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エンテロウイルス71型による手足口病に注意

2010年6月10日

手足口病(hand, foot and mouth disease: HFMD)は、コクサッキーウイルスA16型(CV-A16)、やエンテロウイルス71型(EV-71)等のエンテロ(entero='腸')ウイルスを病原体とする感染症で、世界中でみられますが日本でも夏に主に幼児〜学童の間で流行します。主な症状は発熱と水疱(手、足及び口腔内に好発するためHFMDとよばれます)で、通常は数日の経過で自然治癒しますが、EV-71は他のウイルスより重症化する傾向があり、髄膜炎や脳炎の合併に注意が必要です。高熱が続き頭痛、嘔吐など中枢神経症状がみられる場合は髄膜炎や脳炎が疑われます。手足口病の流行は例年6月下旬〜7月上旬にみられますので、発熱を伴う発疹がみられる場合、早めの医療機関受診をお勧めします。

愛知県においても手足口病は毎年発生報告があり、当所生物学部に搬入された検体のウイルス検索結果では主な原因ウイルスはCV-A16あるいはEV-71ですが、平成21年の患者報告数は例年に比べ少数でした。平成22年に入り西日本を中心に患者数の増加がみられており、当所における5月31日までのウイルス検出成績では10名中8名からEV-71が分離されています(疾病別ウイルス検出状況(速報)へ)

死亡を伴うEV-71流行は、1997年マレーシア、1998年と2000年には台湾より報告されました。また、中国からは2008年1月から5月の間に61,459名の患者発生(うち36名死亡)が報告されています。

「手足口病」は臨床診断名ですが、ウイルス学的診断はウイルス分離又は遺伝子検出により行います。

以下に過去10年間の愛知県の手足口病患者からのウイルス検出成績を示します。

手足口病患者からの主なウイルス検出成績(平成13〜22年5月)
  患者数 CV-A16 EV-71 CV-A4 CV-A5 CV-A6 CV-A10
平成13年 55 35          
平成14年 45 27          
平成15年 70 18 20        
平成16年 66 39 2 1 1   1
平成17年 58 11 17     7 2
平成18年 135 20 58        
平成19年 55 32 1     3  
平成20年 85 54 1 1      
平成21年 32 4 6     6 5
平成22年 10   8        
CV:コクサッキーウイルス、EV-71:エンテロウイルス71型

平成19年度に集められた血清を用いて、EV-71に対する県民の抗体保有状況を調査した結果を以下に示します。

年齢検体数EV71
7か月〜1258%
2〜32520%
4〜92556%
10〜142548%
15〜192552%
20〜242540%
25〜292532%
30〜392572%
40〜2536%
全体22540.40%

2歳未満の抗体保有率は8%、2〜3歳は20%と低く、4歳以上の年齢層でも前年の流行状況から抗体保有率は高いという予想に反して全年齢階層に抗体をもたない人がみられたため、本県においてもEV71流行に注意が必要であると思われます。

EV-71に対するワクチン開発は各国で進められているものの、手足口病に対するワクチンは未だありません。

ウイルスはHFMD患者の唾液、鼻汁、排泄物、水泡内容液などを介して感染しますが、アルコール消毒に対する抵抗性はノロウイルスと同程度に高いため、感染拡大を防ぐには手洗い等の個人防衛が大切です。




(生物学部ウイルス研究室)

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