居住施策に関するアンケート調査

団体名 愛知県建築技術研究会
役職・氏名 会長 水野 恒平
専門分野  

愛知県の住まい・まちづくりを取り巻く状況について、貴団体での取組みの経験やそれぞれの専門の分野から、特に注目している現状と今後重要となってくる課題についてのお考えをお聞かせください。

 愛知は都市型住宅地と郊外型住宅地に恵まれた地域であると考えております。住宅建設地の地域性はあるものの、一世帯が生活する個の要求実現としての住宅とその世帯の集合体である地域のバランスがとれる分譲住宅の開発の必要があると思われます。言い換えると、個々の住宅の防犯性能を機械的に上げる防犯対策もひとつの方法であり、また近隣の相互監視による地域力をもって犯罪を抑止していく方法もまた正であると考えます。よって、家を造るとともに地域を創っていくことが今後重要になるのではないかと考えます。結果として、他県若しくは他地域からの流入者定住にもつながると考えます。
 一方、産業としての住宅建築を考えると厳しいコスト競争の下、大量生産・工業化は時代の要請であるかのごとく推進されておりますが、地域林業衰退等を耳にするにつけ、木造建築を手がけるものとしては地域産業との共存共栄を図るべきであります。地域木材の活用の巾を広げ、地産地消型の住宅企画のため、地域材の認知、発掘、PRによる地域資材の活用範囲の拡大が必要であると考えます。地域材の流通拡大のため、地域中小企業連携による製品の共同開発、生産・流通経路の確保に向けて、行政参画による意見集約の場をもつことも必要であると考えます。
 次に、公的インフラを中心にスクラップ&ビルトからの脱却が叫ばれて久しいのですが、こと住宅においては、時代の変化による生活スタイルの変化から、建替えによる新築物件の追求型が主流となっていました。しかしながら、徐々に消費者動向も変化し、新築希望顧客数も減少し始め、ストックハウスの流通促進のため、現状においては長期に渡り品質の確保が可能な住宅の建設を推進しつつ、新築住宅と比較が可能なリニューアル住宅品質を策定していくことが必要であると考えております。この課題に対しても、地域材活用促進策等行政の後押しが有効であると考えます。
キーワード 住環境(安心、安全、快適)、地域づくり(地域力)、地産地消・共存共栄 、ストックハウス、行政指導

上記の課題解決のために推進すべきと考える住まい・まちづくりに関する取組みについてのお考えをお聞かせください。

 住環境における地域連携による防犯体制の構築については、会員企業としては住民への地域防犯の有効性の説明及び分譲地の住民初期活動へ積極的に参加する事により個々の住民のつなぎ役として地域力向上の役割を果たしていけると考えております。その先の継続的なコミュニティ活動は、行政のまちづくり施策によるところが大きいと考えており、まちづくりの基本施策として地域自治活動の活性化を行政にお願いしたいと考えます。
 また、地産地消型住宅の企画にあたり、地域材の流通状況の調査と顧客要求への適合性の判定を実施し、継続的に地域材使用に向けての検討を続けていきたいと考えております。
 ストック住宅リノベーションにおいての取組みとして、既築住宅の品質判定及びリニューアル技術情報を収集し、独自技術として定着すべく取り組む必要があります。
 現状での中古住宅取引上の課題は、中古住宅についての物件情報が適時的確に提供されていない事であると言われている。具体的には、物件の品質や劣化の状態、耐震性能や省エネ性能、地盤や災害履歴等の安全性、価格に関する市場動向、売却以外の住み替え手段に関する情報等に関し、中古住宅の取引を担う宅地建物取引業者(担当者)が顧客からの前述各種問い合わせやホームインスペクション(住宅診断)、省エネ、耐震リフォームに関する相談に十分応えられていない事や、リフォーム事業者、専門工事業者も消費者ニーズの把握や顧客の開拓に十分対応できていない事、更には中古住宅の価格査定の透明性が十分でない事等があり、ストック住宅リノベーションが進んでいない。「不動産流通市場活性化フォーラム」で提言されている事項の実現に向けた取り組みを推進して頂きたいと共に、民間事業者も、ホームインスペクション技術者の育成による、顧客のニーズにこたえられるワンストップあるいはパッケージで行う新たなビジネスモデルの構築・推進の実現に努め、既存使用者の流動によるまちの活性化に寄与したい。
キーワード 行政、地域との協働、住民地域参加意識、地域中小企業連携、流通施策 リノベーション技術、ホームインスペクション技術者の育成