愛知県衛生研究所

エンテロウイルス71型による手足口病に注意

2013年6月28日

最終更新 2015年6月26日

手足口病(hand, foot and mouth disease: HFMD)は、コクサッキーウイルスA16型(CV-A16)、やエンテロウイルス71型(EV-71)等のエンテロ(entero='腸')ウイルスを病原体とする感染症で、世界中でみられますが日本でも夏に主に幼児〜学童の間で流行します。主な症状は発熱と水疱(手、足及び口腔内に好発するためHFMDとよばれます)で、通常は数日の経過で自然治癒しますが、EV-71は他のウイルスより重症化する傾向があり、髄膜炎や脳炎の合併に注意が必要です。高熱が続き頭痛、嘔吐など中枢神経症状がみられる場合は髄膜炎や脳炎が疑われます。手足口病の流行は例年6月下旬〜7月上旬にみられますので、発熱を伴う発疹がみられる場合、早めの医療機関受診をお勧めします。

愛知県においても手足口病は毎年発生報告があり、当所生物学部に搬入された検体のウイルス検索結果では主な原因ウイルスはCV-A6、CV-A16あるいはEV-71です。2013年には患者109名中48名からCV-A6が、26名からEV-71が、5名からCV-A16が検出されました。2014年は患者52名中34名からCV-A16が、1名からEV-71が検出されました。2015年は6月現在患者12名中4名からCV-A6が、2名からCV-A10、CV-A16がそれぞれ検出されており、EV-71の検出はありませんが、今後の動向に注意が必要です。

死亡を伴うEV-71流行は、1997年マレーシア、1998年と2000年には台湾より報告されました。2012年中国から手足口病患者200万人の患者発生があり、567名の死亡が報告され、カンボジアからは54名の死亡が報告されています。

WHOによれば2015年中国からは1月〜4月までに手足口病患者325,528名の発生(うち15名死亡)が報告されています。2011年に112,370名の患者発生(うち169名死亡)報告があったベトナムからは、2015年は5月までに18,004名の患者発生(うち4名死亡)が報告されています。

以下に過去の愛知県の手足口病患者からのウイルス検出成績を示します。

手足口病患者からの主なウイルス検出成績(2003〜2014年)
  患者数 CV-A16 EV-71 CV-A4 CV-A5 CV-A6 CV-A10
2003年 70 18 20        
2004年 66 39 2 1 1   1
2005年 58 11 17     7 2
2006年 135 20 58        
2007年 55 32 1     3  
2008年 85 54 1 1      
2009年 31 4 5     6 5
2010年 93 3 54 1   7  
2011年 142 32 3     33 2
2012年 15 5 3     2 2
2013年 109 5 26   1 48  
2014年 52 34 1 2   3 3
CV:コクサッキーウイルス、EV-71:エンテロウイルス71型

2014年夏に集められた血清を用いて、EV-71に対する県民の抗体保有状況を調査した結果を以下に示します。

年齢検体数EV-71
7か月〜1225%
2〜32236%
4〜92846%
10〜141650%
15〜192255%
20〜242264%
25〜292255%
30〜392264%
40〜2286%
全体19851%

1歳以下の抗体保有率は5%と低く、その他の年齢階層でも36〜86%でした。前年以前の流行状況から2歳以上はある程度抗体を獲得したと考えられますが、全年齢階層に抗体をもたない人がみられたため、本県においてもEV-71流行に注意が必要であると思われます。

EV-71に対するワクチン開発は各国で進められているものの、手足口病に対するワクチンは未だありません。

EV-71をはじめとする手足口病の病原ウイルスは患者の唾液、鼻汁、排泄物、水疱(皮膚や粘膜の「水ぶくれ」)内容液などを介して感染しますが、アルコール消毒に対する抵抗性はノロウイルスと同程度に高いため、感染拡大を防ぐには手洗い等の個人防衛が大切です。

2015年の検査結果につきましては、疾患別ウイルス検出状況(速報)に更新していきます。