愛知県衛生研究所

鉄は必須微量元素の中で、生体中に最も多量(3〜4g)含まれ、大部分ヘモグロビンの形で存在する。次いで分子量45万の鉄貯蔵蛋白であるフェリチンおよびその凝集物であるヘモジデリンは肝、脾、骨髄に存在している。鉄は酸素の運搬に必須であり、特にチトクローム、カタラーゼなどのヘム酵素としてエネルギー代謝に重要な働きをしている。鉄の欠乏症はもっとも古くから知られており、貧血の最大原因である。

鉄の摂取は食品からが主であるが、へモグロビンやミオグロビンなどの様なヘム鉄のほうが無機鉄に比較して吸収率が良く、したがって動物性食品中の鉄は利用効率が高いといわれている。ヘム鉄は小腸上皮細胞内でヘム部分が分解して吸収されるが、無機鉄は腸管内で溶解度の低い3価の水酸化鉄に変わり吸収されにくくなる。鉄の吸収におよぼすビタミンCの影響については、オレンジジュースを飲むことによりその利用率は著しく高められている。逆に食物繊維は鉄と結合してその排泄を速め利用率を低下させる。鉄欠乏を防ぐには摂取量のみでなく摂取形態にも留意しなければならない。