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県議会知事提案説明

令和2年5月臨時県議会 知事提案説明要旨

このたびの臨時県議会に提案をいたしました案件につきまして、そのご説明を申し上げるに先立ち、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
 本県では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けまして、4月10日に県独自の「愛知県緊急事態宣言」を発出し、「緊急事態措置」を直ちに実施するとともに、4月16日の国の「緊急事態宣言」に基づく特定警戒都道府県への指定、さらには5月4日には、国の緊急事態宣言が5月31日まで延長されたことを受け、県民の皆様の生命と健康を守ることを最優先に、ありとあらゆる対策を講じてまいりました。
 これらの取組の結果、本県の新規感染者数は大きく減少傾向にあり、医療提供体制も十分に確保できていることから、5月14日には、国において、法に基づく緊急事態宣言の対象区域から解除され、また全国的にも、5月25日に全ての都道府県の緊急事態宣言が解除されたことを踏まえまして、25日の夜、私の方から、県の宣言の解除の方針を表明させていただき、昨日26日、県の対策本部会議にお諮りをいたしまして、「愛知県緊急事態宣言」及び「愛知県緊急事態措置」を解除させていただきました。
 これまで、医療関係者の皆様には、昼夜を問わず最前線で献身的に対応していただくとともに、県民の皆様、事業者の皆様には、外出自粛や休業要請などにご協力をいただき、全ての皆様にあらためて感謝申し上げたいと存じます。
 一方で、断続的に新規感染者が発生するなど、感染症のリスクは、依然として社会生活の場に存在しておりますので、今後も社会経済活動を持続的に両立させながら、再度の感染拡大を防止していくことが不可欠であります。
 まず、学校につきましては、教育活動再開に向けた段階的な対応として、5月18日から1週間の「学校再開準備期間」を経て、5月25日から再開したところであります。現在は、分散登校・時差登校などを基本とする期間としておりまして、円滑に学校運営ができることを確認した上で、来週6月1日から通常授業としてまいりたいと考えております。学校における感染防止対策を徹底し、児童生徒の安全確保に努め、できる限り早く通常の学校活動が行えるようにしてまいります。
 また、事業者の皆様には、感染リスクに応じて、順次、休業要請を解除・緩和させていただきましたが、引き続き、個別施設毎にあらゆるリスクに備え、徹底した感染防止対策の実施をお願いしてまいります。
 あわせて、県民の皆様には、「三つの密」を回避し、「人と人との距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗いなどの手指衛生」など、「新しい生活様式」を実践し、日常生活の中に定着させていただきますようお願いいたします。
 今後も、感染状況と医療提供体制の確保の状況を、「新規感染者数」、「陽性率」、「入院患者数」により監視を続け、これらの過去7日間平均の数値を基準として、注意(警戒)領域(イエローゾーン)を1つでも上回れば、警告を発し一部規制モードに入り、危険領域(レッドゾーン)を全て上回れば、厳しく規制するなど、感染症対策と社会経済活動とのバランスをとって適切に取り組んでまいります。
 こうした中、昨日時点の愛知県内の感染者数は502人、入院者数は18人、宿泊施設への入所者数は0人でありまして、入院・入所者は、4月24日のピーク時247人から229人減となっております。そして、現時点で、感染症指定医療機関等での入院病床500床に加え、宿泊施設等を利用した入所施設は1,300室を確保し、医療提供体制は確保しております。
 さらに、PCR検査の需要増大に備えるとともに、帰国者・接触者外来の負担軽減のため、ドライブスルー方式等で集中的にPCR検査を行う検査所を設置しているところであります。
 また、医療物資を確保するため、県民・事業者の皆様に医療用マスクや防護服、フェイスガードなどの提供を呼びかけましたところ、たいへん多くの皆様からご支援いただき、心からお礼を申し上げます。
 今後とも、医療機関等と連携し、入院医療体制の確保、外来診療体制の充実、PCR検査体制の拡充など、医療提供体制の更なる強化に全力で取り組むとともに、感染症対策に取り組む医療従事者の方々の処遇改善などにしっかりと取り組んでまいります。
 また、事業者に対する支援としましては、「緊急つなぎ資金」や「感染症対応資金」に加え、より簡単、スピーディーで、使い勝手のよい「緊急小口つなぎ資金」を創設するなど、中小企業の資金繰り対策に万全を期するほか、国・県・市町村税の徴収猶予、県・市町村の連携による協力金、国の持続化給付金や雇用調整助成金などを活用し、事業の継続に向けた支援を実施してまいります。
 加えて、休業・失業等による収入減少世帯への貸付や県営住宅の提供のほか、国の特別定額給付金など、家計に対する支援も実施してまいります。
 なお、新型コロナウイルス感染症対策については、保健医療局の健康対策課内にある新型コロナウイルス感染症対策室で対応してまいりましたが、5月20日に、専任の局長を配置する「感染症対策局」を新たに設置するとともに、現在、愛知県顧問として新型コロナウイルス感染症対策を担当している松本顧問を新型コロナウイルス感染症対策本部の事務総長とし、保健医療局及び感染症対策局を統括することで、更なる体制強化を図ったところであります。
 今後も引き続き、緊張感を持って、社会経済活動とのバランスをとり、感染症対策に万全を期すため、日々変化する状況を的確に捉えて、機動的に必要な対策を追加し、果断に実施してまいります。
 つづきまして、県政を取り巻く最近の状況について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。
 はじめに、あいち地域日本語教育推進センターについてであります。  
 4月3日、県民文化局内に設置した、あいち地域日本語教育推進センターの開設式を行いました。
 このセンターでは、新たに総括コーディネーターを配置し、地域の日本語教室等に対して、教育プログラムの策定や教室の運営・改善の指導・助言、日本語教育についての相談対応を行うなど、本県の日本語教育を総合的・体系的に推進してまいります。
 本県には、全国で東京都に次いで2番目に多い、28万人を超える外国人県民の皆様が生活し、また、日本語指導が必要な外国人児童生徒の数も全国で最も多いことから、外国人県民への日本語教育がますます重要となっております。
 今後、このセンターを中心に、市町村やNPO法人などの関係機関と連携し、地域における日本語教育の一層の充実を図ってまいります。
  次に、藤田医科大学岡崎医療センターについてであります。
 4月4日、藤田医科大学岡崎医療センターの開院式に出席してまいりました。
 藤田医科大学岡崎医療センターには、開院前にもかかわらず、2月  19日から1か月近くにわたり、横浜のクルーズ船から下船した新型コロナウイルス感染者等128名の方々を受け入れていただきました。  
 受入れにあたり、職員の皆様を始め、厚生労働省、岡崎市、災害派遣医療チーム(DMAT)など、昼夜を徹して対応していただいた関係機関の皆様に敬意を表するとともに、受入れにご理解をいただいた近隣住民の方々に、心から感謝申し上げます。
 今後、このセンターが、24時間365日運用の第2次救急医療を提供する、三河地区初の大学病院として、地域医療を牽引し、先導的な役割を果たしていただくことを期待いたします。
  次に、Aichi−Startup戦略についてであります。  
 4月6日に、名古屋市、中部経済産業局、名古屋商工会議所、中部経済連合会、名古屋大学等と連携して、「あいち・なごやスタートアップ海外連携促進コンソーシアム」を設立いたしました。
  このコンソーシアムは、「県内スタートアップの海外連携」と「海外スタートアップの県内連携」を促進するための中核的支援機関として、県内スタートアップの海外展示会・ピッチイベントへの参加支援、海外スタートアップと県内企業とのマッチング、専門家による相談対応などを行い、地域一体となって県内・海外企業の協業を強力に後押ししてまいります。
 また、5月19日には、地元の企業や大学等に参画いただき、東三河広域経済連合会会長をリーダーとする「東三河スタートアップ・サテライト支援拠点検討プロジェクトチーム」の第1回会議を開催いたしました。
 東三河地区においては、複数の関係機関がスタートアップ支援の取組を先行的に行うなど、民間企業等によるイノベーション創出に向けた取組が活発に進められております。今後、このプロジェクトチームにおいて、東三河地域でのサテライト支援拠点設置に向け、エコシステム形成の方向性や機運醸成の取組について、検討を進めてまいります。
 引き続き、Aichi−Startup戦略に基づく取組を一層進め、本県産業の成長を拡大させるエコシステムを形成してまいります。
  次に、豊橋特別支援学校潮風教室についてであります。
 4月7日、田口高校の山嶺教室につづいて、本県で2例目となる特別支援学校の分教室として、県立福江高等学校内に設置し、田原市内の子ども達7人が通学する豊橋特別支援学校潮風教室の開設式を行いました。
 渥美半島先端地域における長時間通学の解消を図ることを目的に設置した潮風教室では、住み慣れた地域での自立と社会参加を目指し、地域に根差した特色ある教育を推進するとともに、高等学校と特別支援学校の生徒相互の自然な交流による共生社会に向けた教育を一層充実させてまいります。
 渥美半島の自然豊かな素晴らしい環境を生かしながら、校名の由来である、田原凧を大空高く舞い上げる潮風のように、子ども達を大きく成長させ、社会へと送り出す分教室としてまいります。
 次に、あいちトリエンナーレについてであります。
 4月27日、次回のあいちトリエンナーレの開催に向けて、新たな運営体制として設立準備を進めている「あいちトリエンナーレ組織委員会(仮称)」の会長候補について、株式会社大林組の代表取締役会長であり、公益財団法人大林財団の理事長である大林剛郎氏に決定しました。
 大林氏は、現代アートのコレクターとして有名であり、東京・六本木の森美術館の理事を始め、英国テート美術館の国際評議員、さらにはニューヨーク近代美術館の国際評議員としてもご活躍されており、あいちトリエンナーレの「顔」として、国内外に情報を発信できる適任者であると考えております。
 今後、大林氏と相談しながら、組織体制の見直しの検討を進め、あいちトリエンナーレの成功はもとより、本県の文化芸術の発展、さらには地域の魅力向上につなげてまいりたいと考えております。
 次に、運転免許試験場及び蒲郡警察署の供用開始についてであります。
 5月7日、PFI事業により整備を進めてまいりました、名古屋市天白区平針の運転免許試験場新庁舎を供用開始いたしました。また、先日少人数ではありますが、開設式もさせていただいたところであります。
 新庁舎は、バリアフリー化に加え、複数言語、最大4言語の案内表示や託児サービス、親子ルームの設置などにより、年間60万人を超える利用者の皆様の利便性、快適性に配慮した施設としております。
 また、5月11日には、蒲郡警察署の新庁舎を供用開始しました。
 蒲郡警察署の新庁舎は、新たに授乳室を設置するなど、地域の皆様の利便性、快適性に配慮するとともに、河川に隣接している立地条件を踏まえ、浸水対策として敷地をかさ上げし、庁舎床面を高く設定するなど、災害時の活動拠点としても機能する庁舎としております。
 今後も、県警察を始め地域の皆様と連携し、安全・安心なあいちを目指してまいります。
 次に、交通安全対策についてであります。
 本県の交通事故死者数は、昨年、全国ワースト1位を脱したものの、今年に入ってから交通死亡事故が多発するなど、交通事故情勢は厳しい状況が続いております。
 このため、県警察や市町村、関係諸団体と連携した交通安全運動に加え、「あおり運転」の防止や歩行者保護、高齢者の事故防止など、法令遵守と運転マナー向上を訴える取組を実施するとともに、市町村と協調した補助制度により、高齢運転者による後付けの安全運転支援装置の設置を支援し、その交通事故の抑止にも取り組んでまいります。
 今後とも、県民総ぐるみでの交通安全対策をより一層推進し、交通事故及び交通事故死者数の減少に全力で取り組んでまいります。


 それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。
 まず、補正予算案につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける県民生活や経済活動を守り抜くため、一般会計で288億1,803万余円を増額補正するものでございます。
 主な補正予算の内容について、ご説明申し上げます。
 まず、感染拡大防止や医療面での対策として、医療提供体制の更なる強化のため、医療機関に配布する個人防護具等を調達するとともに、ドライブスルー方式等でのPCR検査所を設置・運営してまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた入院医療機関において、風評被害や感染リスクがある中で働く医療従事者を応援するため、本県独自の「愛知県医療従事者応援金」を創設し、医療従事者の処遇改善を促進してまいります。あわせて、基金を設置して広く寄附を募り、この応援金へ上乗せを実施してまいります。
 さらに、第2次救急医療を担う病院を運営する医療法人を対象に、新型コロナウイルス感染症の影響により悪化した資金繰りを支援する新たな融資制度を創設し、地域の救急医療体制を堅持してまいります。
 次に、休業要請に協力頂いた事業者に対する協力金については、対象者の拡大に伴う事業費の増加分を計上するほか、テナントとして入居している施設等からの休業要請により、休業を余儀なくされた生活必需物資・サービスを提供する中小事業者等に対して、市町村が独自に協力金を交付する事業に対しても支援してまいります。
 さらに、感染拡大防止の観点から自主的に休業した理容業・美容業事業者に対しても、協力金を交付してまいります。
 また、介護施設及び障害者施設における、多床室の個室化や簡易陰圧装置の整備を支援するなど、介護及び障害福祉サービスの分野における感染症対策を推進してまいります。
 県民生活への対策といたしましては、休業や失業により収入が減少した世帯への生活資金の貸付を行うための経費を増額するほか、全ての県立高等学校・県立特別支援学校において民間のオンライン学習支援サービスを導入するともに、高等学校等奨学給付金制度を拡充し、保護者の失職など家計急変により収入が減少し、住民税非課税世帯に相当すると認められる世帯の高校生に給付金を支給してまいります。
  さらに、経済対策として、本県独自の「文化芸術活動応援金」を創設し、広く寄附も募り、文化芸術活動関係者を支援するとともに、新たに県内文化施設の所蔵作品や伝統的な文化芸術活動の魅力を伝える映像作品を制作・配信するほか、既存の文化活動事業費補助金の補助内容を拡充し、アーティストや文化芸術団体の活動を支援します。
 また、全国一の産出額を誇る「花き」や「つまもの」の利活用に取り組む農業者や、学校給食に県産牛肉や名古屋コーチンを提供する畜産農家及び食肉事業者を支援するとともに、小規模事業者の各種助成金に係る電子申請手続きの支援など、相談体制の強化を図る商工会を支援してまいります。
 なお、中小企業・小規模事業者の資金繰り支援の拡充のため、事業が正常化するまでの当座の資金として、また、雇用調整助成金等が入金されるまでのつなぎ資金として、迅速に融資を受けられ、事業者負担の少ない「新型コロナウイルス感染症対策緊急小口つなぎ資金」を創設するため、所要経費及び債務負担行為につきまして、緊急に実施する必要がありますことから、5月11日に専決処分を行い、5月18日より取扱金融機関の県内各店舗において受付を開始しております。
 次に、補正予算案以外の議案につきましては、条例関係議案2件及び人事案件4件並びに先般の4月臨時県議会以降におきまして専決処分をいたしました事案2件でございます。
 はじめに、あいち医療応援基金条例の制定についてであります。
 これは、先に申し上げました本県独自の「愛知県医療従事者応援金」への上乗せを実施するための寄附金の受け皿とするため、新たに「あいち医療応援基金」を設置するものであります。
 次に、知事等の給与の特例に関する条例の一部改正については、新型コロナウイルス感染症への対応が長期化している現在の厳しい状況を踏まえ、私を始め特別職の職員を対象に、現在実施している給料の減額に加え、2020年6月期の期末手当の一部を減額するものであります。
 続いて、人事関係議案につきましては、収用委員会の委員の任期満了及び監査委員の辞任に伴います後任者をそれぞれ選任するものであります。
 次に、専決処分につきましては、補正予算の専決処分1件及び愛知県県税条例の一部改正に係る専決処分1件でございます。
 補正予算につきましては、先に申し上げました「新型コロナウイルス感染症対策緊急小口つなぎ資金」の創設に伴う所要経費及び債務負担行為につきまして、緊急に実施する必要がありますことから、専決処分を行ったものでございます。
 愛知県県税条例の一部改正につきましては、地方税法等の一部を改正する法律が去る4月30日に公布されたことに伴いまして、法律の施行に合わせ、直ちに愛知県県税条例を改正する必要があり、同日付けで専決処分を行ったものでございます。その主な内容といたしましては、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置が納税者等に及ぼす影響を緩和するため、不動産取得税において、個人が耐震基準不適合の中古住宅を取得し、耐震改修を行い、かつ入居した場合の税額の減額措置に係る入居期限を緩和するほか、自動車税の環境性能割の税率を軽減する特例措置の適用期限を延長するものなどでございます。
 ここに、ご報告を申し上げ、ご承認をお願いするものであります。
 以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げました。どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますよう、お願いを申し上げます。
 最後になりますが、この未曾有の難局を乗り越えるため、議会の皆様を始め、県民の皆様、医療関係者、市町村、団体、企業など全ての皆様と一致協力して、オール愛知で、この感染症を克服し、一日でも早く安心な日常生活と、活力ある社会経済活動を取り戻してまいりたいと考えておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。