あいちの環境
 
里山保全活動マニュアル

2.里山の成り立ちと自然


2-1里山の成り立ち

  里山とは都市や集落に近い山すそで、農業や果樹園芸、あるいは林業など多様な土地利用が行われている地域一帯を指します。その里山に立地する森林が「里山林」で、人々が古くから利用してきた結果形成された雑木林や竹林、人工林などが多くを占めています。

  なかでも雑木林は、林業で重要視されるスギやヒノキなどの「有用材」を除いた種々様々な樹種により構成され、萌芽更新(伐採して芽吹きさせる方法)によって循環してきた森林で、昨今、急速に人の利用が遠のいた場所といえます。
  人々が薪をとったり、炭焼をしたり、農業用の資材(稲かけ、囲い柵、作業小屋材など)を採取したり、所によっては木を利用した小物の工芸品(小箱、そろばん玉、蛇の目傘の材料、器、玉のれんなど)加工に向けたり、土木用資材(杭、土地改良用に地中に埋めるそだなど)を確保する場であったり、実に様々な森林資源の利用が里山の雑木林で行われてきました。
 

  さらに里山の森林を「場所」として利用することも盛んに行われてきました。しいたけを生産するために菌を植え込んだ原木の伏せ込み(しいたけ菌の発育養生をすること)の場として、雑木林は最適です。また時期を違えて様々に咲く花を利用した養蜂(蜂を飼って蜜をとる)の場にもなります。
  森林がきれいな水を絶え間なく供給してくれることを活用した苺苗の育成や、わさびの栽培の場にもなっています。森の中の渓流を利用した渓流魚の養殖もまた、雑木林の活用のひとつになるでしょう。また、湧き出す水はため池に貯えられ、里の田畑をうるおしていました。さらにいえば、林床に積もる小枝や落ち葉はまた田畑を肥やしてもくれました。
  このように里山の雑木林は、無限といってよいほどの生産的な価値や恵みを人間社会に与え続けてきたのです。それらに加えて現在では自然教育の場としての利用や、健康づくりスポーツの場としても利用されています。
  里山の雑木林は、まさしく「多様な人と森との営みの世界」であるといってよいでしょう。
  このような「雑木林の世界」に包まれて、里山地域の土地利用もまた多様な姿をとってきたのです。竹林や果樹園、菜園、桑畑、水田、集落地等の多種の土地利用が複合して、変化に富んだ景観を形成してきたのが里山の特徴です。

 
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