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衛生研究所衛生化学部生活科学研究室
巨大地震に備えて(その1)(その2)(その3)>(その4)

巨大地震に備えて (その4)

2010年8月20日

家庭用浄水器の利用

「その4」のテーマは家庭用浄水器の利用です。このシリーズを書き始めた頃、災害時に家庭用浄水器を利用する簡単な器具を思いつき「簡易浄水用器具」という名称で愛知県から特許を出願しました。今回は、その器具を中心に、災害時いかにして安全できれいな飲料水を作るかについて解説します。


@ 家庭用浄水器を利用するには

市販されている家庭用浄水器は、水道の送水圧力、つまり「水圧」を利用して水道水を中空糸膜や活性炭などのフィルターに通して浄化する仕組みになっています。そこで、水道の水圧(およそ0.5〜5気圧)程度の圧力をかけて水を送るために、図(左)に示したような器具を考案しました。このヒントとなったのが「ペットボトルロケット」です。

ペットボトルロケットとは、半分程度水を入れたペットボトルの口に自転車用の空気入れを接続し、空気を送り込んで内部を加圧した後に、口を下に向けて空気入れからペットボトルを切り離すと、内部の空気圧に押されて水が口から勢いよく吹き出し、その反作用でペットボトルはロケットのように空中に飛び出すという科学系のおもちゃです。ここで注目したのは、ペットボトルは非常に丈夫で、水道の圧力程度では破損する心配はないという点と、自転車タイヤの適正空気圧は3〜5気圧と水道の圧力程度であるというところです。そこで、自転車用の空気入れを使えば水道と同程度の圧力をペットボトル内部にかけることができ、これを利用して水を浄水器に通すことを考えました。


A ペットボトルと家庭用浄水器の連結

浄水器具使用例

加圧されたペットボトル内の水は、その圧力で浄水器を通りますが、ペットボトルを付けた浄水器をコップなどの容器にかざしながら空気入れで空気を送り込む作業を、一人で行うには無理があります。そこで、図(左)のように、連結管の空気弁と浄水器の間に水道の蛇口コックのような水栓を設けました。これで、ペットボトル内を加圧状態にしておいてから水栓を開き、必要な量だけ浄水を得ることができます。



B 簡易浄水用器具の使い方

浄水器具試作品図

図(右)のように、水を入れたペットボトルと本器具と家庭用浄水器を連結します。水栓を閉じ、空気弁から自転車用空気入れで空気を送り込み、ペットボトル内を加圧します。次に、コップなどの容器の上で水栓を開くと必要な量の浄水が得られます。元の水が、災害用備蓄水、雨水や地下水など比較的きれいな水であれば、浄水器の活性炭及び中空糸膜フィルターによって有害物質や濁り、細菌が除去されるため、そのまま飲用できるほどの水が得られます。ただし、細菌よりも小さいウイルスまでは除くことができないため、風呂の残り水や河川水のように、ウイルス汚染が懸念される水では消毒が必要です。このような水を利用する場合には、予め次亜塩素酸ナトリウムなどの薬剤で水を消毒することが最も効果的です。なぜなら、これらの薬剤は浄水器の活性炭フィルターで除去されるため、入れすぎても問題がない上に、ペットボトルや浄水器自体も消毒されるので、それらを衛生的な状態に保つことができるからです。

C おわりに

4回にわたり災害時に必要な飲み水の備蓄や調達について、衛生的な観点から解説してきました。地球を覆っている岩盤の移動が原因となる地震の発生は、科学的にも歴史的にも避けられそうにありません。したがって、突然発生する地震には、事前の備えが大切です。もし不幸にも大地震が起きて飲み水に困ったような時、この「巨大地震に備えて(その1〜4)」がお役に立てれば幸いです。

(衛生化学部生活科学研究室)

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