居住施策に関するアンケート調査

団体名 一般社団法人 大工育成塾
役職・氏名 理事・名古屋塾事務局長 鷲野 和夫
専門分野 墨付け・手刻み等伝統建築を担う大工職人の育成

愛知県の住まい・まちづくりを取り巻く状況について、貴団体での取組みの経験やそれぞれの専門の分野から、特に注目している現状と今後重要となってくる課題についてのお考えをお聞かせください。

 我が国には、伝統的な職人文化・ものづくり文化によって育まれてきた伝統的な木造軸組住宅がある。
 この木造軸組住宅は、それぞれの地域の気候風土・特性に調和した形態、融通性・可変性に富んだ間取り、木組みによるダイナミックな内部空間の構築、家族が互いに気遣いながら暮らす住まい方、永く住まい続けるための補修・増改築が容易、意匠の美しさ及び自然素材が醸し出す心地よさ等数多くの優れた長所を有する。
 しかしながら、高度な技術・技能を有する大工職人(棟梁)の高齢化と後継者の不足に起因して、伝統的な技能・技術の継承が危惧されている状況下にある。
 このため、当大工育成塾では技術はもとより人格的にも優れた若い大工技能者を育成している。
 今こそ、伝統的な木造軸組住宅が有する素晴しい長所を今後の住まいづくりに活かし、質の高い住宅ストックを形成し、我が国固有の木造住宅文化、特に和室の素晴しさの復権を図る必要があると考える。
キーワード 和室文化の復権

上記の課題解決のために推進すべきと考える住まい・まちづくりに関する取組みについてのお考えをお聞かせください。

 大工育成塾では、伝統的な木造軸組住宅の施工を担う大工職人の後継者不足を解消し、根強い木造住宅志向に応えるため、当該大工技能者を志す若者をいわゆる本物の大工職人として活躍ができるように育成している。
 住まいづくりにおいては、1)暮らしの知恵や日本の伝統・文化を受け継ぎ人格形成の場となる住まい、2)地球環境を大切にした住まい、3)高齢者や障害者が自立して暮らせる住まい、4)生命を守る住まい、5)病気をつくらない住まい、6)気候風土を活かした住まい、7)財産を守る住まい、を基本理念として真の大工職人を育成する。
 我が国の住宅は、欧米等に比して寿命が短ため、結果として資源の無駄使いと環境への悪影響を与えている。
 これからは、質の高い住宅を建て、適切な維持管理により長期間快適な住まいとして使うことが重要である。
 そのためにも、益々多様化する増改築・リフォーム需要に的確に対応できる技術と技能を持つ大工技能者が必要と考える。
キーワード 本物大工の育成