あいちの環境
里山保全活動マニュアル
6-6フィールドの調査

フィールドの調査は前提となる里山保全のイメージに基づいて、実際にそのイメージを実現するために、具体的な自然環境状況を把握することを目的とした調査です。
代表的なものとして地形調査、動物調査、植生調査なとがあり、目標に応じて必要な調査を行います。

●地形調査
里山の保全に際して、ひとつの原則として表土や水環境を保全することが挙げられる。
これには地表をできるだけ変形しないことが求められ、そのためにも地形の正確なデータが必要となります。
できればその地域の地形図を基にレベル測量や平板測量によって必要な部分のデータを補完します。
また、簡易的な地形調査としては歩行踏査によって利用の難易度を判定したり、脚立等を利用した眺望景観調査など、目標によってはその程度で充分な場合もあります。

●動物調査
タヌキ、ウサギやシカなとの大型の獣類はめったに人前に姿を見せないのでフンや足跡などから、その生息を調べます。
巣や獣道が見つかればできるだけ保全します。
カブト虫やセミ、ホタルやトンボなどの昆虫はいつの時代も子どもたちの人気者であり、それらが生息しているか、生息が可能であるかは里山の利用形態に大きく影響してきます。
昆虫や野鳥の種類は里山の地形や大きさ、樹種によって大きく異なり、里山環境の多様性を測るバロメーターともいえます。

●植生調査
植生の調査には、フィールド全域の群落・貴重種などを中心とした概況調査と、調査区域を絞り詳細に樹種と位置を調べる毎木調査がある。
ここでは参考例として保全管理作業にとって重要な毎木調査を以下にあげます。
 

●雑木林の毎木調査1

■目的
薪炭林としての機能を失い、放置されて久しい里山の雑木林を、憩い・観察・活動の場所など魅力ある森林レクリエーション空間として再生するためには植生管理が必要です。
この場合、雑木林のもつ多様な植生環境をいかに保護・維持・保全・改良・創出するべきかについて、全体として合意形成を得ていくことが重要であり、そのために各自が、それぞれの場所や目的に応じた植生管理のイメージを描くことが求められます。
この調査は、これら植生の保全管理計画の立案のために必要であるほか、施業前・施業後における植生の変化を比較・検証するための重要な資料となります。

■方法
(1〕毎木調査エリアの設定
・保全管理作業地内に10m×10mの毎木調査エリアを設定します。
・各10mの4辺は2m毎に印を付けたテープによって区画します。


(2)測量のしかた

測量コンパスを使って、毎木調査エリアの設定を行います。
エリアは10mの正方形。各辺の交点の直角をコンパス測量で設定します。ここでは道線法の手順を紹介します。
 
(1)測点Aにコンパスをすえつけ、磁針固定ねじと望遠鏡締付ねじをゆるめ、測点Bを視準して、望遠鏡微動ねじで十字縦線により測点Bに正しく合わせる。
(2)磁針Nの位置を水平目盛盤で読み取り、これを測線ABの方位角θAB(前視)とする。
(3)測線ABの距離を測定する。
(4)器械を測点Bに移し、測線BAの方位角θBA(後視)を測る。
(5)測線BCの方位角θBCを測定したのち、距離BCを測定し、以下同様にして測定し、測点Aにもどり、後視θADを測定する。
(6)どの測線についても(後視一前視)=±180°であれぱ局所引力の影響を受けていないが、もしある測点に関して誤差が出た場合は、誤差のない測点を基準にして調整する。
(7)この要領で方位角を測定しながら、各交点が90°になるようにポール位置を調整します。例えぱθBCはθAB+90°、θCDはθAB+180°となるようにする。

・コンパス測量
コンパス測量は、磁針の性質を利用して、方向を決定する簡単なコンパスを用いて行う測量をいい、山地では広く活用されています。測量コンパスは磁針、水平目盛盤及び視準板がおもな部品で、そのほかに下げ振り、気ほう管・偏角修正バーニャとその微動ねじなどが付属しています。この器械が三脚に支えられて整準装置により水平に保たれるようになっています。

(3)毎木調査
・エリア内の高・中木の樹種名を札付けします。
・2m毎に印をつけた10mテープを2本用意し、エリア内を2m×10m毎に順次区画しながら、高・中木の位置及びナンバーを野帳に記入します。

・野帳には樹種名・樹高・生枝下高・幹周・樹冠幅を記入します。

林床にみられる主な植物種名を記入し、被度を判定します。

被度
調査範囲内に占める
植物の割合(%)
0〜20 20〜40 40〜60 60〜80 80〜100

 
 
 
・施業後、除伐された樹木を野帳に記入します。

〇除伐木



雑木林の毎木調査表  (こちらをクリックしてください
 
 

●雑木林 (竹林)の毎木調査2(断面法による)
■目的
雑木林の多様性を維持するため、周辺樹林地への竹林の拡大を抑制します。
また密生化が著しい竹林内部の疎林化を図り、健全で明るく親しみのある竹林を形成します。
これらの目的に対応した植生管理を行うためには、植生の保全・管理計画が必要となります。
この調査はこれからの計画の立案に必要となるほか、施業前・施業後における植生の変化を比較・検証するために重要な資料となります。
■方法
(1)毎木調査断面の設定
・保全管理作業地内に20mの毎木調査断面を設定します。
・延長20mの調査断面には、2m毎に印を付けたテープを敷設します。


(2)毎木調査

・テープの右側50cmの範囲の竹及び高中木の位置及びナンバーを野帳に記入します。
・同様に左側50cmの範囲を調査します。


・野帳に樹種名を記入し、竹以外の樹木については樹高・生枝下高・幹周・樹冠幅も記入します。



・林床にみられる主な植物種名を記入します。

相生山緑地オアシスの森の調査例(名古屋市・天白区)

*つる植物・ササ類・草本類の確認植物
谷部一ツタウルシ、ミツバアケビ、チヂミザサ、ケネザサ、ジャノヒゲ、ヤエムグラ、キンラン、ヤブタビラコ、ムラサキツユクサ、セイヨウヒルガオ

尾根部一ツルウメモドキ、ツルグミ、ヘクソカズラ、サルマメ、サルトリイバラ、オオバコ

・施業後、除伐された竹・樹木を野帳に記入します。


〇除伐木


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