愛知県衛生研究所

スルガトキシン中毒

貝の写真

エゾバイ科の巻貝であるバイ(バイガイ)には、内臓部にスルガトキシンという毒が含まれることがあり、まれに食中毒の原因となります。この中毒にかかると、視力低下や瞳孔散大、それに、口が渇き、唇が痺れてしゃべりにくくなるなどの症状が出現します。このような症状は、スルガトキシンが自律神経を一時的に遮断する作用を持つために起こります。また、症状は食後比較的早期(30分〜1時間)に現われます。安全のためには内臓部の食用をさけることです。なお、毒の由来は、1965年に静岡沼津産のバイによる食中毒事件で発見された毒であったことから、駿河湾にちなんでスルガトキシンと命名されました。これまでの研究で、スルガトキシン自体は無毒ですが、少し構造の異なったプロスルガトキシンあるいはネオスルガトキシンが中毒を引き起こす原因物質であることが判明しています。同時に、スルガトキシンは貝の内臓から分離した細菌により産生されることも解明されています。