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県議会知事提案説明

令和4年5月臨時県議会 知事提案説明要旨

このたびの臨時県議会に提案をいたしました案件につきまして、そのご説明を申し上げるに先立ち、明治用水頭首工の漏水について申し上げます。
 5月17日に大規模な漏水発生の一報を受け、発災以来、毎日、古本副知事から報告を受け、その都度、指示をし、各局を陣頭指揮させ、初期対応してもらいました。
  5月23日に、発災から一週間を経過した節目を踏まえ、長期戦になることも鑑み、「明治用水頭首工の漏水に伴う愛知県西三河地域用水確保対策本部」の立ち上げを指示しました。
  一昨日に帰国し、昨日、現場を確認した後、第一回の対策本部を開催しました。
  私が知っている矢作川の水をたたえた頭首工ではなく、昨日は旧堰や川底が現れた状況でありました。しかしながら、今日は一転して、昨夜来の大雨により、水かさが増して、夜のうちに重機を川の中から撤去することなど厳しい対応を余儀なくされております。こうしたことが、しばらく続くということを覚悟しなければなりません。改めて事態の深刻な状況に衝撃を受けております。
 この地域の農業・工業の発展に欠かすことのできない明治用水は、地域産業の大動脈であり、その元口にある頭首工は重要な施設であるので、一刻も早い復旧が必要です。
 現在、国が、緊急対策として明治用水頭首工の取入口に、仮設ポンプを設置しておりますが、今後、さらに多くの水量が必要になるため、引き続き、本県もあらゆる手立てを講じてまいります。
  特に、農業用水としては、この時期に水が無いことは、1年に影響を及ぼすので、明治用水土地改良区はもとより、西三河全域の土地改良区と協力して、猿渡川などの県管理河川や、農業用排水路などへ応急ポンプを設置するとともに、対策に要する経費についても、県が全額補助するなどの財政的な支援を行うこととしました。
 また、明治用水土地改良区の事務所内に「愛知県詰所」を臨時に設置し、県職員が技術的な支援や関係機関との調整を行うなど、土地改良関係者が一体となり、農業用水の確保に取り組んでいるところです。
  一方、工業用水については、自動車関連産業を始めとする全131社に受水していただいております。安城浄水場で5月18日に取水を停止した際には、全社で受水停止にご協力いただきました。
 現在、農業用水、工業用水への対応として、東海農政局の仮設ポンプによる取水が行われております。農業用水の再開にはまとまった水量が必要ですが、工業用水は、構造上少量であっても給水を再開することが可能であることから、5月19日午後7時に少量ではありますが安定した取水が可能となったため、通常の使用水量の3割程度で受水を再開できております。しかしながら、一部で操業への影響も出ており、大変厳しい状況にあると受け止めており、企業の皆様方のご努力に感謝申し上げるとともに、引き続き、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
  なお、農業用水についても、本線、支線、末端まで水が満ちたことから、5月25日の約1,700ヘクタールを皮切りに順次、試験通水が始まっております。
 また、水道用水については、幸田浄水場で一時的に取水を停止しましたが、現在は巴川の自流を取水し緊急避難的に振替取水や他の浄水場から応援給水を行い、断水などの被害は出ておりません。
 しかしながら、今後、復旧が長期に及ぶ場合は、巴川からの取水が継続できなくなるおそれがあり、引き続き予断を許さない状況にあります。
 一刻も早く、今回の事故原因を究明し、漏水箇所の閉塞を行い、頭首工の機能が早期に復旧するよう、国に対し働きかけていくとともに、本県としても全力で取り組んでまいります。
 次に、ウクライナ情勢について申し上げます。
  2月から続いているロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、ウクライナの主権と領土を踏みにじる明らかな侵略で、力によって、国際秩序を破壊する暴挙であり、断じて容認できるものではありません。
 本県では、ウクライナから本県に避難して来られる方々に対して、県営住宅の提供や就労支援など、できる限りの支援を行っております。  
 今後とも、ありとあらゆる形で、ウクライナの支援を全力で行うとともに、世界の平和と安定のために尽力してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
 新型コロナウイルスの新規陽性者数は、減少傾向にありつつも高止まりであり、また、病床使用率は下げ止まりとなっております。
 そうした中、本県では感染力の非常に強いオミクロン株のBA.2系統にほぼ置き換わっており、今後も警戒していく必要があります。
 引き続き、基本的な感染防止対策が重要となります。県民・事業者の皆様には、感染リスクの高い行動を控えていただくとともに、業種別ガイドラインを遵守していただくなど、「厳重警戒」での感染防止対策に引き続きご協力いただきますようお願いします。
 なお、国の基本的対処方針が変更されたことを受けて、5月24日から、「厳重警戒」での感染防止対策に、マスクの着用についての留意点を追加しております。
 一方で、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から実施を控えていた、県内の旅行や宿泊代金の割引等を行う2つの観光消費喚起事業について、「あいち旅eマネーキャンペーン」は5月9日から、「LOVEあいちキャンペーン」は5月19日から開始しました。
 感染防止対策を徹底しながら、社会経済活動との両立を図る取組も進めてまいります。
 次に、感染症まん延防止の切り札である新型コロナワクチン接種の取組について申し上げます。
 ワクチンの3回目接種につきましては、県の6か所の大規模集団接種会場において、一日最大4,500人規模で接種を進めております。
 また、仕事が早く終わって予定外の時間ができた場合など、現役世代の方が、それぞれのご都合に合わせて気軽に接種を受けていただけるよう、6か所のすべての会場において、4月9日から順次、「予約なし接種」を開始しております。
 さらに、県民の皆様に安心してワクチン接種を受けていただけるよう、ワクチン接種後の副反応等の治療に要した医療費の経済的負担を軽減する、本県独自の「新型コロナワクチン副反応等見舞金」を創設し、4月12日から受付を開始しております。
 こうした取組により、引き続き接種の加速化を図ってまいりますので、県民・事業者の皆様には積極的な接種の検討をお願いします。
 今後も感染状況に応じ、必要な対策を速やかに講じてまいりますので、安心な日常生活と活力ある社会経済活動を取り戻していくことができるよう、ご理解とご協力をお願いします。 

 それでは、県政を取り巻く最近の状況について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

  はじめに、「愛・地球博記念特別展示会2022」についてです。
  2005年に開催された愛知万博の理念と成果を継承、発展させる事業の一つとして、「愛・地球博記念特別展示会2022」が3月26日から4月10日までの16日間、愛・地球博記念公園において開催されました。
  この展示会では、愛知万博の取組とその成果や、その後の社会の発展などが紹介されておりました。
 ご来場いただいた皆様には、愛知万博の熱気と感動を思い出していただくとともに、人々の生活を豊かにした愛知万博のレガシーを感じていただけたと思います。
  愛知万博開催から20年の節目を迎える2025年には、「愛知万博20周年記念事業」を計画しております。引き続き、愛知万博の理念と成果が、末永く受け継がれるよう、しっかりと取り組んでまいります。

  次に、ジブリパークについてです。
 本年11月1日に開園を予定している3エリアのうち、「青春の丘」の施設の一つとして再整備しておりましたエレベーター塔について、3月23日にお披露目式を開催し、エレベーターの除幕を行いました。
  このエレベーターは、「天空の城ラピュタ」や「ハウルの動く城」などの世界観を想起させる、19世紀末の空想科学的要素を取り入れた内外装としております。来園者の皆様には、ぜひご利用いただき、開園に向けて期待を膨らませていただきたいと思います。
 また、開園に向けて、これから徐々にPR活動も本格化させてまいります。その一環として、全国5会場で開催予定の「ジブリパークとジブリ展」では、ジブリパークに実際に設置する展示物などの一部を公開し、一足先にジブリパークの雰囲気を感じていただきたいと考えております。この展示会は、7月から長野県立美術館でスタートし、ジブリパーク開園直前の10月末から愛知県美術館での開催を予定しております。
  そして、先月末には、3エリアの入場料金を発表しました。入場料金をリーズナブルな価格とするとともに、遠足や修学旅行などの学校行事でご利用いただくための「子ども枠」や、地域の皆様に親しんでいただくための「県民デー」など、本県が設置する都市公園の施設ならではの取組も設け、地域と共生し、多くの人に長く愛される魅力あふれる施設としていく予定です。
 日本が世界に誇るスタジオジブリ作品の世界観を表現した唯一無二の公園施設であるジブリパークの開園により、県民の皆様を始め国内外から多くの皆様に、笑顔あふれる日々をお届けするとともに、世界中から多くの皆様にお越しいただくことで、愛知、日本を盛り上げていけるよう、引き続き11月1日の開園に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

 次に、アジアパラ競技大会についてです。
 3月28日に、日本で初めての開催となる2026年の「第5回アジアパラ競技大会」を、ここ愛知・名古屋で開催したい旨表明しました。
 これを受け、4月8日に、アジアパラリンピック委員会の臨時理事会において、「第5回アジアパラ競技大会」が愛知・名古屋で開催されることが速やかに決定されました。
 アジアパラ競技大会は、4年に1度開催されるアジア最大の障害者スポーツの祭典であり、アジアのパラアスリートが集う夢の舞台です。こうした大会を愛知・名古屋で開催することは、障害への理解や障害のある方の社会参加の促進に寄与するとともに、障害者スポーツを応援する方々の交流の促進にもつながると考えています。
 今後、アジアパラ競技大会を、アジア競技大会とともに、名古屋市や日本パラリンピック委員会始め関係の皆様と一緒になって盛り上げ、その成功に向けて、着実に準備を進めてまいります。
 なお、杭州アジア競技大会及び杭州アジアパラ競技大会が2023年に延期されることが、今月決定されました。
  これは、中国における新型コロナウイルスの感染状況を踏まえての決定であり、誠に残念ではありますが、やむを得ない決断であったと受け止めております。
 2026年の愛知・名古屋大会の開催について、どのような影響があるかは、現時点では測りかねますが、2026年の愛知・名古屋大会の開催方針に変わりはありません。名古屋市と協働して、今後、情報を収集し、関係機関と協議しつつ、開催に向けて取組を進めてまいります。

 次に、畜産総合センター豚舎についてです。
 3月29日に「畜産総合センター豚舎竣工式」を開催しました。
  岡崎市の畜産総合センターに整備した新豚舎は、養豚農家への系統豚の供給を拡大するため、旧豚舎から規模を拡大させるとともに、豚熱ウイルスを媒介する野生動物の侵入防止など、防疫機能も格段に向上させるため、自動換気機能を設けた密閉型豚舎としております。
  新豚舎を十分に活用して、養豚農家が求める品質の高い系統豚を安定的に供給することで、本県の養豚振興に努めてまいります。

 次に、「にしお特別支援学校」についてです。
 本県初となる知的障害と肢体不自由の両方の障害に対応した特別支援学校として、西尾市内に整備を進めてまいりました「にしお特別支援学校」が4月に開校しました。3月29日には私も視察してまいりましたが、知的障害37学級、肢体不自由25学級あわせて62学級を設置し、西尾市・碧南市・安城市から約250人の児童生徒が通学しております。ちなみに、教職員は150人程度配置しております。これにより、安城特別支援学校の過大化による教室不足の解消と岡崎特別支援学校の長時間通学者の通学時間短縮が図られます。
 この「にしお特別支援学校」が、子どもたちの明るい笑顔にあふれ、地域の皆様に愛され、信頼される学校としてまいります。

 次に、STATION Aiプロジェクトの推進についてです。
 「STATION Ai」の2024年10月のオープンに先駆け、「PRE−STATION Ai」において、スタートアップの総合支援に取り組んでおりますが、今年度から、「STATION Ai」の整備・運営事業者であるSTATION Ai株式会社により本格始動しました。
  この始動にあたり、85社を「PRE−STATION Ai」の新メンバーとして決定し、4月7日、新体制のスタートとして、キックオフセレモニーを開催しました。
 本セレモニーでは大変な盛り上がりを見せ、数多くのスタートアップが集積し、交流を図ることの重要性を再認識する機会となりました。
  今後は、メンバーの活躍をしっかりとバックアップしていくとともに、こうした「PRE−STATION Ai」の活動を「STATION Ai」のロケットスタートにつなげ、世界に類例のないスタートアップ・エコシステムの形成を図ってまいります。

  次に、名古屋競馬場についてです。
 この4月に、土古競馬場の名前で多くの皆様に親しまれてきた名古屋競馬場を名古屋市港区から弥富市に移転しました。実に73年、土古競馬場で港区の皆様にお世話になりました。心から感謝申し上げます。競馬場の市域を越えた大がかりな移転は、佐賀競馬場以来50年ぶりとなります。新競馬場は、「コンパクトで臨場感のある競馬場」、「公園のような競馬場」をコンセプトに、様々なイベントを開催して、競馬以外でも気軽に立ち寄れる施設となっています。4月8日の初レースから非常に多くの方にご来場いただき、4月25日に開催したナイター競馬も大変好評でした。
 73年間開催した土古での名古屋競馬場のレガシーを引き継ぎながら、今まで以上に競馬ファンを魅了するレースを開催するとともに、新しいファンを獲得し、地域の皆様に親しまれる競馬場となるよう関係者一丸となって取り組んでまいります。
  なお、昨年度の名古屋競馬の馬券売上は、約636億円で、1986年に現在の3団体による愛知県競馬組合が設立されて以来、最低だった2011年度の約146億円の約4.3倍まで増加しており、借入金なしで弥富市への移転が実現しました。また、1993年度以来、29年ぶりに、今年度、一般会計に対して約2億円を繰り入れる予定です。

 次に、大河ドラマ「どうする家康」についてです。
 本県では、2月に、2023年の大河ドラマ「どうする家康」を活用し、家康公の生誕地・愛知の観光を盛り上げていくため、県や市町村、観光団体、経済団体、企業など102団体が参加して、「愛知県大河ドラマ『どうする家康』観光推進協議会」を設立しました。
 4月15日、「どうする家康」に徳川家康公役で主演される松本潤さん、NHK名古屋放送局の田辺局長、「どうする家康」の磯チーフプロデューサーが、愛知県大河ドラマ「どうする家康」観光推進協議会への番組制作のご挨拶に来られました。
 磯チーフプロデューサーからは、「地域と共に盛り上がるドラマにしたい」とお話をいただきました。また、松本潤さんからは、「家康公ゆかりの地をまわる中で、家康公が皆様に愛されており、期待されていることを感じている、皆様に楽しんでもらえる、元気になっていただける作品にしたい」と、お話をいただきました。松本さんがどのように家康公を演じられるのか、私も今からとてもワクワクしています。
 「どうする家康」と連携して、ドラマを見て訪れるファンや観光客の皆様に喜んでいただけるよう、地域振興・観光振興に取り組んでまいります。

  次に、「高校生ロボットシステムインテグレーション競技会」についてです。
  本県では、昨年に開催した「ロボカップアジアパシフィック2021あいち」及び「ワールドロボットサミット2020」の成果を継承し、モノづくり現場の自動化を担うロボットシステムインテグレータの人材創出を目的として、全国の高校生を対象としたチーム制による競技会を新たに開催することとしております。
 競技会に参加する10校のチームは、約8か月間かけて各チームを支援するサポーター企業から指導や助言を受けながら、ロボットシステムインテグレーションを学び、モノづくりを自動化する課題に取り組んでいきます。
  4月16日には、参加チームの最初の活動として、本競技会の趣旨やロボット産業などについて学ぶキックオフ講習会を開催しました。
 12月に開催する成果披露イベントまでの競技会の一連の取組を通じて、高校生にロボットシステムインテグレータの技術や業務への関心を高めていただき、次代を担う人材の創出を目指してまいります。

 次に、「国立長寿医療研究センター新棟の竣工」についてです。
 本県では、2017年に「あいちオレンジタウン構想」を策定し、「国立長寿医療研究センター」など、保健・医療・福祉の専門機関が集積する「あいち健康の森」とその周辺地域を中心として、「地域づくり」と「研究開発」の両面から「認知症に理解の深いまちづくり」に向けた様々な先駆的取組を進めております。
 この一環として、中核的役割を担う「国立長寿医療研究センター」の機能強化を図るため、県と国が協調して、新たな診療棟の整備について財政支援を行ってまいりました。「国立長寿医療研究センター」のようなナショナルセンターの施設整備に対して、都道府県が単独で補助を行った事例はこれまでなく、全国初のケースです。
 4月27日には、私も新たな診療棟の竣工記念式典に出席し、祝辞を述べ、テープカットを行いました。
 ここで得られる最先端の研究成果が、認知症医療の進展や地域医療への貢献、産学官連携による共同研究の更なる推進を通して、認知症施策の一層の推進につながることを期待しています。

 次に、フランス・イスラエル訪問についてです。
  5月16日から25日まで、フランスとイスラエルを訪問してまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響により、海外への訪問は2年4か月ぶりになります。
  最初の訪問地フランス・パリでは、まず、約10万uの展示面積を有するヨーロッパ最大規模の総合的な産業展「グローバルインダストリー」を視察してまいりました。
 この産業展は、Aichi Sky Expoの運営事業者の代表企業である「GL events」が主催しており、工作機械や産業用ロボットの日系企業など、約2,300社の企業が出展しております。
 会場では、「GL events」からAichi Sky Expoで2024年に開催する「Smart Manufacturing Summit by Global Industrie」の概要を発表するとともに、私からは開催地にふさわしい本県の産業特性や主要プロジェクトなどのプレゼンテーションを行いました。
  また、スタートアップ関連につきましては、2024年の開業を予定している「STATION A@」のモデルとしている「STATION F」を訪問し、「STATION Ai」の本格スタートに向け、アライアンスを組んで、強固な連携のもと、様々な共同事業を実施していくことで合意しました。
  さらに、スタートアップ支援機関である「Paris&Co」、「Bpifrance」も訪問し、既に締結している覚書に基づいて、スタートアップ支援やイノベーション創出に向けた相互連携を、より一層強化していくことを確認しました。
 また、パリ市のイノベーション担当、観光担当、スポーツ担当の3人の副市長、及び当日、都合により出席できなかったパリ市長の代理として国際関係担当副市長アルノー・エンガチャ氏と面談し、様々な分野における交流や相互連携を進めていくことで合意しました。
 さらに、私から、イノベーション、スポーツ、文化、観光、環境などの分野にわたる包括的な覚書の締結について提案しましたところ、エンガチャ国際関係担当副市長から、「パリ市は、愛知県との協力事業を進めることに前向きである」との発言があり、今後、具体的な連携内容を詰めていくことで合意しました。
 次に訪問したリヨンでは、「GL events」本社においてジノン会長と面談し、Aichi Sky Expoの運営や「Smart Manufacturing Summit by Global Industrie」の開催などについて意見交換を行い、より一層連携を強化していくことを確認しました。
 また、リヨンを圏都とするオーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏との間で「友好交流及び相互協力に関する覚書」を締結しました。ヨーロッパの地方自治体との覚書は、ベルギー3地域及びフランス・オクシタニー地域圏に続き、今回のオーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏で5例目となります。私から、同地域圏のボキエ議長に、スタートアップ、スポーツイノベーション、文化・芸術など幅広い分野における連携や、両地域の企業が参加するオンラインセミナーの開催、経済界によるミッションの相互派遣を提案したところ、全面的にご賛同いただき、「特にSTATION Aiには非常に興味があり、参考になる」との発言がありました。
  続いて訪問したイスラエル・エルサレムでは、まず、イスラエル政府の主要政策機関であるイノベーション庁を訪問し、イノベーション庁との間で「研究開発及び技術的イノベーションにおける両者間協力についての合意書」を締結しました。イノベーション庁のアッペルバウム会長から、「愛知県とは、より具体的なフレームワークでの連携をお願いしたい」との意向が示されたことから、従来の覚書から更に一歩踏みこんだ合意書という形での締結になりました。
 また、経済産業省への訪問では、国際貿易局長のオハッド・コーエン氏と面談し、経済を中心とした様々な分野での連携について意見交換を行いました。コーエン氏からは、「日本とイスラエルは自動車に関するハイテク技術など共通点も多く、イノベーションの分野で愛知県との関係を深めていきたい」という発言がありました。
  さらに、イスラエルのホロコースト記念館である「ヤド・ヴァシェム」では、慰霊の献花・記帳を行い、杉原千畝元領事代理の記念樹を訪問しました。次に、本県が整備した「杉原千畝広場 センポ・スギハラ・メモリアル」における展示内容の説明を行い、展示資料の提供に対し御礼を申し上げました。杉原千畝広場をつくるにあたって、様々な資料を「ヤド・ヴァシェム」からも無償で提供いただいています。また、ワシントンにあるホロコースト記念博物館からも相当な資料を無償で提供いただいております。今回、そのお礼も合わせて、参上させていただきました。そして、今後の交流・連携について意見交換を行うとともに杉原氏から「命のビザ」を受けたイスラエルの建国の功労者であり元宗教大臣であるゾラフ・バルハフティク氏の御子息、御息女と懇談することができました。このゾラフ・バルハフティク氏は、1948年イスラエル建国にサインをした10人の功労者のうちの1人でありまして、初代首相でありますベン=グリオン首相の隣にサインしている、まさに建国の功労者であります。この方が、杉原ビザサバイバーでありまして、リトアニア・カウナスからシベリア鉄道に乗り、日本で約1年滞在し、翌1941年に最後の氷川丸でアメリカに渡り、戦後、イスラエルに行って、独立戦争を勝ち抜いた方であります。その子どもさん4人と懇談することができました。当時生まれておられていたのは、一番上の方、長男だけであります。その方も82歳、当時は0歳。日本のことは憶えていないけれども、その後、家族でまた来て、日本は我々の心のふるさとだと言っていただいております。お会いしたのは、82歳、78歳、74歳、69歳の4名でありましたが、私も初めて会う気がいたしませんで、遠くの親戚のおじさん、おばさんに会いに来た感じがいたしました。そして、4人のご兄弟の方もご高齢でありましたけれども、最後の30分の面談だけではなく、広い「ヤド・ヴァシェム」に私が視察する時に、ほぼ2時間半に渡ってお付き合いいただき、最後、杉原氏の記念樹が植えられてから約40年経ち、大きな大木になっておりますが、自然と肩を組んで抱き合って、写真を撮らせていただきました。時折、目を拭いておられました。心がつながっているという感じがいたしました。「ヤド・ヴァシェム」の館長補佐に立ち会っていただきましたが、こんなに心打たれる面談に初めて立ち会ったと言っていただきました。これからもこうした心のつながりは大事にしていきたいと思っております。
 最後に訪問したテルアビブでは、スタートアップ支援機関である「Start−Up Nation Central」との間で「オープンイノベーション支援における連携協力に関する覚書」を締結し、愛知県企業とイスラエルのスタートアップとの幅広い分野でのマッチングを進めていくことで合意しました。
  今回の渡航の総括としましては、本県の新たな連携先としてイスラエルが加わったこと、そして既に連携している政府機関や支援機関の方々も含め、本県のスタートアップ・エコシステム形成に向けたグローバルなネットワークをより強固にすることができたと考えております。特に、イスラエルの皆様とは、グローバル企業のビジネスコンサルタント関係の方ともお会いしましたが、最後に必ず、日本人と我々は心がつながっているんだと、一緒にやりたいんだという熱いハートがつながっているということを何度も複数の方から聞きました。私も全くの同感でありまして、ビジネスの理屈を超えたところのつながりがあると思いますから、我々愛知とイスラエルとのビジネスマッチングは上手くいくと確信しております。さらに関係を深めていきたいと思っております。相手は世界を代表する頭脳王国でありますから、よくよくしっかりと学んでいきたいと思っております。さらに、経済や文化、スポーツなど幅広い分野での将来にわたる連携の拡大につながる大変有意義な訪問になったと考えております。この成果を日本・愛知とフランス、イスラエルとの更なる連携の強化・発展につなげてまいります。

  次に、交通安全対策の推進についてです。
  昨年、本県の交通事故死者数は、3年連続で全国ワースト1位を脱しましたが、本年は、年初から死亡事故が多発し、3月31日から4月9日まで、本年初となる「交通死亡事故多発警報」を発令するなど、交通事故情勢は、大変厳しい状況となっています。
  このため、多発している高齢者の交通事故防止対策として、2020年度と2021年度に「愛知県高齢者交通安全広報大使」としてご活躍いただいた、本県出身の俳優・松平健さんをモチーフとした、「マツケンサンバU」オリジナル反射ストラップを作成しました。このストラップを高齢者の方を中心に配布するなど、夜間の交通事故防止に効果が高い反射材の着用を呼びかける活動を展開しております。
 また、県警察や市町村、関係諸団体と連携した交通安全運動に加え、横断歩道における歩行者保護、自転車の交通ルール遵守の徹底、あおり運転や「ながらスマホ」といった危険運転の防止など、法令遵守と運転マナーの向上を、引き続き強く訴えてまいります。
 今後とも、県民総ぐるみの交通安全対策をより一層推進し、交通事故及び交通事故死者数の減少に全力で取り組んでまいります。

 それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げます。
 補正予算は、一般会計で145億2,181万余円を増額補正するものです。
 新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数の急激な増加が続いた第6波の影響による自宅療養者数の増加に伴い、配食サービスの実施に要する経費を増額します。
 また、医療費の公費負担分や、往診や訪問を行う医療機関・訪問看護ステーションに対する交付金についても増額してまいります。
 さらに、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、食費等の物価高騰等に直面する、ひとり親子育て世帯の生活を支援するため、特別給付金を可能な限り速やかに支給してまいります。
 このほか、本県におけるイノベーションの創出を強力に推進するため、イノベーション創出に向けた重点政策分野や県の施策の方向性を明らかにする「革新事業創造戦略」を策定するとともに、地域の産学官金がイノベーションの創出に向けたアイデアを提案・共有し、優れた提案の具体化に向けた検討を行ってまいります。

  次に、補正予算案以外の議案につきましては、人事案件など5件及び先般の2月定例県議会以降におきまして専決処分をいたしました愛知県県税条例等の一部改正についてです。
 主な案件につきまして、ご説明申し上げます。
 まず、人事関係議案につきましては、監査委員の辞任に伴い、後任者を選任するものです。
  次に、愛知県県税条例等の一部改正につきましては、地方税法等の一部を改正する法律が去る3月31日に公布されたことに伴い、法律の施行に合わせ、4月1日から愛知県県税条例等を改正する必要があるため、専決処分を行ったものです。
  その主な内容といたしましては、法人の事業税におけるガス製造事業者が行う製造及び小売に係る事業について、収入割額のみにより課する方式を見直すとともに、不動産取得税における税額の減額措置等の適用期限を延長するものなどです。
  ここに、ご報告を申し上げ、ご承認をお願いするものです。

  以上、提案をいたしております案件につきまして、その概要をご説明申し上げました。どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますよう、お願いを申し上げます。