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県議会知事提案説明

令和5年9月定例県議会 知事提案説明要旨


 このたびの定例県議会に提案をいたしました諸議案のご説明に先立ちまして、まず、大雨による災害について申し上げます。
 6月下旬から7月中旬にかけて停滞した前線に伴う大雨の影響により、九州地方や東北地方を中心に各地で人的・住家被害が発生いたしました。
 被災された方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、被災地域の一刻も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
 こうした中、国は、8月25日の閣議において、本県に甚大な被害をもたらした6月2日の大雨による災害について「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づく激甚災害に指定することを決定しました。
 これにより、農地等の災害復旧事業等に係る補助の特例措置等が適用されることから、本県にとっても今後さらに復旧が加速するものと期待しております。
 また、これまで本県で実施してきた災害復旧資金は、災害救助法が適用される大規模な災害により被害を受けた中小企業者を対象としてきましたが、9月1日より、同法の適用がなくとも、災害時の事業継続に必要な資金を速やかに調達できる常設の融資制度を創設し、取扱金融機関の県内店舗で受付を開始しております。
 今後とも、大雨などの災害の発生に備え、緊張感も持ちながら、県民の皆様の安全・安心の確保に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
 本県では、5類感染症への移行後も、県内195か所の定点医療機関における把握を行っており、先週木曜日21日の発表時点では、定点あたりの報告数、入院患者数とも前週から減少しておりますが、4月上旬に比べて新規陽性者数は約17倍となっておりまして、7月半ば以降、第9波に入ったと言える厳しい状況にあります。
 7月31日には、社会経済圏が深く重なり合っている愛知・岐阜・三重県が連携して感染拡大防止対策を進めるため、「3県知事共同メッセージ」を発出いたしました。
 そして、8月8日には、県民の皆様に、改めて基本的な感染防止対策をお願いするメッセージを発出いたしました。
 また、国から10月1日以降の対応について、新たな方針等が示されたため、改めて事業の見直しを行いました。
 基本的には、国の方針に則り対応してまいります。主な内容として、相談体制につきましては、県民の皆様が引き続き安心して相談いただけるよう、受診・相談窓口、ワクチン関連相談窓口はともに来年3月末まで継続してまいります。
 医療提供体制については、より幅広い医療機関で受診・入院ができるよう、引き続き医療機関に対する支援を継続しつつ、対応いただける医療機関を更に拡大してまいります。
 医療費については、9月末までは全額公費負担となっている新型コロナ治療薬に関して、公費負担は継続しつつも、医療費の自己負担割合に応じた自己負担が発生することになります。
 ワクチン接種につきましては、来年の3月末までは自己負担なしでの接種を継続します。今月20日からは、生後6か月以上の全ての方を対象とした追加接種が始まっており、希望される皆様が速やかに接種を受けられるよう、引き続き、市町村、医療機関、医師会等関係団体の皆様と連携を図り、取組を進めてまいります。
 今後もオール愛知一丸となって、安心な日常生活を取り戻し、社会経済活動を回していくことができるよう、しっかりと取り組んでまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

 それでは、県政を取り巻く最近の状況について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。
 はじめに、最近の経済情勢と本県の財政運営、経済・産業の活性化についてであります。
 我が国の経済は、緩やかに回復しており、また、先行きにつきましても、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されます。
 しかしながら、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
 このような中、本年度の県税収入につきましては、現時点では、概ね見込みどおりに推移しておりますが、今後の景気や企業収益の動向に十分注意を払いながら、慎重に税収を見極めてまいります。
 来年度の予算編成に向けましては、まずは、本年度当初予算で1,424億円もの多額の取崩しを計上した基金残高の回復を図るため、本年度内の一層の財源確保に努めるとともに、引き続き、歳入歳出両面にわたる行財政改革に全力で取り組んでまいります。
 こうした取組に加え、経済・産業の活性化を進めることにより、地域の雇用を維持・拡大し、税収の確保につなげることも重要です。
 このため、2012年度に創設した本県独自の「産業空洞化対策減税基金」による補助制度により、7月には企業立地・再投資の分野で本年度第1回の採択案件26件を決定したところであります。これまでの決定分と合わせますと、補助対象案件は478件、総投資額は8,100億余円となり、6万9千名を超える常用雇用者が維持・創出される効果が見込まれております。
 また、研究開発や実証実験の支援では、これまでに905件を採択し、高付加価値のモノづくりの維持・拡大を図っております。
 こうした取組を踏まえ、10月5日、6日には、「Aichi Sky Expo」において、これまでの研究開発成果を一堂に集めた展示会「あいちモノづくりエキスポ2023」を開催し、事業化や販路拡大を促進してまいります。
 今後も、次世代自動車、航空宇宙、環境・新エネルギー、健康長寿、IT・ロボットなど、今後成長が見込まれる分野で高付加価値のモノづくりの維持・拡大を図り、世界の一歩先を行く「産業首都あいち」、さらには「国際イノベーション都市」の実現を目指してまいります。
 次に、国際芸術祭「あいち2025」についてであります。
 2025年度の開催に向けて、7月5日に、新たな芸術監督として、アラブ首長国連邦出身のフール・アル・カシミ氏にご就任いただきました。
 フール・アル・カシミ氏は、「シャルジャ・ビエンナーレ」のキュレーター・ディレクターや、国際ビエンナーレ協会の会長を務められるなど、豊富な経験と実績に加え、美術関係を中心とした世界的ネットワークも有していることから、国内外における国際芸術祭「あいち」の知名度をこれまで以上に高められると考えております。
 また、国際芸術祭「あいち」では初の海外出身の監督であることから、新たな視点による芸術祭が開催されるものと期待しております。
 引き続き、本県の文化芸術の発展、さらには地域の魅力向上につながる芸術祭となるよう、しっかりと支援してまいります。
 次に、7月7日に富山県で開催された「第118回中部圏知事会議」であります。
今回の会議では、新型コロナウイルス感染症対策や社会インフラの整備、地方創生の推進、防災対策、少子化対策など、中部圏の諸課題について、中部9県1市の知事、市長が協議し、17項目の国への提言を取りまとめました。
 国への提言の協議では、私から、「リニア中央新幹線の東京・名古屋間開業効果の最大化と一日も早い全線開業の実現」や「アジア競技大会・アジアパラ競技大会の開催に対する支援」について提案し、採択されました。
 また、本県の「休み方改革」プロジェクトの取組を紹介し、中部圏の各自治体でも、平日や閑散期に旅行できるような枠組みや家族が出かけやすい環境づくりに取り組んでいただき、「休み方改革」の輪を広げていくことで、中部圏の観光地の活性化、観光産業の生産性の向上につなげてまいりたいと申し上げました。
 今後とも、中部圏知事会の会長といたしまして、各県の知事や市長と力を合わせて、中部圏の更なる飛躍に向けて全力を尽くしてまいります。
 次に、ドイツ・フランス訪問についてです。
 7月9日から16日まで、ドイツとフランスを訪問してまいりました。
まず、10日に、ドイツ・デュッセルドルフ市で、ノルトライン・ヴェストファーレン州経済省及びスタートアップ支援拠点の方々と、スタートアップ支援に関する意見交換を行いました。
 続いて、ノルトライン・ヴェストファーレン州のヘンドリク・ヴュスト首相と面談し、来年3月に「Aichi Sky Expo」で開催される「SMART MANUFACTURING SUMMIT BY  GLOBAL INDUSTRIE」へのノルトライン・ヴェストファーレン州企業の参加を始め、スタートアップ、水素・再生可能エネルギー、文化・芸術の3つの分野で連携を進めていくことで合意いたしました。
 11日は、昨年5月に「友好交流及び相互協力に関する覚書」を締結したフランスのオーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏を訪問しました。グルノーブル市では、エネルギー転換やデジタル技術等の国立研究機関である原子力・代替エネルギー庁(CEA)を訪問し、産学官連携によるスタートアップ創出に向けた取組を視察しました。私からは、本県産業の優位性やスタートアップ支援策、海外のスタートアップ支援拠点・大学との連携事業等の取組について説明し、今後の連携について呼び掛けました。
 また、リヨン市において、再生可能エネルギーやモビリティ等の研究を行うフランス石油・新エネルギー研究所(IFPEN)と、オーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏政府及び民間企業との共同出資による官民合同会社「HYmpulsion」が整備を進める水素充填ステーションを視察しました。
 続いて、オーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏のローラン・ボキエ議長と面談し、スタートアップ関連のオンラインセミナーの共同開催など、更なる連携について協議しました。また、「SMART MANUFACTURING SUMMIT BY GLOBAL INDUSTRIE」への出展とボキエ議長の来県を要請したところ、ボキエ議長からは、「是非参加したい」と前向きな発言をいただきました。
 その後、「Aichi Sky Expo」の運営事業者の代表企業である「GL events」のオリビエ・ジノン会長及び「GL events Venues」のクリストフ・シゼロンCEOと面談し、「SMART MANUFACTURING SUMMIT BY GLOBAL INDUSTRIE」の運営などについて意見交換を行うとともに、今後も一層連携を強化していくことを確認しました。
 12日は、パリ市で、世界最大級のスタートアップ支援拠点である「STATION F」を訪問し、最高運営責任者のロクサーヌ・ヴァルザ ディレクターと面談しました。STATION Aiとの連携などについて意見交換を行い、施設間相互の人材交流など、STATION Ai開業後を見据えた新たな連携事業を進めていくことで合意しました。
 13日には、「パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場」で開催された日本文化を紹介する欧州最大規模のフェスティバル「第23回Japan Expo」において、本県の観光についてプロモーションを行いました。
 ステージイベントでは、本県で開催された「ワールド・コスプレ・サミット2022」で優勝した方たちと登壇し、ジブリパークやコスプレ・カルチャーなど本県の魅力を発信するとともに、会場内に設置した愛知県ブースでPRを行いました。
 14日は、フランス共和国政府から招待を受け、「フランス革命記念日行事」に出席しました。また、パリ市のピエール・ラバダン スポーツ担当副市長と面談し、2024年の「パリオリンピック・パラリンピック」と、2026年に愛知県で開催する「アジア・アジアパラ競技大会」との連携を呼び掛けました。さらに、私から、スポーツ、環境、観光、文化・芸術など、本県とパリ市による幅広い分野での相互の連携推進を確認する「相互連携に関する意向表明書」をお渡しいたしました。
 続いて、パリ市政府から招待を受け、パリ市主催レセプションにも出席いたしました。会場では、ジャウマ・コルボニ バルセロナ市長と面談し、スタートアップを始めとする産業政策やスポーツ振興等について、意見交換いたしました。
 今回の渡航で、新たな連携先にドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州が加わり、また様々な機関とネットワークを構築できたことは、将来にわたる本県の発展への布石になる、大変意義深いものであったと考えております。
 今後も、ドイツやフランスとの友好関係をさらに深め、スタートアップ支援、産業経済、水素・再生可能エネルギー、文化・芸術など、幅広い分野での交流を推進し、本県の更なる発展につなげてまいります。
 次に、小田凱人選手のウィンブルドン選手権優勝についてです。
 7月16日に、ロンドン郊外のオールイングランド・クラブで、ウィンブルドン選手権2023の車いす部門の男子シングルス決勝戦が行われ、一宮市出身の小田凱人選手が史上最年少で初優勝を果たされました。
 世界で最も権威のあるウィンブルドン選手権での優勝、そして、6月に行われた全仏オープンに続く四大大会連覇は、まさに歴史にその名を刻む偉大な勝利です。
 愛知県民の皆様とともに、心からお祝いを申し上げます。
 本県ゆかりの選手が活躍されることは、県民に大きな夢と希望を与えるとともに、障害に対する理解を深めることにもつながります。
 今後とも、世界の大舞台で活躍されることを大いに期待いたしております。
 次に、「休み方改革」プロジェクトについてです。
 本県では、ワーク・ライフ・バランスの充実と生産性向上による地域経済の活性化を目指して、「愛知県『休み方改革』プロジェクト」を実施しているところであります。
 7月21日、私がリーダーを務める全国知事会「休み方改革プロジェクトチーム」で取りまとめた「『休み方改革』の推進に向けた提言」について、斉藤国土交通大臣、永岡文部科学大臣、長峯経済産業大臣政務官、日本商工会議所の小林会頭、伊達担当副代表幹事を始めとした経済同友会の方々、日本労働組合総連合会の芳野会長と、8月3日に、日本経済団体連合会の小路副会長と、それぞれ面会し、要請を行ってまいりました。
 また、7月25日、26日に開催された全国知事会議では、「休み方改革プロジェクトチーム」の活動報告を行い、提言及び各自治体や企業等の先進的な取組を集めた「先行事例集」についてご説明しました。
 さらに、「休み方改革」プロジェクトの取組の一環として、本県では、家族と子どもが一緒に過ごせる仕組みづくりを進めるため、「県民の日学校ホリデー」と「ラーケーションの日」を創設しました。
 「ラーケーションの日」は、学校外での体験や学びの活動を、子どもが保護者等と一緒に計画し、平日に実行できる日で、9月1日以降、準備の整った地域・学校から、順次スタートしていきます。また、「県民の日学校ホリデー」は、毎年11月21日から27日までの「あいちウィーク」期間中の平日1日を、学校や市町村が指定して学校休業日とするものであります。
 これらの取組が円滑に実施され、家族と子どもが一緒に豊かな時間を過ごせるよう、9月4日に私から保護者・児童生徒、及び教職員の皆様に向けてメッセージを発出いたしました。
 今後も「休み方改革」を推進し、この愛知発の取組を全国へ広げてまいります。
 次に、大相撲名古屋場所千秋楽表彰式についてであります。
 7月23日に、大相撲名古屋場所が千秋楽を迎え、優勝決定戦の末に初優勝を果たした豊昇龍関に、私から七宝焼の愛知県知事杯を授与しました。また、知事賞の副賞として、名古屋コーチンの肉100kgと卵1,000個、バラ・キクなど200本のあいちの花で作った花束を贈呈いたしました。
 さらに、私が名誉会長を務めるみかわ牛銘柄推進協議会から、協議会賞としてみかわ牛のトロフィーを授与するとともに、副賞として、みかわ牛のロース肉1頭分を贈呈いたしました。
 今後も、様々な機会を通じて、農産物を始めとした愛知の魅力を積極的に発信してまいります。
 次に、全国知事会議についてであります。
 7月25日、26日に山梨県で開催された全国知事会議に出席し、地方自治体が直面する諸課題について議論を交わしてまいりました。
 私からは、子ども・子育て予算の倍増と財源の安定確保について、児童手当の拡充を始めとした全国一律で行う施策に伴い生じる地方負担の財源を国において確実に確保するとともに、地域の実情に応じ、地方自治体が独自の判断で対策が実施できるよう、十分な財源を確保すべきであると申し上げました。
 また、どのような環境にある子どもも家族と共に平等に生活が営める社会の実現、地方税財源の確保・充実等、リニア中央新幹線の早期実現についても意見を申し上げたほか、私がリーダーを務める「休み方改革プロジェクトチーム」の活動報告等を行いました。
 さらに、大阪・関西万博に関する意見交換では、大阪・関西万博が行われる2025年は、愛知万博から20周年の節目の年でありまして、本県も催事に出展し、一緒に万博を盛り上げていきたいと申し上げたほか、「日米知事オンラインミーティング」では、本県と米国との連携・協力関係についてご説明いたしました。
 今後も、全国の知事と連携しながら、的確な政策を実現できるよう、全力で取り組んでまいります。
 次に、エマニュエル駐日米国大使の杉原千畝広場視察についてであります。
 7月31日に、米国のエマニュエル大使が「杉原千畝広場 センポ・スギハラ・メモリアル」の視察のため、県立瑞陵高等学校を訪問されました。
 視察に先立って行われた大使との面談では、私から、5月の米国渡航で「ホロコースト記念博物館」と「米国ユダヤ人協会」を訪問し、「センポ・スギハラ・メモリアル」の関連資料を収めたフォトブック等を寄贈したことなどをお伝えし、大使にも同じフォトブックを贈呈いたしました。
 続いて開催された大使と瑞陵高校生徒との交流会では、大使から、杉原千畝氏に救われた方の子孫が世界で活躍していることなどをお話しいただだいたところであります。また、大使には生徒からの質問一つ一つに丁寧にお答えいただきました。
 その後、「センポ・スギハラ・メモリアル」をご案内し、大使からは、「杉原千畝氏の行動は、忘れてはいけない重要な歴史の1ページである。今日は貴重な機会をいただき感謝する」との発言がありました。
 そして、9月14日には、東京の米国大使館で再び大使と面談し、「センポ・スギハラ・メモリアル」の視察と瑞陵高校生徒との交流会に出席いただいたことについて、改めてお礼を申し上げました。また、米国内における、杉原千畝氏の功績の更なる周知・PRにお力添えをお願いしたいと申し上げ、大使からは、「力になれることがあれば協力していきたい」との発言がありました。
 今後も、ホロコーストの記憶を若い世代に伝え、二度と同じ悲劇が起きることがないように、平和と交流の輪を広げてまいります。
 次に、どのような環境にある子どもも家族と共に平等に生活が営める社会の実現についてであります。
 少子化の進行は、国家存続にも関わる大変な危機であり、経済的な支援と合わせて、希望する人が安心して子どもを産み、育てることができるよう、社会の構造や意識を変えていく必要があります。
 我が国では、婚姻届を出さずに事実婚の状態で生まれた子どもは「非嫡出子」となり、原則、母親の単独親権となるなど、生まれてくる子どもが十分な法的保護を受けられないということが問題にあります。
 一方、フランスには、共同生活を営むための契約を結ぶことで婚姻に準ずる法的保護を受けられる「連帯市民協約(PACS)」という制度があり、生まれた子に対して両親が共に親権を行使できるなど、親子関係が保障されております。
 我が国においてもそうした制度を整え、どのような環境にある子どもも、家族と共に平等に生活を営める社会を実現していく必要があります。
 こうしたことから、本県では、事実婚の状態にあるカップルが届出・登録を行うことで、子どもの共同親権など、婚姻に準じた法的保護が受けられる「日本版PACS」制度の創設について、国へ働きかけていくこととし、7月25日、26日に開催された全国知事会議において、賛同を呼びかけたところであります。
 そして、8月3日には、齋藤法務大臣、こども家庭庁の自見内閣府大臣政務官とそれぞれ面談し、「日本版PACS」制度の創設について、要請を行ってまいりました。
 さらに、本県としても、様々な事情により婚姻を選択できないカップル及び生計を同一にする子どもが、家族として平等に生活を営めるようにするための環境整備として、同性・異性を問わず、全てのカップルとその子ども等を含めた都道府県初となる「ファミリーシップ制度」の導入に向けた検討を進めることといたしました。
 9月7日に開催した「第2回愛知県人権施策推進審議会」において、制度設計に係る骨子案をお示ししたところでありますが、来年4月1日からの制度運用開始を目指し、改めて進めてまいりたいと考えております。
 今後も、どのような環境にある子どもも家族と共に平等に生活が営める社会の実現に向けて、また、「愛知県人権尊重の社会づくり条例」の理念である「多様性を認め合い、誰一人取り残されることのない人権尊重の社会づくり」をさらに前進させるため、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、ジブリパークについてであります。
 昨年11月1日に開園した第1期3エリアに続きまして、現在進めている第2期2エリアの開園日が、「もののけの里」は今年11月1日に、「魔女の谷」は来年3月16日に決定いたしました。
 この新たなエリアの開園に伴い、ジブリパークの面積は現在の3.4ヘクタールから、7.1ヘクタールへ倍増し、楽しさもグレードアップしてまいります。
 残る工事を円滑に進め、第2期2エリアのオープンに向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
 また、愛・地球博記念公園において、8月4日に「猫の城遊具」をオープンし、ジブリパークのチケットを持っていない子どもたちにも楽しんでいただいております。
 さらに、「魔女の谷」のオープンに合わせまして、「魔女の谷」の北側にある山の斜面に、「魔女の谷のみえる展望台」やバリアフリー経路としての昇降設備の整備を進めているところであります。
 加えて、トヨタ自動車株式会社、MONET Technologies株式会社、豊栄交通株式会社、株式会社スタジオジブリの4社と愛知県は、トヨタ自動車株式会社が開発した電動低速モビリティ「APM」を活用して、愛・地球博記念公園内において、スタジオジブリの作品に登場するキャラクター「ネコバス」をイメージした車両「APMネコバス」を、今年度内に運行開始することに合意しました。
 愛・地球博記念公園は、昨年11月のジブリパーク開園以来、平日でも多くの来園者で賑わっており、公共空間におけるモビリティサービスの新たな可能性を見出す場として、最適な環境を有しております。
 引き続き、より多くの皆様に楽しんでいただけるよう、愛・地球博記念公園の魅力向上に、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、警察署の整備についてであります。
 9月19日に供用開始した豊川警察署については、8月4日に開催された新庁舎の完成式に、私も出席いたしました。
 新庁舎は、バリアフリー化に加え、待合スペースの拡張や相談者のプライバシーに配慮した相談室の増室など、地域の皆様の利便性、快適性に配慮するとともに、新庁舎の外観には、豊川市内の神社仏閣、東三河地域の伝統文化をモチーフとしたデザインを採用するなど、県民に親しまれやすい、まちと調和した庁舎となるよう配慮しております。
 また、敷地をかさ上げし、新庁舎を道路面より高く設定したほか、72時間連続稼働が可能な非常用発動発電機や3日分の給水が可能な受水槽を設置するなど、大規模災害時の警備活動拠点としても機能する庁舎としております。
 今後も、地域の皆様に親しまれる警察署となることを期待するとともに、新庁舎を拠点に安全・安心なまちづくりを一層推進してまいります。
 次に、リニア中央新幹線の建設促進についてです。
リニア中央新幹線の名古屋・東京間においては、沿線各地で本格的な建設工事が進んでおり、県内においてもリニア名古屋駅の新設工事を始め、全工区で建設工事が順調に進捗しております。
 こうした中、8月10日に、私が会長を務める「リニア中央新幹線建設促進愛知県期成同盟会」の総会を開催し、名古屋・東京間の早期整備はもとより、名古屋駅のスーパーターミナル化や県内各地域で進められている駅周辺のまちづくり事業の積極的な支援・協力を決議いたしました。
 引き続き、日本を大きく成長させるこの国家的プロジェクトの早期実現に向け、県内外の皆様とともにしっかりと取り組んでまいります。
 次に、米国・南米訪問についてです。
 8月20日から31日まで、米国、ペルー、アルゼンチン、ブラジルを訪問してまいりました。
 最初の訪問地、米国・ロサンゼルス市では、まず、20日にユダヤ教の指導者である、デイビッド・ウォルペ師と面談をいたしました。
 ウォルペ師は、2018年に本県が整備した「杉原千畝広場 センポ・スギハラ・メモリアル」の完成記念式典にご出席いただいて以来の再会となり、当時の来県について、改めて御礼を申し上げるとともに、杉原千畝氏の人道的功績などについて意見交換を行いました。
 21日は、名古屋港と姉妹港提携するロサンゼルス港を訪問し、豊田通商アメリカ社から、ロサンゼルス港での水素製造や水素利活用の実装実証など、燃料電池に関する取組について説明を受け、港での荷役作業で水素を利活用するための移動式水素充填車を視察いたしました。
 続いて、アンシュッツ・エンターテインメント・グループが運営するクリプト・ドットコム・アリーナを視察し、テッド・タナー上級副社長からアリーナ運営やアリーナを核とした地域整備について説明を受けました。
 視察後、アンシュッツ・エンターテインメント・グループのテッド・フィクレ副会長と面談し、愛知国際アリーナで開催する国際イベントの誘致や海外の最先端アリーナにおける取組等について意見交換を行い、世界最高水準のアリーナにふさわしいコンテンツの誘致など、今後、連携を一層強化していくことを確認いたしました。
 23日には、愛知県知事として初めてペルーを訪問しました。
 まず、リマ市において、イグナシオ・イゲラス・ハレ外務副大臣と面談し、2007年の名古屋での総領事館開設についてお礼を申し上げるとともに、県内に在住するペルー人への日本語教育支援や医療相談など、本県の取組について説明をいたしました。
 続いて、リマ市郊外のアテ地区というところにある「アイチ・ナゴヤ学校」を訪問し、1991年に県内で集められた募金を原資の一部として、翌92年に整備された学校が、現在でも子どもたちの教育という重要な使命を果たしている様子を視察いたしました。1,400人の子どもが、今も毎年通っていただいているということで、これは本当に心の通った、生きた支援だと思わせていただきました。
 その後、ペルー日系人協会を訪問し、フアン・カルロス・ナカソネ・オオシロ会長と面談するとともに、協会が保有する日秘文化会館内にある日本人ペルー移住史料館を訪問し、日本人のペルー移民の歴史について説明を受けました。
 25日には、アルゼンチンの在亜日本商工会議所を訪問し、現地に進出している愛知県企業の幹部と面談し、アルゼンチンにおける外貨・輸入規制等の課題を聞き取るとともに、経済状況について意見交換しました。
 その後、アルゼンチン外務省のギジェルモ・メレディス外務次官と面談し、本県からの進出企業に対する、外貨・輸入規制等の課題への支援について申入れをいたしました。
 さらに、石井県議会議長始め県議会議員の皆様とともに、在アルゼンチン愛知県人会総会に出席し、長年、現地日系社会の発展に尽力された高齢者の皆様に賀寿状を贈呈するとともに、県人会役員の皆様に感謝状を贈呈いたしました。総会終了後には、県が主催する祝賀会で、県人会の方々の長年の労をねぎらい、交流を深めました。
 27日には、ブラジル・サンパウロ市において、石井県議会議長始め県議会議員の皆様とともに、ブラジル愛知県人会創立65周年記念式典と祝賀会に出席し、高齢者の皆様に賀寿状を、そして県人会役員の皆様に感謝状を贈呈いたしました。
 また、ブラジル日本移民史料館を訪問し、日本からの移民の歴史やブラジル社会での日系人の活躍などについて説明を受けました。さらに、ブラジル日本移民開拓先没者慰霊碑に、石井県議会議長とともに献花を行い、ブラジルにおける日系社会の礎を築いた日本人移住者の霊を慰めました。
 先に申し上げた、ブラジルでの賀寿状は、最高齢者は100歳。99歳、98歳と、95歳以上の方が11名おられる。この方々は1世だと思います。賀寿状をお渡しできて、大変うれしく思わせていただきました。ありがとうございました。
 そして、28日は、サンパウロ州政府で、フェリシオ・ハムート副知事始め幹部の皆様と面談し、両地域の友好交流の促進に向けて、意見交換を行いました。同州とは2018年に「友好交流及び相互協力に関する覚書」を締結しておりますが、今回、現行の覚書の見直しと、連携事業の拡大について提案をいただき、今後、検討を進めていくこととなりました。
 29日は、首都ブラジリアを訪問し、連邦下院議員である、ヴィトール・リッピ氏、ルイス・ニシモリ氏、キン・カタギリ氏、マルセル・ヴァン・ハッテン氏、ペドロ・アイハラ氏と面談し、本県企業の進出に対する継続的な支援などについて意見交換を行いました。
 また、ブラジル外務省のエドゥアルド・パエス・サボイア アジア・大洋州・ロシア二国間交渉担当副次官と面談しました。私から、本県とブラジルとの関係について説明し、ブラジルの日系企業が円滑に事業を行えるよう、引き続きの支援をお願いいたしました。
 続いて、開発・産業・貿易・サービス省のマルシオ・ホーザ特別次官と面談し、ブラジルと愛知・日本の協力関係の重要性や、再生エネルギーへのエネルギー転換の取組などについて意見交換を行いました。
 このたびの渡航を契機に、米国、ペルー、アルゼンチン及びブラジルとのつながりをより深め、経済、文化、教育など幅広い分野の交流を進めることで、本県の更なる発展につなげてまいりたいと考えております。
 次に、防災対策の推進についてです。
 今年は、関東大震災から100年となりますが、南海トラフ地震等の発生が危惧される本県では、地震災害への備えが大変重要です。
 このため、9月1日の「防災の日」には職員参集訓練や災害対策本部運用訓練を行い、職員の対処能力の向上を図るとともに、過去最多の120万人を超える県民の皆様に参加していただき、県内全域で、「あいちシェイクアウト訓練」を実施しました。
 また、9月3日に安城市総合運動公園において、「愛知県・安城市総合防災訓練」を実施し、救出救助や避難所開設等の実践的な訓練を実施いたしました。
引き続き、県民の皆様の安全・安心を確保する防災対策にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、矢作川・豊川カーボンニュートラルプロジェクトについてです。
 本県では、矢作川流域をモデルケースとして、「水循環」をキーワードに、官民連携で総合的かつ分野横断的にカーボンニュートラルの実現を目指す、「矢作川カーボンニュートラルプロジェクト」に取り組んでおり、私が会長を務める「矢作川CN推進協議会」において検討を深めてまいりました。
 その結果、水力の更なる活用や汚水処理施設における使用電力量の削減、森林クレジットの活用などの施策で具体化が進んでいるところであります。
 こうした成果を踏まえ、9月1日に開催した協議会において、本プロジェクトの対象地域を、豊川流域を含む三河全域に広げ、「矢作川・豊川カーボンニュートラルプロジェクト」として展開していくとともに、協議会の名称を「矢作川・豊川CN推進協議会」に改め、プロジェクトの新たな推進体制を構築していくことといたしました。
 今後も、本県がトップランナーとなって先進的な取組を推進し、その成果をしっかりと発信していくことで、我が国のカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
 次に、STATION Aiプロジェクトの推進についてであります。
 本県では、2018年10月に策定した「Aichi-Startup戦略」に基づき、STATION Aiプロジェクトを推進しております。
 その取組の一環として、本県では、超高齢社会の課題解決に向けて、国立長寿医療研究センターを中核とした産学官連携による共同研究やスタートアップ等との連携による新たなビジネスモデルの創出の支援に取り組んでおり、昨年12月には、新たなヘルスケアサービス・ソリューションの創出を目的として、「あいちデジタルヘルスプロジェクト」の立ち上げに向けて、国立長寿医療研究センター及び民間事業者4社と連携協定を締結いたしました。
 そして、それを受けて、そのあと加入された方を拡大し、9月6日には、プロジェクトの賛同企業や研究機関・大学、自治体等の33者が発起人となって、「あいちデジタルヘルスコンソーシアム」を設立いたしました。
 今後、コンソーシアムのメンバーと手を携え、「あいちデジタルヘルスプロジェクト」を強力に推進し、超高齢社会の課題を解決するとともに、本県経済の活性化にもつながるイノベーションを次々に生み出してまいります。
 また、本県では、県内の各地域において、地域特性や強みを活かして主体的にスタートアップ支援に取り組む機関などをSTATION Aiパートナー拠点と位置づけ、STATION Aiとの相互連携・協力関係の構築を進めているところであります。
 2021年10月には、農業や食に関する地域特性を持つ東三河地域の「東三河スタートアップ推進協議会」をSTATION Aiパートナー拠点第1号と位置づけ、地域発スタートアップの創出やスタートアップ・エコシステムの形成に向け、事業支援に取り組み、支援プログラムに参画したスタートアップがサービスを開始するなどの成果が生まれております。
 そして、このたび、大府市及び東浦町地域における健康長寿の一大拠点の形成を目指す「ウェルネスバレー推進協議会」をSTATION Aiパートナー拠点第2号と位置づけ、9月21日に覚書を締結いたしました。
 ウェルネスバレー推進協議会では、協議会の構成団体である国立長寿医療研究センターを始め健康長寿関連機関の集積を活かした医療健康長寿分野におけるスタートアップの創出・育成・誘致の取組を推進しており、本県としましても、STATION Aiとの連携により、支援体制を強化してまいります。
 今後も、各地域の特性や強みを活かしたパートナー拠点の設立を促進し、地域一丸となって、スタートアップの創出・育成・誘致に向けた施策を着実に実行することで、愛知独自のスタートアップ・エコシステムを形成してまいります。
 次に、「2023日台観光サミットin愛知」についてです。
 9月7日から10日まで、日本と台湾の観光交流の促進と、交流人口の拡大を目指して双方の旅行業界・観光業界のトップが集う「2023日台観光サミットin愛知」が開催されました。我が国での開催は、4年ぶりとなります。
 サミットの中核となる8日の国際会議に私も出席し、ご挨拶を申し上げたほか、本県の主催により、歓迎晩餐会や昼食・夕食交流会、エクスカーション等を実施しました。
 歓迎晩餐会では、私から、ジブリパークや産業観光、武将観光など、魅力あふれる本県の観光資源をPRするとともに、県産食材を使った料理をお楽しみいただきました。
 また、エクスカーションでは、ジブリパークやリニア・鉄道館、犬山城などを巡るコースを体験していただき、本県の多彩な観光資源を台湾の旅行業者等の皆様に大いにPRできたものと思います。
 今後も、アフターコロナにおけるインバウンド需要の取り込みに向けて、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、アジア競技大会・アジアパラ競技大会の推進についてであります。
 9月8日に、私が会長を務める愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会の理事会を開催し、アジア競技大会の競技会場の仮決定や、アジアパラ競技大会の開催都市契約の締結などについて決議いたしました。
 アジア競技大会については、7月8日に開催されたアジア・オリンピック評議会(OCA)の総会において追加決定された9競技を含め、全41競技のほとんどの競技会場を仮決定することができました。
 また、アジアパラ競技大会の開催都市契約については、大会の質を保ちつつ、できる限り経費の抑制を図れるよう、アジアパラリンピック委員会(APC)と協議を重ね、この度、合意に至りました。
 アジアパラ競技大会は、多様性を尊重し合う共生社会の実現に貢献する極めて重要な社会的意義があることから、その開催を通じて人々の意識や行動が変わり、レガシーとして残っていくような、素晴らしい大会となるよう、しっかりと準備を進めてまいります。
一方で、愛知・名古屋大会は、近年の物価の高騰や労務費の上昇、国際スポーツ大会に対する企業の協賛意欲の低下などにより、開催経費の抑制と財源の確保が喫緊の課題となっております。
 そうした中で、9月12日に、愛知県議会と名古屋市会のアジア・アジアパラ競技大会推進議員連盟合同会議が開催されました。会議では、大会経費の財源確保に向けて、本県、名古屋市、組織委員会と県・市の議員連盟が連携し、国等に対して支援を求めていくことが決議され、大変心強く感じております。
 さて、9月23日に、1年延期となっておりました中国・杭州アジア競技大会が開幕いたしました。会期は10月8日までの16日間で、続いてアジアパラ競技大会が10月22日から28日までの7日間開催されます。私も、次回の組織委員会の会長及び開催都市の代表として、開会式に参加してまいりました。
 また、10月8日と28日に実施される、それぞれの大会の閉会式で、フラッグハンドオーバーセレモニーに参加し、私が代表して大会旗を愛知・名古屋に引き継いでまいります。大会旗を、アジア大会、パラ大会、2つありますので、それぞれ、引き継いでまいります。いよいよ、次の2026年大会に向けて、準備をしていくということでございます。
 本県ゆかりの選手を始め、アジアのアスリートが躍動し、注目が集まる杭州大会の盛り上がりを追い風にしながら、このフラッグハンドオーバーセレモニーで愛知・名古屋大会をしっかりとPRし、大会の開催準備に弾みをつけてまいりたいと考えております。毎日、熱戦が続いております。しっかりと、日本選手団、多くのアスリートを応援していきたいと思います。
 そして、杭州大会の次は、いよいよ愛知・名古屋大会であります。引き続き、関係自治体、関係団体などと連携・協力し、国等に必要な支援を求めながら、大会開催に向け、しっかりと準備を進めてまいります。
 次に、「あいちアール・ブリュット障害者アーツ展」についてであります。
 芸術・文化活動を通じて障害のある方の社会参加と自立を促進するとともに、県民の皆様に障害への理解を深めていただくため、9月14日から18日まで、名古屋市内において「あいちアール・ブリュット障害者アーツ展」を開催しました。
 今年の作品展では、公募作品637点に加え、愛知を代表する作家49名の作品を展示したほか、舞台企画では、愛知県立芸術大学によるクラシックコンサートや、障害のある方を交えた舞台発表なども開催しました。
 あわせて、障害のある方の芸術的な才能の発掘にご協力をいただいている民間事業者と連携し、展示作品から原画を選定して、企業がノベルティグッズを制作する取組も行っております。
 私も毎年欠かさず足を運んでおり、今年も作品展を鑑賞してまいりましたが、個性豊かな素晴らしい作品に出会い、感銘を受けました。
 「あいちアール・ブリュット展」が、今年10周年を迎えるわけでありまして、今年度は10月17日から22日まで、名古屋市内において「10周年記念美術館」と称した作品展を開催します。さらに、来年1月にみよし市、2月に豊川市で「あいちアール・ブリュット・サテライト展」、3月に名古屋市内で「あいちアール・ブリュット優秀作品特別展」を開催しますので、県議会議員の皆様はもちろんですが、多くの県民の皆様にご鑑賞いただいて、障害のある方の「芸術のチカラ」を直に感じていただきたいと思います。
 次に、交通安全対策の推進についてです。
 本県の交通事故情勢は、今年2月から交通死亡事故が多発するなど、大変厳しい状況が続いており、中でも高齢者の交通事故死者数は、死者数の約半数を占めております。
 このため、今年度においては、SKE48に「高齢者交通安全広報大使」に就任していただき、「家族に伝える安全メッセージ」として、自転車に乗車する際のヘルメットの着用や、夕方、夜間、早朝の外出時における反射材の着用、運転免許証の自主返納、サポートカー限定免許の活用などを、家族を通じて高齢者に呼びかけてもらう取組を行っております。
 また、「ながらスマホ」や「あおり運転」などの危険運転を防止するため、名古屋市在住のラッパーである呂布カルマさんに制作していただいた安全運転ラップの動画を特設ウェブサイト等で配信し、ドライバーの運転マナー向上を呼びかけております。
 9月21日からは、「秋の全国交通安全運動」がスタートしており、悲惨な交通事故を1件でも減少させるため、引き続き、県警察、市町村及び関係諸団体の皆様と、より一層連携し、総力を挙げて交通事故抑止に取り組んでまいります。

 それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。
 まず、補正予算についてです。
 補正予算の総額は、158億2,201万円を一般会計で増額補正するものです。
 補正予算の主な内容ですが、まず、6月2日の大雨で被災した農業者が営農を継続できるよう、農業用機械等の修繕や、種苗、肥料、農薬等の農業資材の購入に必要な経費を支援してまいります。
 また、県美術館及び県陶磁美術館の地方独立行政法人化の可能性や、愛知芸術文化センターにおける民間活力による活性化などを調査・検討し、県文化施設の活性化を図るための基本計画を策定してまいります。
 さらに、技能五輪全国大会・全国アビリンピックの大会史上初となる3年連続愛知県開催に向けて、来場促進のための取組を行うとともに、選手を育成する中小企業や学校等に対して訓練費用を助成してまいります。
 加えて、県外にも「休み方改革」を通じた観光需要の平準化を促すため、全国に影響力を持つ観光業界のオピニオンリーダー等と連携し、本県の「休み方改革」を広く発信してまいります。
 このほか、名古屋競馬株式会社からの寄附金により、農業大学校、高等技術専門校及び県立高等学校において実習設備の整備を行い、将来を担う人材の育成を図ってまいります。
 次に、建設事業につきましては、道路舗装の修繕や河川の浚渫、護岸の改修や治山事業などの単独事業とあわせて、国庫補助の内示増に伴う公共事業といたしまして、幹線道路等の整備、土地区画整理事業、公園整備、県営住宅の建替えや長寿命化改善などについて追加計上いたします。
 さらに、県内の厳しい交通事故情勢を踏まえ、緊急交通安全対策として、事故が多発する交差点の道路標識・標示の更新や、信号灯器のLED化に要する経費等について計上し、交通事故の抑止に努めてまいります。
 次に、補正予算案以外の議案についてです。
 今回提案をいたします案件は、条例関係議案が5件、その他の議案が8件です。主な案件につきまして、ご説明申し上げます。
 まず、あいち森と緑づくり税条例の一部改正についてです。これは、森林・里山林や都市の緑を整備・保全する「あいち森と緑づくり事業」を引き続き実施するため、財源となる「あいち森と緑づくり税」の課税期間を5年間延長するものであります。
 次に、愛知県障害者差別解消推進条例及び手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例の一部改正についてです。これは、愛知県障害者施策審議会等における意見等を踏まえ、合理的配慮の定義の明確化等を行うものであります。
 また、動物の愛護及び管理に関する条例の一部改正については、犬又は猫の多頭飼養の状況を把握し、必要に応じて飼い主への指導・助言を行えるよう、届出制度を創設するものです。
 最後に、人事案件ですが、教育委員会の委員の任期満了に伴いまして、その後任者を選任するものであります。
 以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げましたが、詳細につきましては、議事の進行に伴いましてご説明を申し上げたいと思います。
 なお、令和4年度一般会計及び特別会計並びに公営企業会計決算につきましては、監査委員の審査意見を付しまして提出いたしております。
 どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますように、お願いを申し上げます。