居住施策に関するアンケート調査

氏   名 大崎 友記子
所属・役職 岐阜女子大学家政学部生活科学科住居学専攻・准教授
専門分野 建築計画

愛知県の住まい・まちづくりを取り巻く状況について、それぞれの専門の分野から、特に注目している現状と今後重要となってくる課題についてのお考えをお聞かせください。

①超高齢化社会となり、世帯分離された高齢者が住み慣れた地域で住み続けられる住宅の確保、地域での生活支援環境づくりが急がれる。高齢者一人ひとりの身体特性に対応した住宅リフォーム、外出を妨げず、又在宅サポートを受けやすくするリフォームも重要となる。

②在宅生活が困難になった場合(伴侶の死亡、身体能力の低下など)の住み替え先として、サービス付き高齢者向け住宅の供給促進が行われているが、介護・医療等のニーズが重度化した際にも対応できるような住まいとしてなり得るかが、課題として考えられる。高齢者が望む場所で、安心して暮らすことができる住まい選択を可能にすることが重要と考える。

③住宅ストックの増加に伴い、今後も空き家がさらに増加することが予測される。単身高齢者の持ち家(特に一戸建)は、維持管理の負担が大きく、住み替える場合も資金面や環境の変化などが課題となっている。持ち家を良好な状態に保つこと、地域資源として活用することは、将来の空き家化を防ぐことにもつながるため、住民のニーズに応じた支援が必要と考える。
キーワード 高齢者、在宅リフォーム、住み替え、既存住宅の活用、空き家

上記の課題解決のために推進すべきと考える住まい・まちづくりに関する取組みについてのお考えをお聞かせください。

①高齢者の住まいに関する相談は、高齢者の健康状態、経済状況などを踏まえ、ニーズにあった住宅や施設情報を伝えること、又適切なリフォームや住まい選びができるようアドバイスを行なうことは、かなり難しい業務と思われる。そこで、住まいのコンサルティング、コーディネーターのような人材を育成する必要があると考える。介護福祉を窓口として、福祉、建築、不動産、法律などの専門家もバックアップできる体制づくり、行政の区割りを統括し、柔軟な対応ができる窓口づくりを推進すべきと考える。

②医療や介護のニーズが重度化した場合の住まいの選択肢として、医療サービスが受けられる高齢者住宅は、入居者にとっても非常に安心感を得られる住まいとなる。医療機関がサービス付き高齢者向け住宅の運営主体となり、病院に併設された空間的にも質の高い住宅は、今後の住まいの選択肢と考える。

③既存住宅の活用に関しては、住民のニーズに応じた管理代行も必要と考える。良質の既存住宅は、中古住宅市場の活性化のため、空き家バンクなどによる情報の流通、既存住宅の適正な評価、又建築・不動産関連団体の連携により、リノベーション提案などのシステムづくりをおこなう事も、中古市場の活性化として有効ではないかと考える。
キーワード 住まいのコーディネーター、医療サービス、高齢者向け住宅の質の向上、中古市場の活性化