あいちの環境
里山保全活動マニュアル

5-3 行政、企業とのパートナーシップ

●各地で始まったパートナーシップ
  地域から発生した市民グループによる里山保全の活動を、広く地域づくりや社会に貢献する環境保全活動として位置づけ、行政や企業が支援したり、協調する例も見られ始めました。ナショナルトラスト※の埼玉県狭山のトトロの森や静岡県三島グランドワーク※事業がよく知られていますが、身近なところで行政と市民とのパートナーシップの例では名古屋市の相生山緑地オアシスの森事業がありますし、本県で取り組んできた里山自然地域保全事業があります。この県の事業は、里山保全モデル事業として雑木林研究会を始め、県内の自然観察指導員の各氏を指導者にして、知多半島の美浜町と、東三河の御津町で各々3年づつ数々の事業に取り組み、広く県民へ普及啓発とそれらに触発された地元での市民グループによる、自発的な保全活動に期待を寄せていましたが、昨年事業を終えた美浜地区でグループが立ち上がり、活動を始めたところです。
  また企業の例としてトヨタ自動車のエコの森では同社のプログラムを始め、数々の研修や人材育成のための事業が取り組まれ、全国各地の里山保全活動の要望に応えています。この他にも、活動育成の資金を提供したり、研究活動の助成を行ったりしている企業がいくつかあります。

●今後の取り組みの課題
こうした市民グループと企業あるいは行政とのパートナーシップを活かした事業は今後も多様な形で増えていくものと考えられますが、それらはモデル的な事業であったり、特別なケースとして存在しており、安定した社会常識となっているわけではありません。そればかりか特に里山に寄せる社会の各方面の関心や存在意義、活用期待は日増しに高まるなか、これらに応える人材や技術的な指針、活動のための資金などは不足しているのが現状です。
  そうした現状を踏まえ、企業や自治体が息の永い、安定的な支援・協調の手だてを取ることが望まれるとともに、内容についても、市民グルーブの発想を採用して、それらを下から支えていきながら、社会ニ一ズと市民グループの活力を引き出していくことが有効です。一方、立場が変わって市民自身は、グループ内の自己満足的な活動にとどまることなく、広く地域や社会に働きかけ、あるいは影響力を及ぼす自立した活動となるよう努力し、企業や行政との対等な関係を築きながらパートナーシップを進めていく必要があります。力が合わさって新しい価値と社会的効果を産み出すことでしょう。里山保全管理にはこうした関係が大切になってきます。良好なパートナーシップは双方の長期展望をもった積極的な働きかけによって、初めて産み出されることを忘れてはなりません。
 
 
 

用語解説

・ナショナルトラスト※:
 都市開発などから、貴重な自然環境や歴史的建造物などが破壊されることを防ぐため、広く寄付金を募って、その土地や建造物を買い取ったり、贈与または寄託を受けたりして、保存・管理、公開して後世に残していこうという市民運動。

・グランドワーク※:
 地域住民、行政、企業のパートナーシップによって取り組まれる、農村およびその近郊を中心とした地域環境改善活動のことで、10年前にイギリスで始まった。
 


 
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