愛知県衛生研究所

身近な鉛にご用心

2008年4月16日

はじめに

鉛は、柔らかく加工がしやすい、比重が大きい、精錬が比較的容易といった特長のため古くから利用されてきた金属です。また、蓄電池の電極、レントゲン室の壁や窓といった他の素材での代替は難しい用途や合金成分、クリスタルガラス、顔料、防音材、銃弾、電子材料等現在もさまざまな分野で利用されています。

しかし、こうした利用価値の高さとともに、その生体への毒性も知られている金属で、環境中への放出ひいては生体への摂取量を減らすため、我が国では有鉛ガソリンの使用が1987年に完全に廃止され、はんだ、釣りに使うおもりなども鉛以外の代替品へ切り替える動きがあります。

身近な鉛

ティーカップ

通常の生活で鉛を過剰に摂取することはほとんど考えられませんが、近年にも鉛に関する心配な報道がいくつかありました。

まず思い浮かぶのが中国製の土鍋で調理中に鉛が溶出したというものです。陶磁器に使用される顔料や釉薬には鉛を含有するものがあり、焼成温度が低いと溶出する可能性があります。新潟県などが食品衛生法に基づく溶出試験を実施したところ結果は基準値以下でしたが、販売業者は念のため当該土鍋を回収しました。

また、平成17年には『鉛を含有する子供用アクセサリー』について製品の自主回収に関する発表が、カナダ保健省と米国消費者製品安全委員会(CPSC)からありました。日本では金属アクセサリー類などの鉛に関する規制はありませんが、この発表を受けて国や東京都などが比較的安価な金属製アクセサリー類の調査を実施しました。

金属アクセサリー

東京都の調査では、鉛の含有量で6割、溶出試験でも2/3の製品が米国CPSCの基準を超える結果となり、国から関係団体へ製品中の鉛の含有状況の把握と消費者への情報提供、また、製造業者へは鉛含有量の低減化を求める通知が出されました。鉛は柔らかくしかも安価なため、細かく複雑な加工を求められる装飾品の素材として重宝されているようですが、なんでも口に入れる習性がある乳幼児がいる家庭では、こうしたものを手の届くところへ置かないようにすることが必要です。また小さなものは誤飲のおそれもあり、特に小児では消化管からの吸収率が成人の4〜5倍高く、かつ低濃度でも中毒症状を起こすため注意する必要があります。

古いペンキを塗った柵

他にも古いペンキや積木などの輸入玩具の顔料にも鉛が含有されているものがあり、はがれ落ちたペンキなどには注意が必要です。なめることはもちろんいけませんが、はがれた破片が小さく砕けて埃状になってしまうと吸い込んでしまう場合もあります。古い住宅などで鉛を含んだペンキが使われたかもしれないという場合は、早めに塗り替えたりさわったときにはよく手を洗うなどの対応が必要です。

バケツ

水道管も鉛を使わないものに順次取り替えられてきていますが、水道メーターより先の各家庭所有となる部分については鉛管が残っている場合があります。管内に滞留した水には通常より多くの鉛が含まれることが考えられるため、朝一番に使うときや、しばらく使わなかったときは、最初のバケツ1杯程度の水は飲用以外に使うようにすると安心です。

安心して暮らすために

積み木で遊ぶ子供

このように鉛はいろいろな形で一般家庭内にも存在します。そのものを飲みこんだり、微粒子になっているものを吸い込んだりしない限りは心配ありませんが、事故は思わぬところで起きるものです。できるだけ身近に置かないよう、特に小さなお子さんがいらっしゃる家庭では、大人が注意してあげてください。