あいちの環境
里山保全活動マニュアル

 5.市民による里山管理



 5-1 市民参加の意義

  里山は人里の周辺にあり、わたしたちの生活に密着してきた二次的な自然で、そこでの営み自身が、結果として独持の生物環境を創り出してきました。そこでよく管理された里山は、地域各々にあって固有の様相を成し、見慣れた景色としてそこに住む人々のいわば心の安らぎと、原風景を形成していたのです。
  今日、里山の保全を考えるとき、その主体である地域社会の関わりが最も重要であることは、里山の成り立ちから考えれば明白なことですが、里山と日常的、永続的関係を持ち得る地元地域の人間集団(一定の利害を共有し得る)の存在がまず重要になってきています。地域固有の風習や地場産業といわれるものは、地形や風土からもたらされる部分も大きく、そこで育まれた人々の集団もまた、固有の利害を保持することがあります。里山の今日的な活用法は、従ってその地域に育まれた自然と人間集団によって様々な形態をとり、決して、単純な技術手法で表現されるものではありません。
  一方において、自然と人間との関係を問い直す動きのなかで身近な自然との関わりを持つことの大切さが認識され、教養やレクリエーションなどの目的にとどまらず、世代を越えた生涯学習、歴史、産業研究など幅広い地域研究などの対象として各地で里山が見直されてきています。

  このように里山は限りない可能性を秘めつつ、人間集団の働きかけ次第で多重多層に変貌することになりますから、市民参加の質に応じた受け入れをしてくれます。そればかりか、人間集団の関わりに応じてその資質を高め、絶ゆまぬ変身をとげてくれるのです。つまり言い換えれば、里山保全に関わる意識の高い人間集団の存在(=市民参加)によって、里山は今日の私たちの暮らしの中で生き返ってくるということであります。
  また一方で市民の自主的な高まりの中で生まれた種々の里山活動を見つけ、育てていく行政と市民とのパートナーシップが大切となってきます。このことによって市民参加の芽が時としていくつも生きてくることでしょう。地域の景観改善が図られるばかりか、大きく自然生態の改善や、水循環・水環境の改善を視野に入れた街づくりにも一役買える可能性も指摘されており、ここにも市民参加の里山管理の大きなメリットが秘められているのです。

 
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