愛知県衛生研究所

水道水のジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸の水質基準が改正されました

2015年4月2日

1.ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸水質基準値の改正

平成27(2015)年4月1日から水道水中のジクロロ酢酸の水質基準が0.04 mg/L以下から0.03 mg/L以下に、トリクロロ酢酸が0.2 mg/L以下から0.03 mg/L以下に改正されました。

私たちが安心して飲める水を供給するため、水道水には「水道法」という法律に基づいた水質基準が定められています。

水質基準値は、ヒトが一生飲み続けても健康に影響がないと考えられる量を基にして決められており、最新の研究報告に基づく見直しによって、今回はジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の水質基準がより厳しく改正されました。

ジクロロ酢酸の水質基準値
0.04 mg /L  ⇒  0.03 mg/L
トリクロロ酢酸の水質基準値
 0.2 mg/L  ⇒  0.03 mg/L

2.ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸とは

水道水は微生物による感染を防止するため、最終的に塩素剤を用いて消毒が行われています。消毒剤は微生物を死滅・不活化させますが、同時にまわりの有機物にも作用して新たな有害物質をつくりだすことがあります。これらを「消毒副生成物」と呼んでいます。

ジクロロ酢酸やトリクロロ酢酸は、この「消毒副生成物」のひとつです。

3. ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸の健康影響

動物実験において、ジクロロ酢酸は肝臓及び精巣に対し、トリクロロ酢酸は主に肝臓に対しての影響が確認されています。

国際がん研究機関では、ジクロロ酢酸は当初グループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない)に分類されていましたが、平成14(2002)年にデータの見直しが行われ「ヒトの発がん性に関しては不十分であるが、動物実験での発がん性には十分な証拠がある」としてグループ2B(ヒトに対して発がん性の可能性がある)に分類し直されました。

トリクロロ酢酸は現在もグループ3に分類されています。

4. これまでの経緯

これらの項目は、平成4(1992)年に「監視項目」に位置付けられ、指針値としてジクロロ酢酸は0.04mg/L、平成10(1998)年からは0.02mg/L、トリクロロ酢酸は0.3mg/L(いずれも暫定値)が設定され、検出状況が調査されてきました。

その結果から、平成15年に基準項目に設定され、ジクロロ酢酸は0.04mg/L、トリクロロ酢酸は0.2mg/Lという基準値が定められ、今回の改正に至っています。

5.水質基準の算出方法

基準値設定に当たっては、まず対象化学物質の毒性評価を行います。この評価によって、その化学物質の実質安全量または耐用一日摂取量が求められます。

実質安全量とは、ヒトが一生涯摂取した場合、発がんリスクが10万分の1増加する(影響はゼロではないが十分に小さく、実質的に影響がないと考えられる)量を意味します。また、耐用一日摂取量とは、ヒトが一生涯摂取しても健康に影響が出ない最大量を意味します。

これらの毒性評価結果を基に、対象化学物質の評価値(基準等の候補となる濃度値)が計算によって求められ、これらの中で最も低い値が水質基準値となります。

ジクロロ酢酸の水質基準値は、実質安全量が1日につき体重1kg当たり1.3μg(0.0013mg)という値を基に、平均体重50kgのヒトが水を1日2L飲用することを計算に入れ、0.03mg/Lと設定されました。

一方、トリクロロ酢酸の水質基準値は、耐用一日摂取量が1日につき体重1kg当たり6μg(0.006mg)という値を基に、水道水からの摂取割合を考慮し、平均体重50kgのヒトが水を1日2L飲用することを計算に入れ、0.03mg/Lと設定されました。