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鳥インフルエンザ及び豚インフルエンザ

2009年4月27日更新

2009年4月24日付世界保健機関(WHO) によれば、アメリカ合衆国カリフォルニア州及びテキサス州のインフルエンザ患者合計7名(うち1名が入院、全員軽快)から豚由来H1N1亜型のA型インフルエンザウイルス検出が報告されました。3月以降メキシコで発生している豚インフルエンザ患者のうち18名からもウイルスが検出され、うち12名からは上記カリフォルニア州と遺伝子学的に同一のウイルスが検出されています。

今回検出されたウイルスは過去に豚やヒトから検出されたことはなく、同じH1N1亜型に属し、毎年ワクチン株にもなっているヒトのAソ連型ウイルスとは、かなり異なっています。抗インフルエンザ薬の効果は、オセルタミビル(タミフル)は有効ですが、アマンタジンには耐性を示しました。 米国疾病管理センター(CDC)オセルタミビル(タミフル)及びザナミビル(リレンザ)を推奨しています。

豚インフルエンザウイルスは適切な調理で死滅しますので、豚肉や豚肉加工品を介して感染することはありません。

なおOIE[国際獣疫事務局]によると 鳥インフルエンザウイルスH5N1型の最近の流行は、

バングラデシュ中 国ドイツ香 港
インドラオスネパール ベトナム

の国及び地域から報告されています(太字は2003年以降WHO[世界保健機関]より人への感染確定例報告がある国)。

2003年1月以降の鳥インフルエンザH5N1の人への感染確定例数は、2009年2月27日現在インドネシア141例(うち死亡115例 以下同)、ベトナム110例(55)、中国38例(25)、エジプト67例(23)、タイ25例(17)、トルコ12例(4)、カンボジア8例(7)、アゼルバイジャン8例(5)、イラク3例(2)、パキスタン3例(1)、ラオス2例(2)、ナイジェリア1例(1)、バングラデシュ1例(0)、ジブチ1例(0)、ミヤンマー1例(0)の計421例(うち死亡257例)、うち2009年の報告は中国7例(うち死亡4例 以下同じ)、エジプト16例(0)、ベトナム3例(3)の計26例(うち死亡7例)です。 (WHO感染確定症例数2009年4月23日報告はこちら

 

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2009年3月2日

2009年2月27日に豊橋市の鶉(ウズラ)から、日本では1925年以来84年ぶりにH7血清亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出され、3月1日にH7N6血清亜型と確認されました。日本ではH5あるいはH7血清亜型ウイルスが検出された場合、全て「高病原性鳥インフルエンザ」として扱いますが、H5,H7両血清亜型ともに、鳥に致死的全身感染を起こす強毒型のほか、軽症〜不顕性感染にとどまる弱毒型が知られています。動物衛生研究所によれば、先週検出されたウイルスは弱毒型です。

日本での高病原性鳥インフルエンザは、1925年以来79年となる2004年1〜3月(山口、大分、京都)及び2007年1〜2月(宮崎、岡山)にH5N1亜型による発生が確認されています。さらに2008年4〜5月には、野鳥からH5N1亜型A型インフルエンザウイルスが分離されました。2002年以降中国や東南アジアを中心に世界で流行を繰り返している鳥インフルエンザウイルスは主にH5N1亜型であり、H7亜型は初めて耳にされた方も多いかと思われます。高病原性鳥インフルエンザ、別名「家禽ペストfowl plague」の病原体がインフルエンザA型ウイルスと証明されたのは1950年代です。1910〜20年代に日本や東アジアの家禽に発生記録のある「鶏疫」あるいは「家禽ペスト」の病原ウイルスは、後年H7血清亜型と判明しています。わが国では80年以上発生していませんでした。

H7血清亜型ウイルスのヒト感染は、欧米から強毒型ウイルスについて報告されており、無症状(血清抗体価上昇から診断)あるいは結膜炎など軽症例が主体で、最近の死亡例はオランダからの報告(1名)があるのみです。農林水産省によるとH7N6型のヒト感染例報告はありません。


2007年(2009年3月抜粋・一部更新)

ひよこにわとり

日本では2004年1〜3月(山口、大分、京都)の発生から約3年ぶりに 2007年1月から2月にかけて、宮崎県及び岡山県の飼養鶏からH5N1亜型A型インフルエンザウイルスが分離され、高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されました。その後、新たな発生はなく、最終発生に係る防疫措置が完了してから3か月を経過したため、国際獣疫事務局(OIE)の規定に従い5月8日に清浄国となりました。

2006年11月、韓国南西部において3年ぶりにニワトリの高病原性鳥インフルエンザが発生し、2006年に4件、2007年1月にも1件の集団発生が報告されています。なお韓国では2003年12月にも高病原性トリインフルエンザが発生し、翌年9月に終息宣言が出ています。

一方2005年6月以降、断続的に茨城及び埼玉で発生が確認されたトリインフルエンザはH5N1型ではなく、トリに対しても通常は低病原性とされるH5N2型ウイルスによるものでした。動物衛生研究所による遺伝子検査の結果、中米地域で以前に分離されたウイルスと非常に近縁であることが判明しています。

しかしながら、低病原性H5N2型ウイルスが長期にわたる流行期間中に高病原性に変化した例は、1983〜84年アメリカ合衆国や1992〜95年メキシコなどで経験されています(参照:WHOファクトシート)。日本では高致死性を示すウイルスのみならずH5およびH7亜型のウイルスについては、弱毒でも家畜伝染病予防法の法定伝染病「高病原性鳥インフルエンザ」として防疫することになっています。


2004年6月15日(2006年5月一部更新)

高病原性鳥インフルエンザが家禽類で集団発生している地域においては新型インフルエンザウイルスの発生を未然に防止するため、厳重な監視と対策の必要性がWHOから提言されています。

WHOはインフルエンザA/H5の全世界におけるサーベイランス(発生動向調査)のためのガイドラインを発表し、ヒトや動物におけるインフルエンザA (H5N1)感染のさらなる拡大を警戒するため、検査による確認例の定義及びWHOへの報告手続き等を決めました。鳥インフルエンザ感染確定診断の定義は、以下の4項目のうち、1つ以上を満たす症例(生死を問わず)としています。


(1) インフルエンザA/H5ウイルス分離培養陽性

(2) インフルエンザA/H5 PCR(遺伝子増幅)陽性

(3) インフルエンザA/H5に対するモノクローナル抗体を用いた免疫蛍光抗体(IFA)試験

が陽性

(4) インフルエンザA/H5特異的抗体価が、急性期と回復期ペア血清で4倍以上上昇


高病原性鳥インフルエンザが家禽類で集団発生している地域への渡航制限等の勧告は、現在WHOからは出ていません。しかしながら、そのような地域へ旅行する場合、生きた動物を取り扱う市場や家禽農場等に近づくべきではないと提言しています。

一方我が国においては、高病原性鳥インフルエンザへの感染が疑われる患者が発生した場合に迅速な把握及び対応を行なうために、厚生労働省は2004年2月、高病原性鳥インフルエンザに関する患者サーベイランスの強化について、健康局結核感染症課長通知(健感発第0202001号)を出しました。この中で、感染が疑われる者の報告基準を次のように定めました。

1 高病原性鳥インフルエンザへの感染が疑われる者の報告基準

下記(1)又は(2)に該当する者であって、発熱等のインフルエンザ様症状がある者

(1) 高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染している又はその疑いがある鳥(鶏、あひる、七面鳥、うずら等)との接触歴を有する者
(2) 高病原性鳥インフルエンザが流行している地域に旅行し、鳥との濃厚な接触歴を有する者

2 1の基準に該当する者が報告された際の対応の中で、当衛生研究所は感染が疑われるとして報告のあった者から採取された検体からウイルス分離を行ない、H1(主にソ連型)、H3(主に香港型)のいずれでもないA型インフルエンザウイルスが分離された場合には、国立感染症研究所へ検体を送付することとなっています。


2004年1月15日(2007年2月一部更新)

平成16年1月12日に、山口県の養鶏場にてH5N1型高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたとの発表がありました。インフルエンザウイルスはA、B、Cの3つの型に分かれますが、鳥類に感染するのはA型インフルエンザウイルスのみです。A型はさらにウイルス粒子表面のH(Hemagglutinin,ヘマグルチニン)とN(Neuraminidase,ノイラミニダーゼ)と呼ばれる糖タンパク質抗原性の違いからHについて1〜16、Nについても1〜9の亜型が知られています。一般には感染した鳥に強い病原性を示すものを高病原性鳥インフルエンザ(別名 家禽ペストfowl plague)としています。主にH5型やH7型によるニワトリや七面鳥などでの集団発生が報告されており、日本ではH5あるいはH7をもつウイルス感染の場合、全て「高病原性鳥インフルエンザ」として防疫の対象にしています。

以前は、鳥のインフルエンザウイルスは人には感染しないとされていました。しかし、1997年香港でのH5N1型鳥インフルエンザウイルスの人への感染事例(18例)以来、1999年と2003年の香港でのH9N2型、2003年のオランダ・ベルギーを中心としたヨーロッパでのH7N7型(約90人の主として養鶏業者や獣医師及びその家族が感染。インフルエンザ症状を示した人は少数で多くの人は結膜炎などの症状が主)、それに同年12月のべトナムでのH5N1型のニワトリを中心とした鳥インフルエンザウイルスの流行時に、数は少ないとはいえ人への感染事例が確認され、97年の香港での流行時には6名の、2003年のヨーロッパ(1名)及びべトナムでの流行時(3名)にも死者が確認されています。いずれの事例においても人の感染は小規模で終息していることから、鳥インフルエンザウイルスの人への感染力は非常に弱いと考えられます。

鳥インフルエンザウイルスがどのようにして人に感染するかは、今のところ十分に解明されていませんが、感染したニワトリは呼吸器だけではなく腸管からもウイルスを排泄するため、感染した鳥が使用した水や排泄物から直接、あるいはホコリと一緒に舞い上がった排泄物中のウイルスを吸い込んで感染した可能性が指摘されています。香港やべトナムでは市場で生きたニワトリが売られていたため、一般の市民もウイルスに汚染された鳥の糞便を介して感染したのではないかとみられています。

以上、現時点で一般の日本人が鳥インフルエンザウイルスに感染する可能性は非常に低く、現在実施されているニワトリや鶏卵の処分・回収や移動禁止などの措置は、ニワトリを中心とした鳥類における鳥インフルエンザウイルス感染拡大予防策であり、人への感染の危険を恐れての措置ではありません。

しかしながら、鳥インフルエンザウイルスに感染している可能性のあるニワトリなどの処分、ウイルスが存在する可能性の高い養鶏場内での作業や立ち入り調査に際しては、乾燥した排泄物中に含まれるウイルスを介した感染を予防するために、皆さんがテレビなどで眼にされるようなマスクや手袋それに防護服で身を固めた格好での作業が必要となります。また、鳥インフルエンザウイルスが、ブタやまれにはヒトに感染した場合、ブタやヒトの体内でヒトに感染可能なA香港型等のインフルエンザウイルスと遺伝子を交換し、ヒトに感染しやすい新型インフルエンザウイルスが出現する可能性も考えられます。

(生物学部)