愛知県衛生研究所

暮らしの中の銀・・・小さくなって大活躍

2007年5月30日

暮らしの中の“銀”

スプレーの絵

“除菌”とか“抗菌”という言葉を一般的に使うようになったのは、ここ10年くらいのことでしょうか。今ではおなじみの言葉ですが、最近、除菌・抗菌をうたった商品に『銀』あるいは『銀イオン』、『Ag』というような表示を見かけることが多くなりました。気をつけて見てみると、除菌・抗菌ばかりでなく消臭・防臭、静電気防止といった効果をうたった商品にも『銀』が使用されていることがあります。

衣類の絵

1990年頃から使用されるようになり、制汗スプレーをはじめ台所用、トイレ用、衣類用の除菌・消臭スプレーなどが商品化され、今では食品の鮮度が保たれるという保存容器、靴下・肌着といった衣類やタオル・ハンカチのような布製品にも使用されています。また、洗濯時に使って銀イオンを衣類に付着させるグッズやお風呂に入れて除菌しようというものまであります。

“銀イオン”のちから

食品の絵

銀は古くから貨幣をはじめ食器や装飾品として使用されてきた貴金属です。また、鏡や写真の感光剤、歯科治療の材料などに使用されています。その銀と前述のような商品に使用されている銀とが同じものとは不思議な気がしませんか。その疑問の答えが、最近よく耳にするナノテクノロジーという技術にあります。

銀が水や食品を腐りにくくさせるということは、古代ギリシャ・ローマの時代から知られていて、水や食品の保管に使用されていたようです。銀の殺菌や消臭、静電気防止といった効果は、銀の表面にほんのわずかできる“銀イオン”によるものです。しかし、表面だけですからそれほど大きな力ではありません。そこでナノテクノロジーの技術を使って、銀の粒をナノメートル(nm=10億分の1m、1ナノメートルは髪の毛の太さのおよそ十万分の1)単位の極めて微小なものにすると、表面積は非常に大きなものになり、同じ量の銀を使っても大きな効果が得られるのです。比較的高価な材料も微小化して使えば身近なものになりますね。

“銀”の安全性は?

身近になると気になるのが安全性です。銀の多くは飲食物を介して経口的に摂取され、そのうちの5%程度が消化管を通して体内に吸収されます。吸収された銀は、主に血液中のグロブリンに結合して体内を移動し、その0〜10%が主に肝臓と皮膚に蓄積されます。

マウスを使った実験から求められた毒性を示す値があります。 経口LD50(半数致死量)、すなわち口から飲ませて半数が死ぬ量は50〜100mg/kg体重で、これをヒトの体重を70kgとして換算すると3.5〜7gとなります。また、WHOは、ヒトの無毒性量として生涯経口摂取量を約10gとしています。通常、ヒトが1日の食事で摂取する銀は10〜20マイクログラム(μg=百万分の1g)との報告があり、食事からこの量を80年の間摂取し続けても、1gにもなりません。職業上銀を扱うなど特別な環境でなければ、多量の銀を摂取する可能性はまずないと考えられます。

花の絵