愛知県衛生研究所

強壮成分を含む「健康食品」にご注意!

2013年12月6日

通信販売やインターネットの普及により、いわゆる「健康食品」が簡単に入手できるようになりました。これらの「健康食品」の中には、医薬品として使用される成分が含まれているものがあります。医薬品成分を含む食品は、重篤な健康被害を引き起こす恐れがあるため、無承認無許可医薬品として薬事法による取締りの対象となります。過去には、医薬品成分を含む食品の摂取による死亡例も報告されています。 健康被害が報告されるなど問題となったいわゆる「健康食品」には、痩身作用や強壮作用を持つ成分を含んだ製品があります。

強壮成分が検出された製品数の推移のグラフ
図. 強壮成分が検出された製品数の推移

厚生労働省の報告をもとに、我が国において無承認無許可医薬品として発見された製品のうち、Erectile Dysfunction(勃起不全:ED)治療薬等の強壮系成分が検出された製品数の推移を、図にまとめました。ED治療薬にはシルデナフィルやタダラフィル等があり、頭痛やほてりを始めとする副作用が知られています。平成15年〜平成24年に強壮系成分が検出された製品数は411件で、年ごとの推移をみると平成21年の73件をピークとして、以降は減少傾向にあります。また、検出された31種類の成分のうち、シルデナフィルが161製品と最も多く、次いでタダラフィルが84製品から検出され、両成分の検出数が全体の約60%を占めています。

LC-QTOF-MSシステムの写真
LC-QTOF-MSシステムの全景

当所では、平成10年からいわゆる「健康食品」の検査を実施しており、平成12年にはシルデナフィルを含む製品を1件発見しました。平成24年度は12件の検査を実施しましたが、医薬品成分は検出されませんでした。平成25年3月には、化学構造をより精密に測定できる液体クロマトグラフ-タンデム飛行時間型質量分析計(LC-QTOF-MS)などの機器を新たに配備し、上述したような類似物質にも対応できるようになりました。今後もこれらの機器を用いて、いわゆる「健康食品」の検査に努めてまいります。