愛知県内におけるラムサール条約登録湿地は、名古屋市・飛鳥村の「藤前干潟」と豊田市の「東海丘陵湧水湿地群」の2カ所となっています。
〔ラムサール条約〕
ラムサール条約とは、水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全と湿地の賢明な利用を推進することを目的とした条約で、正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といいます。
1971年にイランのラムサールで開かれた国際会議で条約が採択されたことから、一般にラムサール条約と呼ばれています。
・条約湿地の要件
1,国際的に重要な湿地であること(条約で示された基準に該当していること)
2,国指定鳥獣保護区特別保護地区等の地域指定など、将来にわたり自然環境の保全が図られていること
3,地元自治体等から登録への賛意が得られていること
・日本の状況
日本は、1980年に締約国となり、2012年2月現在で、国内の登録湿地は北海道の釧路湿原を始め46カ所、137,968haとなっています。
藤前干潟は、庄内川、新川、日光川の3河川の合流部に位置する区域で、そのうちの名古屋市港区と海部郡飛鳥村にまたがる323haが2002年11月18日にラムサール条約に登録されました。シギ・チドリ類等の渡り鳥の日本有数の飛来地となっています。
藤前干潟では、行政や藤前干潟を守る会が中心となって、保全活動を行っています。
藤前干潟
渡り鳥
東海丘陵湧水湿地群は、愛知県豊田市にある
湿地一帯には、シデコブシやシラタマホシクサ、ミカワシオガマなどこの地域に特徴的な「東海丘陵要素植物群」をはじめとする植物や、ハッチョウトンボ、ヒメタイコウチなどの昆虫類が確認されています。
地元の矢並湿地保存会を始め、各保存団体の保全活動が実施されています。
名称 | 東海丘陵湧水湿地群(23 ha) | ||
所在地 | |
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登録面積 | 5.13ha | 5.45ha | 11.92ha |
湿地の様子 |
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重要な植物 |
ミカワシオガマ(県IB類)、ミカワバイケイソウ(県IB類)、シラタマホシクサ(県U類)などの東海丘陵要素植物や、ミコシギク(県IA類)、サギソウ(県U類)など | ミカワシオガマ(県IB類)、シラタマホシクサ(県U類)、シデコブシ(県U類)などの東海丘陵要素植物や、サギソウ(県U類)、ヤマトキソウ(県U類)など | ミカワシオガマ(県IB類)、シデコブシ(県U類)、ヘビノボラズ(県準絶)などの東海丘陵要素植物や、サギソウ(県U類)、アギナシ(国準絶)など |
動植物の様子 | トキソウ(県IB類) ヒメタイコウチ(県準) |
トウカイコモウセンゴケ |
ハルリンドウ |
※レッドデータブックあいち2009の評価区分について
絶滅:過去に愛知県に生息・生育したことが確認されており、愛知県において少なくとも野生ではすでに絶滅したと考えられる種。
絶滅危惧T類:現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、野生での存続が困難なもの。
絶滅危惧TA類:ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの。
絶滅危惧TB類:TA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの。
絶滅危惧U類:絶滅の危険が増大している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い将来「絶滅危惧I類」のランクに移行することが確実と考えられるもの。
準絶滅危惧:存続基盤が脆弱な種。現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの。
※矢並湿地は、豊田市自然観察の森の定期的な観察会と毎年秋に一般公開されています。(それ以外の時期は非公開です)
また、上高湿地及び恩真寺湿地は、希少な野生動植物の保護のために立入が禁止されています。
詳しくはこちら→豊田市環境部環境政策課のホームページ