、事業者の募集・選定などを進めてまいります。

 次に、「あいちのグローバル展開」であります。
 「あいち国際戦略プラン」に基づき、グローバル人材の育成、産業のグローバル化、魅力の創出などの視点から、グローバルに成長を続けるあいちを目指してまいります。
 2020年度は、オーストラリア・ビクトリア州及び中国・江蘇省との友好提携40周年となります。記念事業を実施し、両州省との更なる交流を推進してまいります。
 また、外国人高度人材の確保・定着を図るため、留学生の県内企業でのインターンシップや企業との交流会の開催などを引き続き行うとともに、帰国留学生の本県企業現地法人でのインターンシップを新たに実施し、留学生の県内企業への就職を促進してまいります。
 さらに、外国人材の増加を見据え、新たに来日した外国人県民がスムーズに生活できるよう、愛知モデルとして全国に先駆けて作成した「早期適応研修」のカリキュラム及び教材等について、外国人材受入企業等での活用を促進してまいります。
 次に、日本語に不慣れな外国人児童生徒に対応する小中学校の教員の配置を拡充するとともに、引き続き、小中学校に語学相談員を派遣してまいります。
 また、新たに、市町村が実施する「日本語初期指導教室」の運営や多言語翻訳機を活用した教育を支援してまいります。
 さらに、学校での日々の意思疎通が円滑に行えるよう、外国人児童生徒数が多い県立高校への小型通訳機の配備を拡充するとともに、外国人生徒の正規雇用としての就職を進めるため、引き続き県立定時制高校に就労アドバイザーを配置してまいります。
 加えて、外国人生徒等が在学する県立学校に、学習活動や学校生活を支援する教育支援員の配置を拡充してまいります。
 次に、日本語教育の総合的な体制づくりのため、新たに県民文化局に「あいち地域日本語教育推進センター」を設置し、総括コーディネーターを配置するほか、市町村が実施する日本語教育関連事業を支援するなど、関係機関と連携しながら、地域における日本語教育を総合的・体系的に推進してまいります。
 また、外国人の子どもたちが能力を発揮し活躍できる環境をつくるため、引き続き日本人及び外国人の親子が子育てに関する意見交換を行いながら日本語習得を促進する「多文化子育てサロン」を設置するほか、子どもたちが地域の日本語教室へ通うための支援を実施するなど、乳幼児期から高等学校卒業までの各段階における日本語教育を推進してまいります。

 「安全・安心なあいち」をつくることは、すべての基本であります。
 南海トラフ地震により浸水が予測されるゼロメートル地帯において整備を進めている広域的な防災活動拠点につきましては、木曽三川下流域(愛西市)において、ヘリポートや防災倉庫等の実施設計を行うとともに、西三河南部地域(西尾市)におきましては、敷地造成及び地盤改良の実施設計を行ってまいります。残る未決定地域につきましては、引き続き整備候補地の選定を進めてまいります。
 また、広域的な防災活動拠点を円滑かつ効率的に運用するため、救出救助の手法等の分析・検証を行い、拠点運用マニュアルを作成してまいります。
 次に、昨年7月の「津波災害警戒区域」の指定を受け、市町村が実施する浸水津波避難施設の整備やハザードマップの作成などの避難誘導支援事業について、補助率の引上げなどを行い、地震・津波対策を一層促進してまいります。
 また、大規模災害時に、全国からの応援人員や物資等の支援を円滑に受け入れ、迅速かつ的確に被災地域へ供給するため、後方支援を担う新たな防災拠点の整備に向けた検討を進めてまいります。
 さらに、住宅や建築物の耐震化及び危険な民間ブロック塀の除却を促進するため、引き続き耐震診断、耐震改修、ブロック塀除却費用に対する補助を行ってまいります。
 交通安全対策につきましては、全国ワースト1位を脱したものの、交通事故死者数の更なる減少を目指し、交通安全県民運動を中心とした取組を積極的に展開するとともに、引き続き車両運転中の「ながらスマホ」対策や歩行者保護、高齢者の事故防止に取り組むほか、新たに「あおり運転」を防止する啓発活動を実施いたします。
 また、高齢運転者による交通事故の抑止を図るため、市町村と協調して、後付けの安全運転支援装置(ペダル踏み間違い急発進等抑制装置)の購入設置費用に対する補助制度を創設いたします。
 さらに、交通事故の防止と道路交通の円滑化のため、信号灯器の視認性を高めるためのLED化を進めるとともに、横断歩道を始めとした道路標示、道路標識の整備など、引き続き交通安全施設の整備に取り組んでまいります。
 次に、地域の治安や災害時の活動拠点である警察署につきましては、改築中の蒲郡警察署が本年5月に、西尾警察署が8月に供用開始いたします。引き続き、津島警察署の建築工事を実施するとともに、豊川警察署の実施設計、岡崎警察署の基本設計等に着手してまいります。
 また、半田警察署につきましては、現地建替えに向け、ボーリング調査を実施いたします。
 さらに、地域住民の安全・安心を守る交番・駐在所につきましては、8交番・1駐在所を建て替えるほか、長久手市内での新たな交番の建築工事に着手してまいります。
 次に、食の安全・安心の確保や食育の実践による健康で活力ある社会を実現するため、次期「愛知県食育推進計画」を策定するとともに、本年6月に「Aichi Sky Expo」において「食育推進全国大会」を開催いたします。

 次に、「環境首都あいちの推進」であります。
 日本一の産業県である本県は、環境面においてもトップランナーを目指しており、愛知県地球温暖化対策推進条例に基づく「地球温暖化対策計画書制度」を活用し、事業者が行う温室効果ガス削減対策に対して現地調査や助言を実施するなど、地球温暖化対策の取組を推進してまいります。
 また、家庭部門の温室効果ガスの排出削減に向けて、環境に配慮した住宅の普及を図るため、住宅用地球温暖化対策設備の導入補助制度により、太陽光発電施設やHEMS、住宅の断熱性能等を高める設備などの一体的導入を引き続き支援してまいります。
 次世代自動車につきましては、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)及びハイブリッドユニバーサルデザインタクシーに対する本県独自の助成制度により導入を支援し、普及を促進してまいります。
 また、国際的な関心が高まっている廃プラスチック問題に対応するため、循環型社会形成推進事業費補助金の補助メニューを拡充し、民間事業者が行う廃プラスチック処理施設の整備に対する支援を強化いたします。
 さらに、本来は食べられるにもかかわらず捨てられている食品ロスの削減を図るため、製造から流通の各段階における食品ロスの実態を調査・推計するほか、事業者向けセミナーや相談会を開催するとともに、家庭向けの普及啓発を実施いたします。
 2020年は、生物多様性の保全と持続可能な利用を推進する「愛知目標」の目標年であるため、中国・昆明で開催されるCOP15等に「国際先進広域自治体連合」として参加し、次期世界目標における自治体の果たすべき役割の重要性を発信してまいります。
 また、本県の生物多様性の保全の取組成果や課題を検証しながら、SDGsの理念を踏まえた次期「あいち生物多様性戦略」を策定してまいります。
 さらに、個体数の増加が著しく、農林業への被害や生態系へ影響を及ぼしているニホンジカの集中的かつ広域的な捕獲を実施いたします。
 本年4月に全面供用開始する環境調査センターにおきまして、環境分析の現場見学や新エネ・省エネ設備を活用した新たな環境学習を実施してまいります。

 次に、「東三河の振興」であります。
 「東三河県庁」につきましては、市町村、広域連合、経済団体等とともに「東三河振興ビジョン」に位置付けた施策に取り組み、着実に成果をあげてきたところであります。2020年度は、3月に策定する「地域連携による地方創生事業のさらなる推進」をテーマとする主要プロジェクト推進プランに基づく取組を、地域が一体となって推進してまいります。
 また、東三河地域への「新しい人の流れ」を創出する取組を進めるとともに、豊かな自然を活かし、アウトドアスポーツを中心とした東三河スポーツツーリズムを、市町村、観光団体等とともに推進してまいります。
 さらに、奥三河地域の市町村、交通事業者、観光団体等が連携して観光地づくりを進める「奥三河DMO」の活動を支援するとともに、移住定住促進のための起業支援などの取組を実施してまいります。
 加えて、農商工連携の取組を拡大するため、地元飲食事業者とともに、東三河地域の特産品を使用して開発したメニューを集約したグルメブックを作成し、地元飲食店を巡るキャンペーンを開催してまいります。
 次に、地域産業の担い手やグローバルリーダーを育成する「東三河教育プロジェクト」として、本年4月から、時習館高校の「あいちグローバルハイスクール」の指定、豊橋西高校の総合学科への改編、豊橋工業高校での本県初のロボット工学科の設置、渥美農業高校における「あつみ次世代農業創出プロジェクト」を実施してまいります。
 特別支援教育につきましては、渥美半島先端地域における長時間通学の解消を図るため、県立福江高校の施設を活用した、豊橋特別支援学校の分教室「潮風教室」を本年4月から開設いたします。
 三河港につきましては、引き続き神野西地区のふ頭用地の整備及び蒲郡地区における大型自動車船が安全に寄港できる岸壁の延伸整備を引き続き進めてまいります。
 また、三河港の更なる国際競争力の強化を図るため、港湾計画の改訂を進めてまいります。

 次に、「地方分権・行財政改革の推進」であります。
 2040年頃の社会経済を展望し、目指すべき愛知の姿と、それを実現するための2030年度までの重点的な政策の方向性を示す次期「あいちビジョン」を本年秋頃に策定いたします。
 地方創生につきましては、本年度末に策定する第2期「愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、産業振興や雇用対策、子育て支援、三河山間地域の振興など幅広い施策に取り組んでまいります。
 また、「愛知県SDGs未来都市計画」を推進するため、本年8月に「Aichi Sky Expo」において、「SDGs推進フェア」を開催し、SDGsに取り組む多様な主体のネットワーク化や県内への普及・浸透を図ってまいります。
 さらに、中京大都市圏づくりを総合的に進めるため、重要プロジェクトの推進はもとより、情報発信や広域的な連携の強化、名古屋市との役割分担・共同連携による取組についても、引き続き推進してまいります。
 行財政改革につきましては、昨年12月に策定した「あいち行革プラン2020」に基づき、改革を推進する基盤となる「人財力」を強化し、「スピーディーでしなやかな県庁」への進化を目指して、全庁を挙げて取り組んでまいります。
 業務の効率化と行政サービスの一層の向上を図るため、定型業務を自動処理するプログラムであるRPAを本格導入するとともに、職場や業務の実態に合わせた業務改革を実施いたします。あわせて、職員の多様で柔軟な働き方を実現するテレワークの試行導入を引き続き進めてまいります。
 民間活力の導入につきましては、PFI方式により、名古屋市天白区平針の「運転免許試験場」の本年5月の新庁舎オープンに向けた整備を進めるとともに、引き続き、県営住宅の建替えを推進してまいります。
 県有施設につきましては、公共施設等総合管理計画に基づき、個別施設計画の策定を進めるとともに、長寿命化に向けた調査や改修を実施してまいります。
 また、我が国随一の成長産業や先端技術の中枢拠点を形成するためには、総合的な規制・制度改革が必要です。有料道路コンセッションや愛知総合工科高等学校専攻科の公設民営化などに続き、医療ツーリズムの推進につきましては、昨年12月に開催された国家戦略特別区域諮問会議において、今年度中の実現を目指すことが示され、国との協議を進めているところであります。
 引き続き、自動運転などの近未来技術の実証等、国家戦略特区に提案している規制改革の早期実現を目指してまいります。

 以上、予算の主な内容につきまして申し上げてまいりましたが、ここにご審議いただく2020年度の当初予算は、
 一般会計 2兆5,722億余円
 特別会計 1兆3,553億余円
 企業会計   2,546億余円
 でございまして、合わせて4兆1,822億余円となります。
 このうち、一般会計の予算規模は、2019年度当初予算に対し、102.4%でありますが、地方消費税の税率引上げの影響で、都道府県間の清算金が歳入歳出ともに膨らんでおりますので、地方消費税清算金支出を除いて比較すると、100.6%となります。
 歳入につきまして、大宗をなす県税は、前年度から148億円減の1兆1,669億円を計上いたします。
 このうち法人二税は、企業収益の減速に加え、法人県民税法人税割の税率引下げの影響が見込まれることから、1割を超える大幅な減収を見込んでおります。
 地方消費税は、昨年10月からの税率引上げの影響が本格的に現れ増収とはなるものの、都道府県間の清算金や市町村交付金の支出増があり、これら税関連の歳入歳出を勘案した実質収入ベースの県税収入は、464億円もの大幅減となります。
 地方交付税と臨時財政対策債を合わせた地方財政措置につきましては、税収動向及び2020年度地方財政計画を踏まえ、前年度から400億円増となる1,900億円を計上いたします。このうち、地方交付税につきましては、800億円を計上しております。
 一方、歳出では、医療・介護などの扶助費を始めとする義務的経費が、引き続き増加いたします。
 人件費は、2019年人事委員会勧告に基づく給与改定や、会計年度任用職員制度の導入などを反映し、増加いたします。
 扶助費は、幼児教育・保育の無償化の影響が平年度化するほか、後期高齢者医療費負担金や、障害者自立支援介護・訓練等給付費負担金などの伸びにより、一貫して増加が続いております。
 公債費につきましては、近年の低金利を反映した県債利子の減により減少するものの、依然高止まり傾向が続いております。
 なお、幼児教育・保育の無償化及び高等教育の無償化の実施に係る所要額は149億円となり、前年度から96億円増加いたします。
 投資的経費につきましては、愛知県国際展示場や運転免許試験場などの計画的な施設整備が一旦大幅に減少いたしますが、ジブリパークの整備や安全・安心を確保するための投資など、「Aichi[愛知]・総合経済対策」に位置付けた将来に向けた投資を着実に推進いたします。
 また、国庫補助金を活用した道路、河川等の公共事業は、2019年度の国経済対策補正分と合わせて、前年度を大きく上回る額を確保いたしました。
 今回の予算編成では、1,344億円という多額の収支不足が見込まれましたが、まず、2019年度における財源確保や歳出不用額の補正減、さらには県債を活用することにより、年度内に予定していた減債基金の取崩し880億円を全額取り止めるとともに、財政調整基金取崩し額のうち150億円、合わせて1,030億円を取り止め、2020年度にその全額を再活用することにいたしました。
 その上で、2020年度において、財政調整基金の残高として確保していた314億円を取り崩すことで、何とか収支不足を解消できたところであります。
 なお、前年度は、当初予算編成後に810億円の基金残高を確保できていましたが、2020年度当初予算編成後に残る財政調整基金及び減債基金のうち任意積立分の残高は、494億円にまで大きく減少いたします。
 このように、本県の財政運営は単年度の歳入だけで歳出を賄うことができず、多額の基金取崩しに依存する厳しい財政状況が続いておりますが、そうした中にあっても、「健全で持続可能な財政基盤の確立」に向けた歩みを止めるわけにはまいりません。そのためにも、「あいち行革プラン2020」に位置付けた取組を、計画初年度からしっかりと具体化し、実行してまいります。
 基金につきましては、「より一層効率的・効果的な財政運営の観点から、改めて基金のあり方を検討する」としておりましたが、設置時からの情勢変化により十分に活用されてこなかった4つの基金を見直すこととし、具体的には、ハード整備を目的とした社会資本整備等推進基金及び福祉推進整備基金を廃止し、減債基金へ統合するとともに、果実運用型である文化振興基金及び地域福祉基金を取崩し型に変更することで、効果的に活用してまいります。
 また、県債につきましては、満期一括償還分積立額を除く「通常の県債の実質的な残高」の維持・抑制に努める目標を掲げております。
 2020年度末の通常の県債の実質的な残高は、県債を活用して「Aichi[愛知]・総合経済対策」にも積極的に対応していく一方、着実に償還を進め、2019年度末を664億円下回る2兆279億円にまで減少する見込みであり、さらに、県債残高全体でも前年度から減少する見込みであります。
 今後も、経済・産業の活性化を進め、税源の涵養につなげるとともに、より一層合理的な行政運営を図り、「あいち行革プラン2020」に沿った取組を着実に進め、健全で持続可能な財政基盤の確立に取り組んでまいります。

 次に、予算以外の案件につきまして、ご説明を申し上げます。
 条例は、制定、一部改正、廃止を合わせまして、32件を提案いたしております。
 まず、愛知県行政機関設置条例の一部改正についてであります。
 地域の課題に迅速・着実に取り組むことができる、簡素で分かりやすい組織体制とするため、海部及び知多県民センターを県民事務所とするものなどでございます。
 次に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第一項の規定に基づく職務権限の特例に関する条例及び愛知県局設置条例の一部改正についてであります。
 教育委員会の職務権限のうち、文化財の保護等に関する事務を知事が一元的に管理執行することとし、県民文化局の所掌事務といたします。
 次に、愛知県県税条例の一部改正についてであります。
 教育・文化施設や社会福祉施設の整備維持等を引き続き推進するため、法人県民税法人税割の税率の特例措置の適用期間をさらに5年間、現行税率での延長をお願いするものでございます。
 次に、愛知県職員定数条例の一部改正についてであります。
 知事の事務部局等の職員定数については、事務事業の見直し、業務改善などに取り組む一方で、児童相談センターの体制強化やアジア競技大会の開催準備のほか、病院事業庁における「愛知県がんセンター医療安全改革実行プラン」の推進などに伴い、全体で82人増員いたします。
 また、中学校の特別支援学級の増加などにより教職員を55人増員するものでございます。
 次に、知事等の給与の特例に関する条例の一部改正についてであります。
 現下の厳しい財政状況に鑑み、引き続き私を始め特別職の職員を対象に、給与の一部を減額するものであります。
 さらに、条例以外の案件といたしましては、県道路線の廃止始め13件を提案いたしております。

 次に、2019年度関係の諸議案についてであります。

 まず、今回の補正予算は、国の補正予算への対応や国庫補助金及び事業費の確定に伴う所要の措置並びに2020年度当初予算編成に向けての財源確保等を行うものであります。
 補正予算を会計別に申し上げますと、
 一般会計  120億7,019万余円の減額
 特別会計   69億5,793万余円の減額
 企業会計   42億6,795万余円の減額
 でございまして、合わせて232億9,608万余円の減額となります。
 以下、一般会計の主なものにつきまして、概要をご説明申し上げます。
 国の補正予算関連事業費といたしまして、道路事業や河川事業、農地防災事業などの公共事業に係る所要の経費を計上するほか、後期高齢者医療費負担金を増額するものなどでございます。
 以上、ご説明申し上げました一般会計の一般財源といたしましては、県税収入や地方交付税の増額などにより、全体で126億4,688万余円を増額することといたしております。
 特定財源につきましては、国庫支出金を減額するほか、減債基金取崩し額の全部を取り止めましたことなどから、全体で247億1,708万余円を減額することといたしております。

 次に、補正予算以外の議案につきましては、条例関係議案以外のその他の議案といたしまして、工事請負契約の締結など11件でございます。

 以上、提案をいたしました案件のうち、主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げました。なお、詳細につきましては、議事の進行に従いましてご説明を申し上げたいと存じます。よろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。

最後に、結びとして一言申し上げたいと存じます。
 これからも本県は、SDGsの基本理念である「誰一人取り残さない」社会の実現に向け、経済、社会、環境が調和した、活力と持続力を備えた大都市圏を目指しながら、東京一極集中にストップをかけ、日本の成長エンジンとして、我が国の発展を力強くリードする存在であり続けたいと考えております。
 引き続き、「日本一元気な愛知」、子ども・若者・女性・高齢者・障害のある方など「すべての人が輝く愛知」、そして、県民の皆様すべてが豊かさを実感できる「日本一住みやすい愛知」を実現するため、全力で県政運営に取り組んでまいる所存でありますので、県議会議員の皆様方並びに県民の皆様方の、ご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。