ESBL産生菌とは?2003/11/10(2011/2/4更新) Extended Spectrum beta(β) Lactamase(ESBL:基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生菌は薬剤耐性菌の一種で、1980年代にヨーロッパで最初に発見されました。欧米ではICU(集中治療室)で肺炎桿菌等の分離を目的とした分離株のうち約30%(205/716件)と高率を占め問題となっていました。
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| β ラクタム薬と β ラクタマーゼ |
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βラクタム薬はその骨格にβラクタム環を有する抗生物質で、細菌の細胞壁ペプチドグリカンの合成に必須の酵素群の働きを阻害することで抗菌作用を発揮する薬剤です。このβラクタム薬は、ペニシリン系、セファロスポリン系などに分類されます。セファロスポリン系抗生物質の中で、第三世代セファロスポリン薬とは第一世代、第二世代に続いて開発された抗生物質で、セフタジジムやセフォタキシムなどが含まれます。この第三世代セファロスポリン薬は、第一世代、第二世代よりも抗菌範囲が広くなっており、グラム陰性桿菌などに対しても抗菌力が増していますが、その反面、グラム陽性球菌に対する抗菌力は減っています。 これらのβラクタム薬に対する耐性菌はβラクタマーゼというβラクタム薬を分解する酵素を産出することによって耐性となるしくみを持っています。βラクタマーゼは、そのアミノ酸配列によりクラスAからDの4系統に分類され、これらの酵素には基質特異性があるため、それぞれ異なる薬剤と反応します。クラスAはペニシリン系薬、クラスBはカルバペネム系やセファロスポリン系、クラスCはセファロスポリン系、クラスDはオキサシリンを含むペニシリン系薬をそれぞれ加水分解し、薬剤の活性を失わせてしまいます。 ESBLはペニシリンを分解するクラスA型酵素の構造遺伝子上に変異が入ることによって基質特異性が変化し、本来分解しないはずの抗菌スペクトルの広いセファロスポリン系薬までをも分解するようになったβラクタマーゼを表す名称です。 これらのESBLの遺伝子は、多くはその由来がプラスミド媒介性のペニシリナーゼであったため、接合伝達によって腸内細菌科の同一あるいは異なる菌種間で遺伝子が伝達していくと考えられるため、今後も増加することが懸念されています。 |
| ESBL産生菌の検出法 |
ESBLはクラブラン酸 (CVA)のようなβラクタマーゼ阻害剤によって阻害されるため、下記のようにグラブラン酸の添加によって薬剤感受性が増すかどうか(耐性の程度が減じるかどうか)によって、ESBL産生菌として判定する方法が用いられています。米国National Committee for Clinical Laboratory Standards(NCCLS)のガイドラインによれば、大腸菌、肺炎桿菌の場合、セフポドキシン(CPDX), セフタジジム(CAZ), アズトレオナム(AZT), セフォタキシム(CTX), セフトリアキシン(CTRX)のどれかに耐性を示した場合、CVAを添加した確認試験を行なうこととされています。CAZとCAZ/CVA合剤、 CTXと CTX/CVA合剤とを比較し、CVAとの合剤の方がより薬剤感受性が増した場合(耐性の程度が減じた場合)をESBL産生菌として判定します。 なお、PCR法で遺伝子を検索することも可能ですが、検索しなければならない遺伝子の種類が多いため、検査室では上記の方法が一般的です。 |